前回、安吾の審判を求めた百舌。
しかし彼の思惑とは裏腹に、審判にかけられたのは百舌の方でしたー。

彼と分かり合えないと知った安吾は、百舌に決別を告げます。
教師と生徒の別れの時が、来たようです・・。

感想です☆



山の章26 「-審判2-」



※以下、ネタバレあり※







 <現在地>  
・花・ナツ・蝉丸・・佐渡
・藤子・ちさ・・佐渡
・角又・あゆ・・佐渡
・ひばり  ・・佐渡
・ハル・小瑠璃・・鍵島
・のび太・蛍・秋ヲ・鷭・・鍵島

・安吾・涼・嵐・まつり・百舌・新巻・・佐渡
・源五郎・茜・虹子・ちまき・牡丹・蘭・刈田・・鍵島

・くるみ・流星・・鍵島
・朔也・・佐渡

 

◎あらすじ◎

あんただけが、過去に生きているんだなー
百舌(もず)はぼんやりと、秋ヲ(秋ヲ)に言われた言葉を反芻していた。

安吾(あんご)は、夏のBとなら上手くやれるのかー
彼は皆の安吾に対する評価を思い返していた。
だが、花(はな)や秋のチームに対してはどうだ?
一触即発の事態になっても、それでも冷静でいられるのかー?

そこへ、嵐(あらし)が彼の元へやってきた。
そしてー嵐は言った。
安吾はもう銃を持っていない、と。

彼は自分とナツを助けるために、銃を捨てたのだーと。
その言葉に、新巻(あらまき)と花も反応する。

安吾は教師たちからの洗脳から、もう解かれているー
だから大丈夫だ、と嵐は言う。
洗脳ー?
百舌は、その言葉に違和感を覚えた。

そんなことはしていない・・

すると小瑠璃(こるり)が口を開いた。
彼女は、安吾も涼も本当は須吾優しくて賢い人たちだった、と話した。
本来なら、リーダーとして皆を守ってちゃんとやれるはずだった。

だがそれをおかしくしたのは、先生たちなのだー
彼女がそう言うと、虹子(にじこ)もうなづいた。
正直要(かなめ)がいない方が、皆も落ち着くー
いつまでも監視されたり管理されたり馬鹿みたい。こっちは死神になんか、かまっていられないのだー
虹子はそう言い捨てるのだった。

そこで、秋ヲが再度話した。
彼は、百舌が夏のA以外は皆阿保だと思っているだろうと指摘し、だがそうでもないのだーと言う。

安吾や誰かが暴走したりしても、自分たちは自分たちで判断し、それに支配されたりはしない。
一般人も案外阿保じゃないのだから、信用してくれないかー
彼はそう百舌に諭すのだった。

源五郎(げんごろう)がー口を開いた。
自分たちが学んだことは、ほんのかけらみたいなものだった。
でもここでは毎日新しいことを一から学んでいる。
じぶんたちはこれからも、学んでいくー

そう話し、彼は言った。
もう、僕たちを卒業させてくださいー


その言葉に、百舌は目を見張った。
卒業ー?

そんな彼に、牡丹(ぼたん)が声をかける。
寂しいけど、先生と生徒はそういうものだ、と。
転びながら走っていく子供たちを、ぬるく見守ってあげなさいー
そう言われ、百舌は反芻する。
寂しい・・-?

鷭(ばん)が、彼に呼び掛けた。
彼は百舌に、今大事なことを決めないほうがいい、と注意した。

彼らはもうずっと地下をさまよっている。
皆自覚していなくても、体への負担は相当かかっている。要(かなめ)は怪我もしている。
そんな状態で、重要な判断をしてはダメだー
彼はそう優しく、百舌に話すのだった。

彼らの言葉にー百舌は、嘆息した。
よってたかって、年寄扱いか・・。
彼は頭を抱えた。
なんてことだ・・

審判を下されたのは、自分の方なのかー?


安吾と涼は、崖を登る算段をしていた。
茂(しげる)を担いで登るという暴挙に涼は呆れるが、安吾はそうしなきゃいけない、と話す。
ここからやり直すんだーと。

屍蝋化した死体は、外気に触れるとバラバラになってしまうという。
それでもーこんなところに置いてはいけない、と彼は決意するのだった。

するとーそれを見ていた百舌が、寝袋とエアーマット、そしてロープを2人に渡した。
工夫して使えー
彼はそう言うと、立ち上がる。

安吾、涼、小瑠璃、源五郎、あゆ、虹子、鷭ー
彼は一人ずつの名を呼んだが、その後かける言葉がなくて呆然とした。

そうか、私がもう何か言うことはないのかー

成長・・していくんだなー。
彼は安吾の別れを告げる姿を思い出し、理解した。
そうか、寂しいのか・・・。

そうして百舌は、くるみたちを探すと言って、去っていった。
その背中を、安吾は見なかった。
彼もまた、理解した。
もう二度と、百舌とは会わないんだろうということをー。


