前回、試練を越え、安吾と茂との運命を知る涼。
来たるべき戦いの日に備え、彼はどう動くのかー。

そして安吾と茂、源五郎はどうなったのでしょうかー。
どうやら今回は、源五郎の試練のようです・・。

感想です☆





穀雨の章12 「-動物の謝肉祭ー」




※以下、ネタバレあり※












  <現在地>  
・春のチーム 神奈川県経ヶ岳シェルター 
花・ハル・新巻・・九州へ
・夏のAチーム ?
・夏のBチーム
 ナツ・嵐・ 蝉丸・・仙台名取富士シェルター
  その他    ・・大分県由布岳シェルター
・秋のチーム 兵庫県神戸富士シェルター




◎あらすじ◎

源五郎(げんごろう)は依然、端午(たんご)を探していた。

一方涼(りょう)は通りかかった鷭(ばん)に手当を受けていた。
ワイヤーの傷は縫わなければならなかった。
手当を受けながら、涼は鷭に自由に動き回っているのか、と問う。

教員たちからの妨害はなかったのかー
だが鷭はそれには答えず、自分の無力を語った。
軽いけがや病気なら対応できる。でも・・どうにもできないことの方が多かった。

彼は助けられず死んでいった皆を思い出し、涙を流す。
僕にできることは限られている・・
そう話す鷭を見て、涼はこれが彼へのテストなのだ、と悟るー

虹子(にじこ)が動物の被害もあったか?と訊いた。
鷭はうなづき、毒にやられた人も牙にかかった人も見た・・と話す。
そして彼は熊に片目をやられて銃を持っている人間も見た、と言った。

彼は半狂乱で安吾(あんご)を探し続けているー
涼はその男が鵜飼(うかい)だと聞き、眉を上げる。
彼が撃った熊は死んだと聞き、安心する虹子。
涼が虎はどうしたと聞くと、鷭は源五郎がずっと探している・・と答えた。

自分で育てた動物との対峙ーそれが源五郎の試練か。
人それぞれテストの形が違うことに、涼は気づいていた。

鷭は他の人の治療のために行くという。
涼は礼に自分の救急キットを渡すと、彼を見送った。
俺のテストはなんだー

彼は考えた。
選ばれるのはクラスに一人ずつ。
安吾が茂(しげる)と選ばれようというなら、俺たちは殺し合わなくてはいけないなー



その頃、安吾は一人焚火で暖を取っていた。
茂がいないので交代が出来ず、彼は2晩寝られずにいた。

茂の言葉を思い出し、彼はイラつく。
自分たちは生まれたときから一緒だったのに、何でも一緒に乗り越えてきたのにー。
今は喧嘩なんかしてる時か。7人に一緒に選ばれるのが先じゃないか!!

一人でやりたいなら、好きにしろー
彼はそう思いながら、ではどうする?と今後を考えた。
どこへ向かうー?

安吾は意識が遠のくのを感じた。
2日間の疲れが、出てきたのだ。
俺は茂がいないと判断力が鈍るらしい・・。

うつらうつらしながら、彼は考えた。
自分は何がショックなんだ。茂に言われたことか、食ってかかられたことか・・
彼は理解する。
そうか、俺たち喧嘩なんてしたことなかった・・



一方源五郎は、動物たちを見つけては死なせて回っていた。
コブラとハブは見つけたが、まだ沢山動物たちはいる。
いずれ滅びるから、生態系なんてどうなっていいとでも言うのか?!
彼は教員たちに憤りを感じた。

そんなことはない。
自分が責任を取る。始末をつける。
彼はそう決意し、森の中を歩き回るのだった。

そうして暫く行った頃、彼は仲間たちが牛に群がっているのを見つけた。
食料にしようと、彼らは槍で牛を襲う。
その姿を見て、源五郎は走った。

牛の目に涙が見えるー
彼は皆の間に割って入り、牛の首を掻いた。
一撃でやってくれー
彼は一言、そう言うのだった。


牛を手に入れた仲間たちは、久々の食事に喜んだ。
全部食べないと虎が来るぞー
そう忠告して源五郎は去ろうとしたが、彼はあることを思いつき、肉を一切れもらうのだった。

そして彼はー
その肉で、端午を呼び寄せようとした。
肉をぶら下げながら、じっと待つー

その時、猿が彼の前に姿を現した。
その猿も、動物舎で飼っていた猿だった。
首に怪我をしているのを見て、源五郎は手当をしようと手を差し出す。

だが彼ははっとして立ち止まった。
手当・・?
彼の背を、戦慄が走る。

端午を探して、自分はどうする気なのだー
源五郎は自問した。
端午を探して見つけて、それからどうする?

先生が動物園や安全な場所に送ってくれるか?
それともこのまま放置するのか?

