前回、安吾に襲われかけた花。

ようやく皆との関係も戻りますが、そんな中旅立ちを目前にした彼女に、今度は涼が近づきます・・。

涼の企みとはー?

感想です☆




夏至の章18 「-愛するー」





※以下、ネタバレあり※












  <現在地>  
・春のチーム 
 花・ハル・新巻・のび太・・関東 夏のAの村
 角又・ひばり     ・・佐渡へ
 藤子・ちさ      ・・不明
・夏のAチーム 関東 夏のAの村
・夏のBチーム 海上
・秋のチーム  関東 夏のAの村




◎あらすじ◎

花(はな)は縦穴に案内された。
そこには夏のAの面々がいた。

蘭(らん)もやってきて、中がちゃんと倉庫になっていることに感心する。
地表にはいくつも穴が開いているようだけど、内部は深くて地下でつながっているようだー
源五郎(げんごろう)がそう説明した。

花はその一番後ろを歩きながら、ずっと安吾(あんご)を警戒していた。
何もなかったような顔しやがって・・。
彼女の中に、怒りが沸き上がる。
あのことは忘れない。一生許さない。

本来なら刺されても文句言えないところだが、今日出ていくからもうそれはしない・・。
秋の人たちのためにこの水探しには参加し、その後はこっそり出ていく。
夏のAには、もう二度と会わないー
花はそう決意するのだった。

そんな彼女の様子を、新巻(あらまき)は不安げに見つめる。
すると天井が広く開けた場所に出た。
その奥に、縦穴はあった。

下までは18mほど。
ここから降り込んだ雨が、全部地下に流れているらしい・・。
涼(りょう)が地盤を確かめ、しっかりしているのを確認すると降りようと言った。
彼は花に声をかけ、安吾にはここに残るように告げる。

安吾が反対するが、彼はそれを押し切る。
今回は俺に任せろー
彼はそう言い切るのだった。


それを聞いた花は、安吾が来ないことにほっとする。
代わりに虹子(にじこ)が来ることになり、彼女は更に安心した。
涼も不気味だが、女性がいるなら大丈夫だろう・・。

彼らは崖登りの順番を始めた。
その姿に、蘭と新巻は自分たちはここまでか‥と息をつく。
ふと、蘭は思い出し、虹子に声をかけた。

以前言っていた「死神」とは、一体何なのかーと。
そう問われ、虹子は答える。
よくは知らないが、教師たちがどこかのチームに死神を入れようと話しているのを聞いたことがある、と。

それを聞いた蘭は、不適合な人間を排除する役割や、絶望的な状況で人の命を絶つ任務を持つということだろうか・・と考える。
虹子はそうだろう、とうなづく。
蘭は秋のチームにはいないな、夏のBではないだろうかと呟いた。

その時ー花はふと青紫のじゅるじゅるに冒されたときのことを思い出す。
あの時現れた男ーあれが死神ではないだろうか。
根拠はないが、彼女にはなぜかそう思えた・・。

あの人も夏のB?だったら嵐(あらし)と一緒にいるの?

すると安吾がその話を遮った。
涼も準備を終え、花に降りてくるよう合図する。
だが新巻はその命令口調に、嫌なら行かなくてもいい、と花に言った。
彼は心配そうに、花の顔を覗き込む。
大丈夫かーと。

彼は自分の様子が違うことに気付いているんだ・・。
花はそのことを嬉しく感じ、だからこそ頑張ろう、と考えた。
大丈夫です・・彼女は笑みを見せる。

すると蘭がライトを渡してくれた。
それは彼女が龍宮シェルターで手に入れた、手回し充電式のライトだった。
地下では何が起こるか分からない・・彼女は共にした経験を元に、花を心配してくれたのだ。

蘭もまた、自分のことを許してくれていたのだ・・
彼女はそのことに、顔をほころばせる。
そこでそれを見た新巻も、彼女に傷薬や食料を持たせた。
皆に支えられ、花は笑顔で地下へ降りるー

地下は恐ろしい。
でも、今勇気が出たー

彼女は2人に叫んだ。
行ってきます、水を見つけてくるよー!


