前回、何かに体を覆われて身動きが取れなくなっていた牡丹たち。

一方のナツたちは、ひばりの言葉を元に、彼らを探し当てることができるのでしょうかー。

感想です☆





夏至の章3 「-惑うー」




※以下、ネタバレあり※











  <現在地>  
・春のチーム 神奈川県経ヶ岳シェルター 
花・ハル・新巻・・神奈川県経ヶ岳シェルターへ
・夏のAチーム 龍宮シェルター付近
・夏のBチーム
 ナツ・嵐・ 蝉丸・ひばり・・海上
 牡丹・まつり・ちまき・蛍  ・・兵庫県神戸富士?
 百舌      ・・ ?
・秋のチーム  神奈川県経ヶ岳シェルターへ





◎あらすじ◎

ここに来て、何日が経ったのだろうー
身動きの取れないなか、牡丹(ぼたん)はぼんやりと考えた。


ナツと嵐(あらし)が東京を見てくると言って出て行った後ー
彼女の傷は、順調に回復していた。
百舌(もず)の適切な処置があったからだ。

手当を受けながら、牡丹は百舌をじっと観察した。
そして訊いた。
なぜかプロフィールは、百舌だけがあやふやだった。本名は何ていうのかーと。

すると百舌は、百舌戸要(もずのとかなめ)と答えた。
百舌戸ー牡丹が眉を上げると、彼はうなづく。
百舌戸首相は、自分の叔父だ、とー。

それで、牡丹はようやく合点するのだった。


その後、彼は突然いなくなることもあると言い残し、本当に姿を消した。
同じ頃、蝉丸(せみまる)も嵐たちを追って出て行った。
男手が足りない中でも、彼らの生活は始まった・・。

由布岳シェルターを拠点に、彼らはまず畑を耕してみることにした。
農家出身のまつりが、きびきびと指示を出す。
彼女はもっと手伝っておけばなーと息をつきながらも、持っている知識で芋や豆を植えてみた。
その様子を見て、牡丹はほほ笑む。

いい子たちだ、予想よりも柔軟に状況を受け止めている・・。


少し経った後、雨が多くなり、地震が起きるようになった。
感覚の鋭い蛍(ほたる)が、西の空を睨んで言った。
逃げたほうがいいーと。

その内、灰が降り始めた。
その灰は熱く尖っていて、彼らは身の危険を感じてシェルターに逃げ込んだ。
暫く地下倉庫で様子を見てから、牡丹は決断する。
このままでは灰に埋まってしまう。灰の少ない日に、出ようーと。

それから彼らは置手紙を残し、シェルターを出た。
川を下り、瀬戸内海?に出た。
ここから近い神戸富士シェルターに行ってみようー
彼らはまず、そこを目指した。

だがー現実は、彼らはそこにはたどり着けなかった。
途中降灰がひどくなり、進めなくなってしまったのだ。

とりあえず近くにあった島に避難した牡丹たち。
ところがそこも、大雨で地盤が流されてしまう。

そしてー気付いたときには、彼らはすっぽりと何かに包まれていたのだ・・。


目覚めた牡丹は、動けなくなっていることに驚いた。
自分を包むものは、土ではなかった。
彼女はすぐに皆の名前を呼ぶ。
すると蛍とちまきは、側にいるようだった。

よく観察すると、自分たちは大木の幹にへばりついていることも分かった。
そこに、まつりの声が頭上からした。
どうやら彼女だけは流されず、助かったようだった。

だが助けに降りてきた彼女は、途中で行き詰った。
足をかけた岩に、靴が張り付いてしまったのだ。
どうやらここは松脂のような、樹液に満たされた場所だった。

牡丹はまつりに降りてはだめだと制するのだった。

―更に、問題はそれだけではなかった。
落ち着いてよく見ると、中には小さな赤い虫が沢山いた。
そしてその虫は幹だけではなく人にもへばりつき、何か分泌液を出しているようなのだ。
そのせいで、彼らの体は、カチカチに固まってしまったのだった。

それを聞いたまつりは、それはカイガラムシの一種ではないか、と言った。
それは害虫で、樹液や蜜を吸って枯らしてしまうのだという。
ちまきも知っているとうなづき、赤い色素の取れる虫なのだ・・と話した。

