前回、鵜飼の手により穴に落ちてしまった安吾。

茂はそれを追いますが、彼を助けられるのでしょうか。
そしてそれを見ている涼は、どう動くのかー

感想です☆





穀雨の章14 「-組曲<展覧会の絵>より小人ー」




※以下、ネタバレあり※










 <現在地>  
・春のチーム 神奈川県経ヶ岳シェルター 
花・ハル・新巻・・九州へ
・夏のAチーム ?
・夏のBチーム
 ナツ・嵐・ 蝉丸・・仙台名取富士シェルター
  その他    ・・大分県由布岳シェルター
・秋のチーム 兵庫県神戸富士シェルター






◎あらすじ◎

茂(しげる)は穴を落ちた安吾(あんご)を助けに向かった。
その様子を見ていた涼(りょう)。
そして教員たち・・。

卯波(うなみ)は最終候補の彼が落ちたことを嘆く。
一方要(かなめ)は以前その穴を降りたことがあるといい、出口は落ちたところにしかない、と語る。
さぁ、安吾はどうするか・・。
彼はその試練を見守るのだった。


その頃ー
安吾は穴の底に落ちていた。
骨は折れていないようだが、全身が痛んだ。
思わぬ失態に、彼はうめき声をあげた・・。

そこへ茂が降りてくる。
彼に気付いた安吾は、鵜飼(うかい)と共に自分をハメたな、と叫んだ。
茂がそんなことする訳ないー分かっていても、口は止まらなかった。

茂は安吾にそう言われ、たじろぐ。
何も言い返さない彼を、安吾は罵り続けた。
自分がこうなって満足だろう。茂が未来に行けるかもしれないんだからなー

その時、頭上から声がした。
意外とみっともないんだな。
それは、涼の声だった。
彼もまた、茂を追って下に降りてきたのだった。

取り乱す安吾に、涼は茂が鵜飼を撒いて彼を助けに来たことを伝える。
茂もうなづき、3人で一緒に出ようーそう言った時だった。

突然、2人が降りて来たロープが切れたのだ。
ーいや、切られたのだ。
教員たちの仕業だ・・
涼はそう理解し、ではどうするか・・と考えた。

3人一緒に殺されるはずはない。
そう言って落ち着く涼と反対に焦りを隠せない安吾。
すると茂が、安吾に着替えてまずは休むように指示した。

彼は驚く安吾に、笑みを見せた。
自分が必ず安吾を助けるからー。
茂はそう言い切るのだった。



その頃、虹子(にじこ)は一人、野営していた。
一人は苦にならないし、元に戻っただけだけど、誰かと一緒にいた後だと少々寂しく感じるものだ・・。
彼女は一人お茶を飲みながら、そんなことを考えた。

そこに、瀕死の仲間が助けを求めてやってきた。
彼は必死に助けを乞うが、虹子はそっちを見もしない。
その様子に、卯波は彼女は慎重だ・・と感心する。

涼ですら巻き込まれているこの状況で、迂闊に動かないのは賢明だ。
そう話す卯波の言葉を聞きながら、要は一人虹子を見つめ続ける。

段々仲間の声がか細くなっていく。
それでも虹子は眉一つ動かさない。
その姿の後ろに、要は死者が通り過ぎていくのを見たー

用心深い・・のかな・・?
彼は一人、そう呟くのだった。



一方茂と涼は、洞窟の中を探索していた。
見えるところに他の出口はない。
茂は必死で頭の中で、地形と居場所を照らし合わせる。
そんな彼に、涼は言った。

お前、怪我しているだろー

彼は茂が鵜飼に撃たれたのか、と尋ねたが、茂はかすり傷だ、と笑った。
安吾は気づかないのか・・そう呟く涼に、彼は口止めする。
安吾には言わないで。そうしたら安吾はまた自分の心配をするからー。