どれも・・駄目だー

彼は震え、泣いた。
嫌だ、死なせたくない。
僕には殺せない。殺せないー



その頃、安吾は眠っていた。
そこに誰かが近づくー
安吾はさっとナイフを出した。

それはー貴士(たかし)だった。
彼はすぐに気づいたことを褒め、涼よりはマシだな、と笑う。
そして涼には言ったから・・と彼は、安吾にも同じことを告げた。

7人に選ばれるのは各クラスから1人ずつ。
つまり、安吾と涼と茂からは、2人しか選ばれないことをー。

すると安吾は、涼が落ちればいいのだ、と言い捨てた。
だが貴士は、涼を何としても残したいと思う、と言った。
そして火のクラスは涼に決めるから、残りは水のクラスの1席しかない、と彼に告げた。

選ばれるのは安吾か茂、どちらか一人だけだー

そう言うと、彼は同じことを茂にも伝えると言って、去っていく。
残された安吾は、体が冷えるのを感じた。
・・なんだってー?


一方源五郎は、今日も森をさまよっていた。
彼は動物の糞を見つけ、端午が近くにいるのを感じた。
周りの木には、噛み跡もあった。

誰彼構わず噛みつく奴じゃないのに、どうしたんだ・・?
そう彼が疑問を感じたその時、背後に端午が姿を見せた。
その目は白く濁っている・・

端午?!
彼は源五郎に襲い掛かろうとし、すんでのところでとどまった。
そしてー走り去っていく。
その姿を呆然と眺めながら、源五郎は信じられない思いでいた。

僕が・・分からなかった?
彼は端午の様子がおかしかったのを気にかける。
なぜ数日で、あんなに痩せて目も濁らせていた?
泡を吹き、呻くような声でー

源五郎ははっとした。
端午が襲い掛かった際、彼は背後の水に尻餅をついた。
端午はそれを見て、逃げていった・・

水を嫌がった・・?

彼の脳裏に、最悪の事態が浮かぶー
源五郎はしばらく立ち尽くし、震えるのだった。


そして夜ー
源五郎は一人考えた。
水を浴び、彼は備えるー

その日、安吾も端午を見た。
泡を吹きながら現れた彼を見て、安吾は事態を察する。
そこに源五郎もやってきたが、安吾は彼が来るのを止めた。

狂犬病だ!
安吾はそう叫び、源五郎に見ているように伝える。
狂犬病はかかったらもう助からない。
だったら俺が殺すから、お前は見るなー

そう言ったが、源五郎は首を振った。
彼は落ち着いた声で、安吾に言った。
だから、僕がしないとー。

安吾はその声に、源五郎の決意を知る。
彼は一歩踏み出ると、端午、と呼んだ。
そして、彼に向かってくるよう呼びかけた。

狂犬病は飛沫感染もするー
安吾は叫ぼうとしたが、端午が動く方が速かった。
彼は源五郎の元に飛び込み、源五郎もそれを受け止めるー

そうして、彼は端午の首に腕を回し、その首を絞めた。
脳裏に、端午との思い出が次々よみがえる・・
彼は泣きながら、首を絞め続けた。
少しでも、早く楽になれるように、とー。


暫くして、安吾が彼らに近づいた。
もう息絶えたよ・・
彼のその言葉に、源五郎は端午の死を知る。

彼は泣いた。
こんなことのために、育ててきたんじゃないー!!
端午に手を伸ばすのを、安吾が止める。
気道感染もあり得るからだ。

そうしてー2人は端午を焼いた。
源五郎は暫く落ち込んでいたが、やがて立ち上がった。

そして彼は、以前安吾が泣いたとき、何かを見たんだろうー?と訊いた。
安吾がのばらの死を見たことを伝えると、彼は静かにうなづいた・・。

人の死すらそんな簡単に扱うなら、動物の命はもっと軽いんだろうね・・。
彼は教員への思いを吐くと、蒼白な顔で旅立つことを告げた。
まだ自分を待っている動物たちがいるー

その表情を見て、安吾もまた決意する。
源五郎は自分の試練に決着をつけた。
自分は、茂とどう決着をつけるのかー


















源五郎の試練。


今回は言語路王が動物たちとの関係に決着をつけ、試練を乗り越える話でした。
これで恐らく源五郎も、7人の1人に確定でしょうね。

動物クラスとして、彼は使命を全うしたと思います。


でも可愛がってきた動物たちを自らの手で屠らなければならない運命なんて、辛すぎますよね。
彼の思い出の映像が、悲しかったです。

あんなにかわいがって育てていたのに・・
命を何とも思わない教員たちには怒りしかありませんね。


動物たちだって、急に外の世界に出されて不安だったでしょう。
今までは人間は味方だったのに、急に手を翻して敵になる・・

武器を向けられ、食料にされ・・
牛の涙には胸をえぐられるようでした。

本当こんなことのために育ててきたわけではないのに・・。
源五郎もまた、心を病まないか心配ですね。


彼は強いかと思っていましたが、それはきっと動物が側にいたからなのでしょうね。
新巻もそうですもんね。

温もりが側にあるのとないのとでは、全然違うと思います。
自分の手で、その大事な家族のような存在を手にかけるのはどんなに身を切られる思いがするのだろうか・・。
新巻と吹雪たちを想像しても、検討もつきませんね。

