前回、夏のAの村で共同生活を始めた一行。
そんな中、新巻は乾季の到来を感じます・・。

彼らの村は乾季を乗り越えられるのでしょうか。

感想です☆




夏至の章13 「-恨むー」




※以下、ネタバレあり※










 <現在地>  
・春のチーム 
 花・ハル・新巻・のび太・・関東 夏のAの村
 角又・ひばり     ・・佐渡へ
 藤子・ちさ      ・・不明
・夏のAチーム 関東 夏のAの村
・夏のBチーム 海上
・秋のチーム  関東 夏のAの村





◎あらすじ◎

お風呂に入った翌朝、花(はな)はくるみに起こされてようやく目を覚ました。
こんなにぐっすり眠ったことは、ここ最近ではなかった。

だがよく眠れたと同時に、彼女は倦怠感を感じていた。
するとくるみは良いことだ、とほほ笑む。
自分が疲れていることを知るのは良い兆候だ。
秋のチームは少し大人だから、もっと頼っていいんだよー
彼女はそう話すのだった。

それを聞いた花は、心が和らぐのを感じる。
本来は彼女は見透かされた気がして、こういう言われ方をされるのが嫌いだった。
だがくるみはそんな感じを一切抱かせない。

ステキな人だなぁ・・。
花も思わず微笑むのだった。

そこに、流星(りゅうせい)がやってくる。
彼はくるみの体調を聞き、何かしてほしいことはないか、と尋ねた。
なんでもするから言ってー
彼のその言葉に、くるみは大丈夫だ、と笑って返す。

そのやり取りを見ながら、花は昨夜のことを思い出した。
くるみは流星のことがストレスになっている、と話していたのだ。


と、その時ハルが皆を呼びに来る。
どうやら新巻(あらまき)が皆に伝えたいことがあるらしい。
ハルはどうやら、また今朝もどこかに行っていたようだった。

そこに、安吾(あんご)の怒鳴り声が響いた。
彼はなかなか集まらない面々に怒りをむき出しにしていた。
今日はいつも以上に機嫌が悪い・・。
花はそう感じ、警戒を強めるのだった。

ーようやく集まった一行に、新巻が言った。
もうすぐ乾季が来る、と。

乾季が始まれば、沼や川は干上がる。
森や林も枯れ、動物はいなくなる。
だからこの人数でここで生活を続けるなら、何か対策しないといけない・・
彼はそう話すのだった。

それを聞いた涼(りょう)は、考えられる対策を挙げる。
今ある水を溜めるか、井戸を掘るか、干上がらないような大きな湖から水を引くかーだ。

すると夏のAはすぐに意見を出し合った。
井戸は念のため複数掘ろう。
小瑠璃(こるり)が見つけた湖を、下見に行こう。
洞穴を利用して溜池を作ったり、食料保存をするのもいいー

すぐに沢山の案が出ることに、他のメンバーは息をつくばかりだった。
結果、対策に関しては夏のAが請け負うこととなった。
計画が出来たら死ぬ気で働けー
安吾は皆にそう命じるのだった。


その言い方を、皆は面白く思わなかった。
だが争うのも無駄、と秋のチームは作業を始めた。
彼らはどうやらくるみと流星の離れを建てようと考えているようだった。

それを聞いた花は感動する。
じゃあもう産むことに反対はしていないんだー!
そう言うと、蘭(らん)は胸糞は悪いけどね、と言った。

自分たちをここに送った人間に関しては、恨み骨髄だー
彼女はそう話すのだった。

それを聞いた花は、そのことについて考える。
彼女の中には、自分を選んだ人間というのに漠然としたイメージしかなかった。
それに彼女の場合は、嵐(あらし)も選んでくれたことにむしろ感謝したい気分だったのだ。
なぜ選ばれたのかは、分からないままだけどー


その日は大雨になった。
外に出られないため、花は繕い物を始める。
のび太が荷物を失くしていたので、自分の持ち物から着替えを作ろうと思ったのだ。

それに気づいた新巻は、裁縫ができるなんてすごい、とほめる。
花は照れ臭そうに笑った。
父親がメンテナンスにうるさかったので、ザックやテントを縫ったりはよくしていたのだ・・と。