その一部始終を聞いていた蝉丸(せみまる)は、大きく息を吐いた。
何とかなったー
彼は命拾いしたな、と2人に向けて笑う。

だがのび太(のびた)が、つぶやいた。
僕は安吾たち、怖かったよ。
すごく怖かった・・。

その言葉に、花も静かにうなづく。
そうだね・・と。

その姿を見ていたナツは、花に謝る。
安吾が花をレイプしようとしたなんて信じられない。
でもそういうことがあったんなら、皆が安吾をかばうのを聞かされるのは、すごく辛かったはずだー
彼女はそう反省するが、花は気を使わないで、とほほ笑んだ。

良いところも見たんでしょうー?
そう笑う彼女に、ナツも蝉丸も一生懸命うなづくのだった。


一方新巻とハルも、嵐が安吾をかばったことに触れた。
びっくりした・・
そう言われた嵐は、聞いていないところでかばうよりいいと思った・・と話す。

安吾が苦しんできたことを自分は知っている。
百舌に、これ以上安吾を傷つけてほしくなかった。
そして・・嵐は言った。
安吾にこれ以上、花を傷つけてほしくなかったー

その言葉に、花は目を見開く。
いつかちゃんと、心から安吾に謝らせるからー
嵐はそう、花に言った。
花が会いたくないって言うなら、会わずにいられる方法を考える。

あいつがどれだけ辛い目に遭っても、その部分だけは絶対に許さないからー
・・花の瞳から、涙があふれた。

ありがとう、嵐・・。
彼女は何度もうなづいた。

安吾はきっと謝らないだろう。
ごめんって言われても、あの時の嫌悪や恐怖は消えない。
でもそれは、父親にされたことが安吾の中で消えないのと同じなのかもしれない・・。

そう考え、花は思った。
難しい、難しいね・・。

一方ハルは、小瑠璃に卯波(うなみ)を撃った状況について訊いていた。
小瑠璃は皆で撃ったことを話し、あの時はないも考えられなかったし、悪いとも思っていない・・と言った。
怖いと思うー?

そう問われ、ハルは黙る。
誰かを丸ごと理解して受け入れることは、なんと難しいのかー


安吾と涼は、寝袋に茂を入れて担ぐことにした。
その準備をしながら、安吾は涼に言った。
お前がおれを大好きとは知らなかったーと。

途端に、涼はむっとした顔をした。
そういうんじゃなくて、安吾にはちゃんとしててほしいんだー
彼は安吾の頭をつかんだ。

自分にはリーダーはできない。
でもお前が真ん中にちゃんと立っているなら、横で助けてやってもいい気になるんだー
涼にそう言われ、安吾はその意味を考えた。

ちゃんと・・か・・。

そこで彼は涼に、自分はまだ作業の途中だから、それを片付けてからここを登ることにするーと告げる。
それを聞いた嵐は、自分と新巻で何とかすると言うが、安吾は首を振った。
方舟とーナツたちのために行くよ・・。

そう言って、彼は茂に微笑んだ。
ちょっと待っててくれー

こうして、皆再び自分たちの任務に戻るのだった。


その頃ー
角又(つのまた)とあゆは、通路を歩いていた。

彼はあゆに、百舌に何か言わなくてよかったのか、と訊くが、あゆはどうでもいいのだ、と答える。
彼女にとって、百舌は愛着もないし特に恨みもない人物だった。
施設のあった場所が佐渡だと聞いても、それもどうでもいいのだー
そう言って、彼女はそれより気になるのは新巻だ・・とつぶやく。
すると角又も、それに応じた。

2人は新巻の声が、すごく冷たかったことに気づいていた。
ーもう一度会えて良かったな・・。
あの声は、凍えるほど冷たい声だった。

新巻は花を一番気にかけていると思ってたけど、違ったようだ・・
あゆはそう口にする。
それを聞いた角又も、もう一度会えて良かったなんて、本当に思えるのだろうか・・と疑問を口にした。

彼らは発電所の方へと向かっていた。
そこには、理可子(りかこ)がいるかもしれないからだ。
彼女が角又の知っている理可子なのかー
2人はそれを確かめに行っているのだった。


そうしてー彼らは発電所に着いた。
そこはまだ動いていた。
ふとーあゆは、角又の足取りが鈍くなったことに気づく。

警戒している?こんなに緊張しているのは初めて見るー。
彼がそうなった理由を考え、あゆは声をかけた。
だが角又は背筋をぴりつかせ、ちょっと話しかけないでくれーと言った。

彼は、一歩ずつ足を進めた。
本当に思えるんだろうか・・。

再び、新巻の言葉が彼の胸によみがえる。
ーもう一度会えて良かったな。
良かったって、思えるのか・・?