荷物や道具も流されてしまい、何もない。
体はどんどん固まっていく。
牡丹は何かけだるさを感じ、焦った。

恐らく体液を吸われているのだろう。
そしていつか、自分たちは全身固められてしまうのだろう・・。

彼らが弱っていくのを見かねたまつりは、誰かに助けを求める、と言って出て行った。
誰もいるわけがない・・
そう思いながらも、牡丹にはどうすることもできないのだった。



一方ー
ナツたちは、航海を続けていた。

ナツはかごの編み方を覚えようと、奮闘していた。
昨日は落ち込んだけど、ずっと部屋に閉じこもっているわけにはいかない。
立ち直りだけは早くなったかな・・彼女はそう自分を励ますのだった。

そこに、嵐が元気?と彼女の前に顔を出した。
彼はナツのかごをほめ、いずれはひばりにもちゃんと自分のことはしてもらう・・と話した。
そして馬鹿にされないように頑張る・・とうなづくナツに、彼は言った。
ナツは頑張ってるじゃん。頼りにしてるからーと。

その言葉に、ナツの胸は熱くなる。
彼が凧を上げる姿を見ながら、彼女は思った。
嵐君・・好きですー

彼女は男の子を好きになったことなど今までなかった。
そして嵐には花(はな)がいるのも分かっていた。
でも・・ナツは思う。

花は、もう死んでいると思うー

この計画に選ばれていない人は、きっともう1人も生きていない。
だから花はもうどこにもいない。
それを良かった・・と思う私は、極悪人なのだろうかー


そこに、ひばりがやってきた。
彼女はナツが何を作っているのかを尋ねてくる。
そこでナツは、何か用事か?と目を伏せながら聞き返した。

その態度に、ひばりはむっとする。
なぜいつもそんなにおどおどするのかー?
彼女はそう訊き、自分がいじめているようじゃないか、と息をつく。

私はあなたをいじめたいわけではないー
ひばりはそう言うが、ナツは目を伏せたままそれを聞き流した。
するとひばりは目を見て話せない人は嫌いだ、とその場を去っていくのだった。

その後ろ姿を見て、ほっとするナツ。
何の用だよ!
心の中で悪態をつきながらも、彼女にはひばりの言葉が刺さっていた。

目を見て話せー
それは牡丹にも言われたことだった。

でもできないよ。だって昔からできなかったもんー
そう自分を慰めていると、ふと蝉丸がやってきた。
彼はナツに駄目なヤツだな、と声をかけた。
ひばりは謝ろうとして来たんだから、察してやれよーと。

そう言われ、ナツは戸惑う。
謝る・・?どこが?
彼女のその表情に、蝉丸は呆れる。
ナツは人と会話してこなかったから、微妙な機微が分からないのだ。

彼はそう言い、混乱するナツを笑った。
まぁ地道に経験値を上げればいいー
彼はナツの作ったかごを指しながら、そう話すのだった。


食事の時間、ひばりは自分の生い立ちを語った。
彼女は平安時代から続く、旧家のお姫様なのだという。

耳慣れない単語に戸惑う3人に、彼女は説明した。
彼女の住む村にはご神体の岩があり、その岩には大昔に神様が災いの龍を閉じ込めたという伝説があった。
その岩を代々守ってきたのが、ひばりの一族なのだという。

そしてひばりは本家の娘で、蛍は分家の娘なのだ・・。
彼女はそう話しながら、自分たちの家には多くの政治家や社長がご神託を聞きに来ていた、と話す。
そこで2人は姿が似ているため、交替で仕事をこなしていた。

それを聞いた嵐は、蛍にもひばりのような力があるのか?と尋ねる。
するとひばりはうなづいた。
むしろ自分よりもー
そう話す彼女の顔がわずかに翳るのを、蝉丸は見逃さないのだった。


西に向かうにつれ、空が暗い理由が分かってきた。
空には、灰が降っていた。
火山が噴火したのかー彼らは牡丹たちを案じる。
九州はどうなったのだろう。牡丹たちは無事なのだろうかー

だが進むしかない。
彼らはひばりの勘を頼りに、船を進めた。
だが風に流されたりと、なかなか航海も順調に進まない。
自分たちの現在地も分からないこの状況に、ナツたちは途方に暮れるのだった。



