前回、茂との再会を果たした安吾。

そんな彼への裁きを、百舌は全チームのメンバーに問いかけます。
安吾、そして涼にどんな判断が下されるのかー

感想です☆




山の章25 「-審判ー」




※以下、ネタバレあり※








  <現在地>  
・花・ナツ・蝉丸・・佐渡
・藤子・ちさ・・佐渡
・角又・あゆ・・佐渡
・ひばり  ・・佐渡
・ハル・小瑠璃・・鍵島
・のび太・蛍・秋ヲ・鷭・・鍵島

・安吾・涼・嵐・新巻・百舌・・佐渡
・源五郎・茜・虹子・ちまき・牡丹・蘭・刈田・・鍵島

・まつり・・佐渡

・くるみ・流星・・鍵島
・朔也・・佐渡





◎あらすじ◎

皆の安吾(あんご)の評価を聞きたいー
そう話す百舌(もず)に、涼(りょう)は訊いた。
あんたの気にいる評価じゃなかった場合、安吾を殺すのかー


蝉丸(せみまる)は焦った。
皆の安吾の評価なんて、めちゃくちゃ悪いに決まってる。
彼は花(はな)の顔を見て、祈った。
言うなよ花。
安吾なんかいらない、殺してくれって言うなよ、花ー!

その時、涼が言った。
ハルや花を殺そうとしたのは、安吾じゃなくて自分だーと。

彼は、夏のBを殺そうとしたのも自分だ、と話した。
一酸化炭素中毒事件、蝉丸がサウナに閉じ込められた事件、嵐(あらし)が海に置き去りにされた事件、そしてちまきを海に落とした事件・・
夏のBのメンバーは、そのすべてが涼の仕業だと知り驚く。

一人牡丹(ぼたん)だけは、やっぱり・・とうなづいた。
彼女はトランプの目印を残したのが、彼だと見抜いていたのだ。

どうして・・そう呟く嵐に、涼は言う。
テストを受けさせてやろうと思った、と。
テストも受けずに落ちこぼれが来ているなんて、許せないだろうがーと。

それを聞いた蝉丸は、怒りに震える。
だが涼は悪びれず、夏のBは全員不合格だ、と息をつく。
そのやり取りを聞いていた嵐もまた、涼につかみかかった。

すると涼は、足に海藻を絡ませたのも自分だ、と彼に話した。
そして何も知らない安吾が、いつも皆を助けようとしていたことも彼は指摘する。
だが自分は安吾とは違う・・
彼は言った。

邪魔なものも逆らうものも阿保なものも、殺していいと教わった。
だから自分は失敗作なんかじゃない。自分は選ばれた人間なんだー
涼は百舌に聞こえるように、そう話すのだった。


それを聞いていた蝉丸とハルは、涼を殴るように嵐に言う。
そこで嵐が動いたその時ー彼らを止める声が入った。

それはまつりだった。
彼女は息を切って、穴から現れた。
その姿に、涼は危険だから来るな、と警告する。

それを聞いたまつりは、やっぱり優しい・・とうなづいた。
彼女は嵐や蝉丸に、涼たちにはたくさん助けてもらったのに何をしているのだ、と怒る。

彼女は涼に訴えた。
いつまでも変態教師に関わっていてはだめだ、と。
それから彼女は百舌にも言った。
いくら涼が可愛いからって、いっぱい傷つけて追いかけるのは良くないことだ、と。

失敗作って何。評価って何。
思うように育たなかったって言うのだったら、それは百舌の失敗であって涼たちには関係ないことだ。
いっぱい傷つけておいて、傷ついたらその人のせいなのか?そんなのめちゃくちゃだー
そう言って、まつりは泣いた。

涼は綺麗なのに・・。
その言葉に、涼は目を見開く。
涼はまっすぐで綺麗だー
まつりは涙を拭いながら言った。

自分はそういうのは分かる。勉強はできなかったけど、人は見てきたのだ。
小ずるい奴とか、小汚い奴とか、嘘ばっかりな奴とか、下心いっぱいな奴とか、いっぱいいた。
でも涼は違うー
彼女はまっすぐ涼を見つめた。