その様子を見やりながら、上に残ったメンバーは火を焚く準備をした。
彼らもここで夜明かしをすることにしたのだ。
安吾が横穴を調べてくる、と出ていく。
あいつが死神かもしれない・・
新巻と蘭はそう言い、互いにうなづくのだった。

一方下に降りた3人は、道が出来ている部分を歩いた。
そこには水が通った跡があった。
花は涼を注意深く見やる。

彼は得体が知れない。
でも安吾を止めようとしているのも分かる。
やっぱり涼より安吾のほうが危険だな・・。
そんなことを考えていると、涼が口を開いた。

花、貴士(たかし)の話をしようかー



その頃、ハルと小瑠璃(こるり)は楽器の練習をしていた。
ハルに習いながら、一生懸命に笛を吹く小瑠璃。
2人は「チューリップ」を演奏し、歓声を上げる。

楽器もやったことないし、チューリップも見たことがない。
小瑠璃がそう話すのを聞き、ハルはじゃぁ今度見ようーと口にする。
・・だが2人はすぐに気づく。
もうチューリップなんて見れないことを・・。

すると小瑠璃が言った。
チューリップはどこで見れるの?と。
そこでハルは考える。
オランダが有名だけど、長崎でも見たなぁ。
彼がそう言うと、小瑠璃はぱっと顔を明るくした。

長崎もー写真でしか見たことない。
2人は声を合わせてそう言い、笑い合うのだった。

小瑠璃はハルに、船で実習に出たときのことを話す。
その時初めて夜景を見たと彼女は言い、それを聞いたハルは函館の夜景が綺麗なことを伝える。
2人は笑い、温かい時を過ごしていたー。

そんな中、ハルは言う。
今晩、花たちと一緒にここを出る、と。

それを聞いた小瑠璃は、目を見開く。
ハルは安吾たちとはやっていけそうにないからと言い、内緒にして、と頼む。

するとー小瑠璃は言った。
ハル、飛ぼうか。
そして彼女は彼の手を引っ張ると走り出した。


突然のことに、ハルは驚き戸惑う。
やったことないから、と遠慮する彼に、小瑠璃はてきぱきと準備をし、音楽を弾くのと同じ要領だ、と笑う。
そうして2人は並んで走り、一気に飛んだー

小瑠璃が風に乗る感じだ、と説明する。
ハルは怯えたが、次の瞬間目を見開いた。
その瞳に、広大な景色が広がるー

その景色に、彼の心は落ち着いた。
2人は暫く飛び、空は次第に日が沈み、真っ暗になった。

昔は夜景が見られたんだろうなー
小瑠璃が残念そうにつぶやく。
そこでハルは、想像してみようか、と言った。
2人でキラキラの夜景を想像する。

2人はー笑みを浮かべた。
うん、夜景が見える。
百万ドルの夜景だねー



一方、地下に向かう花は、涼が貴士の話をするのを聞いていた。
彼は貴士は13歳の時に施設にやってきたと言い、施設での彼の様子を語った。
よく不意打ちで攻撃されたと聞くが、花にはどうしてもイメージが結びつかなかった。

ふと、彼らは行き止まりに行き当たった。
下は崖のようになっている・・。
すると涼は下へ進もうと言い、花に先に行けるか、と挑むのだった。

ーその頃、源五郎たちは野営の準備を進めていた。
安吾は横穴を見に行ったまま、また蘭は戻ったので、新巻と源五郎は2人で食事の支度をした。

源五郎は新巻の側を絶えず離れない犬たちを眺める。
そして・・彼は口を開いた。

自分の犬を殺したことありますかー?

彼は新巻にそう尋ね、自分はある、と語った。
飼っていた虎を狂犬病の苦しみから救うつもりで、とどめを刺したーと。

すると新巻はそういうことならある、と答えた。
そこで、源五郎は尚も尋ねた。
後悔はしなかったか、犬たちはそれを望んでいたと思うかーと。

彼は自問する。
殺す権利が僕にあったのか。あいつはそれを望んでいたのかー

それを聞いた新巻は、以前源五郎が言っていたことを思い出す。
ー動物が好きとか、そんな資格僕にはないですー

源五郎は続けた。
どうしたらよかったのか、今も分からない、と。
あの時は他にどうしようもないと思った。
でもあいつにとっては?ただ殺されただけだったのでは?


するとー新巻は口を開いた。
自分に一つ言えるとしたら・・彼は言った。
その虎は源五郎を恨んでもいないし、感謝もしていないだろうー

その言葉に、源五郎ははっとする。
動物たちはそんな風に考えない。ただ生きて、ただ死んでいく。
殺してほしいとも思わないし、殺されるならあなたに、とも思わない。
殺されて嬉しいとも悲しいとも思わない。

