前回、仲間の絆を取り戻した一行。

ついに惑星ガレムも出発し、彼らはアストラへと向かいます。
その前に語られる、世界の謎とは一体ー?

感想です☆





「FRIEND-SHIP」#47




※以下、ネタバレあり※










◎あらすじ◎

かつて、地球と呼ばれた惑星があった。
その地球に隕石が落下するということで、そこに住んでいた人々は他の惑星への移住を検討した。

その結果、5千光年の彼方に地球に似た惑星が見つかり、彼らはその星へ移住した。
その惑星の名は、アストラと名付けられたー


シャルスは一つ一つ語った。
そこまでは皆もポリーナから聞いた話だった。
問題は、なぜそんな重要な事実を一行が知らなかったのか・・

それは世界政府の要人数名とヴィクシアの王のみしか知らないことだからだ、とシャルスは言った。
彼によれば、ヴィクシア王政地区はその秘密を守るために造られたようなものだという。
閉鎖的な環境なのもそのためで、城には厳重に過去の遺物が保管されているのだ。

そしてそれらの秘密は、代々の王に受け継がれてきた。
シャルスは記憶の保全に不備があってはいけないからと、ノア王にその事実を教えられたのだという。

それを聞いたアリエスは、世界の秘密とは自分たちが知らない歴史があるということか、と尋ねる。
シャルスはうなづき、歴史が歪曲して伝えられていることを明らかにした。
でもそれは平和のためなんだ・・
彼は語りだす。


移住計画を可能にしたのは、人口ワームホールの存在だった。
直ちに世界樹でワームホールは造られ、地球とアストラを結ぶトンネルは1万以上にもなった。

そしてまず送り込まれたのは、大量の重機と作業用のロボット。
それらは人類の大移動に備えて、急ピッチで開拓をすすめるために用意された。

開拓は順調に進んだ。
手探りで進める訳ではなく、今ある技術をワームホールで持ち込むことができたからだ。
そして開拓が進むと同時に、地球では極秘だった移住計画がついに民衆に知らされることとなった。

計画を知った人類は驚愕し、戸惑った。
そして混乱が起こり、移住先の領地の奪い合いで、世界中が戦争を始めた・・。
ー恐ろしい事実に、皆は息を呑む。

不安が表出したことにより、人類が抱えている問題は一気に噴出することとなった。
人々は争い、たった2ヶ月で人口の半数以上が失われる結果となってしまった。

その戦争を悪化させた原因も、ワームホールだった。
移住作業のために技術を公開したことが裏目になり、ワームホールの技術開発はどんどん進み、小型化も可能となった。
その結果人々は一瞬で別の場所に移動できるようになり、ワームホールはテロや暗殺に使われるようになってしまったのだ。

そんなことのために造ったんじゃないのに・・。
余りの話に、ユンファが目を伏せる。
人類の歴史は、こういうことの繰り返しね・・
ポリーナも呟く。

造ってから震えるのさ、いつもー
シャルスが冷たい声で言う。


その後、戦争で生き残った人々は自分たちの愚かな行為を悔いて、今度こそ平和な世界を築こうと誓い合った。
国の概念を無くし言葉を統一し、宗教と武器を葬り去った。

人類は大規模な引越しで世界をリセットすることで、ようやく本当の平和を手にしたんだー

それを聞いたカナタたちは、ようやく自分たちの歴史に近づいた、と感じる。
それから4年かけて移住は行われ、2067年に地球は隕石の衝突で滅亡した。

アストラではいよいよ全人類総出の開拓が始まり、ワームホールも大いに活用された。
だがそれは最初の数年だけで、その後世界政府が樹立されると、ワームホールは全て永久封印されることが決まった。
平和を維持するためには、絶対条件だったろう・・
ザックはうなづく。

こうして世界を混乱に陥れる可能性のあるワームホールは、テクノロジーごと抹消された。
次世代に伝わらないように、関わった者も全て・・。

その廃棄作業を請け負ったのが、ワームホールの製造も行っていたヴィクス工業ー
後の王家の祖先だった。
彼らはこの功績が称えられ、新天地での統治権を得た。

これが、ヴィクシア王政地区の始まりだー
シャルスはそう話す。

カナタは、シャルスが使ったワームホールはどこから手に入れたのだ、と訊く。
それはヴィクス一族が1つだけ残していたものだった。
1つあればまた研究を再開し、世界を牛耳れると考えたのかは分からない・・
だがヴィクシアが閉鎖環境にあるため、その秘密は守られてきた。

