前回、秋のチームを救った夏のA。
傷ついた皆を見た安吾は、自分たちの村に来いーと提案します。

花たちはその提案を、どう受け止めるのでしょうかー

感想です☆




夏至の章11 「-話すー」



※以下、ネタバレあり※








 <現在地>  
・春のチーム 
 花・ハル・新巻・・関東 シェルター付近
 角又・ひばり ・・佐渡へ
 のび太    ・・関東 シェルター付近
 藤子・ちさ  ・・不明
・夏のAチーム 関東 シェルター付近
・夏のBチーム 海上
・秋のチーム  関東 シェルター付近




◎あらすじ◎

小瑠璃(こるり)を追いかけ、花(はな)はハルの元へ着いた。
彼を心配する花に、ハルはほほ笑む。
おかえり、花ー

その表情に何か大人びたものを感じ、花は少し驚く。
彼女がハルの功労をほめると、ハルは小瑠璃のほうが頑張った、と返す。
そこで花は思い切って2人がいつ仲良くなったのかを訊いた。

するとハルは仲良くなった訳ではないけど・・と言いながら笑う。
もしかして妬いてるのかーと。
その時、追いついた残りの面々がやってきた。

彼らは落ちたこうもりを見回し、これで全部じゃない、また襲ってくるだろうーと話す。
それからー安吾(あんご)と涼(りょう)はハルを睨んだ。
お前がハルかー

その剣幕に圧されながらも、ハルも彼らを見返す。
「家路」を吹いてた奴かーそう言われて、彼は気づく。
安吾がオカリナを壊し、十六夜(いざよい)を殺した張本人だとー。

そうして2人を警戒したハルと共に、花も少し後ずさる。
だがーその時、安吾が意外な提案をした。
またこういう危険があるかもしれない。だから全員夏のAの村に来て、一緒に暮らそうーと。

それを聞いた花は、目を見張る。
なんでそんな話に・・。
出来たらもう関わりたくないーそう思った彼女は首を振る。

だが涼もまた、一般人を保護するのも自分たちの役目だから、と安吾の案を指示した。
そして花の煮え切らない態度に、安吾も怒鳴る。
グダグダ考えている間に、また仲間が襲われるかもしれないんだぞー

そう言われた花は、言い返すことができなかった。
そこで彼女は秋のチームの様子を見に行く。
一緒に住むなんて絶対にごめんだ。どうにか理由をつけて、断らなきゃー


同居なんて、ありえないー
・・だが彼女のその考えは、秋のチームを見た瞬間に消えた。

洞穴の中にいる彼らは、苦しそうに唸り、すっかり衰弱していた。
皆、怪我も辛そうだ。

それを見た花は、蘭(らん)の元へ行く。
彼女はのび太(のびた)のために動いてくれたことの礼を言い、夏のAの提案を伝える。

するとー彼らは相談を始めた。
確かに建物はしっかりしていた。屋根もある。
だが殺人犯との共同生活だー
悩む彼らの中で、くるみが口を開いた。

彼女は、自分はお世話になりたいーと話した。
側にいた鷭(ばん)もうなづく。
・・それで決まりだった。

彼らは夏のAの村に向かうこととなった。

花はハルに、小瑠璃は信用できると思うかー?と尋ねた。
するとハルは言った。
彼女は自分だけ逃げることもできたのに、手当のために戻ってきてくれた。
薬も包帯もガーゼも、限りあるものなのに、惜しげもなく使ってくれた。

とりあえず信用するでしょー
彼はそう笑うのだった。

その表情に、花もほほえむ。
なんだかちょっと会わない間に、ハルは大人になったみたいだー
彼女は少し、寂しさも感じるのだった。


それから、彼らは夏のAの村まで歩いた。
一番怪我のひどい刈田(かりた)だけ、小瑠璃と先に飛んで行った。
彼女と鷭は良い人そうに見えるな・・花は歩きながら、様子を見る。