綺麗に使えば長持ちする。
のこぎりの刃のタッチアップなども、全て父が教えてくれたのだー
それを聞いた新巻はほほ笑む。
良いお父さんですねーと。

その言葉に、花は首を傾げる。
記憶の中の父は、いつもどこか近寄りがたかったからだ。
もっと色々教われば良かったー

2人は両親のことを思い出し、しばし思い出話に花を咲かせた。
そこで花は蘭が言っていたことを、新巻にも訊いてみることにした。

自分をここに来させた人を恨んでいるかー?
彼女が訊くと、新巻は暫く考えた。
複雑だな・・彼は言った。
ここに来なければ会えなかった人たちがいる。
吹雪(ふぶき)にっも美鶴(みつる)にも、花たちにも会えなかったのだ・・。

だが同時に、ここにさえ来なければ、あの2人はあんな死に方をしなくて済んだのだー。
それだけは恨んでも恨んでも飽き足りないー
彼は冷たい表情で、そう話すのだった。


その後、花はのび太を着替えさせ、洗濯を始める。
そこで彼女は気づき、怪我をした皆の分も一緒に洗うことにした。
くるみがそんな彼女を見て、また気を張っていないか、と心配する。

だが花はくるみに笑顔を返した。
頑張りますとも!!

彼女はどこかすっきりしていた。
周りを見て、出来ることをしようー
そう思いながら水場へ行くと、そこにはあゆがいた。

彼女はどこか具合が悪そうだったが、洗濯をすると言うと水場の使い方を説明してくれた。
手作りの石鹸を借りた花は、思い切ってあゆは何でシャンプーしているのかを訊く。
すると答えは同じ石鹸だということだった。

だがリンスが欲しいから、酢に近い成分の実を試しているー
そう話すあゆに、思わず花は感嘆する。
やっぱり夏のAはすごいな・・。
彼女は布ナプキンを洗いながら、思う。

ナプキンの洗い方や使い方を教えてくれたのは、お母さんだった。
お母さんにも、もっと色々教わっておくんだった・・。


そこへ、くるみがやってくる。
彼女はもうすぐヨガの時間だから、と花を呼びにきたのだ。

そこで洗濯を終えた花は離れへ向かおうとする。
が、木の陰に流星がいるのに気づいた彼女は、少し寄り道するのだった。

花は流星に、一緒にヨガをやらないか、と声をかけた。
だが流星は面倒そうに、自分がやっても意味ないじゃん、と首を振る。
くるみが喜ぶから、意味はあるよー
そう言うと、彼は起き上がり訊いた。

それは、くるみが言ったのかー?と。

花が自分が思っただけだ、と答えると、流星は自分はちゃらんぽらんに見えてもちゃんとくるみのことを考えている、と話す。
くるみのために何だってする。彼女が望むことは何だってする。
流星はそう言う。

だがー花はくるみがお風呂で話したことを思い返していた。
流星は、いつも自分に決めさせるー
彼女はそう言ったのだ。

何かしてほしい?と訊く。
自分からはしない。あたしに考えさせるーと。

そこで花は流星の側に座る。
彼女は自分の思い出を語った。

嵐(あらし)と付き合った頃は、プレゼントに何をあげるか考えるだけでわくわくした。
けれどもその内、その方が確実だからーと相手に欲しいものを訊くようになった。
それは間違いなくていいことだけど、今となっては手抜きだったと思うー
彼女はそう言った。

普通はそれでいいかもしれない。
でももうあの時間は返ってこないのだ。
今ならもっと、彼のことを大切に考えるのにー

花はくるみを思う。
彼女は言っていた。
流星はもしかしたら、自分と付き合ったことを後悔しているかもしれないーと。

・・そんなこと、思わせないでよ!!