すっごく綺麗なんだよー

それを聞いた涼は、そんなわけない、と首を振る。
だがまつりも引かなかった。
自分には分かる・・大事なことはちゃんと分かる。
大事なことだけ、間違わないよー


そうして彼女は涼は自分が守る、とその腕を取った。
するとー蝉丸が不敵な笑い声をあげた。
まつり、お前空気読み間違ったな・・

彼は言った。
涼が安吾を一生懸命かばおうとしたから、自分たちはそれに乗っかったのだーと。

その言葉に、嵐も大きく息をつく。
まつりは目を見張り、赤くなった。
涼がバレていたのか・・とつぶやくのを聞き、蝉丸は当たり前だと笑った。

涼は初めからずっと安吾を見ていたー
蝉丸はそう指摘した。
心配でなぜか助けたくなるー要するに、涼は安吾のことが大好きなのだ。
そんな人間が側にいるというのは、安吾のお手柄だ。
評価とは、そういうものなんじゃないのかー?
彼はそう百舌に問うた。

そんな彼に涼は、夏のBを殺しかけたのは本当だ、と話す。
だが蝉丸は、それも当たり前のことだ、と答えた。
こんな場所で知らない人間にあったら警戒し、調べる。
自分たちだって最初は値踏みし、警戒していたさー彼の言葉に、牡丹もうなづいた。

本番は、知り合ってからなのだー

牡丹は、涼たちが途中からテストをしなくなったことをあげた。
2人もまた、変わったーと。

蝉丸も、涼が本気で自分とまつりを怒ったときのことを話す。
いつも運よくいくと思うな、と珍しく涼は怒った。
あの時から100パーセント、お前を信用しているーと。

そうして彼は百舌に言った。
自分は安吾も涼も、好きだ。
なんでもできる師匠だが、どこか可愛いー
それじゃだめか?と。

・・百舌の返事はなかった。
そこで蝉丸は、ナツにも何か言うように促す。

ナツは考え、安吾に呼び掛けた。
彼女は安吾が自分にすごく親切にしてくれたことを話し、自分の思いが伝わるようにーと勇気を振り絞る。

安吾は・・すごく優しい人だ。
ナツは言った。
でも自分と同じで、言葉で気持ちを伝えるのが苦手な人だと感じた。

安吾が来てから、船旅はとても楽しくなった。
新しいことがいっぱいで、毎日がわくわくした。
安吾はこの世界にいてほしい人だー
彼女はまっすぐと、そう話すのだった。


それを聞いていた蝉丸は、安吾にジェラシーを感じる。
ナツの言葉は皆に伝わった。
涼が口を開く。

こいつらアホだろー

彼は、嵐が安吾をかばうだけでなく、百舌が自分に撃たれないように位置取りをしていたことに触れた。
こいつら面白いだろ?
彼は言った。

あの施設では教わらなかったこと、でもこの場所に必要な何かが夏のBにはある。
自分がテストをやめたのも、それが理由だった。
テストはしょせんテストだった。こいつらが生きている、それこそが現実だ。
あんたには分からないかー?
涼はそう、百舌に問いかけるのだった。


そこにー花が通信に加わった。
めーちゃん・・ですか?
そう問われ、百舌は顔を上げる。

花・・か?
彼と涼は、花が生きていることに驚く。
花は百舌に、小さい頃に遊んでくれためーちゃんか?と確認した。

百舌が肯定すると、彼女は言った。
じゃああなたと父が夏のAを選び、大勢の人たちを犠牲にした張本人か、と。

彼女は、百舌も父も、安吾と同じだ、と話した。
そして百舌に、安吾を責める資格も裁く資格もないとも。
あたしにはあるけどねー
花は強い瞳でそう言った。

使命があればいいのか、本人が正しいことだと思っていれば許されるのかー
それは分からない。
あなたたちが安吾にしたことを、安吾があたしたちにして、十六夜(いざよい)にした。
その責任はどこにありますかー?
彼女は、そう百舌に問う。

それを聞いていた朔也(さくや)も、うなづいた。
百舌にはなくても、自分たちには裁く権利がある、と。

だが感情的な私刑はなしだ、無法地帯にさせないためには被疑者にも権利を与え、裁くことだー
彼の説明に、皆納得する。

茜(あかね)は、夏のBと自分たちの安吾への評価がかなり違うことに触れた。
すると秋ヲ(あきを)がそりゃそうだ、と言う。
自分たちとの諍いにこりて、夏のBには柔らかく当たったんだろうー
彼はそう推測し、そういうことだーと安吾と涼に話した。