だが安吾と涼だけは、どうしても気を許せなかった。
彼らは常に皆を睨みつけ、様子を窺っている。
要注意だなー
彼女は思う。

のび太は嫌がるかもしれない。
そうしたら、自分たちだけでも離れるようにしよう・・と。

ーそののび太は、新巻(あらまき)の膝の上で眠ってしまっていた。
新巻はほっと息をつくと、窓を塞いでいた虹子(にじこ)に、彼女も銃を持っているのか?と尋ねる。
虹子はそうだ、と答えた。

彼らの荷物には、最初から銃が入っていたという。
それを聞いた新巻は、なぜ夏のAだけ・・?と疑問を呈する。
するとー虹子は言った。

なぜ?わたしたちは特別だからー



その後、花たちは夏のAの村にたどり着いた。
初めて村を見た秋の面々は、声をあげる。
村にはトイレもシャワーもあった。
建物の構造もしっかりとしている。

蘭が鷭に、ここに来てからどのくらいだ?と尋ねる。
そして3か月と聞くと、彼女は息をついた。
自分たちは3年かかった・・。
彼女はそう呟くのだった。

そこに、のび太と新巻も合流した。
のび太は夏のAのこともあり、恐る恐る秋のチームに挨拶する。
すると茜(あかね)やくるみは彼を可愛いと笑い、のび太という名前が懐かしい、と言った。
それを聞いたのび太は、普通の反応に感動するのだった。

ーその後、一同は集まった。
全員で自己紹介をする。
それから安吾は皆に言った。

家は建て増しするから、ツリーハウスには入るな。
仕事は当番制で割り振るから、出来ないなりに努力しろー。
その態度に、蘭たちは苛立ちを感じるのだった。

そう言って去っていく夏のAの面々。
すると朔也(さくや)や流星(りゅうせい)は、あゆが美人すぎる、と口々に語った。
ハルまで花の負けだなーと笑う。
だが新巻はそうかなぁ・・と呟いた。
そしてー彼は言った。

美鶴(みつる)さん以上に綺麗な人はいないよー
それを聞いた花は、ショックを受ける。
新巻は失言に気付きすぐに謝ってくれるが、彼女は想像以上に衝撃を受けていた。
新巻さんにとっては、その人が一番なんだー

彼女は嵐を思い、胸を締め付けられる。
嵐がここにいたら、あたしが一番だって言ってくれるのにー


そこに、安吾がやってきた。
彼はハルに、音楽は鳴らすな、と注意しに来たのだった。
そしてー彼はハルの耳元で言う。
小瑠璃には気安く近寄るなー

それを聞いていた蘭は、思わず口を開いた。
さっきから命令ばかり、どういうつもりなのかーと。

夏のAはここに来てまだ3か月だ。
ここにいるどのチームよりも、経験年数は短い。
だったら夏のAこそ、口の利き方を考えたらどうなのか。

すると安吾は大きくため息をつく。
彼は期間の問題ではない、優秀な者が上に立つのが当然だろうーと言う。
それを聞いた秋ヲが、今度は話に入る。
優秀、それはどうやって決めるのだー?と。

だが安吾は迷いもなく、答えた。
そんなの、最初から決まっているー
自分たちは、お前たちとは違うのだ、と。

その言葉に、花もついに身を乗り出す。
彼女はずっと夏のAに違和感を持っていた。
彼らは自分たちとは何かが違う。
一般人じゃないというなら何なのか教えてほしいー
そう彼女は頼んだ。

するとー安吾は更に大きく息をついた。
何が違う?
彼は言う。
お前たちはテストもなく、ここに来ている。
選ばれるための努力も苦労も何もせず、ここにいるー

それを聞いた流星(りゅうせい)は笑った。
別に選んでほしかったわけじゃないー
彼がそう言った途端、安吾の拳が飛んだ。

彼は怒りをみなぎらせていた。
お前らはここにいる資格はない。
皆来たくても来られなかったのだーふざけるな!!
安吾はそう叫んだ。

来たくてもー?
それを聞いた花は驚く。
まさかここに来ることを知っていたのか?
隕石が落ちて、地球が滅びることを知っていたのかー?

