今回から、8巻です!

前回、花札が示す方向にそれぞれ別れた一行。

安吾たちが進む道、そして小瑠璃たちが進む道には、危険が待っているように見えます・・。

彼らは無事、7人に選ばれることができるでしょうかー?!

感想です☆




穀雨の章7 「-美しき青きドナウー」





※以下、ネタバレあり※











  <現在地>  
・春のチーム 神奈川県経ヶ岳シェルター 
花・ハル・新巻・・九州へ
・夏のAチーム ?
・夏のBチーム
ナツ・嵐・ 蝉丸・・仙台名取富士シェルター
その他    ・・大分県由布岳シェルター
・秋のチーム 兵庫県神戸富士シェルター




◎あらすじ◎

音楽が聞こえたような気がしたー
授業に音楽はなかったが、要(かなめ)の趣味らしく、施設にはいつも音楽が鳴っていた・・。


安吾(あんご)ははっとして、辺りを見回す。
そして自分が迂闊にもうたた寝していたことに気付き、自分を省みる。
危険な動物が野放しなのだ。寝ている場合ではない・・。

気づくと、毛布がかかっていた。
茂(しげる)がかけてくれたようで、彼は食べられるものを探しに行っていたのだった。
寝かすのではなく起こせ、と怒る安吾。
そしてしっかり周囲を見回せ、茂は記憶力がいいんだからー
そう彼が言うと、茂は安吾を見つめた。

安吾は僕を頼りにしたことなんてあるの・・?
安吾はそれには答えず、そう思うなら頑張れ、と彼に投げかける。
すると茂は頑張るよ・・と呟くのだった。


そこにー突然鷭(ばん)が現れた。
彼は茂が栗を見つけた際に指を怪我しているのに気づき、手当しに来たのだ。

ダムの決壊で死んだのではなかったのか・・!
安吾が驚くと、彼はちょうどその時薬草を取りに山へ入っていたのだという。
仲間の死を思い、涙ぐむ鷭。

彼は安吾がどこへ行くのかと聞いても、分からない、どうでもいい、と返す。
テストだということが分かっているのか・・?
安吾は心配になるが、今は自分のことだ、と思い直し、鷭とは別れる。
そして茂と共に再び歩き出すのだった。


そしてどのくらい歩いただろうかー
安吾と茂は、誰かがついて来ているのを感じていた。

3、4人の足音ー
きっと自分について、楽をしようという連中だ。
すると茂が、サインを見つけた。

石や木に書かれたサインー
先生たちからだ・・安吾は警戒する。
サインがあるということは、生死に関わるテストがきっと待ってる・・!

その時、2人は開けた場所に出た。
そこにはぼろい橋がかかっていて、向こうへ渡れるようになっていた。

そこに、後ろをついてきていた仲間が合流する。
彼らは向こう岸に建物があるのを見て、安吾についてきて正解だった、と笑う。
むっとする安吾に構わず、好き勝手述べる4人。
そんな中、茂は本当にこの橋を渡るのか・・?と安吾に尋ねた。

確かに橋はすごく古そうで、さび付いていた。
きっと大丈夫じゃないだろう・・安吾は考える。
無事に渡れるかどうかのテストなのだろうか。
彼は茂に、安全確認をしてから渡ろう、と提案する。

だがーその時、後ろの4人が悲鳴をあげた。
見ると、灰色の犬が現れたのだ。
犬は動物舎にはいなかった。では山犬か?
そう思った安吾は、犬の口から泡が出ているのに気づき、ぎょっとする。

狂犬病ー?!
すると4人が逃げるため、急いで橋を渡りだした。
危ない・・!
そう思ったが、彼らは橋を渡り切った。
そして早く来るよう、安吾たちにも言う。

どうするー?!
安吾は逡巡する。
考える時間が欲しい。でも犬が向かってくる・・

ー仕方ない!
彼は決意し、茂と共に橋を渡るのだった。


だがー
その途中で、茂が足を踏み外した。
咄嗟に安吾は茂を掴み、橋を切り落とす。
犬と橋は、そのまま川底に落ちていくのだった・・。

ーその様子を、涼(りょう)と虹子(にじこ)は離れたところで見ていた。
ギリギリ助かった茂は、また安吾に助けられた・・と呆然とする。
一方橋がなくなり元に戻れなくなった6人は、建物の方に進むことにするのだった。