そんな辛い試練を、源五郎は乗り越えました。
あんなに自分には殺せないと震えていたのに、彼は苦しむ端午を楽にしてあげました。

本当に、皆なんと優しい子に育っているのでしょう・・。


それなのにこんな目に遭わせる教員たちは許せませんね。
前回彼らは未来に行かないと言っていましたが、来なくて本当に良かったと思います。

こういう人は残してはいけないよ・・。


ただ要だけは未来に来ているので、油断なりませんね。
死神として来ている・・というのもまた恐ろしいです。

間違った方法で子供たちを追い込んでいるのに、更に未来でも監視し、意にそぐわない動きをする者は排除するー?
彼は自分を何だと思っているのでしょうか。。


今はまだその存在はそんなに脅威ではありませんが、問題は夏のAチームに会ったときですね。
死神なので、彼らが知らされて行くとは思えません。

要との因縁は、未来でも続きそうですね・・。
ますます子供たちが不憫だな、と感じます。。




さて、そんな訳で自分の試練に立ち向かった源五郎。
その姿に、安吾は自分も決着をつけるときだーと感じます。


今回衝撃だったのは、涼がすでに先生たちによって火のクラスの1人に選ばれていたことですね。
それを涼に伝えないのも、またいやらしいやり方です。
彼に、まだ試練を与えるつもりでいるのでしょう。


ということで、残りは水のクラスの1席のみ。
安吾と茂は親友同士で、戦うことを余儀なくされてしまったのです。


ちょうど喧嘩している最中ですが、本当は2人共互いを必要とし、大事に思っています。
それなのに教員たちは、どうしてこうも運命を弄ぼうとするのかー。

選ばれないということは、死を意味します。
安吾と茂のどちらかに、死は目前まで迫っているということです。

どんな心境なのでしょうかー。


安吾も茂も、相手を犠牲にして上がっていけるタイプではありません。
そうなると決着は、涼がつけるのでしょうか。

だから彼は泳がされているのかもしれないですね・・。
となると、恐らく選ばれるのは安吾でしょう。

・・書いていて、気が重くなります。


そのシナリオだった場合、安吾は決して涼を許さないでしょう。
そんな遺恨を抱えたまま、2人は未来へ行くのでしょうかー?

皆もそうです。
未来に行くことを喜べるような状況じゃ、全くないでしょう。。


もっと彼らには胸を張って未来に行ってほしかったです。
でももうそれは叶わなそうですね。

一体この先どうなるのか・・。
未来に行った後にも不安は残りますし、夏のAチームはきっと波紋を起こすでしょう・・。


本当にこのテストで、正解だと思っているのかー?
要たちには一度はっきり聞いてみたいものですね。




最後に、鷭について。


今回涼が言っていましたが、鷭のテストは皆の命の儚さを知ることにあるようです。

医療クラスで学んだといっても、彼にできるのは軽い処置だけのようです。
今までに何人も救おうとして、彼の手からは命が零れ落ちていきました・・。

そのことを噛みしめ、乗り越えていくのが彼の試練だというのです。


未来でも、全てを救える訳ではありません。
花は運よく助かりましたが、ちょっとしたことで病気になり、命を奪われることはままあるでしょう。

そんな中、時には仲間を見捨てることも必要となるでしょう。
またそうならないように、細心の注意を払うのも、彼に求められる技量でしょう。


源五郎も試練もキツかったけど、鷭の試練もまた重いですね。
どんな思いで仲間を見送ってきたのか・・。

取り乱さないけれど、彼の泣く姿には重みを感じます。
屍を乗り越え、生きていくー

非常に辛いことですね。
未来に行ったら、新巻と話すといいのかも・・。


いよいよクライマックスも近いですね。
皆が各々の試練を乗り越え、選ばれていくのだと思います。

次はいよいよ、安吾・涼。茂の試練ですねー。





ということで、次回は安吾たちの関係に決着をつける話でしょう。

安吾と茂は、どちらに未来を譲るのか?
そして涼はそれを見て、どう片をつけるのか・・。


いよいよ試験も終わりが近いと思います。。

次回も楽しみです☆