自分には彼らの気持ちなど分からないのだー
新巻はそう話した。
だから、僕らは自分の気持ちで判断するしかないのだ、と。

そして彼は言った。
どれだけ愛したかで、判断するのだーと。

源五郎は目を見開いた。
新巻は続けた。
あなたがそうするしかないと思うなら、何も悔やむことはない。
全力で考えて全力を尽くして、それ以外ないと判断して実行したー

どれだけ考えたか、人間は自分の気持ちでしか判断できない。
だから虎はあなたを恨んでもいないし、感謝もしていない・・
僕はそう思う。
新巻はそう言った。

その虎は、最期の時に一目でも源五郎を見れて、きっと嬉しかったよー
彼はそう言って、口を閉じた。
源五郎の瞳から、涙があふれた・・。



その頃、小瑠璃とハルは空を飛び続けていた。
彼らは流れ星を眺めながら、そろそろ戻ろうか、と話す。

その時ーハルは小瑠璃を見つめた。
そして言った。
一緒に行かない?と。

その言葉に、小瑠璃は目を見開く。
ハルたちと一緒に、夏のAを離れて・・。



一方花は、崖を降りていた。
そこは絶壁で、何もなかった。
ロープも足りなくなり、彼女は涼に呼び掛ける。

するとーそれを聞いた涼は、ナイフを取り出した。
虹子が眉を上げる。
彼は話し出した。

卒業試験のときに、廃船で襲われたんだー

その声の調子に、花は違和感を感じる。
涼はその時に貴士と戦い、自分を殺せ、と言われたことを話した。

だが彼はできなかった。
そのせいで、茂(しげる)は死んだんだー
涼はロープにナイフを当てる。

貴士は言った。
自分を殺しておかなかったからだ、と。
未来へ行ったら、そういう判断を間違うなよーと。

だから俺はもう間違わない。

彼は言った。
花に、死んでくれ、と。

その言葉に、花は驚く。
安吾に自分を殺させないようにしてたんじゃ・・そう言うと、涼はうなづく。
安吾にはもう耐えられないから、誰も殺させない、と。
でも俺は平気だから、これは俺の役目なのだーと。

そこで花は気づく。
ハルを殺そうとしたのも、涼か!!
彼女は叫びその真偽を問うが、涼は構わずロープを切った。

安吾にはさせられない。これ以上、安吾を傷つけるなー

その言葉と共に、花は落ちた。
彼女の悲鳴を聞きながら、見ていた虹子は涼に問う。

涼、あんたが死神なんじゃないの・・?




















涼の決断。

今回は涼が動きました。

彼もまた、大きく道を踏み外したと思います。
安吾が大切なのはよく伝わりますが、でも殺人はないです。
絶対にありえない選択です。

安吾のレイプ未遂と共に、これで彼も重罪です。
加えてハルの殺人未遂も涼の仕業だと確定しましたしね・・。


2人の行いを、他のメンバーはどう見て、どう対応していくのか・・。
今後の展開への大きなきっかけとなったと感じました。




それにしても、涼のこの行為はショックでしたね。
安吾よりはまだ精神状態しっかりしているのかと思いきや、元が少しひねくれてる分、安吾より悪質だったとは・・。

正直ここまでするとは思っていなかったので、すっぱりロープを切ったときは衝撃でした。

安吾の場合は精神がかなり不安定なこともあり、イマイチ花を何故襲ったのかもはっきりしない状況でした。
たぶん欲求不満だったのだとは想像できますが・・。

対する涼は、明確な殺意を持っています。
貴士の言葉をずっと引きずっていたとはいえ、それを自分なりに解釈し、ハルと花を殺そうと決めたのは彼です。

そこに、釈明の余地はないでしょう。



恐らく安吾のことが心配であるのと同時に、彼も選ばれた者としての驕りがあるのでしょう。
自分には、他のチームを正していい、場を乱す者は取り除いてもいい、という思考ができあがっているのでしょうね。

恐ろしいことです・・。

安吾にとって害だから・・そんな理由で、人を殺してもいいと思ってしまうなんて。
本当に教師たちは彼らに何を教えてきたのでしょうか。

何回も疑問を呈していますが、貴士はこうなることを全く予想していなかったのでしょうか。
だとしたら、余りにも楽観視しすぎでしょう。
15巻ずっと、通して花が可哀想でなりません。

こんな少ない人数でいがみ合い、しかもその理由が過去の怨恨によるものだなんて・・。
この負の連鎖、いつまで続くのでしょうか・・。


安吾と涼が、自分たちの罪に気づくことはあるのか。
何もないことを願っていましたが、こうなったら彼らには相応の償いを受けてほしいです。

そして、その償いを経て、自分たちの過ちを後悔してくれれば・・逆に彼らのとっての新しい未来が拓けるのではないでしょうか。

花、無事だといいのですが・・。




さて、続いては虹子。

今回、彼女も涼のやることを、ただ黙って見ていました。
元々傍観者を貫く彼女でしたが、蘭との関りで少しは人間らしくなったかと思ったのに(不愉快を露わにしたりしてたので)、やっぱり彼女は彼女でした。

