今回から32巻です!

前回、発電所へ向かった角又とあゆ。
そこで角又は、一つの遺体を目にしますー。

その遺体は、理可子のものなのでしょうか?

感想です☆




山の章27 「-再会ー」




※以下、ネタバレあり※








<現在地>  
・花・ナツ・蝉丸・・佐渡
・藤子・ちさ・・佐渡
・角又・あゆ・・佐渡
・ひばり  ・・佐渡
・ハル・小瑠璃・・鍵島
・のび太・蛍・秋ヲ・鷭・・鍵島

・安吾・涼・嵐・まつり・新巻・・佐渡
・源五郎・茜・虹子・ちまき・牡丹・蘭・刈田・・鍵島

・百舌・・鍵島へ?

・くるみ・流星・・鍵島
・朔也・・佐渡




◎あらすじ◎

理可子(りかこ)を初めて見たのは、三十三間堂の通し矢だったー
新成人の有段者と称号者が出場できるもので、角又(つのまた)はその姿に一目ぼれしたのだった。

そうして彼が近所の弓道場に通いだしたのが、中学2年の春。
練習に励んでいた彼の元に、理可子は現れた。

あんたが、角又万作(つのまたまんさく)くんー
彼女は有望な子が入ってきたと、師匠に聞いて声をかけたのだという。

すぐさま角又は理可子に告白した。
だが成人の理可子に対し、角又は中学2年ー
背を追い越したらね、とその場は大笑いで断られてしまうのだった。


その後も、角又はあきらめなかった。
高2になって告白しに行くと、彼女はまた大笑いしたものだったー

・・今、その彼女の遺体が目の前にあった。
角又は思い出す。
理可子が、大学で教授の助手をしていたことをー

理工学部に通っていた彼女は、教授が参加しているある計画の手伝いをしている・・と言っていた。
内容は極秘だが、いうなれば宇宙船の脱出ポッドみたいな話だー
そう聞かされても、角又にはぴんとこなかった。

宇宙飛行士になるの?
そう尋ねる角又に理可子は笑って、ならない、と言った。
あんたはなれるかもなー
彼女はそう微笑んだ。

2人で過ごした時間は幸せだった。
ー君のことを思う秋の夜。人気のない山を歩きながら、天に向かって詩を詠んでいる。
ひっそりと一人過ごす君も、きっとまだ眠っていないだろうー

知ってる人・・?
あゆが後ろから尋ねる。
角又はーそっと目を閉じた。


今思ったら、理可子は少し様子がおかしかった。
夏休みに、2人は角又の趣味の山歩きに一緒に出た。
理可子が言い出したもので、彼女は思い出作りだといつになくはしゃいでいた。

2人で山々を見て歩き、地蔵巡りをした。
帰ってからも、2人で弓道場で弓を引いた。

角又はー理可子の顔色が悪いのが気になっていた。
彼女はただの貧血だと笑ったが、角又は心配し、早く結婚しようと提案した。
それを聞いた理可子は、角又が大学を卒業して、仕事についたらなーとはぐらかす。

