前回、秋のチームの現状を知り、愕然とするナツ。
3年間この世界で生き抜いた秋のチームは、すっかり生きることを諦めていたのでした・・。

この状況を見て、夏のBチームは何を思うのか・・

感想です☆



芒種の章3 「-煙草と月ー」



※以下、ネタバレあり※









<現在地>
・春のチーム 神奈川県経ヶ岳シェルター
・夏のBチーム
ナツ・嵐・ 蝉丸・・兵庫県神戸富士シェルター
その他    ・・大分県由布岳シェルター
・秋のチーム 兵庫県神戸富士シェルター
・冬のチーム 本州
 



◎あらすじ◎

関東には物理的に行けない・・
蘭(らん)は夏のBチームにそう言った。

その意味を問う彼らに、秋ヲ(あきを)は食料を盗もうとしたのだから捕まえろ、とチームの刈田(かりた)という男に命じる。
彼は柔道のオリンピック級の腕前ということで、あっさりと捕まってしまう嵐(あらし)と蝉丸(せみまる)。
そんなに強いなら、なぜ反抗しないのだ、と嵐は刈田に叫ぶ。

皆平等な立場のはずだー
そう説く嵐を、秋ヲは笑った。
人間は、決して平等なんかではないーと。

そうして彼は、十六夜(いざよい)にも早く自分の家に帰るようけしかける。
この男は臆病で、眼鏡をはずすこともできないのだー
そう夏のBチームに言い、笑う蘭。
すると十六夜が、2人に尋ねた。

君たちは・・死にたかったのか?
死んだ方が楽なのか・・?

ー2人は、それには答えなかった。

彼らはナツを連れていく。
ナツは不安を感じながらも、後で助けに来る、と嵐たちに伝えてついていった。
彼女はしっかりしている・・嵐はそう言い、一人連れ去られたナツを心配するのだった。


蘭たちの家に行くと、2人はナツに食料を出してくれた。
トウモロコシだけは、よく育ったのだと彼らは言う。
それ以外の種もシェルターにあったから育てたが、上手くいかなかったのだという。

気候も地形も変わっているから仕方ない。
昔にしがみついて生きるより、自分たちが順応するべきなのだー
そう言い、雨季もまた来るしな・・と2人は呟いた。

秋ヲいわく、ここにはもう四季はないのだそうだ。
今は乾季で、その内本格的な雨季がやってくる。
そう説明すると、彼は一人言った。

なぜこのチームに四季の名がつけられているか・・
それはきっと、日本人が四季を残したかったからだ、と。

そう言うと、2人は今後の計画について話を始める。
彼らは英語を使い、食料の割り当て、来たる雨季の洪水にどう備えるか・・などを語り合う。
ナツも意見を求められたが、彼女は戸惑い英語は話せない・・と返した。

すると2人は怪訝な顔で、得意分野は何か?とナツに尋ねた。
ナツは牡丹の説明を思い出す。
きっとこの人たちは自分とは違い、元の世界ではすごく優秀な人たちなんだ・・。

彼女は自分たちは夏のBチームで、落ちこぼれの方だ、と白状する。
それを聞いた蘭と秋ヲは失笑し、残念だが仲間には入れてやれないな・・と告げるのだった。

そうしてー目論見が外れた2人は、何か煙草のようなものをくゆらせ始めた。
何か変な匂いがする・・ナツは吸わないように口を押える。
こういう葉っぱはいっぱいあるけど、落ちこぼれにはやらないー
秋ヲがそう言うと、彼らは服を脱ぎ、交わり始めた。

ー麻薬?!
様子のおかしい2人に、ナツは驚愕する。
そんな彼女に、彼らは言った。

この村では、避妊具はないから子作りは禁止。
思惑通りに子供なんか作ってやるものかー
そう言い、笑う蘭と秋ヲ。

滅びろ、日本ー

彼らの醒めきった瞳に、言葉の出ないナツ。
その声を、外で聞いていた十六夜も耳を塞ぐ。
そしてー彼は立ち上がった。


ナツも隙を見て、抜け出してきた。
気が付くと、外にいる他のメンバーも皆葉っぱを吸っているようだった。
彼女は嵐たちの元に走ると、2人を解放し事情を話す。

それを聞いて驚く2人。
今の内に逃げようーそう話しているところに、十六夜が現れた。
彼は皆には言わないから・・と言い、水を飲むよう勧めた。

それを受け取る嵐。
だが蝉丸はそれを飲まないように言い、近くにいた鳥に飲ませた。
するとー鳥は血を吐き、苦しみ死んでしまう。

毒ー?!
驚くナツと嵐に、蝉丸は十六夜の様子がおかしいと叫ぶ。
そこで急いで彼を探すと、十六夜はー今まさに井戸に毒を混入しようとしていた。

何をやってるんだー
彼らは十六夜を止めた。
全員を殺す気なのかー?!

