前回、関東にようやく上陸した夏のBチーム。
けれども彼らを待っていたのは、何もない乾いた大地でしたー。

感想です☆




芒種の章4 「-ミルクと墓ー」




※以下、ネタバレあり※










<現在地>
・春のチーム 神奈川県経ヶ岳シェルター
・夏のBチーム
ナツ・嵐・ 蝉丸・・関東へ
その他    ・・大分県由布岳シェルター
・秋のチーム 兵庫県神戸富士シェルター
・冬のチーム 本州





◎あらすじ◎

昔と同じものなんて、もう何もないのだー
蝉丸(せみまる)は目の前の風景を見て、そう言った。

ボートで着いた東の地はー
乾きに乾いていた。


土は乾き、ひび割れていた。
喉が痛い、と蝉丸が騒ぐ。
あちこちには動物の死骸があり、半ば土に埋もれてひからびていた。

恐竜のようなものがひからびているのを見て、彼らは目を見張った。
こんなものが生きていたら・・それはぞっとする想像だった。
「ジュラシックパーク」に出てきそうなヤツだな・・ナツが一人そう呟くと、蝉丸がそれに気づいて口を開いた。

彼はナツの自分だけで話す癖をやめるように言い、言いたいことがあるなら話しかけろ、と彼女を諭す。
ナツは気づく。
蝉丸は、教えてくれようとしているのだ、とー。

嵐(あらし)もそれを見て、意外と世話焼きなんだな、と笑みを浮かべる。
3人の距離は、段々縮まっていた・・。


そんな中、水の確保のために蝉丸と嵐は協力して、サボテンのような実を手に入れようとする。
嵐に体重を預けて崖に成る実を取りに行く蝉丸。
彼はいつのまにか、嵐を全面的に信用していることに気付き、一人驚く。

人を疑うことしか知らなかった自分が、裏切ることはないと思える奴に出会えるなんてー
彼はそう思った自分にも、何か気恥ずかしいような気持ちを感じるのだった。

十六夜(いざよい)にもらったアルパカは、彼の言った通りミルクを出してくれた。
ミルクを搾りながら、蝉丸はふと考える。
皆ークリームシチューの作り方を知っているか?

彼に尋ねられ、ナツたちは首を振る。
シチューの素を使うならわかるけど、その素の原料は何だろう・・
蝉丸はぶつぶつと呟き、どうにか作れないかと考える。
彼の様子が少しおかしいことに、ナツと嵐は気づき始めるのだった・・。


その夜ー
気温がぐっと下がるなか、ナツは蝉丸が外にたたずんでいるのに気づいた。
彼は石を積んで、何かお墓のようなものを作っていた。

そしてー彼は一人、母親に向けて語りかけていた。
どうやら浜松はなくなったようだ。
蝉丸はそう言い、シチューの作り方が分からないんだ・・と呟く。
あまり料理をしない母が唯一よく作ってくれたシチュー、なのにどうしても思い出せないんだ・・

そう言ってうつむく彼を見て、ナツは急いで手近な草を集めた。
するとその音に気付いた蝉丸がやってくる。
お墓に花の代わりに・・そう言いながら草を見せると、蝉丸は笑みを浮かべてナツの頭をなでた。
要らないから・・

そこに嵐も加わった。
彼は蝉丸が作ったシチューも悪くない、と笑う。
皆に励まされているような気がして、気恥ずかしくなる蝉丸。
だがそんな彼に、嵐は自分のときも頼む・・と告げる。

もう東京だけが無事とは思えないからな・・
彼は真剣な表情で、そう言うのだった。


嵐の足が、段々鈍り始めた。
きっと東京はもうー
そう考えると、この旅は切なさに向かうだけなのだろうか・・ナツはふとそんなことを思う。

蝉丸が用を足しに行く。
彼の尿が干からびた動物にかかる。
するとーその動物が動きだしたのだ。

なんだ・・これ・・
皆声にならず、動物が起き上がってくるのを見た。
嵐が手近な岩で、動物の頭を砕く。

彼らはーうろたえた。
こういうの、テレビで見たことある・・
ナツが呟いた。
動物が乾季のときだけ眠って、雨季になると水を浴びてよみがえるー

ナツの体が震える。
この動物たちは死んでいるんじゃない。
眠っているだけなのだー!!