・・ということは、ワームホールの存在は初めからなかったことにされたんだな。
カナタはそう呟くと、眉をひそめる。
おかしいー
彼の言葉に、シャルスもうなづく。
そうだ、重大な問題が残される。

ワームホールの存在が無かったら、移住は不可能になるー

人類、動物、重要文化財ーこれらを運ぶには、宇宙船の往復だけでは到底不可能だ。
ワームホールなしでは、惑星を移住したという説明がどうしてもつかない。
シャルスは言った。

だから、移住そのものをなかったことにしたんだー

その言葉に、皆耳を疑った。
そんなこと不可能だ・・
そう思ったが、シャルスはワームホールを完全に葬るにはそれしかなく、だから政府は嘘の歴史を作ったんだーと話す。

ウルガーが、それはおかしいと立ち上がった。
ゼロから開拓を始めたのに、今の文明になるまでの歴史をごまかすなんて不可能だ。
ザックも、移住完了が2057年というのは無理がある、と異議を唱える。
今は2063年だーたった6年で今の文明レベルまで復活できるわけがない、と。

それを聞いたルカも、確かに・・と頭を悩ます。
どう考えても100年はかかるだろうー
彼がそう言うのを聞いたザックは、はっとした。

そうか、西暦を100年戻したのかー

ザックの言葉に、皆目を見開いた。
驚きに言葉も出ない中、シャルスはそうだ、と答えた。

世界政府ができたのは1963年とされているが、本当は2063年だった。
だがこの時はまだ開拓書記ー
だから彼らは西暦を100年戻して、文明レベルを合わせたのだ。

どうやって?!
そう尋ねる皆に、彼は話す。
政府がそう定め、前の世代がそれを守っただけだーと。

そんなことできるわけないー!!
キトリーは叫ぶが、シャルスは淡々と語る。
でも皆実際に、知らなかったじゃないか、と。

移住の事実を知っているのは、100歳以上の老人のみだ。
その世代はもう数えるほどしか生きていない。
だから今の歴史が、ほぼ全人類の中で正しい歴史になっているのだ・・。

シャルスの説明に、カナタは力が抜けるのを感じた。
ユンファが、1963年といえば第三次世界大戦のあったとされる年だ、と口を開いた。
その歴史も、もしかして・・?
そう尋ねると、シャルスはうなづいた。

そう、第三次世界大戦もねつ造された架空の歴史だーと。
政府は文明を荒野からやり直す状況と、戦後の焼け野原から復興する状況を重ね合わせたかったのだ。
だから実際に起きたキューバ危機を利用して、その後の史実を改変したのだー

彼の説明にポリーナは、だからここが歴史の分岐点だったのか、と納得する。
つまり、アストラには100年前以前の歴史はなかった。
それを政府が無理やり地球の歴史と繋げてきたのだ・・。

もちろん、歴史の改ざんは困難なことだったろうー
シャルスはそう話した。
データの改ざんは出来ても、人々の口をつぐませるのは容易ではない。
・・でも、作られた歴史は順調に伝わっていった。

そこには言語の統一以上に、人々の固い意志があった。
第一世代は、世界をやり直すチャンスを得て、愚かな歴史を清算したいと願った。
だから真実を伝えることを固く禁じ、皆がそれを守った。

全ては平和のため、か・・。
カナタがシャルスの言っていた意味を噛みしめるー


ふと、アリエスが声をあげた。
じゃあ今は本当は2163年ということか?
彼女はそう言い、それじゃポリーナは・・と彼女を見やる。

そこでポリーナも、はっと気が付く。
シャルスが口ごもりながらも、伝える。
そう、ポリーナは112年眠っていたんだ・・

その衝撃は、大きかった。
余りのことに、ポリーナは気絶してしまう。
その介抱で、一旦話は打ち切られるのだった。

その後ー
世界の謎を知った一行は、ぼうっとそのことに思いを馳せた。
参った・・皆、上手く言葉が出てこない。

自分たちの歴史が間違っているなんて、考えもしなかった、と彼らは話す。
大人たちは嘘をついている・・か。
ウルガーが兄の言葉を思い出して呟くと、ユンファがこのことに関しては大人も知らなかったのだ、と話す。