角又の目に、遠くに横たわっている死体が映った。
その瞳が、大きく見開かれる。
思えるのか?それを、見つけてもー・・。




















卒業。

今回は、百舌の元から夏のAのメンバーが離れていく回でした。

ついにここの因縁にも、終止符が打たれましたね。
分かり合えなかったことは残念ですが、百舌の心にも決着がついたようで良かったです。


春や秋のメンバーと触れ合って、少しずつ変化していった夏のAのメンバーたち。
安吾や涼が夏のBから学んだように、彼らもまた皆から学び、成長しているのです。

それを自覚しているからこそ、彼らは百舌に別れを告げました。
それぞれの思いが伝わってきて、胸が熱くなりましたー。

また、牡丹の百舌への声掛けが良いですよね。
さすが姉さん、彼女の言葉は素直に百舌にも響くのですねー。


そうして、自分が審判にかけられたことに気づいた百舌。
ようやく、子供たちから離れることを決意します。

誰よりもこの関係にしがみついていたのは、彼だったのですね。
寂しい・・
百舌がそう思えたのは、良かったと思います。

彼にも子供たちへの愛情はあったのだ・・と感じられたので。


でも、これで百舌とは本当にお別れなのでしょうか。
まぁ世代交代の時かと思えば彼の退場も仕方ないのかもしれませんが、それはやっぱり辛いですね。

罪を犯した者同士一緒に暮らすのは無理でしょうが、何も死ななくても・・とは思います。
くるみたちを救った後、どこかで生きていってくれるといいのですが。。




さて、そして残された者たち。

色々な思いが、交差しましたね。

良いところを知ってるからかばう、夏のBのメンバー。
されたことを忘れられず、許すことのできない春と秋のメンバー。

皆が思いを一つにすることなど、無理ですよね。
経験したことが、皆それぞれ違うのですから。

それでもその気持ちを強制せず、流すことにできる花は偉いな、と感じました。
そしてそんな花に隠し立てせず、全ての気持ちをさらけ出す嵐も。


安吾と涼がしたことを思えば、それは一生赦されなくても仕方ないでしょう。
でも彼らも夏のBに会って、いい方向に変化しました。
そのすべてが、なかったことにはならないのです。

花やのび太、ハルは許さなくていいし、ナツたちはそれに従わなくてもいいー
それが生きていくことだと思います。

安吾や涼のこれからの人生は、償いと共にあることでしょう。
でもそれでいいと思うのです。
償いながら、一生懸命生きていけば、それも彼らの糧になるのではないでしょうかー。

全員が理解し合わなくてもいいー
花と嵐の関係は、そんなことを考えさせてくれました。

難しいことですが、少しずつ考えて納得していくしか、落としどころはないのですよね。
そうして心を通わせ合っていくことが、人と共に生きることなのではないでしょうかー。





さて、最後に角又ですね。

理可子の行方を調べに行くことにした2人。
角又のピリピリした感じが伝わってきて、ドキドキしました。

夫婦・・恋人だったのでしょうか?
最愛の相手が恐らく死んでいる・・それを確かめに行くのは怖いことですよね。

新巻が言うように、本当に会えて良かったと思えるものなのかは、私も疑問ですね。
そう思えるかもしれないし、でも変わり果てた姿を見たら知りたくなかったと思うかもしれないし・・
それはその状況にならないと、何とも言えませんね。

でも死体を見てしまったら、死んだことは確定になってしまいます。
そのショックとは、向き合わなければなりませんよね。

それを、良かったと思えるのかな・・。
うーん、私には答えは出ませんね。


最後にあったのは、おそらく理可子の遺体なのでしょう。
角又と彼女の関係も、次回以降明らかとなりそうですね。

彼のためにも、方舟を救いたいですー。






さて、次回は角又と理可子の再会でしょうか。

恐らく何十年も経っているので、理可子は死んでいるでしょう。
研究員2人が蜘蛛の巣で死んだことを思うと、彼女はここで一人で死んだのかな・・。
それを思うと、胸が痛みますね。

2人の関係も、明かされるのでしょうかー。

次回も楽しみです☆