雨が降ったら、一斉に立ち上がってくるー
彼女の話に、嵐たちも焦りを浮かべた。
急ごう、3人はすぐに旅立つ準備をするのだった。



そしてー3人は再び、ひたすらに歩いた。
嵐の心が、段々陰りを帯びていく。
東京が・・近くなるー















関東の生態系の正体。


今回は神戸富士シェルターを出た夏のBチームが、関東を旅する話でした。
秋のチームの懸念を見事振り払い、彼らは関東に上陸しましたね!


ただ・・春のチームのときにも分かっていたように、関東はほとんどが水に沈んでしまっていました。
原型をとどめない風景に、徐々に希望を失う3人。
ナツはまだ嵐という支えがいるからマシですが、嵐の気分の落ちようが心配ですね。

花だけが、本当に支えなんですね。
東京が沈んでいるのを見て、花の死を意識したら・・彼はどうなってしまうのでしょう。
自暴自棄にならないか、気がかりです。


また、今回は蝉丸も落ち込む姿を見せました。
いつも元気な人が辛そうだと、落ち込みますね。

彼は浜松出身なので、まず自分の故郷がないこと、そして母親が死んでいるだろう現実と向き合いました。
母親の作ったシチューを思い出すくだり、うるっときました。
皆にすがらず、一人母親の思い出に向き合ったのですね・・。


もうそのシチューが飲めることはありません。
人が死ぬということは、その人の所作にももう触れられないということですからね。
蝉丸にとって母親は必ずしも優しい人ではなかったのでしょうが、それでも思い出はある・・

辛かったでしょうね。


ナツと嵐がすぐに気づいたのは、良かったです。
本当に深い絆が芽生え始めていますね。
互いに辛い時は支え合おうー
嵐の決意が、辛いのは自分だけではないことを示していて、救われる気がしました。


この先、東京と埼玉でナツと嵐もそれぞれの故郷を見ることになります。
恐らくこの状況では・・明るい見込みはないでしょう。
それでも確認するまでは、一筋でも希望を捨てることはできません。

彼らに待っている現実を思うと苦しいですね。
どうか心が壊れないことを祈ります。


それにしても、蝉丸とナツも大分距離が狭まりましたね。
ナツも言い返したりできるようになってるし、蝉丸もただ彼女をいじめるではなく、気にかけるようになったと感じました。
案外良いペアになったりして・・?

きっとナツの辛い恋を支えるのは蝉丸なのかもしれないなー・・・
なんかふと、そんなことを感じました。




最後に、関東の生態系について。

今回恐ろしいことが分かりましたね。
前回予想したとおり、ここの動物たちは乾季は眠りにつき、雨季に活動を始めるようです!

こんな恐竜が雨季に一斉に動き出したら・・
考えただけで恐ろしいですね。
人間が敵う相手ではないでしょう。

問題はいつ雨季が始まるか、ですね。
夏のBチームが焦っているのですから、彼らの跡に経ヶ岳シェルターを訪れることになる春のチームは、更に危険なのではないでしょうか。

特に春のチームはシェルター付近で生活しようとしていましたからね。
あの不穏なラストは、これを意味していたのですね。

どうか皆、無事であるといいのですが・・。





さて、次回は経ヶ岳シェルターにたどり着くくらいでしょうか。
ようやく春のチームの話とリンクしだしますね。

そして、ついに彼らは東京の姿を見るのでしょうかー。
その時、ナツと嵐はどうなるのか・・。

次回も楽しみです☆