前回、のび太を見つけたあゆ。
彼女はのび太を救うのでしょうか。

そして夏のAチームは、彼に対してどのような対応を取るのでしょうかー。

感想です☆




夏至の章6 「ー問うー」




※以下、ネタバレあり※











  <現在地>  
・春のチーム 
 花・ハル・新巻・・神奈川県経ヶ岳シェルターへ
 角又・ひばり ・・佐渡へ
 のび太    ・・関西
 藤子・ちさ  ・・不明
・夏のAチーム 関西
・夏のBチーム 海上
・秋のチーム  神奈川県経ヶ岳シェルターへ 





◎あらすじ◎

死体・・?!
のび太を見つけたあゆは、足を止める。

彼女の脳裏に、いじめっ子たちが息絶えたときの姿がよみがえるー

その時、コポコポという音が立ち、その後嫌な匂いが彼女の鼻をついた。
排泄している・・?
どうやら少年は生きてはいるようだった。

そこで彼女はのび太を、沼地から引きずって出すのだった。


その後、あゆは彼を木の陰に寝かせると、持っていたエマージェンシーシートで彼の体をくるむ。
そうして彼女は、のび太の顔をじっと見つめた。
それから、そっとその場を離れるのだった。

すると、前方から彼女に注意を促す声が響いた。
気づくと、あゆの右にワニのような動物がいた。
ワニは口を大きく開き、あゆに襲い掛かるー

そこに、安吾(あんご)と源五郎(げんごろう)が飛んできた。
安吾は持っていた槍をワニの腹に突き刺し、源五郎と共にその体に網を引っかけた。
2人の連携で、彼らは大きな獲物を仕留めたのだった。

あゆは礼を言うと、動物の気配に全然気づかなかった・・と呟く。
すると源五郎もうなづき、このワニは背中に植物を生やして、沼の中に潜んでいたと説明する。
新種の動物かもしれない・・彼は興味深そうに、捕まえたワニを観察するのだった。


ー彼らがこの世界に来て、3か月が経とうとしていた。
灰で真っ黒だった西の地を出て、彼らは東へ来た。
東の地は、獰猛な動物も多かったが、豊かだった。

3人は居城へと戻る。
彼らは樹の上と、水上に居を構えていた。
平地は何かと危険が多い、と判断したからだ。

そんな中、小瑠璃(こるり)は毎日のようにグライダーで空を飛んでいた。
彼女が空を飛ぶことで、彼らは石像の下にあるシェルターも発見していた。
そんな話は聞いていなかったが、きっと自分たちが眠った後にできたのだろう。

石像が残っているということは地盤が安定しているということだ。
彼らはその近くに、拠点を構えたのだった。

ここは、水も豊富だった。
あゆはシャワーを浴びながら考える。
でも付近の樹生から見て、ここには乾季もある・・。


それから、7人揃って食事を取った。
彼らは全員が同じものを食べない。
安全だと分かるまでは、3組に分かれて少しずつ食べる。

そうしてその食べ物の効果を探り、鷭(ばん)が書き留めていく。
また、皆で一日の作業報告も毎日行った。

残照が、過去にはない深く濃い紫を作る。
一日の終わり、皆は一瞬無言になる。
未来に来たのだ、と実感するー


その夜、あゆはこっそりと鷭を呼んだ。
そうして彼女は昼間のび太を拾った場所へ、彼を連れて行く。

鷭は少年を見て、驚いた。
すぐに彼はのび太の体をチェックし、体調を見る。

そうしてー彼はほほ笑んだ。
のび太の背中には、蛆が沸いていた。
だがこの蛆こそが、彼の傷を塞ぎ、治していたのだ。

その時、のび太が唸り、目を開いた。
彼はあゆが自分を助けてくれたのをぼんやりと記憶していて、あゆに話しかけた。
お腹すいた・・。
それを聞いたあゆは、作ってきたキノコのスープをのび太の口に含ませる。

キノコ・・。
鷭はこっそり、大丈夫なのか・・?とあゆに尋ねる。
すると彼女は、それを確かめるのだ・・と返した。

それから彼女は鷭にこのことは2人だけの内緒にしてくれ、と頼み、また来ると告げて家へと戻るのだった。

その夜は、月は見えなかった。
大丈夫、月は目を閉じているー

彼女は一人、そう呟くのだった。


朝、7人は同じ時間に目覚める。
すぐに身支度を整え、当番仕事と一日の作業に向かう。
彼らはそれしか知らないし、それしかすることがないのだ・・。

あゆはその朝も、のび太の元へ向かった。
彼はどうやら体調を崩していないようだった。
そこで、あゆは次のキノコを取り出すー

彼女の親切に、満面の笑みを見せるのび太。
そんな彼に、あゆも笑顔を返すのだった。


それからしばらく、あゆは秘密の作業を続けた。
彼女は思う。
本当は皆きっと思っている。
本当に、こんな世界に来たかったのかー?

