今回から、13巻です!

前回、ようやく集結した夏のBチーム。
同時に、嵐が花の生存を知ることとなりました。

彼らの次なる目的地は、どことなるのかー

感想です☆




夏至の章5 「-拾うー」






※以下、ネタバレあり※



















 <現在地>  
・春のチーム 
 花・ハル・新巻・・神奈川県経ヶ岳シェルターへ
 角又     ・・兵庫県神戸富士シェルター付近
 ひばり    ・・関西、島
 藤子・ちさ・のび太・・不明
・夏のAチーム 龍宮シェルター付近
・夏のBチーム 関西 島
・秋のチーム  神奈川県経ヶ岳シェルターへ 




◎あらすじ◎

外は夜中過ぎに雨になり、朝方まで静かに降り続いた・・。


雨の音を聞いて眠るのは心地いい。
ナツは嵐(あらし)はどんな夢を見ているのだろうかと考えながら、眠るのだった。

そんな中ーひばりは物音を立てないようにしながら、起き上がった。
幸い外はもう雨がやんでいた。
彼女は夏のBチームに別れを告げると、一人出ていくのだった。

その様子にー蛍(ほたる)は気づく。
彼女も外に出ると、ちょうど百舌(もず)が戻ってくるところだった。

彼は牡丹(ぼたん)たちの荷物を探しに行っていたのだ。
見つかったリュックを見て、蛍は顔を明るくする。
それから、彼女は百舌にあることを頼んだ・・。


その頃、ひばりは川沿いを歩いていた。
すると彼女に声をかける者があった。
それはー百舌だった。

彼は川沿いの歩き方を指南すると、彼女にどこへ行くのか、と尋ねた。
それに対しひばりは、どこでもいいでしょ、と言い捨てる。
自分は違うチームだから一緒にいたくないのだー
彼女はきっぱりとそう話すのだった。

それを聞いた百舌はそのことは止めず、今度は彼女に草家のお姫様か?と訊いた。
そうだと答えると、彼は祖母に会ったことがある、と話した。
ひばりの祖母は、7SEEDS計画の出資者だったのだという。

この計画は非現実的で、政府の関係者は支援に消極的だった。
政治家の中で協力的だったのは百舌戸家と鯛網家くらいだった・・と彼は言う。

そして、百舌は祖母が生まれたばかりのひばりをここに行かせたい・・と語っていたことを伝えた。
それを聞いたひばりは、蛍も来ているけどね・・と呟く。
すると彼はその蛍から預かった、と荷物を渡した。
その中には、衣類や生活に必要な道具が入っていた。

いらないと言う彼女に、百舌は言う。
ライバル心は向上するために使うものだーと。

ーそこで、ひばりは荷物を受け取る。
百舌は下ると海岸線につながると話し、彼女を見送る。
そしてー最後にその背中に、彼は言った。

ひばりの祖母は言っていた。
この子は大いなるものに守られて導かれるだろう。
だから心配いらない。信じて託すのだーと。
それはどういう意味かな?

するとひばりは答えた。
買いかぶりではあるけれど、自分が何をすべきかは知っている、と。
それを最後に、2人は別れるのだった。


その後、百舌は皆の元へ戻った。
すると蝉丸(せみまる)が起きていて、朝食の支度をしていた。
意外だ・・と呟く百舌に、蝉丸は自分はシェフなのだ、と自慢した。
酒とたばこが抜けてから、体がすっきりして軽いのだ・・彼はそう話しながら、料理するのだった。

そこへ、起きて来た牡丹がやってくる。
彼女は昨日騒ぎすぎたせいで、頭痛を訴えた。
気づけば、もう灰はあまり降っていなかった。
噴火が収まったのだろうか・・彼女はそうであることを願うのだった。



一方ー
ひばりは一人海岸線を歩いていた。
ふと、彼女は前方に煙が上がるのを見つける。
そしてーその方角から、杜甫の詩を口ずさむのが聞こえてくるのだった。

そこで様子を見に行くと、そこには一人の男性がいた。
不審に感じたひばりは引き返そうとするが、男と目が合ってしまう。
するとー彼は叫んだ。
ひばりか?!と。

なんで知ってるの・・。
ひばりが驚くと、男も驚いたように近づいてきた。
そして彼は、彼女が眠っている間、ずっとおんぶして旅をしてきたのだ、と話した。
彼はー春のチームの角又(つのまた)だった。