一方ーまつりは一人、誰かいないかと島を走り回っていた。
だが随分探したが、人の気配はまったくない。
彼女は疲れて草むらに倒れ込んだ。

その時ー
彼女の目に、空を浮かぶ凧が映った。
すぐさま彼女はその凧を追い、凧が船から上げられているのを見る。

船だ!!
喜びで、彼女は力いっぱい手を振った。
だが船からは、その姿は見えていないようだった。

どんどん船は遠ざかっていってしまう・・。
まつりは焦るのだった。

一方その凧は、百舌のところからも見えていた。
そしてもう1人ー野営していた角又(つのまた)の目にも、その凧は映ったのだった。



船は、陸を前にして止まってしまった。
嵐が海中を見に行くと、橋の残骸のようなものが埋まっていて、船は通り抜けられないようだった。

後ろへ下がる方法も分からず、彼らは立ち往生してしまう。
だが焦る一行を横目に、ひばりは黙ってその様子を見ていた。
それに気づいた蝉丸は、彼女に声をかける。
あんまり蛍のことが心配じゃないようだな・・と。

するとひばりは心配はしている、と答えた。
祖母は未来でもあの土地を守れと言った。
でも、まさか蛍まで寄こしているとは思わなかった・・。
彼女はそう呟くのだった。

そこに、陸の様子を見に行っていた嵐が戻ってくる。
彼は息をきり、見て来た先に秋のチームの村があった、と叫んだ。
つまり、ここは神戸だったのだー。


秋のチームと聞き、ナツたちは警戒する。
だが嵐に案内されて行った先を見て、彼らは絶句した。

秋のチームの村はーボロボロだった。
灰にまみれて崩れ去った村・・。
彼らは秋のチームは避難したのだろう、と考えた。

そこで何かないか、誰か残っていないかを知るため、彼らは手分けして周囲を歩くことにした。
ナツはもぬけの空になった家を見ながら、秋のチームがいないことに少しほっとしていた。

その時ー彼女は手紙が残されていることに気付く。
その手紙に手を伸ばした彼女は、そのまま動けなくなった・・。

そこに見えた文字は、こう書かれていたのだー

嵐へ 花です。
春のチームに入っています。
拠点は関東の経ヶ岳にありますが、嵐を探してこっちに来ました。
これを見つけたら、何か残してください。
嵐 会えると信じてるー

・・花は、死んでいると思っていたー


ナツは震える手で、手紙を手にした。
そうして、もう一度読み返す。
嵐へ 花

その言葉に、間違いはなかった・・。

一方ひばりは、一人船の上に残っていた。
彼女は蛍への呪詛を吐く。
私にとって代わろうとする蛍なんて、死んでしまえばいい・・。
彼女はそう呟き、遠くを見やるのだった。


そしてー
ナツは相変わらず動けずにいた。
何度読んでも出てくる嵐と花という単語に、心を呑まれたのだ・・。




















生と死を願う者。


今回は、牡丹たちの状況と、それを助けに向かうナツたちの物語でした。

まずは牡丹たち・・。
かなり危ないことになっていると感じます。

一番心配なのは、食べ物を摂取できていないことですね。
まつりは水は流していますが、樹液のせいで中には入れません。
つまり彼らはここに閉じ込められて以来、食物を口にしていないのです。

それなのに、体液を奪われているということは、徐々に衰弱してきているのだと思われます。
まつりが嵐たちの船に合流できないと、これ以上はもたない気がしますね・・。

まさか夏のBに限って・・とは思いますが、これまで結構人が亡くなっています。
何かある可能性は、ゼロではないと感じます・・。


どうか間に合うといいのですが。




さて、次にナツとひばりについて。

ひばりは嵐の言葉に、少し思うところがあったようですね。
でも生来の性格からか、素直にはなれません。

そして彼女のそんな態度を、うまく読み取れないナツ。
うーん、もどかしい。

話しかけてきた時点で、ちょっと察することができれば、ナツももうちょっとコミュニケーションが取れるようになりそうですけどねぇ。

蝉丸の言うように、そこは徐々に慣らしていくしかないかな。
本当に彼、意外と良いこと言いますよねw


ただすぐに立ち直れるようになったことと、自分の気持ちとしっかり向き合えるようになったのは、ナツにとってすごい成長だと思います。
最初の頃は、自分で考えることすらままならなかったですからね。