毎日作業に明け暮れるだけ。
本当にこんな所に来るために、生き延びたのかー?

ーのび太は順調に回復し、自分は春のチームだと話した。
のび太と呼ばれると話すと、あゆは怪訝そうな顔をする。
彼はのび太を知らない人がいることに、驚くのだった。


7人の生活は、淡々と過ぎていく。
もう誰も賞賛しない。誰も見ていない。
ここに来るのが、生きる目的だった。

じゃあそれを達成した今、これからは何をすればいいのだー?

そんな中、安吾は鷭の様子がおかしいのに気づく。
そうして彼を問い詰め、安吾はあゆがしていることを知るのだった。

鷭に案内させ、安吾はのび太の元へ行った。
そこで彼はのび太を見、息を呑む。

・・茂(しげる)-?

彼は震えた。
お前、やっぱり生きていたのか。
お前も未来に来てたのかー!!

そう叫び、彼はのび太に近づいた。
そしてーすっと顔を白くした。

お前は誰だ・・?


それから、彼らはのび太を家に連れ帰った。
大人の中での対応を知るのび太は、子供らしく元気に自己紹介をする。
だが彼らは誰も「のび太」を知らず、白けた顔をするだけだった。

茂に似ているー
安吾はそう思いながら、のび太に何が得意だ?と尋ねる。

そこでのび太は、記憶力が長所だーと話す。
すると安吾は突然怒鳴った。
その程度で、得意げに言うなー!!と。

いきなり怒鳴られ、のび太は縮み上がる。
そんな彼の腕を掴み、安吾は岩壁へと彼を引っ張っていった。

登れ。

その壁の前で、安吾はそう言った。
え・・。
戸惑うのび太に、彼はこの世界に来たならそれくらいできるだろう、と強要する。
のび太がどんなに断っても、彼はそれを許さなかった。

登れ。できないなら、ここにいる資格はないー。

その刺すような瞳にのび太は震え、あゆに助けを求める。
だが彼女も安吾を止めなかった。

そこでー仕方なくのび太は壁を登る。
だがやったことのない作業に、彼は震え、動けなくなった。

自分のチームの花(はな)だったら、こんな壁だって登れるんだー
のび太はそう叫ぶ。
それを聞いた安吾は、関西で出会った一行を思い出す。

自分たちに噛みついてきたあの女、花と呼ばれていたな・・。

彼は他人ができるからなんだ、とのび太を叱責した。
そんなんで選ばれたというのか。
茂は自分の力で選ばれようとしたのに・・。

のび太の泣き声が、彼の脳を揺らす。
どうしてこんな奴が来られて、あいつらが来られなかったんだー

茂、繭(まゆ)、のばらー
彼は亡くなった友を思い、苦しむ。
彼らは何のために死んだんだ。どうして来られなかったんだー。

その怒りを、安吾はのび太にぶつけた。
恐怖で、のび太は壁を落ちてしまう。

それを見ていた鷭は、たまらず彼を止めた。
まだ衰弱しているから・・そう言われた安吾は、笑う。
そんな言い訳、あの時誰か聞いてくれたか?

彼が呆然とそう呟くのを横目に、源五郎たちがのび太を介抱した。
彼は恐怖からか、失神していた。

彼が運ばれていくのを見ながら、涼(りょう)が安吾に声をかける。
安吾、卯波(うなみ)になるなよー

その言葉に、安吾はかっとなる。
すると涼はその顔を、楽しそうに笑いながら覗き込むのだった。
でも、それもいいかもなー

彼は言った。
教師は他のチームを保護し、管理しろ、と話した。
だったら連中をここに集め、鍛え直してやろうやー

涼の言葉が、安吾の中を巡る。
そうだ、ここに来た意味を、選ばれたその重みを、全員が知るべきだー



その頃ー
花たちは春のチームの住まいを目指し、引き続き歩いていた。
だがそこに近づくにつれ、新巻(あらまき)は不穏なものを感じ始めていた。

そしてー彼の予感は当たった。
住まいがあったはずの場所に、何もなくなっているのだ。

春のチームの家は・・水に流された・・?

彼の言葉に、花は急いで皆の名前を呼ぶ。
だがどこからも返事はない。

ふと、犬たちが靴を拾ってきた。
それはのび太の靴の片方だった。

この世界では、一度離れたら二度と会えなくなる覚悟をしなきゃならないー
新巻がかつて言った言葉の意味を、今花はまざまざと知ることとなるのだった。




















夏のAの生活。


いやー、今回は辛かったですね。

のび太が可哀想で可哀想で・・。
安吾たちの気持ちも分かりますが、全員やりすぎです。

ものすごく嫌な気持ちになりました。
彼らの背景を知っているだけに、一概に責められない気持ちになるのが辛い・・。


でも、何よりも今回はのび太が一番可哀想でした。



まずは夏のAの生活から。

彼らは東に移動してきたのですね。

秋のチームは村を完成させるのに3年かかったと言っていたのに、彼らは3か月でもう居城を構えていました。
さすが訓練されただけある・・。
やっぱり全ての経験が無駄になることはないですね。