そこには彼一人しかいなかった。
なんでも大洪水で皆流され、バラバラになってしまったのだという。
角又もまた流され、漂着したのがこの辺りだったのだそうだ・・。

自分も海で夏のBチームに拾われたとひばりは話し、でもあの人たちとはいたくない、と言った。
すると彼は何かを察し、それ以上は聞かなかった。
そしてとりあえず2人で食事をしようーと彼はひばりに勧めるのだった。

百舌は、ここに角又がいることを知っていたのかもしれないな・・。
ひばりはそんなことを思いながら、角又にさっき詠んでいたのは杜甫の詩だろう?と話す。
祖母が好きだったのだー彼女がそう言うと、角又は嬉しそうに自分も杜甫が一番好きだ、と話した。

杜甫は李白に憧れていた。
李白のほうが自分より天才だと・・。
だがそれを言うと、角又はこう返した。
でも杜甫は、李白より人の痛みを知っていた。

そしてそれが一番大事だーと。
その言葉は、ひばりの胸にすっとしみ込んだ。


それから、2人はひばりの行きたい場所へと向かうことにした。
旅立つ前に、角又は手を合わせようーとひばりに言う。
2人共無事だったことを、仏様に感謝しようー

そう言い真剣に手を合わせる彼を、ひばりはおかしそうに笑う。
角又はシェルターで手に入れたボートを持っていた。
ひばりが歩きたくないと言うので、彼は彼女をおぶる。

そうして2人はー歩き出すのだった。



一方、起きて来た嵐たちは、ひばりがいなくなったことで騒いでいた。
一人で行かせたのを知って嵐は百舌を責めるが、蛍が彼女なら大丈夫だ、と話す。
それにひばりは今、誰かといる。心が温かいのを感じるのだー
そうほほ笑む蛍に、嵐はだったら合流しよう、と言う。

だが蛍は首を振った。
ひばりは自分のことが嫌いなのだ。だから好きにさせてあげてほしい・・。
彼女はそう言いながら、本当はひばりはすごいんだ、と呟く。

誰よりも強運で誰よりも力があるのに、それに気づいていないだけなのだーと。

それを聞いた嵐は、なぜだか納得してしまうのだった・・。


その後、皆で朝食を取った。
蝉丸が皆に向かって、大々的に嵐の恋人が春のチームにいたことを発表する。
それを聞いた皆は、驚いた。
百舌もまた、眉を上げる。

嵐は自分だけ喜べないだろ・・と遠慮がちにした。
だがまつりが、ここに来て初めての良いニュースだ、と笑顔で叫ぶ。
そして彼女は皆で彼女を探しに行こう、と提案するのだった。

他の皆も、優しく微笑むー
嵐は思わず涙ぐむのだった。

その様子を見て、ナツも心から良かった・・と思う。
嵐に礼を言われ、彼女は顔を赤らめるのだった。

そんな中ー百舌はじっと嵐の顔を眺めた。
それに気づいた嵐が、何か?と尋ねる。
彼は意外で・・とだけ、答えるのだった。


それから、皆は船に戻った。
全員大はしゃぎで、船の中を探索し、各々の部屋を決める。

百舌も船内を確認し、船が仙台の名取富士シェルターにあることを聞くと、誰か帆船の操縦経験があったのか?と訊く。
その質問に、3人は苦笑する。
そんなものあるはずがない。マニュアルはあったが、適当に来たのだー

そう話すナツたちを見て、百舌は思わず考える。
それでいいのか・・?

ー船は、出航した。
牡丹の提案で、彼らはまず高知県の土佐富士に立ち寄る。
そこで物資を補給し、再び航海に出る計画だった。

その最中、ナツは蝉丸に手紙の件の礼を言う。
すると蝉丸は自分を良い人だと言い、惚れるなよーと笑うのだった。

一方まつりは、牡丹と話していた。
彼女は昨日の夜、牡丹が子作りの話をした際に、自分たちは検査をされてここへ来たことが嬉しかったのだ、と話した。

以前の世界では、彼女は周りに合わせて生きるのに必死だった。
その結果、親友と呼べる友達もいなかった。

でもそんな自分を、この計画の関係者はちゃんと見て、選んでくれたのだー
それを考えると、頑張ろうって気になる。
彼女はそう言い、笑うのだった。


そんな一連のやり取りを、百舌はただ見ていた。
蝉丸が舵を取り、再び船は動き出す。
適当に行けば、何とかなるさー
彼は陽気にそう笑う。

百舌は・・一人頭を押さえた。
それでいいのか?