茂は、今の状況が少し嬉しかったのだ。
自分が安吾を助けているーそんなこと滅多にないのだから。

そして彼はその話を終えると、涼に向き直った。
涼は、自分を殺しに来たのかー?
そう訊かれ、見つめ合う2人。

茂は自分にはいいが、安吾に何かしたら許さない、と告げる。
そして一つ気になった場所がある、と言い、涼を導くのだった。


茂が案内したところは、他と変わらない壁だった。
だが彼はこの上の地形には水が流れるところがあって、その証拠に岩にも水が落ちてきている、と2人に話した。
だからここを登れば、外につながっているのではないかー
茂の言葉に、涼は感心する。

けれども安吾は手負いの自分も一緒に壁を登るなど、到底無理だ、と反論する。
おまけに、登って行ってつながっていなかったらどうするのだー
そう言った時、涼が蝶が飛んでいるのに気づく。
ということは、やっぱり外につながっているのだー

彼の言葉に、安吾は自分には注意力がなくなっている、と気づく。
焦燥感でイラつく安吾に、茂は自分が先に行って安吾を引き上げる、と提案する。
だがその時だった。

茂は頭がふらつくのを感じ、暫しぼうっとする。
鵜飼に撃たれた跡からは、血がにじみ出していた。
もう長くはもたないかもしれないー
そう感じた彼は、安吾に別の提案をする。

互いの体をロープでつないで、一緒に登ろう、と。

茂がリードし、安吾がセカンドで行こうーと。
それを聞いた涼は、自分は一人で登るから、と告げる。
岩壁はもろそうだった。
自分も怪我をしていなければ、一人で登るー
そう思いながらも、安吾には今の自分にはそれは無理だ、と理解していた。

茂の力を借りるしかないー!!
彼はそのことをみっともない、と感じ、己を責めるのだった。


そうしてー
準備をし、茂のリードで2人は登りだした。
茂に引っ張ってもらいながら、安吾は痛む体で壁を登った。

安吾は気づいていた。
このみっともないという感情は、自分が茂を下に見ているからだ、と。
自分はやっぱり茂に上に行ってほしくなかったのだなー

本当はありがとうとか、ごめんと言うべきなのに、言葉は出てこない。
安吾は茂の背中を見ながら、そう思うのだった。

一方茂は、安吾の重みを感じながら、少し幸せを感じていた。
ロープには、安吾の震えも伝わってきた。
きっと辛いだろう。誰よりも未来に行きたいはずなのに・・。

そんな彼を引っ張りながら、茂は自分が安吾の役に立てていることに喜びを感じていた。
安吾の命に責任を持っているーそれは彼にとって初めての経験だった。

安吾はずっと一緒に未来に行こうと言ってくれていた。
でも彼はどこか、それは無理だと考えていた節があった。

だがー茂は今、感じていた。
もしかしたら、自分も行けるのではないか。
いや、行きたい。安吾と一緒に未来に行きたいー!!