そう思うと、ナツの成長が一番めざましいかもしれませんね。
嵐、そして蝉丸といることで、色々と刺激を受けて来たのでしょうね。


そして・・今回、素直に嵐への思いを認めましたね。
今までもその感情はありましたが、「好き」とはっきり思っているのを見たのは初めてかも。

段々積極的になってきた証拠でしょうね。


そんな彼女、花への後ろ暗い思いを抱えて苦悩していますが・・個人的には、嵐を好きなら沸いてきて当然の感情だと思います。

こんな世界に、恋人同士が選ばれていると思うほうがおかしいから、花が亡くなっていると感じるのは当たり前です。

そして本気で人を好きになったのだから、当然彼女がもう存在しなくて良かった・・と考えちゃうものではないでしょうか。
実際花には会ったことがない訳ですしね。

まぁ醜い感情だとは思いますが、人間ならあって当然の感情かなー・・と。
むしろ変に綺麗ごとじゃなくて、ナツも人間らしくなったなーと感心さえしちゃいました。
うん、蝉丸もきっとそう言うはずw


ひばりも蛍を快く思っていないようで、呪詛を吐いていましたが・・人間なら色々な思いがあって当然ですよね。
その感情を抱えて尚、どう立ち向かっていくのか―そっちの方が大事だと感じます。


ただそんな彼女だからこそ、ラストの手紙は衝撃だったでしょうね。
あのタイミングで・・ナツも可哀想なもんです。

嵐にとっては願ってもない状況ですが、気持ちを認めたナツには酷すぎる展開・・。
うーん、一概に喜べませんね(^^;)


手紙を見せたら、きっと嵐は花のことばかり考えるようになるでしょう。
それを近くで見て行かなければいけないのは、どんなに辛いでしょうね。

ナツ・・手紙渡しますよね?
もしかして渡さない展開とか、あるのかな。

ちょっと彼女の人間らしい姿が出てきたので、この手紙に関してどんな対応を取るのかー気になりますね。
嵐への思いは、まぁ追々折り合いをつけていくでしょう。
でもすぐには認められないはずです。

この手紙が、夏のBの折角育った関係に、どんな亀裂を生むのかー
次回が気になるところです。



続いて、ひばりについて。

今回は彼女の出自が明らかとなりました。

なんと平安時代から続く旧家のお姫様だそうです!
どこの出身なんだろう・・。
村と言ってるので、限界集落のようなところでしょうか。

そこにあるご神体を未来でも守るように彼女は言われてきたようですが、果たしてそのご神体もどこにあるのでしょうね。
今後はその場所も目指すようになるのかな・・。

なんだか未来にまで伝え残そうとしているところを考えても、人間が住むのに適した場所っぽい予感がします。
巨大なシェルターとかがあったりして・・とか想像してしまいました。

その正体はまだ分かりませんが、今後の展開できっと重要な意味を持つ場所なのでしょう。
また1つ気にかけるべき情報が増えましたねー、追うのが大変w


他にも、相変わらずひばりと蛍の関係も気になります。
どうして彼女たち2人は、感覚を共有できるのかー。

ひばりが蛍を疎むのも、その辺に理由がありそうですね。
まだまだひばりたちには謎が多いです。

徐々に明らかになるだろうと思うので、楽しみに待ちたいと思います。





最後に、角又について。

久しぶりの登場ですね!
描写的に、ナツたち・百舌・角又は近距離にいそうですね。

彼一人しか描かれていませんでしたが、他の仲間は一緒なのでしょうか。
それとも、何かあって彼一人になってしまったのでしょうか・・。

花たちが春のチーム目指して移動していますが、この調子だと会えない可能性が高まってきたように思います。

ひばり・角又は無事でしたが、他のメンバーがどうなったかも心配ですね。


藤子もちさものび太も、生き抜く力には長けてなさそうだからなぁ・・。
あの春の住まいに何かが起きたのだとしたら、果たして生きているのかも不安になりますね。

早く皆の近況が知りたいです。
こちらも、どうか死んでいませんように!!








さて、次回はナツたちとまつりが合流できるでしょうか。

百舌と角又は合流しないのかな・・。


そしてナツが花のことを伝えたとき、嵐と彼女の関係はどうなるのでしょうかー。

次回も楽しみです☆