それで・・いいのかー



その頃ー
あゆは、水源の調査をしていた。
彼女は群生する植物を1つ1つ手に取りながら、自分の知識が通用しないことに苛立つ。

初めて見る植物ばかりー
勉強したことは、ここでは何の役にも立たない。

全て一からやり直し。
だが何が食べられて何が食べられないのか、どうやって調べるというのだ?

彼女はー苛立った。
無能な教師たちに、無駄な勉強をさせられたことを。

でも私は役立たずではない・・。
彼女はそう呟きながら、沼に入っていく。
そうして彼女はレンコンのような茎を見つけるが、実際にかじってみることでしか、毒があるかは判断できない。

多分食べられる・・それしか判断ができないのだ。
この私が判断できないなんて。植物クラスのトップだったのに。
あゆはますます苛立ち、それでも沼を進むー

その時だった。
彼女は子供が浮いているのを見つけるー

その少年は、意識がないようだった。
人間・・!
彼女は驚き、目を見張るのだった。


















落ちこぼれたちの生き方。


今回はひばりの旅立ち、そして夏のBチームの船出がメインでした。
最後に夏のAが出てきたので、次回からは彼らの話に移るのでしょうね。


まずはひばりから。

やっぱり彼女、旅立ちましたね。
夏のB全員と会いましたが、馴染む気ゼロでしたもんね。

まぁあんだけアットホームな雰囲気だと、逆に馴染めないのも分かる気はしますが・・w

蛍との確執は、結局はっきりとは明かされず・・。
恐らく家の問題と、個々の能力の問題なのでしょうね。

ひばりは蛍のほうが、能力が高いと思っているのでしょう。
でも蛍は、ひばりは自分の力に気付いていないと言う・・。

それぞれの視点から見ると、違うものですね。

ただ互いの能力を認め合っているので、いずれは和解できそうな気もします。
今は認められないかもしれませんが、嵐の言うように、知り合いがこの世界にいるという事実は尊いものです。

その機会を無駄にはしないでほしいですね・・。



そして、ひばりが合流したのは角又!

ひばりも春のチームと聞いたら、少し表情がほぐれましたね。
やっぱりチームが一緒だと、嬉しいものなのでしょうね。

2人の間に流れる空気はすごく穏やかで、とても心地よさそうだと感じました。
角又もひばりを子供扱いしないのがいいですよね。
優しくもしないけど、対等に話してくれる・・。

大人の世界で生きて来たというひばりにとっては、彼のような人が一番安心するのかなーと思いました。

そして彼らの杜甫と李白の話も良かったですね。
言うなれば杜甫がひばりで、李白が蛍なのかな。

杜甫は李白より、痛みを知っている・・。
なるほど、確かに詩人としてその目線は大事かもしれませんね。

そしてそれは、ひばりの使命においても同じことが言えるのかもしれません。

祖母は彼女に何を託したのでしょうね。
蛍は今までの様子を見ると、そのメッセージを受け取っていない感じがします。

もしそうなら、祖母はひばりを信じた訳です。
それは、彼女が杜甫のように人の痛みを知れる人だからなのかもしれません。


彼らは恐らく佐渡を目指すのでしょう。
そこに何があるのか・・。
楽しみですね。



最後に、百舌の言葉について。

彼はひばりの祖母を知っている、とのことでした。
そしてその後のセリフに、政府で協力的だったのは百舌戸家と鯛網家だけだった、と言ってました!

また1つつながりましたね!
ちさもまた、故意に選ばれて送られた一人だったのです!