嘘をついていたのは、もっと前の世代の人たちだったのだからー

でもその嘘も、平和の為となると複雑だ・・とキトリーは悩む。
アリエスもうなづき、それこそシャルスと自分たちに違いはなかったのだ、と言う。

そういう風に育ったから、そうなったー

けれども、これからはそれじゃダメなんだと思う、と彼女は皆に話した。
自分の目で世界を見て考えて疑ってー
本当の自分になるとは、そういうことなんだと思うー
彼女の言葉に、皆同意する。

ザックが、次の王は誰になる予定なんだ?とシャルスに尋ねた。
シャルスは大体の目星はついていると話し、その人物こそがセイラの暗殺を企んだのだろう、と答える。

アストラに帰ったら、その悪事も暴きたいー
彼がそう言うと。ウルガーが手伝う、と手をあげる。
俺はジャーナリスト志望だからな。
その言葉に、シャルスは顔を輝かせる。

カナタが、アストラに戻ったら忙しくなるな、と笑った。
色々知ってしまいましたからね・・アリエスがうなづく。

もう知らないじゃ済まされない。
彼らは前を向き、アストラ号が進む先を見つめた。

これからは、真実を自分で掴みに行くのだー




















世界の謎。

今回はシャルスの話から、一行が世界の隠された真実を知る話でした。

偽りの歴史が伝えられていたのは以前にも語られていましたが、今回は更にその奥の真実が明らかになりましたね。
謎だった、移住のことをなぜカナタたちが知らないのかー
その答えが明示されました。


まさか西暦が100年戻されていたとは・・。
これは予想できませんでした。

説明を聞いても、そんなことできるの?って思いましたが・・
戦争で人口の半数が死んだというのがポイントなのでしょうね。

余りに悲惨な戦争を体験した人たちは、平和を願って過去の話を消した。
過ちを犯してようやく、人々の心が1つになったということなのかもしれませんね。

次の世代には平和に生きてほしいと願った世代が、嘘を真実に変えたー
そういうことなのでしょう。


シャルスの言葉が、沁みますね。
作ってから震えるのさ、いつもー

まさに人間の歴史を表した言葉だと思います。

人工ワームホールを武器として使用してしまった人類。
生き延びようという目的のために造ったものだったのに、人の命を多く奪うこととなってしまった・・。

皮肉ですね。
ただ皆、生きたかっただけなのに・・。



で、この先気になるのは、このことをカナタたちは公表するのかどうかですね。

これは難しい問題ですね。
先代の気持ちを思えば、公表しない方がいいのでしょう。
でもそれだと、人々は過去の人の思いも知らずに、だまされ続けることになるんですよね。


うーん、きっとカナタたちは公表する方を選ぶのでしょうね。
アリエスの言葉が、彼らの答えなのでしょう。

ー自分の目で世界を見て、考えて疑って・・
本当の自分になるってきっとそういうことなんだと思います。ー

これが彼らの出した結論であり、この作品を通して作者が語りたかったテーマなのでしょう。

そしてそこを乗り越えて、彼らは新しい人生を歩みだすことになるのです。


知らないでいることは罪ではない。でもそれでは、変われないー
世界が広がっていることを知り、自分にも沢山の道が開けていることを知る。

そうして本当の自分になることが、必要なのだー

作品の中で語られてきたテーマが、まさに収束した瞬間ですね。
いやー、世界の謎と10人がどうつながるのかと思っていたけど、こんな綺麗にまとまるとは!

本当に篠原先生、すごすぎます!!


先代も、自分たちの道を選んだ。
そして今度は、アリエスたちの世代が自分の道を見つけていく番です。

彼らが事実を公表することで、世界はどうなるかー
怖いですが、楽しみでもありますね。


まさにアストラに彼らが戻った日が、新しい世界の始まりですね。
後は戻るだけ!

いよいよ親たちに、世界に、審判が下る番です。
どう問題に収集がつくのか、目が離せませんね。

10人の冒険が終わるのは寂しいですが、最後まで見守りたいと思います。








さて、次回は10人がアストラに降り立つ回でしょうか。

親たち、そしてセイラを殺した犯人が無事に捕まるといいですね。
彼らにはちゃんと罰を受けてもらわねばなりません。

そして帰還した彼らには、どんな世界が待っているのかー
いよいよ終わりが見えてきました。

ラスト、皆が笑って終われるといいですね。

次回も楽しみです☆