その間も、安吾は考えた。
橋を落としたのは加点か減点か。
どうやったら、7人に選ばれるのかー


そうして入った建物は、中はめちゃくちゃだった。
だが2階は綺麗だし保存食もあるということで、4人は楽しそうに上がっていく。

けれどもー安吾は三方を崖に囲まれたこの地形に、嫌な予感を感じていた。
また茂も、ここは廃墟みたいで嫌な感じだ・・と呟く。
そんな中、茂は2人乗りのカヤックを見つける。

2人が外にいるのを見て、4人も建物から出てきた。
そして呑気に魚を捕っている彼らを横目に、安吾は川を観察した。

川は流れが速く、かなり増水しているようだった。
そして彼は、さっきの犬が骨だけになっているのを見つけるー
ここには何かいる、川には近寄るな。
彼はそう、茂に耳打ちした。

源五郎(げんごろう)が飼っていた中には、ピラニアもいた。
そいつらに対処するのがテストかー?
そう思案していると、茂がまた呟いた。

嫌だな、テストじゃなければこんなところいたくない・・。
それを聞いた安吾は、ぎくりとした。
横では4人が魚を焼きながら、「美しき青きドナウ」を口ずさんでいる。
それは昼食の合図の曲だった・・。

安吾の胸の鼓動が速くなる。
そういえば、こんなことがあった。
昼食の前に音楽をかけてあげる、と要に言われて、安吾は「美しき青きドナウ」を選んだ。

その理由は、昼食のときにはいつもかけているから。そうしないと変だから。
すると要はへえ、と声をあげ、安吾のことをこう評した。

君は誰も強制なんかしていないのに、強制されていると思い込んでしまうんだね。
本当は自分の好きにしていいんだよ。未来に行ったらルールなんてないんだから。
自分で考える癖をつけようねー


それから、涼は気ままに振る舞うようになった。
安吾の額を汗が流れる。
虹子も、鷭も、皆自由に動いていた・・

自分は橋を渡るしかないと思っていた。
だってテストだから。
だが不安を感じたら、渡らないという選択肢もあったんだ。

それが自分で考えるということだー!!

ふと見ると、川の水かさがさっきより急激に増していた。
晴れてからも洪水は起こる・・
そう考えて、彼は気づいた。

建物の中がぐちゃぐちゃなのは、一度水に浸かったことがあるからではないのか?
よく見ると、建物の外壁にはうっすら線が出来ていた。
あれは以前、あそこまで浸かったという証拠ではないかー!!

繭が土と水に気を付けて、と言ったことが脳裏をよぎる。
周りは三方崖、この崖が土砂崩れを起こしたら、ここは埋まってしまう。
橋は自分が落としてしまった。
この状況はー袋小路だ!!

彼はすぐに、茂を呼んだ。
そしてカヤックで川を下ろうと言い、荷物を掴むと説明もせず走った。

カヤックの中には、蜘蛛がいた。
今後は迂闊に手足を出すなーそう言いながら、安吾と茂はカヤックに乗り込む。
するとそれを見ていた4人が、騒ぎ出した。

彼らは安吾のただならぬ様子に驚くが、食料などを取ってから行こう、と準備を始めた。
だが安吾はそれを待たず、出発した。
こんなところ、一秒だってもういたくない。

川は流れが速く、そしてカヤックは川のサイズに適していなかった。
それでも安吾はひたすら手を動かし、どうにか下ろうともがいた。


一方食料を積んでいた4人は、岩山がみしみしと音を立てるのに気づき始めていた。
彼らは持てるだけ食料を積もうとする2人と、先に出発する2人に別れた。
だがーその時だった。

カヤックの中から、ヘビが姿を見せたのだ。
もう動き出していたカヤックの中で、逃げようとした2人はバランスを崩した。
そしてー彼らはピラニアの住む川に、落ちていくのだった・・。