確かに彼女のたたずまいは、いかにもお嬢様然としていましたもんね。
言われてみれば、納得です。

となると、百舌と面識があったりもするかもしれませんね。
ここら辺の関係も、注視していきたいと思います。






さて、話は変わって、今度は夏のBチーム。

久々に彼らと関わった百舌は、今回衝撃のようなものを彼らに受けます。
きっと夏のAチームを目にしたから、余計なのでしょうね。
色々と思うところがあったようです。

適当に環境に順応しながら、ここでの生活を楽しんでいる夏のB。
その姿は、秋のチームの十六夜を殺した夏のAの姿を見た百舌には、どんな風に映ったのでしょうね。

彼は夏のBの様子を見るにつけ、それでいいのか・・?と自問します。


適当にやっていても、この世界で生きていけるのか?
検査で選ばれただけで来ても、選ばれたことを誇れるのか?
この世界に来て、少しでも良かったと思えるのか?

彼は戸惑い、やがて自問は答えになります。
それでいいのか・・。


この考えの変化は、ちょっと読んでいる方もショックでした。

元々要はテストを終えた後、本当にあれで良かったのか・・と自問していました。
特に安吾の変貌にショックを受けていましたね。

彼らのためを思って行った最終テスト。
でも結果は、子供たちの心を壊してしまった・・。

なまじ正しいことをしたと思っていただけに、衝撃が大きかったのでしょうね。
それから、彼はずっと自分がしたことに疑問を感じてきたのでしょう。


そして、その考えはある意味夏のBと過ごしたことで、確信に変わってしまったのです。
自由に、のびのびと生きる彼らを見て、要は彼らでも生きていけることを知ってしまいました。

最終テストに残らずとも、生きていける・・。
ある意味、それがテストの答えでした。

ならば、自分は子供たちに間違ったことをしたのか・・。
要がそう考えたかは分かりません。

でもこうなったからといって、彼には夏のAのことを後悔してほしくないですね。
それではあまりに夏のAが可哀想すぎます。


要ができることは、彼らに新たな可能性を見せて、そういう生き方もあることを教えることでしょう。
本当に、互いが傷つけあうような事態にはなってほしくありません。

決して夏のAを否定せず、今度こそ幸せになれる方向を彼らに示唆してあげてほしいですね。
要にそれができるのかー
彼もまた、この世界で試される時が来たのだと思います。





最後に、夏のAについて。

今回はあゆだけでしたが、彼らもどうやら拠点を構え、生活を始めたようですね。

あゆの苛立ちは、なんだか見ていて気の毒でした。

本当に環境が変わったら、学んだことなど大して役には立たないのですよね。
それよりも、環境に適応する力のほうがこの世界では求められると思います。

ただ学んだこと全てが役に立たない訳ではないと思います。
言うなれば応用問題ーといったところでしょうか。


それでも完璧主義のあゆにとって、それは許しがたいことなのでしょうね。
彼女には植物クラス主席で来た、という自負があります。
馬鹿が滅びた世界で生き延びるのが、彼女にとって過去への最大の復讐な訳ですから。

だからこそ、今の状況が耐えられないほど屈辱なのでしょうね。
この調子だと、他のメンバーもそれぞれ苦悩を抱えていそうですね。

ただ彼らは同じ体験をしてきたからこそ、結びつきはきっと強いと思います。
そこは知らない者同士の他のチームよりは、優位な点ですよね。

皆で力を合わせて、この苦境を乗り越えられるといいですね。
ただ、安吾と涼が心配です・・。
当分は他のチームと会わないといいなぁ・・と思います。



・・とか言ったところですが、さっそくのび太に出会ってしまいましたね(^^;)
彼は生きてますよね?

一人のようなので、彼もまたこの辺まで流されてしまったのでしょうか。

この感じだと、藤子とちさも関西方面に流れ着いていそうですね。
夏のBは船で移動しているので、途中で出会うとしたら佐渡へ向かう角又とひばり辺りでしょうか。


全員無事だといいですね。
そしてあゆに見つかったのび太の運命は?!

気になる終わりでした。








という訳で、次回は夏のAチームに話が移るようです。

のび太を発見したあゆは、彼をチームの元へ連れていくでしょう・・。
その時、安吾たちは彼を受け入れるでしょうか?

・・あんまり、良い予感はしませんね。
波乱が予想されます。

次回も楽しみです☆