っていうか普通に共犯ですよね・・。
ただ見ていただけで、助けようとしなかったので。


今回、また死神の話が出て来たのも気になります。

私は以前も書きましたが、虹子こそが死神ではないかと疑っています。
傍観者になれるからこそ、有事の際に適切な対処を取れる存在として、未来に送りこまれたと思っているので。

で、もし彼女が死神だとしたら、この対応は果たして正しかったのかどうか・・。

私は間違いだと感じます。
恐らく他のメンバーは皆、涼のこの判断に納得しないでしょうから。

そうなると、虹子も何らかの罪を問われるのではないでしょうか。


今まで一歩引いていた彼女も、ついに当事者となるときが来たように思います。
その時、彼女はどう動くのか・・。

そして、死神の正体は今後明らかとなるのかー
非常に気になるところです。
真実は恐らく百舌しか知らないことですから。。




次は、ハルと小瑠璃について。

洞穴の緊迫した雰囲気とは裏腹にw、今回も仲を深めた2人。
なんだか2人共初々しくてかわいいですね。

ハルを可愛いと思う日が来るとは、思わなかったw


2人のやり取りも、見ていてほのぼのとしましたね。
チューリップの件にしても一瞬気まずくなったのに、さらりとそれを楽しい話題に変えられてすごい。
きっと互いに、2人の時間が楽しいと感じているからなのでしょうね。


さて、そんな中ハルは夏のAの村を旅立つことを伝え、小瑠璃に一緒に来ないか?と誘います。
これは急展開!
告白といっても過言ではないですよね。

ハルだって夏のAには酷い目に遭わされています。
それでも、、彼は小瑠璃と一緒にいたいと望んだのです。

やっぱりこの2人こそが、夏のAとの関係に風穴を開ける予感がしますね。
小瑠璃も揺れているようだし、どっちに転ぶのか気になりますね。

まぁ安吾や涼は許さないだろうから、またひと悶着ありそうな展開ではありますが・・逆に鼻を明かしてやりたいような気もします。

小瑠璃の選択はー?
注目ですね!!




最後に、新巻と源五郎について。


今回はこの2人のやり取りも、ポイントでした。

源五郎の中で、恐らく吹っ切れるものがあったのではないでしょうか。


それにしても毎回言っている気がしますが、新巻の言葉は本当沁みる。
前回の花への言葉もすごく良かったけど、今回の源五郎への言葉も泣きそうになりました。

大事なのは自分の気持ち。
自分がどれだけ愛したか、精いっぱい向き合ったかー
自分たちはそういうことでしか、動物たちの気持ちを推し量ることはできない。

その通りだと思いました。


ああしてあげた、こうしてあげた、は人間のエゴなのかもしれませんね。
動物は特に人間側に期待はしないし、恨んだりもしないものなのでしょう。

彼らはただ生きて、死んでいくものなのですから・・。


これも、安吾たちに聞いてほしかったな。
なんだか安吾と茂の関係にも、同じことが言えませんか?

茂は動物ではないけれど、彼が可哀想とか後悔しているのではないか・・とか、それってもう確認できないことですよね。
安吾は悔やみ泣くことができるけど、茂の気持ちは結局のところはもう永遠に謎のままなのです・・。


だから彼の気持ちをあれこれ考えずに、自分がどれだけ彼のことを思ったか、で安吾は考えるべきなのではないでしょうか。
まぁ彼は最期の時の茂への対応をも悔やんでいるので、それはそれで辛い事実と向き合うことにはなりますけどね・・。


でも考えても答えの出ないことに思い悩むより、はっきりわかる自分の気持ちに向き合うほうが建設的だと感じます。

源五郎は今回、端午のことを消化できたでしょう。
それは彼が誰より、自分の中の気持ちを知っているからです。

やっぱり向き合うことは大事ですね。
今回のことが、源五郎にどんな変化を与えるのか・・
もしかしたら、また動物と深く関わろうと考えるかもしれませんね。

茜や新巻と一緒に、でもいいと思います。
また彼が動物たちを愛し、育てていくことができるといいな・・と思いました。






さて、次回は崖を落ちた花のその後でしょうか。

これだけで彼女が死ぬとは思えないので、どうにか踏ん張ってくれるものと信じています!!


ただ懸念なのが、安吾。
彼、横穴を探索しているのですよね。

まさかの花との鉢合わせとか、ならないといいのですが・・。
涼と合流も嫌だな。


これ以上花には辛い思いをしてほしくないです。
どうか無事に皆の元へ戻れますように・・。


次回も楽しみです☆