自分がしたことは、全て自分に還ってくるのだ。
他人は自分の鏡だって思えよー
その言葉に、蘭(らん)もうなづき、花に言う。
自分たちは安吾たちを、そう簡単には許さないから安心しろーと。


そうして、場は落ち着いた。
そこで蘭は、話題を変える。
彼女は百舌に、自分たちが今陥っている状況は彼のミスだーと指摘した。

くるみと流星(りゅうせい)に何かあったら、どう責任を取るのかー
彼女はそう百舌に迫った。

すると秋ヲも、前に出た。
彼は今までの話を聞いていて思った、と言う。
ここにいるメンバーの中で、百舌だけが過去に生きている・・と。

彼は話す。
自分たちは少しずつこの世界に適応して生きていこうとしていると。
そしてそれは安吾たちも、同じなのだろう、と。

だが百舌だけは、過去に捕まって過去の世界に生きている。
それはちょっと迷惑なんだー
そう言って、秋ヲは彼に荷物を下ろすことを勧めた。

ただの一個人になって、この世界で生きてみたらどうかーと。


その時、安吾が口を開いた。
一つだけ、聞きたいことがある・・
彼はそう言って、立ち上がった。
あのテストのとき、何を考えていたのかー

自分たちが危ない目に遭ってどんどん死んでいって、その姿を見ていて、どう思っていたのか・・。
そう尋ねると、百舌は答えた。
予想よりあっさり脱落していき、残念に感じていた、と。
自分の考えるベストメンバーが残ればいいな、と思っていたーと。

心配だ、とかかわいそうだ、とか助けてやりたい。とかは思わなかったのかー?
安吾はそう問うが、百舌はあれはそういうテストだったのだ、と返す。
仕方なかったのだーと。

・・その答えに、安吾は呆然とした。
百舌は、安吾にはリーダーとして期待していた、と言った。
だから選ばれた彼らの顔を見て、愕然としたーとも。

それを聞いた安吾は、叫ぶ。
自分たちが喜んで、抱き合って万歳するとでも思っていたのかーと。
だが百舌は言う。
勝ち抜いて目標を達成したのだから、誇りを胸に行くと思っていたーと。

ーそれがすべてだった。

安吾は百舌の返答に、永遠に理解し合えないことを悟った。
もういい・・
彼はつぶやいた。

自分は要(かなめ)のことが好きだったけど、あなたは俺にとって大事な人間にはなりえないー
安吾はそう、理解した。

そうして涙を拭うと、彼は百舌に背を向けた。
お世話になりましたー
それが、安吾から百舌への最後の言葉だった。


それから、彼はナツに呼び掛けた。
ありがとうー
彼にそう言われ、ナツは驚き動揺する。

安吾は、ナツにかまったのは茂(しげる)もげる)に重ねたからだ、と話し、ナツと向き合ったわけではなかったことを詫びる。
だがナツは、それでも嬉しかった、と答えた。
その答えにー安吾は微笑む。
ありがとう・・と。

そうして、彼は涼と共に崖を見上げた。
ここを登れば、また外に出られるだろうかー

安吾は決意した。
茂を連れて、もう一度ここを登るー




















裁きが下る。



今回は、安吾の審判を委ねた百舌が、逆に裁かれる話でした。


終始緊迫した雰囲気にドキドキしましたが、一応これで決着・・ということなのかな?
なんだか百舌とは最後まで話が合わず、悲しい結果に終わってしまいましたが、それもまたリアル・・ということでしょうか。

それぞれのメンバーの思いが見えて、興味深くもありました。
この状況で安吾と涼をしっかりかばえる夏のBはすごいですね。

蝉丸も嵐も、ナツもまつりも皆頑張りました。
彼らが真摯に思いを伝えたからこそ、春や秋のチームも冷静に対応できたのだと思います。


特にまつりの言葉は良かったですね。
大事なことだけ、間違えないー
涼をずっと見てきた彼女だからこそ言えて、信頼に足る言葉だと感じました。

確かに安吾も涼も、汚れてはいませんよね。
いつもまっすぐで不器用だからこそ、融通がきかなくて失敗した感じがします。
決して悪意に満ちてやったわけではないんですよね。


それは、嵐や蝉丸が2人をかばったことからも分かります。
特に嵐なんて、花の目の前で安吾をかばった訳ですからね。
相当思っていないとできないことだと思います。

嵐が花の恋人だと皆も知っている訳ですから、納得いかないメンバーもいるでしょう。
それでも、それは別として嵐は安吾をかばいました。

評価するには、それで十分だったように思いますー。


そして彼らに刺激を受け、変化した涼の言葉。
さすがに百舌にも、それは伝わったでしょう。

涼はテストの呪縛から逃れ、夏のBを認めることができた。
この変化が見えるだけでも、彼らは成長したといえるのではないでしょうかー。



さて、その後春と秋のチームからも、審判が下ります。
百舌と安吾・涼は罪を犯した者同士ー
花が言うように、彼らに裁く権利はそもそもないのですよね。

だから最終的に判断するのは、被害に遭った者たちになりました。
ここに朔也がいたのが、本当に良かった!!