そしてその生活も整然としていて、たった3ヶ月前にこの世界に来たとは到底思えないですね。
この7人なら必ず生き残れるだろう・・。
そう思えました。


ただ笑顔もあるものの、基本的には皆無気力に見えるのが辛いですね・・。
それこそ前回まで夏のBを見ていたからこそ、余計に。

彼らは今まで、生き延びて未来に来ることをゴールにして生きてきました。

でもゴールはもう過ぎ、今はその後なのです。
そして彼らは、その後の目標については考えてこなかったのです。


これは痛い・・。
元々管理されて育ってきた子供たちが、急に自由な世界に放たれたのです。
生きることはできても、順応することはたやすくないでしょう。

それこそ、この世界で何をするのか・・その目的がなければ、いずれ彼らは精神を病み、動けなくなるのではないでしょうか。

そう、かつての秋のチームのように・・。


恐らくそうなったときに皆を引き上げる役目を負うのが安吾なのでしょうが、彼はまだ精神不安定です。
っていうか皆普通に見えて、その実全然普通ではないですよね。

涼も歪んでいるし、あゆも屈折しすぎ。
小瑠璃も笑顔がないし・・もう色々崩壊している感じがしてなりません。

そんな彼らは、この先どう生きていくつもりなのでしょうか。


涼がある提案をしましたが、それは他のチームとの断絶を招くから、絶対にやめてほしいですね。
でも皆のび太の件を止めなかったし、内心は涼の考えに同意なのかなぁ。

これは確実に一波乱ありそうですね。
花たちがのび太の靴を拾ったので、その匂いで彼の居場所を探るのかな。

となると、夏のAと花たちが再会するという展開が一番ありそうかな。

花と安吾は絶対に合わないし、彼女には貴士の因縁もあります。

これは絶対にヤバい・・そんな予感でいっぱいです。。




さて、次はのび太について。

とりあえずは、彼も生きててよかったー。
これで安否不明は藤子とちさのみとなりましたね。

イマイチ影の薄い2人なので、死んでないか本気で心配です・・。



で、あゆに拾われたのび太。
あゆは彼に、毒味の役をさせます。

この辺、本気であゆの精神を疑いました。
最終テスト前の彼女だったら、こんなこと絶対にしませんでした。

月のこともそうだし、彼女もものすごくテストによって精神が歪んでしまったようですね。
あんまり表面に出ないだけに、怖いです・・。

のび太は彼女を信頼しているのに、実態を知ったらどれだけ怖いだろうかー。
本当に彼のことを思うと、胸が痛みます。


そして安吾にも、キツく当たられるのび太。
彼が幼いのが、茂を彷彿とさせて、余計に感情を乱したのでしょうね。
のび太にとってはとばっちりなので、可哀想すぎます・・。

本来はこまっしゃくれた感じの可愛い子なのに、すっかりすくみ上っていて、本気で泣く姿は見ていて辛すぎました。


安吾たちの気持ちも分かるけど、のび太の言い分だって聞いてほしいです。
彼は好きでここに来たわけではないのです。
そして夏のAの事情も知りません。

せめて話し合ってから、対応すべきだったと思います。
その結果相容れないなら、それは仕方ないことですし・・。

でもそれをせず、感情に任せて子供に危険なことを強要するー
やっぱり安吾たちは間違っていると思います。


なんだか未来に来てから、夏のAチームは短絡的に動きすぎていて怖いです。
彼らの身の上に起きたことを考えれば仕方ないのかもしれませんが、それでもこの世界ではもはや脅威でしかないと思います。

このままでは、夏のAだけ分裂する可能性も大きそうですね。
どうか折角この世界で出会えたのだから、協力し合う関係を作れるといいのですが・・。






最後に、花たちについて。


やっぱり春のチームは皆流されてしまったようですね。

恐らく関西方面に流されたので、完全に行違った感じです。


今後、彼らはどうするのでしょうか。
花たちはのび太を探しに行くでしょう。

でも秋のチームは、それに付き合う義理はないですよね?
むしろくるみのことを考えたら、どこかに定住したいのではないかと思います。


ここで、2つに分かれることも十分ありそうですね。
それか、夏のAに会うか・・。

蘭が花の写真をずっと持ったまま黙秘しているのも、こうなると何だか不安です。
次回、彼らはどう動くのでしょうかー。








さて、次回は引き続き夏のAとのび太でしょうか。
並行して、花たちの動きも出てきそうですね。


夏のAののび太への攻撃はまだまだ続くのか・・。
花たちはそれを救うことができるのか。

のび太のことを思うと、一刻も早く救出されてほしいですね。
祈ってます!

次回も楽しみです☆