そうして彼女は無理やり流星を引っ張っていく。
するとーくるみと鷭(ばん)が一緒にいるのが見えた。


だがーその様子は少しおかしかった。
鷭が彼女に背を向け、座り込んでいたのだ。

くるみは鷭に声をかける。
すると彼はくるみに、自分を先生と呼んじゃだめだ・・と話した。
自分は古い。未熟で古い・・彼はそう言って泣いた。

それを見たくるみは、彼が自信を失っていることに気付く。
そこで彼女はその隣に座って口を開いた。
鷭と出会うまで、自分はよく眠れなかったのだ・・彼女はそう話した。

自分が子供を産める訳がない。
彼女は夜、何度も何度も恐怖と後悔に襲われた。
でも、鷭は言ってくれたのだ。

くるみの体が判断したから、妊娠した。
だから安心して産もうーと。

それを聞いたとき、すごくほっとしたのだ・・
くるみは言った。
それからはぐっすり眠れるようになって、人にも優しくしようと思えるようになった。
同じように肩肘張ってる人にも、リラックスしようと言えるようになった。

それは鷭に会えたからだ。
人を楽にさせられる人が、お医者さんなんだと思いますー
彼女は涙を浮かべながら、そう言うのだった。

ーその言葉に、鷭は再び泣く。
くるみは笑い、よろしくお願いします先生、とその手を取った。

その光景を見ていた花は、ほほ笑んだー
くるみさんって素敵だ・・。

すると流星も言った。
当たり前じゃん、俺が惚れた女だもんー

そう言って、彼は逃げていく。
だが花は温かい気持ちでいっぱいだった。
彼女は思わず笑みを浮かべてしまうのだった。


その夜ー
食事の時間に皆集まったが、あゆの姿だけがなかった。
安吾が気にすると、小瑠璃が彼女は今日は来ない、と言う。
それを聞いた彼は、今夜が満月であることに思い至るのだった。