ーその時、安吾はロープに血がにじんでいることに気付いた。
茂ー?!
彼は茂が怪我をしていることを知るー

一方涼は、蝶が越冬している姿を見る。
間違いなく外につながっているようだな・・。
彼は2人にも伝えようと、声をかけた。

だがー茂の反応はなかった。
安吾が声をかけると、ようやくはっとしたように茂は動き出した。
彼は体力を使いすぎたせいで、意識が朦朧とし始めていた・・。

驚き焦る安吾は、すぐに自分がトップを代わる、と告げる。
だが茂は大丈夫だ、とセルフピレイの準備を始めた。
そこに安吾は向かおうとするー

すると彼の体が引っかかった。
プロテクションをはずし忘れたのだ。
普段セカンドをやらないから、ミスしたー

安吾はすぐに外そうと動く。
だがその動きは、茂の体を引っ張った。
岩を掴んでいた彼の手が離れ、空中に浮くー

安吾と茂のバランスが大きく崩れた。
必死でしがみつく安吾の横を、茂が落ちていく。
瞬間、涼が手を伸ばすー
彼の手がロープを掴み、どうにか揺れは収まった。

だが今やロープは安吾のプロテクションが支えているのみだー。
このままでは2人共落ちてしまう。
涼は下にいる茂に、早く岩に掴まるように言った。

けれどもー茂の返事はなかった。
彼はぼうっとし、ただロープで揺れているだけだった。


その内、2人を支えるプロテクションがきしみだした。
また涼のいる辺りの壁も、ずっといるのは耐えられ無さそうだった。
茂は動かない。
どうするー

思案した涼は、その時気付いた。
ーそうか、これが俺の役割か・・。

彼はナイフを取り出した。
それを見た安吾は、彼が何をしようとしているかに気付き、悲鳴をあげる。

お前も茂もできないだろ。
俺はできるんだぜー

彼はロープに手を伸ばした。
ーその時、茂は頭上に明かりを見た気がした。

やっぱり出口はあったんだ・・。
彼もまた、ナイフを取り出した。
そしてー茂は自分と安吾の間に、そのナイフを入れた。

安吾、僕いつもより頑張ったでしょー?
僕、頑張ったよね・・?

そう笑みを浮かべ、茂は安吾に別れを告げる。
そしてー涼がナイフをロープに当てたその瞬間、彼はそのロープを切った。

何が起きたかを理解する涼ー

また安吾も、茂の重みが消え、呆然と下を見やった。

茂・・?
彼は姿の見えなくなった茂を呼んだ。
下からは、何も聞こえないー

ごめんとか、ありがとうも言えないー

安吾は茂の死を感じながらも、受け入れられずただそこに座り込むのだった。


そんな安吾がバランスを取れているのを確認し、涼は上を見てくると言い、先に上がっていった。
彼は茂がロープを切ったことに気付いていた。
だが・・それを安吾に言うことはしなかった。

そうしてー火薬で天井を爆破し、涼は外へ出る。
するとそこには、貴士(たかし)がいた。
彼は静かに言った。

おめでとう、決まりだな。


そうして教員たちは涼と安吾を確保した。
助けを受けながら、安吾は茂も連れて行ってくれ・・と頼んだ。
すると貴士は言った。
ようやく決着がついた。ロープを落とした甲斐があった・・と。

それを聞いた2人は、貴士がこの事態を引き起こしたことを知る。
貴士は涼に、こういうことになるから、自分を殺しておくべきだったんだ。未来では間違えるなよ、と伝える。

それから何か言いたそうな安吾を見て、彼は口を開いた。
何でそこまでしたか聞きたいのかー?