その問いに、夏のAのメンバーは事もなげにうなづく。
彼らは話した。
自分たちは生まれたときからそう聞かされてきた。
そしてここに来るために、育てられたーと。

どこだか分からない場所、親もいない。
そんな状況で育ったことをあゆが説明する。
全てはここに来るため、選ばれた7人になるためだった・・。

その生活では、毎日誰かが脱落していった。
勉強の出来が悪くて、運動能力が足りなくて、視力が落ちて・・
そうして脱落した者は、皆殺されていた。
教師は彼らも動物も、皆自分たちの思い通りになるものとして扱ってきたのだー

安吾が呆然と語る。
最終テストのことは忘れられない、と。

最後の7人を決めるため、彼らは冬の山中に放りだされた。
ただひたすらサバイバルを続けるテストの中で、7人以外は皆死んでいった。
そしてー生き残ったのが自分たちだ。
彼は言った。

分かるか?分からないだろうー
安吾の手が震える。
あの寒さは、お前たちには絶対に分からない。

あれは何だったのか、何をしたのかー
お前たちにわかる訳がない!!

彼は息をつくー
何をなくして何を得たのか、もう自分も分からないー

そうして安吾はのび太に声をかけた。
のび太は自分のことを白髪頭と呼んだ。
なら教えてやる。どうしたら一晩で髪が白くなるかを。
どうやって友達を殺したかをー!!

そう言って彼はのび太に迫る。
その狂気に、花は彼をかばった。
そんな彼女に、安吾は食ってかかる。

お前らに分かるか。
何も知らずに呑気ここにいるお前らに、自分たちの苦しみが分かるかー!!

その言葉に、花は何も言えなかった。
分からない、信じられない。
でもどこかーあのマークの日記と通じるものがある話に、花は信ぴょう性を感じていた。

あの時も、大人は容赦なく切り捨てていた。
同じ世界だー


安吾は叫ぶ。
お前らを全員殺して、皆を連れてこられたらどんなに良かったか!!
ーその姿を、新巻はただじっと見つめる・・。

花の目に、涙が滲んだ。
何もない。何も言えない。
自分には、彼らの経験に対する言葉がない。
自分はー幸せに生きてきた人間だったのだ・・。

その時、秋ヲが言った。
そりゃ、分からねえよー

彼の言葉に、皆が動きを止めた。
そんな中、秋ヲは静かに言った。
お前らは、温室育ちだって話だろうー?

その言葉に、安吾は目を見開く。
秋ヲは続けた。
お前らは人生を決めてもらって、疑問も持たずに生きて来た。
そういう生き方は楽だっただろうーと。

彼は言う。
一般人だって、テストの連続だ。
生まれたときからその他大勢と戦い、選択に失敗すれば死ぬ者だっている。

だがお前らと違うのは、それが自分で選んだ道だということだー
秋ヲはそう言って、安吾を睨み返した。
一番恐ろしいのは、数ある道の中から、全てを自分で決めなければならないことだ。
そんなやり直しのできない中で、皆生きてきたんだー

それは、お前たち守られて生きてきた者には分からないだろう。
秋ヲは言った。
一般人をなめるなー


その言葉に、場は静まり返った。
虹子(にじこ)が理解し合わなくてもいいんじゃない?と呟く。

重苦しい空気が立ち込めたー。

4チームの、合同生活が幕を開ける・・。




















選ばれた者と一般人の対立。


今回は夏のAチームの村に皆で暮らすことになり、彼らが夏のAの事情を知る話でした。

ついに夏のAの生い立ちを皆が知るところとなりましたね。
久しぶりにあの時の絵を見て、あの寒々しさが思い出されました。

いや、あれは苛酷でしたよ・・。
引きずるのもおかしくないでしょう。


ただ、だからといって夏のAの態度に問題がないことにはなりません。
彼らの自分たちのほうが偉いという態度は、やっぱり違うでしょう・・。


安吾たちは確かに選ばれた者たちです。
でも、それって事情を知らない他のチームには関係ない話であるともいえるんですよね。
他のチームも夏のAに従えと言われていたならまだしも、そんなこともなかったですから・・。