そんなある日、理可子は荷造りをしていた。
しばらく教授のお供で泊まり込みになるのだー
彼女はそう言い、慌ただしく準備をした。

どこかは内緒だけど、島なので連絡もなかなか取れないー
そう聞いた角又は寂しがる。
すると理可子は、彼を抱きしめた。

角又くん、元気で頑張りやー

ほな、またな。
そう言い、彼女は出かけて行った。
当たり前のように、日々は続くと思っていた・・。


その3日後から、記憶はないー

気づいたら世界は滅んでいて、春のチームとして角又はこの世界に来ていた。
そして今、思いもしなかったものを見ている。

島に行くって、佐渡だったのか・・。
彼は理可子の遺体に声をかけた。
何も言わないで・・。

彼は思い出す。
初めて話したとき、理可子が言ったのを。
ーあんたが角又万作くん。

そうか、あの「が」はそういうことか・・。
理可子は自分がこっちに送られてくることを知っていたのだ。
角又は納得する。

それを聞いたあゆは、見張られていたということか?と首をかしげる。
角又は、あゆには何も分からないーと彼女が御託を並べるのを、遮るのだった。


その後、彼は発電所の中を見て回った。
一つ一つ部屋を見ていくと、「真野」と名札のついたドアがあった。
角又はーその部屋に入る。

その部屋には、弓が置いてあった。
そして机の上には、2人で旅行中に撮った写真が飾られていた。
角又はそれを見ながら、アルバムのような冊子に手を触れる。

それは、佐渡についてからの日誌のようなものだった。
ケーブルカーができた。
工事が遅れている。
ボートで小佐渡に向かった。

彼女の日誌には、たくさん佐渡の情報が書き込まれていた。
その中に、方舟に関する記述を見つけ、彼は眉を上げる。

理可子が初めて方舟に入ったときには、すでに子供たちは7割入室していた。
その記述と共に、そこには理可子の写真も貼ってあった。
その写真の理可子のお腹は大きかった・・。

そして次のページには、彼女が赤ん坊を抱いた写真が載っていた。
そこには、「命名 億人(おくと)」とある。
角又は目を見開いた。

俺の子・・なんか・・。

彼がそう呟くと、あゆがなんで分かるのか、と疑問を呈した。
万の次は、億だろうー
そう答えながら、彼の顔色は白くなっていく。
身に覚えはある・・

その後も、赤ん坊の写真が何枚か貼り付けられていた。
そして最後のページまで行ったところで、角又の手が止まる。
そこには、こう書かれていた。
あなたに託すーと。

その記述に、彼は息を呑んだ。
知っていた、理可子は俺がここに来ることをー!

あなたに託すー
その後には、漢詩も刻まれていた。
その詩を詠みながら、角又は立ち尽くす。

ー昔に生まれた人には会うことができないし、未来に生まれてくる人にも会うことができない。
天地自然の悠々とした様を見ると、人の人生のその短さに、涙があふれるー


その瞬間、彼はあゆを置いて走った。
あゆは仕方なく、部屋の中を調べることにするー

角又は、再び理可子の遺体の元へと向かった。
なんで何も言わないで、一人でー
彼は遺体の前に出ると、叫んだ。

勝手なことするなよ。一言言って行けよ。
ーほな、またね。
最後の笑顔を思い出し、彼は頭を押さえた・・。

何歳まで生きた?最後まで仕事してたのか?
皆蜘蛛のところへのんびり死にに行ったのに、理可子らしくて腹が立つ。
こんなところで一人で・・。

そう考えた彼は、首を振る。
違う、一人ではなかった。
子供を守ってるつもりだったのかー

その時、地鳴りと共に施設が揺れた。
それと同時に、遺体の理可子の首が転がっていくー
角又はすぐに走り、その首を抱え込んだ。

俺は一個も嬉しくない・・
そう呟き、彼は首を抱いた。
もう1回会えても嬉しくないわー

そうして、彼は経を読み上げるー

ちゃんと丸ごと上に連れてって、埋めて墓を建ててやる。
それでいいかー?
角又は、そう理可子に尋ねた。

彼は元々は、日本の埋葬法に疑問を持っていた。
自分の理想は鳥葬だ、と話したこともあった。
生意気なことを言っていた・・
今、彼はそう思った。

自分が死んだら、鳥や獣に食われようが野ざらしになろうが、全然かまわないと思っていた。
きっと理可子もそうだっただろう。
でも・・残された者が嫌なんだな・・。
彼の目に、涙が浮かぶ。