また後に残った2人にも、試練が襲い掛かる。
ついに岩壁から水が噴き出し、土砂崩れが起きたのだ。
逃げる間もなく、彼らは土砂に流されていくー


その音を聞き、安吾はついに崩れたことを悟った。
後ろを見ては駄目だ!
彼は茂にそう言い、息を合わせて漕いだ。

土砂が迫る中、2人は必死に漕いだ。
ただ、生きのこるためにー。

源五郎、あゆ、小瑠璃、繭ー
彼は皆の名を呼んだ。

間違うなよ。
指示に従うな。テストの課題だと思い込むなー



一方その頃、小瑠璃(こるり)たちは坑道の前で逡巡していた。
繭の警告で、彼らは岩盤の強度を調べるのだった。

そして・・どうやら強度には問題はなさそうだった。
繭はまだ疑っていたが、皆は進もう、と彼女の背中を押す。
そこで仕方なく繭たちも、中へと進むのだった・・。


安吾は気づいていた。
このテストには、答えなんてないことを。

きっと俺たちはただひたすら、生き残る道を見分けて進むんだー

















最終テストの真相。


今回は安吾たちが危険に見舞われ、最終テストの真の意味を知る回でした。

なるほど、未来に放りだされたのと同じ、という虹子の言葉はある意味ヒントだったのですね。
テストには答えなどない、ただ生き残れるかだけが7人に残る道だったのですね。


安吾はやっぱり涼に出遅れてしまいましたが、それでもここで気付けたのは良かったと思います。
まだ他に気付いている人はいなそう・・。
これで大きく、前に進むことができたのではないでしょうか。


ただ、テストがそういうものだとすると、もしかして生き残りが7人になるまで終わらない、ということなのでしょうか?
それ以外は皆、死あるのみ、と・・?

これだけのことをする教員たちなので、無いとも言えないですね・・。
でもそんなの、酷すぎる・・。


今は、もう何人にまで減っているのでしょうね。
そもそも冬の夜中に始まったので、十分な備えもなく凍死した人数も一定数いそうですよね。

他にも猛獣にやられたり、毒草を食べたり、土砂崩れや火事に巻き込まれたり・・で半分は既にいないかもしれません。
一体いつまで続くのか・・息苦しくなりますね。



そしてー
これはナツなんかも気付いていたことですが、未来において何よりも大事なのは、自分の意志だということが今回も分かりました。

何かを決めるのは自分でやらなければいけないし、自分が嫌だと思ったら、近寄らないようにする・・
そのことが如実に分かる回でした。


安吾のような頼れる人間についていく、というのもアリな生き方だと思うんですよ。
でもそれはあくまで、今の世界で、ですよね。

未来のサバイバル状況に置かれたら、自分で判断できないことは即命とりとなります。
感覚を研ぎ澄ませ、自分で決断するー

それが出来なかったから、残念ながら4人は死ぬことになってしまったのでしょう。

安吾も茂もそこが弱かったですが、彼らはそこを乗り越えたように思います。
その点に関しては涼たちはもちろん、鷭や源五郎、あゆなんかもしっかりしているので大丈夫でしょう。

あと心配なのは、小瑠璃たちですね。
結局坑道に入ってしまいましたが、繭は不安を信じるべきでしたね。

小瑠璃も本調子ではないようだし、ここで埋まったり迷ったりしたら、2度と出ることはできないと思います。

彼女もまた、安吾と同じく真面目なのでしょうね。
そこは長所であり、サバイバルにおいては短所でもあります。


次回、彼女たちに何が待ち受けているのか・・。
今からもう不安です。

小瑠璃と繭、両方とも残れる未来はあるのでしょうか。。



最後に、教員たちについて。

今回は安吾が気付きを得た回でしたが、要との回想ではちょっと嫌な気持ちになりました。
強制されていると思い込んでしまうんだねーなんて笑ってましたが、そういう環境を作ったのは、お前たちだろう、と。

あんな閉鎖的な状況で、卯波みたいに頭から押さえつけようとするような教師もいて、それで強制されていないと感じる方が無理ではないでしょうか。


安吾はその度が強いのかもしれませんが、それにしてもあの物言いは嫌な気分になりました。
涼だってこの中では自由に振る舞っているけど、あくまでこの中で、ということです。

傍から見れば、きっと皆同じ、飼いならされた子供たちに見えるでしょう・・。


そういう意味では、要はきっと未来に対応できる子供たちを育てているつもりだったのでしょうが、必ずしもそれが成功しているとはいえませんよね。

今後も彼らは事あるごとに、ここでの思い出に苦しめられることとなるかもしれません。
ここでの経験が、呪いのように彼らを縛るかもしれないのです。

そんな環境を作った要たちに、自分たちのしたことを誇ってなど、決してしてほしくないですね。

今回、そこが一番引っかかったかも。
読んでいて腹の立つ、回でした・・。





さて、次回は繭と小瑠璃の話でしょうか。
坑道に進んだくりくり同盟たちを待ち受けるものとは一体ー?

そして彼らはここから、無事に出ることができるのでしょうかー


次回も楽しみです☆