夕食後、ハルはこっそり小瑠璃に声をかける。
月の光が明るくていい感じだから、ちょっと付き合ってよー
彼に言われ、2人は外に出た。

一方安吾はあゆの元に食事を運んで行った。
だが彼女は顔を向けず、光が入るから出ていって、と言った。

それを聞いた安吾は、最終テストで何があったのかを彼女に尋ねようとする。
するとあゆは顔を真っ青にして呟いた。
何もない。わたしは何もしていない。

わたしは悪くない。わたしを責めないで。
彼女はそう呟きながらも、思う。
いや、月は見ていた。
悪いのはわたしなのかもー

その顔を見た安吾は、あゆを抱きしめた。
俺たちのせいじゃない。
彼はあゆにそう言い聞かせた。

俺たちのせいじゃない。教師のせいだ。
何もかも、あいつらのせいなんだー


その頃、ハルと小瑠璃は月がよく見えるところまでやってきていた。
彼は満月の下で「月の光」を演奏してみたかったんだ、と言い、持ってきた炭の木を鳴らすー

それを見ていた小瑠璃は、ふと満月が視界に入るのを感じ、あの時のことを思い出した。
繭(まゆ)の元へグライダーで飛んだとき。
あの時も、満月だった・・。

その様子に気付いたハルは、演奏を止めた。
この曲もだめだった?
そう訊かれて、小瑠璃は首を振る。

大丈夫だけど、時々変になる・・。
彼女は言った。
体がねじれてちぎれるような感覚に襲われることを。
飛んでいたら大丈夫なのに、地面にいるとたまになるのだ、と。

するとーハルはその手を取った。
そして彼は小瑠璃を抱き寄せー震えが収まるのを、側で待つのだった。


一方ー
同じ月明りを見ながら、夏のAのメンバーはそれぞれ物思いにふけっていた。
そして月を見ていた花は、流星がくるみの元に行くのに気づく。

彼はくるみに、これから毎日マッサージをしてやる、と話していた。
その提案に、くるみは嬉しそうに表情を明るくする。

その光景をほほえましく思いながら、花は皆のところへ戻った。
満月はー血の色をしていた・・。




















ここに送った者たち。


今回は、乾季に向けて一行が対策を考える回でした。

そして自分たちを送った者たちのことを、それぞれが語った回でもありました。

この流れは‥貴士のことがバレるのも時間の問題なんだろうなー・・。
怖いですが、避けては通れないですもんね。

でもこの一番気持ちがナイーブになっているときに事実がバレるのは嫌ですね。
花が殺されないか、本気で心配になります。


安吾の精神状態はますます不安定になっていますね。
やっぱりちゃんとリハビリしてから、未来に送るべきでしたよ。

本当こっちに来てからのことを何も考えていなくて、教師たちにはイライラが募ります。
安吾のせいじゃないよ、これは・・。
気の毒すぎます。

だって彼が一番不安定とはいえ、他のメンバーだって全然辛そうですもん。
小瑠璃も源五郎も鷭も、そして今回はあゆもかなり不安定になっていました。

皆どうにか自分を抑えようとしているから生活が保っているだけで、いつ崩れてもおかしくありません。
本当に、どうしてこんな状況で良しとしたのでしょうかー。


ただ小瑠璃や源五郎や鷭に関しては、他のチームとの関りの中で徐々に前に進める兆しは出てきていますね。
あゆはどうなんだろう・・。
ちょっと変わった子なので、どう動けば過去を克服できるのかよく分かりません・・。

植物の知識の使えなさにも苛立っていたし、実は彼女もかなり精神的に来ているのでしょうね。
じゃなかったら、のび太の人体実験なんかしないか。

かといって、誰かと仲良くなって回復していくーというタイプでもないですよね、あゆは。
少し夏のAの状況には希望も出てきましたが、あゆと虹子については相変わらずよく分かりません(^^;)

大人しく見守るとします・・w




さて、後は今回は自分たちをここに送った者たちについて、皆が思いを巡らせた回でした。

蘭が少し前向きになっているのはいいですね!
くるみと流星のことも、ちゃんと思っているからこそ出産にも反対していた面もあるのでしょうね。
くるみが必ず無事で産めるとは限りませんから・・。

段々秋のチームが団結し、前を向いて進むようになっていて嬉しいです。
夏のBが会った頃は、退廃的な雰囲気だったもんなぁ。。

色々紆余曲折あったけど、他のチームに出会えたこととくるみの妊娠が、彼らに生きる力を与えたのだと思います。
このまま、生きたいと心から思えるようになっていけるといいですね。


まだまだ計画者への恨みは強そうですが、それでも死にたいと思わないようになれば進歩だと思います。
最初は怖くて苦手だったのに、すっかり秋のチーム好きになりましたよ~(^^)

今回のくるみと流星の姿も良かったし、本来は素敵なチームなんですよね!



さて、一方の新巻。

彼の話はいつも切なくなりますね。

そうですね、彼の言う通りだと感じました。
ここでしか出会えなかった人もいる。
でもここに来なければ、酷い死に方をしないで済んだ人もいる・・。

正論すぎて何も言えません。

きっとその思いは永久に消えないでしょう。
吹雪たちの死に関しては、もう二度と取り返すことはできないのですから・・。


そんな思いを抱えてずっと生きてきたのだと思うと、苦しいですね。
でも時間と犬たちが彼の心を癒していったのだとしたら、安吾たちの傷もいつかは癒えていくはず・・という希望も同時に生まれました。

そう思うと、夏のAこそ新巻と出会えて良かったですね。
彼の姿に、安吾たちも何か感じるところがあるといいな、と思います・・。




という感じで、少しずつチーム間の不協和音はなくなってきましたね。
ただそれに反比例するかのように、尖っていく安吾がやっぱり心配です。

そしてその怒りの矛先は、やっぱり教師たちに向くのですね。
そりゃそうか・・。逆恨みしないだけマシですよね。


ただこのままいくと、花との衝突は必至だし、百舌がこの世界に来ていると知ったら発狂するんじゃないか、と本気で気がかりです。

涼も安吾に従うだろうしなー・・。
男2人が本気になったら、花は敵わないと思います。

百舌だって年を取ったので、2人に来られたら負けてしまうのではないでしょうか・・。


既に彼らは十六夜を殺しています。
これ以上罪を重ねたら、もうこの日本には居場所がなくなるでしょう。

そんなことが無ければいいのですが、ラストの安吾にはその危うさを感じました・・。
このまま何事もないといいですね。


・・そんな訳にはいかなそうですが。。






さて、そんな訳で次回はそろそろ貴士と花のことがバレる頃合いでしょうか。
ハルと小瑠璃のことで揉めるのが先かな?

どっちにしても、安吾たちとは一度しっかり話し合う機会が欲しいですね。
冷静に語り合えるといいのですが・・難しいでしょうかね。


少しずつ一体感が出て来た分、心配も増えますね。
安吾たちと上手くやっていく術はないのかー

次回も楽しみです☆