判事志望の彼が言ったことで、きちんと筋が通った裁きが下されることになるようで安心しました。
無法地帯にしないためには、被害者側の私刑もなしー
しっかり明言できた朔也は素晴らしいと思います。

とはいえ、安吾と涼が罪を犯したのは事実。
しっかり裁きは受けることになるのでしょうね。

十六夜を殺してもいるので、やっぱり追放ーが妥当なところでしょうか。
一緒に生活は、花やのび太の傷を考えても無理でしょう。

安吾と涼のことを思うと悲しいですが、そこはしっかり対処されるべきですよね。
そして百舌はどうなるのかー
ここは、しっかり見ていきたいところですね。


それにしても、秋のチームリーダー2人の言葉は聡くて、胸にすっと入りますね。
秋ヲは達観してるから俯瞰した物の見方ができるし、蘭は仲間のことをよく考えているのが伝わります。

佐渡で暮らすようになったら、やっぱり2人が中心となるのが良さそうだなーと思いました。
厳しいけど、きっとしっかりまとまった村ができるのではないかなー。
彼らもまた最初に比べて成長しているので、伸びしろに期待したいですね。




さて、そして最後に安吾と百舌の決別。

これは今回の百舌の言葉を聞くに、避けられない運命でしたね。
百舌は百舌で正しいことをしたと疑わないので、そこに反省はありません。
これでは永遠に理解し合うことは難しいでしょうー。


個人的には、百舌が子供たちに期待をこめ、大切に育ててきたのは分かりました。
でも彼はそこに自分の体験を重ねたから、歪みが生じたのだと思います。

彼は過酷な体験をばねに生きられた。
でも皆が彼と同じというわけではないのです。
そのことに、百舌は気づくべきでしたね・・。

それに気づけないまま、彼は教師という立場になってしまったから、全てがおかしくなったのだと思います。
自分の経験を正しいと信じ、それを子供たちに押し付けてしまった・・
それこそが彼の間違いだったと感じます。


大体、ここで起きた事件だって、百舌たち教師に本当に責任はないのでしょうか?

安易に卯波をガイドにしたから皆が手を汚すことになったのだし、十六夜を撃ったのだって、安吾たちはただ教えに従っただけだったとも取れますよね。
射撃の訓練で、誰彼かまわず撃つ涼を称賛したのは、教師たちでしたから。

更にそもそもでいえば、夏のAに銃を持たせたのも教師たちです。
それなのに、一切の責任がないと本気で思っているのでしょうかー?
それはあまりに都合がいい話だと言わざるを得ないでしょう。


だから、そもそも百舌に安吾たちを裁く権利などなかったのです。
それを勘違いしたから、ここまでこじれたのだと思います。


結局、教師たちと子供たちは最後まで理解し合えないーというのが結論だったのでしょう。
これはいくら話し合っても、もう埋まらないものだと感じます。

なので子供たちにできるのは、教師から卒業することだけ。
教師たちにできるのは、子供たちの旅立ちを見守ることだけ。

もうこれしか道はないのでしょうー。


最後まで理解できず和解し合えなかったのは残念でしたが、皆が皆理解し合えることもないのですよね。

安吾と百舌の元の関係を思うと悲しいですが、これも安吾が成長していく過程だと見て、彼の百舌からの旅立ちを見守りたい・・
そう思いました。







さて、次回は安吾が茂を連れて、壁を登りだす話でしょうか。

縦坑を閉める役目は終わったので、嵐たちとはここで別の道を行く感じになりそうですね。

百舌はくるみと流星を探しに行くのかな?
残された彼の使命は、自分が迷わせてしまった2人を救うことですもんね。

一つの決着がつき、再び動き出すときでしょうか。
早く全員揃ってほしいものですね。。

次回も楽しみです☆