すると・・彼は力なく呟いた。
死んだ方がいいんだ・・。

彼のサングラスから、涙が流れた。
もっと早くこうすればよかったんだ・・。
ガイドは皆、青酸化合物を持たされていた。
もし放出されて、生きていけなそうな場所だったらー
皆が病気で苦しむことになったらー

十六夜はその毒を、使おうとしたのだ。


そんな彼を、嵐は殴った。
あんたに何の権利があるー
嵐は叫んだ。
一体世界のどれだけを見たというんだ。

生きていれば、会える。
会えると思えば、歩ける。

彼の目に、涙がにじむ。
俺はまだあきらめていない。
勝手に殺そうとするなー!!

ー3人は崩れ落ちる十六夜を、見守った。
これは・・自分たちの3年後の姿なのだろうか。
花(はな)がいなかったら、自分もこうなるのだろうかー
嵐は思う。

ナツも考えた。
ガイドは皆毒を持たされていると言った。
牡丹(ぼたん)も持っていたんだー

彼女の目に、涙があふれる。
牡丹は使わないでくれたー!!
夏のBのガイドは、命を張って助けてくれる人だー彼女は十六夜にそう伝えた。

自分たちは元気にやっていく。
だから邪魔するなー
3人はそう言い、十六夜に笑みを見せ、村を去っていくのだった・・。


自分のためでなくても、他人のために生きていく方法もある・・
嵐は最後に十六夜に、そう言い残した。
村を出ようとした3人は、蘭たち以外の秋のメンバーを見つけ、一緒に行かないかと誘う。
こんなところで我慢せず、反抗すべきだー

そう言うと、奥にいた少年が笑った。
彼はナツたちは勘違いしていると言い、自分たちは蘭と秋ヲのおかげで生きていられるのだと話した。
秋ヲの言う通り、人間は平等じゃない。
こういう時、生きる力のある人間とない人間がいる。

蘭たちは生きる力のない自分たちの尻を叩いてくれているのだ。
間違ったやり方だが、これが秋のチームの生き方だー
彼はそう言い、放っといてほしいと3人に告げるのだった。

そうしてー少年は夏のBチームが出ていくと、秋ヲたちにそれを伝えに行った。
秋ヲはそれを聞き、行けるなら見に行けばいいーと笑う。
絶望を見て、それでも笑っていられるならなー



空は白み始めていた。
蝉丸は歩きながら、なんで生きているかなんて、どの時代にいたって分からないもんだーと話す。
皆はうなづき、ナツは思う。
嵐が一緒で良かった。このチームで良かったー

彼女は蘭たちに聞いた、これから雨季がやってくるという情報を2人に伝えた。
彼らは歩く。
その内、陸が途切れ、海しかなくなってしまった。

ここはどこだー?
関東へは陸続きのはずだ。
3人は戸惑う。
その時ー嵐の背を、悪寒が走り抜けた。

まさかー
フォッサマグナだ、彼は2人にそう話す。
日本はその構造上、もしもの場合は分断されるー

東側は沈んでしまったのか?!
彼らは息を呑む。

向こう岸は見えない。
どうにかしてボートを降ろそうー
3人はそう話し合うが、降ろす手立てがなかった。

紐を結ぶ木がないので、誰かが上で紐を抑えながら降りるしかないが、そうしたら残された人物はどうすればいいのかー
考えあぐねていると、後方から声がした。

僕が皆を降ろすよー
その声の主は、十六夜だった。
彼は信用できないと首を振る蝉丸に言った。
見てきてほしい・・と。

そしてもし東で良いことがあったら、秋のチームにも教えてやってほしい、と。
そう頭を下げる彼を見て、嵐はサングラスを外してほしいと言った。
目を隠す人は、信用できないから、と。

それを聞いた十六夜は、そっとサングラスを外す。
初めからこうすればよかったー
そう言う彼の目は、澄んでいた。

頼もう。
嵐は即答し、十六夜にロープを渡す。
十六夜はアルパカのような生き物も連れていくように、と彼らに託してくれた。
ミルクが搾れるのだという。

まず蝉丸が降り、それからナツが降りた。
そして嵐が降りるときー十六夜は言った。
自分は消防士だった。
人を救いたいと思ってここへ来たのに、覚悟が足りなかった・・

すると嵐は言った。
人は生きていれば、やり直せる、と。
その言葉に、十六夜は息をつく。
本当に、この子たちはー

彼は思う。
まるで・・3年前の自分たちのようだー。
どうかそのままでいてください。
彼はそう祈った。

どうか東で何を見ても、何をなくしてもー
希望を見続けてください。
その目に、涙が光る。

3人は礼を言い、海へ旅立った。
十六夜はその姿を見送りながら、泣き崩れるのだった・・。



夏のBチームは行ったかしらー
村で、蘭は呟く。
落ちこぼれは落ちこぼれなりに、行ったかもしれないなー秋ヲはそう言い、笑う。

一番大事なことを教えてやるべきだったか・・
蘭は一人考えた。
東からは、恐竜の骨のようなものが時々流れ着いていた。
恐らくー東の生態系は、こっちとは全く違う!!