寺も墓も葬式も、坊さんもお経も自分もー
本人のためより、残された者のためにあるんだな・・。
角又は泣いた。
残された者が、悲しいからあるんだなー


その姿を、あゆは後ろでじっと見ていた。
この人での泣くのだわ・・。
彼女はそう思い、ようやく彼がなぜピリピリしていたのかを理解した。

恋人の死骸を見つけるかもしれなかったからか・・。

わたしは、そういうことも分からないんだわー
彼女は改めて、自分の理解力のなさを実感する。

この遺体が新巻(あらまき)だったらどうだっただろうか。
悲しいのだろうか、泣くのだろうか。
もし新巻だったら・・

そう考えて、彼女は身を震わせるー

それから、あゆは角又を呼んだ。
彼女は理可子の部屋で、資料を見つけたと話した。
その資料は理可子が書いたもので、気になる記述があるという・・。

今皆がしていること、一つタイミングを間違うと、わたしたちは全滅するかもしれないー
あゆがそういうのを聞き、角又は顔をしかめた。

発電機のタービンが、最後のうなりをあげている。
あらゆる力が連動されて、人を滅ぼしにかかろうとしていたー




















理可子という人。


今回は、角又が理可子の遺体に直面し、彼女との記憶を思い出す回でした。

泣けた・・理可子の強さに、そして命のはかなさに涙があふれました。


彼女は初めから知ってて、それでも角又を愛し、最後まで彼への愛を貫いたのですね。
別れが来ることを知っている恋は、どれほど辛いものだったのでしょう。

それを感じさせず、いつも笑っていた彼女に、本当に尊敬の念を感じました・・。


赤ん坊を抱いている写真の表情がぎこちないのも、また泣けました。
この子の成長も見れずに、未来にいるだろう角又に託すしかなかったのですもんね・・。
母親として、どんな思いだったか・・。
考えても、あまりにも重すぎて想像がつきません。

ただすごい苦しかっただろうことは分かります。
恋人と別れ、子供とも別れ、一人使命のために生きる・・
そこにどれほどの覚悟が必要だったか・・。


日誌の最後の漢詩、あれに理可子の思いがすべて詰まっていたと思います。
一人生き残って、涙した日もきっと多かったことでしょう。

それでも自分にできることを最後までやり抜いて死んでいった彼女は、とても強い女性です。
7SEEDS計画には、こんな強い女性も関わっていたのですね。

毎回過去エピソードには泣かされますが、今回も切なく辛い過去に涙せずにはいられませんでした。
最後の時、理可子が苦しんで死んでいなければいいな、と思います。
お疲れ様でした・・。



さて、そして今回は、事実を知り涙する角又にも心打たれました。

今まで飄々としたところしか見てこなかっただけに、感情むきだしで泣く姿にはこみ上げるものがありましたね。
皆、それぞれ辛い過去を抱えてきてるんだなぁ・・。


今後、角又はこの事実をどう抱え生きていくのでしょうね。
方舟にいる子供は助けたいと思うでしょうが、脱出できても解凍方法は分からないのです。
なかなかに絶望的な状況だと思います・・。

それでも理可子が託してくれたものだから、どうにか助けようと奔走するのでしょうが・・果たしてそこに希望を見いだせるのでしょうか。
かえって苦しむのではないか・・。
考えてみたけど、答えは出ません。

とりあえず今は逃げることが優先になりそうな状況なので、そのことは落ち着いてからしっかり向き合ってほしいと思います。
目まぐるしくて、感傷に浸る間もないですね。

それが救いなのかどうか・・。
これも、わたしにはわかりません・・。




さて、最後にあゆについて。

的外れなことばっかり言っていた彼女ですが、最後にはちゃんと角又の思いを理解していましたね。
ちゃんと考えれば、彼女にも人の気持ちは理解できるのですよね。

自分に置き換えて考えることもできるようになっていて、かなりの成長ぶりを感じます。

これも、新巻のおかげなのですよね・・。

彼が不穏な空気を発しているので、ここはやっぱりあゆが彼を救うことになるのでしょうね。
不器用だけどまっすぐな思いは、新巻に伝わるのかー

見守っていきたいと思います。






さて、次回は理可子の残した情報から、佐渡の危機が露呈するのでしょうか。

再び良くない事態になりそうですね・・。
今までしたことが間違いかもしれないーということは、縦坑を閉めたりしたのも全部まずかったということでしょうか。

そうなると心配なのは、方舟に向かっている花たち。
あゆたちの情報が、すぐに皆に伝わるといいのですが・・。

まだまだトラブルは続きそうですね。
次回も楽しみです☆