なので他のチームの反発ももっとも。
秋ヲは少し言い過ぎだとは思いましたが、彼らだって十六夜を殺されているのですから、よくこらえた方だと思います。

自分たちが頑なな態度を取れば、相手にも傷つけられる・・。
安吾たちがそのことを知る、良い機会となったのではないでしょうか。


それにしても、秋ヲが反論するとは意外でした。
でもこういう時は年長者の意見が一番効きますね。

最年長は新巻ですが、彼が言うとまたちょっと違いますよね。
だからここは秋ヲで良かったのだと思います。


新巻は・・彼もまた辛い経験をしていますからね。
安吾の話を聞く彼の目は、自分も叫びたい、という思いが隠れているように見えました。

分からないだろうー?
安吾は皆にそう言いましたが、それは新巻も同じ気持ちだと思います。

彼もまた友人を亡くし、一人っきりとなった経験があります。
その辛さ、苦しさは、7人とはいえ仲間のいる安吾たちには分からないでしょう。

だからここは新巻がぶつからなくて良かったです。
そうなったら傷の広げあいで、収拾がつかなかったでしょうから。

気持ちをぐっと抑えた彼は、立派でした。



それにしても、一般人もテストの連続だ、という秋ヲの切り返しは強かったですね。
でもそうなんですよね。
用意されたレールの上で生きるのは、思考停止していても大丈夫なので、楽だという面は確かにあるのです。

安吾たちも最終テストまでは、7人に選ばれることを目標に勉学に身が入っていましたもんね。
それは、明らかな目標があるからに他なりません。

事実、彼らは未来に来てから目標を失い、どこか無気力に過ごしていました。
彼らは自分で選んで決めるーという経験に慣れていないですから。。


なので、秋ヲの言葉も一理ある、と感じました。
秋ヲなんてベンチャーの社長ですもんね。
まさに選択の連続だったのでしょう。

そういう彼からすれば、安吾たちの境遇は気の毒でも、どこか甘えがあるように見えたのかもしれません。
本来はこんなことでいがみ合うべきではないですが、先に吹っ掛けたのは安吾たちです。
秋ヲの反論はもっとも・・という感じでした。


これが少しは夏のAの皆に響いているといいですね。
対立は濃くなってしまったかもしれませんが、彼らにはない視点を知り、考えるきっかけとなるといいなと思います。





最後に、ハルについて。

今回の彼は、本当に大人びていましたね。
小瑠璃のことは・・やっぱり良く思っていますよね。

まだ恋愛感情はないようですが、特別な存在にはなっているようです。


それを寂しく思う花も可愛い。
まぁ好意を抱かれていたことくらいは、さすがの花も気付いていたのでしょうね。
それがあっさり移っていったら、そりゃ寂しいような拍子抜けしたような気持ちにもなるでしょうw


それにしても、ハルがこんなに感情を素直に語るタイプだとは思いませんでした。
小瑠璃と鷭が手当てに当たったのを見て、信用するーと語る彼はかっこよかったです。

もっとひねくれたイメージだったけど、本当に数日で大人になった感がすごいw
やっぱり小瑠璃のおかげなのかなぁ・・。。


ただ彼の前には安吾と涼が立ちはだかるので、なかなか小瑠璃との仲を進展させるのは大変そうです。
何かされないといいんだけど・・それが心配。

花とハルに対しての2人の態度は、ちょっと怖すぎますね。
小瑠璃が止めるとは思いますが、特に涼が気にかかります。

安吾を気にかける彼は、安吾のためなら手を汚しかねませんから・・。


これ以上トラブルが起こらないことを祈ります・・。








さて、次回は夏のAの村での共同生活の始まりですね。

一体どんな生活になるのか・・楽しみなような、不安なような。。


安吾たちはともかく、他のメンバーとどう交流していくのかが気になりますね。
上手くやっていけるといいのですが・・。


次回も楽しみです☆