夏のBチームは、必死の航海を続けた。
先に進めば、きっと陸はある。
その思いで、進んだ。

だがー3人が諦めそうになった頃、陸はあった。
しかしその陸は、彼らが追い求めていた姿とは全く異なっていた。
もしかしたらそこには元通りの世界が広がっていて、
もしかしたら普通の生活が待っていて、皆が自分たちをさがしているんじゃ、とー

蝉丸は呟いた。
そんな訳・・ないじゃないかー
















それぞれのチームの生き方。


今回は夏のBチームが秋のチームの生き方を知り、自分たちのチームを信じ旅立つ話でした。

秋のチームは歪んだ世界を作りだしていました。
それを目の当たりにした3人。

暴力と麻薬に支配され、そこから脱落する者がいるー
初めはヤバそうに見えた秋のチームですが、彼らは次第に秋のチームもまた最初はこうではなかったことを知ります。

そして、一見間違ったように見える秋のチームのやり方も、皆が納得したうえで成り立っていたものだということも・・。


3年ーどれだけ長かったのでしょうね。
その中で、何度も絶望し死を願いながらも、チームで生き延びてきた彼ら。
夏のBチームには、到底想像もできない絶望を、彼らは何度もくぐってきたのでしょうね。


一見強そうな蘭と秋ヲも、麻薬の力がなければ自我を保てないのかもしれません。
触れれば崩れそうな脆い糸の上で、彼らはギリギリ生きていたのですね。

それでもどこかに希望を捨てられないから、蘭と秋ヲは生きているのかな、と思います。
いつか使えるかもしれないから外国語を忘れないように使い、明日のための計画を立てるー

なるほど、秋のチームが蘭と秋ヲに実は依存してできている、というのもうなづけます。
2人が尻を叩かないと、もはや生きる気力もない者ばかりなのですね。
その中では、やり方は間違っても生きる道を示してくれる2人は、なんと頼りになることでしょう・・。

決して彼らのやり方を責められないですね。
同じ修羅場をくぐってきた者だからこそ、分かり合えることもあります。

夏のBチームは眩しすぎて、秋のチームにはうっとおしい存在だったのかもしれないですね。


見て来ればいい、絶望ってやつを。
それでも笑えるなら、笑うがいいー

秋ヲの言葉が全てでしょう。
同じ計画に巻き込まれた者同士仲良くできればよかったですが、それは無理でした。
また会うことはあるのでしょうか・・。

その時には、もうちょっと互いを理解し合えるようになっているといいですね。
十六夜の成長も、見てみたいです。。




さて、その十六夜ですが、夏のBチームが来たことで耐えられなくなり、皆を殺しておしまいにしようと毒を手にしました。

幸い蝉丸がすぐに気づいて事なきを得ましたが、ガイドにはそんな権限もあったのですね。
牡丹が使わないでくれたことにナツは感謝していましたが、本当にその通りです。
柳も熊川も使いませんでした。
皆の覚悟を思うと、頭が下がる思いですね。


でも十六夜も、決して最初から逃げるつもりだったのではありません。
ただ重圧に耐えきれず、覚悟が足りず・・それは決して許されることではないけど、彼の気持ちもまた分かります。

この世界で生きていくことがどんなに難しいことか・・
それを秋のチームは教えてくれましたね。


最後にようやくサングラスを外せた十六夜。
彼は夏のBチームの眩しさにかつての自分たちを思い、もう一度頑張ってみたいと立ち上がりました。
秋のチームの元には、サングラスなしで戻れたのかな?

急には無理でしょうが、次第に認めてもらえるといいですね。
そして彼が願ったように、再び今のままの夏のBチームと出会えるといいと思います。



ただ・・最後の蘭が呟いた一言、これは見過ごせませんね。
あの恐竜の骨のようなものは一体・・。
確かに関東はほとんど沈んでしまっていましたが、あんな恐ろしい生き物がいるというのでしょうか。


まさか雨季になったら活動を始める・・とかではないですよね?
関東には春のチームも夏のBチームもいます。
彼らの元にあんな巨大な恐竜が現れたらー

考えたくもないですね。


この後は時系列で考えると、夏のBチームが先に経ヶ岳シェルターにたどり着きます。
そしてそこにメッセージを残し、そのメッセージを春のチームが見つける・・。

うーん、これから雨季が来るとしたら、本当に2つのチーム、危ないのではないでしょうか。


経ヶ岳シェルターも、水に埋まっているから雨季をやり過ごせるほどのスペースはないですよね。
どうやって逃げればいいのでしょうか。


そういえばナツたちは既に動物の脅威をメッセージに残していましたね。
ということは、彼らは遭遇しているのか。。

どうやら関東には危険が待っているようですね。
果たして夏のBチームも春のチームもこの脅威から逃れることはできるのかー


そして水に沈んだ東京を見たとき、皆の心はどうなってしまうのか・・。
いよいよ絶望と向き合う時ですね。

夏のBチームの生きる力の強さを信じつつ、見守りたいと思います!





というわけで、次回は夏のBチームがいよいよ関東に上陸する話でしょうか。

花たちをも襲った絶望。
それに向き合うとき、夏のBチームはどうなるのかー

次回も楽しみです☆