貴士は少し考え、言った。
僕はちょっと、君たちが憎いのかもしれない、と。

君たちは未来に行って、上手くすれば新しい人生が開けるかもしれない幸運な子たちだ。
だが自分の子は、せいぜい今の安吾たちくらいまでしか生きられないのだからー

それを聞いた安吾は、幸運・・?と呟く。
そこに卯波が合流し、彼らにテストの終わりを告げた。

彼は言った。
7人が決まったよー


















最終テスト、終了。


今回も・・言葉にできないくらい壮絶でした。

誰かが落ちるのはもうずっと分かっていましたが、まさかこんな結末を迎えるとは・・。


繭に続き、茂も頑張りましたね。
友達を未来に送るために、最期まで力を尽くしたー

本当に彼らは優しく、立派だったと思います。



茂が最後嬉しかった、というのだけが救いですね。
安吾を助け、未来に送る手伝いを担えたー。

幼い頃から安吾の附属品のような扱いを受けていた彼にとっては、一世一代の大舞台だったのでしょう。
初めて脇役から主役になったのですからね。

そして彼はその舞台を見事務めあげました。

正直今回は安吾には良いところ全然なかったですよね。
彼の醜い部分が凝縮されていたと思います。

それに対し、茂の力強いことー。
人を守ることで、こんなに力を発揮することができるのですね。


安吾に、それが少しでも伝わっていればいいのですが・・。
茂が何を思い、安吾に未来を託して亡くなっていったかー。

その思いを受け継ぐのは、辛いことだと思います。
でも茂は決して悔しい思いで逝ったのではなく、安吾を守れて死ぬことに嬉しさを感じていました。

涼がロープの件に関して言わないようなので、そのことを知るのは難しいかもしれませんが、茂は決して悲劇の中散っていったのではないー。

そういつか理解できるといいですね。




でも・・小瑠璃や源五郎もそうですが、こんな焦燥状態で未来に行って、果たして幸せなんでしょうか。

次に目覚めた時には、7人しかいないのですからね。

もう恨みをぶつけられる人もいない。
一番信用し、愛していた人もいない・・。

そんな世界に行くことが、果たして幸せなことなのでしょうか。

ラストの貴士の言葉には、そんな疑問を抱きました。


確かに地球が滅亡する瞬間を知っている者からしたら、これから生まれてくる子供が永く生きられないとう歯がゆさはあるでしょう。

でもだからといって、こんなに子供たちの人生を狂わせて、それでも尚それは幸運なことだ、と言うのでしょうか。


大体貴士はこの後、花を春のチームに入れますよね。
どんな気持ちで入れたのか・・
そう考えると、どうしても彼を好きにはなれませんね。

夏のAチームが春のチームに会ったらどうなるか・・。
想像するだに恐ろしいですね。

彼らは花の存在を許さないでしょう。
なんて罪深い状況を作り上げてしまったのでしょうか・・。


それなのにどこか他人事な貴士には、憤りを感じえません。
安吾たちに明るい未来などあるのかー。

ついに彼らも未来軸に来ますね。
その時何が起こるのか・・。
この計画は成功したのか間違っていたのか、全てが明らかになるのでしょう。

要は、ずっとそれを見守っていくのかな。。
この先どんな展開が訪れるのか、安吾たちの思いを忘れずに見て行きたいと思います。





さて、後は虹子について。

恐らく7人というのは、安吾、涼、源五郎、鷭、小瑠璃、あゆ、虹子となったのでしょう。

ただ虹子に関しては、結局最終テスト中もよく分かりませんでしたね。


特に大きな試練も経ていないし、成績は良いようだけど、突出したものも感じません。
水と土のクラスでしたよね・・?

土クラスで選ばれたとして、彼女がじゃあ何か功績を納めたかというとそうでもなし・・。
なぜ彼女が選ばれるのでしょうか。


そこで思いついたのが、彼女こそが死神として選ばれたのではないかということ。

元々は要が死神だと思っていたのですが、彼は涼に自分は未来に行かないつもりだ、と話していましたよね。

ということは、この最終テストの時点では、彼はメンバーではなかったのです。


でも要は貴士に、死神を入れるつもりだ・・とも語っていました。
となると、死神は夏のAチームに入れたというのが妥当かと思います。

そしてそうなると、おのずと虹子以外候補はいないのではないでしょうか。

彼女の背後を死者が歩いていたのも、それを暗喩しているのかな。


皆で協力するのも大事ですが、俯瞰的に物事を見れるような人物も大事だ、ということなのかなと思います。
そういう意味で、一匹狼の虹子は、死神にうってつけだとも感じます。

彼女はきっと情が入る場面でも、判断を間違えないでしょうから・・。


と、予想してみましたが、真相はまだ分かりませんね。
ただ虹子だけ余りに選ばれるのが不自然なので、考察してみました。

これも未来に行かないと分からないですね。

次回からは夏のAチームの未来編が始まるのかな?
彼らがどんな動きをするのかー気になります!







ということで、次回は夏のAチームが決まり、未来へ行くところでしょうか。

選ばれて喜ぶ者もいれば、行きたくないと願う者も出るでしょう・・。
それでも彼らは未来に来たのでしょうか。

余りに異端な存在の夏のA。
彼らがどんな波紋を起こすのかは、とても気になりますね。

次回も楽しみです☆