前回、筑紫によって笹塚の過去を知った弥子たち。

笹塚の心を捕えて離さないその存在は、やはりXなのかー?!
彼の過去に、何があったのか・・。

感想です☆





犬に爆弾~第30話 「㊙【まるひ】」




※以下、ネタバレあり※










◎あらすじ◎

筑紫(つくし)によって語られた笹塚(ささづか)の過去は、想像を絶するものだった。

家族3人が皆殺し・・?!
驚く弥子(やこ)に、筑紫はうなづく。

笹塚の両親、そして妹は殺された・・。
X(サイ)にー。


Xは、また1つ箱を作っていた。
外からその箱を眺めて、彼はため息をつく。
こいつの中身はとっても平凡だ。俺の正体を明かすヒントは入ってないや・・。

そう呟くと、彼はネウロを思い出す。
やっぱりあいつぐらいの中身を見せてもらわないとー。

そこに、付き人の女性がやってくる。
彼女はXに、今彼が「なっている」リストを見せて言った。

最近「なっていない」人物が半数以上いる。
家族や友人などがその所在を危ぶんでいるので、まずは顔を見せてあげるべきではないかー

そう言われたXは、不服そうに口をとがらせる。
面倒だなぁ、こんなにいたっけ・・。

彼は最近、とみに忘れっぽくなっていた。
どうでもいいと思う記憶は、脳細胞が変異して消してしまうのだ。

誰になって誰を殺したなんて、本来脳細胞に刻み込む価値もないどうでもいいことだよー
静かにそう呟く彼を見て、女性はただうなづく・・。

だがネウロの中身を見たからといって、必ずしもXの正体が分かるとは限らない。
保険のためにも、リストの彼らになっておくことは大切だ・・。
女性はそう諭した。

そこでXは仕方なく、彼女の提案にうなづく。
彼は箱の中の顔をして出ていくから、始末はよろしくーと女性に頼み、部屋を出ていく。
おざなりに怪盗としての責を果たすため、部屋の飾りを持ち去りながら・・。


一方弥子は、筑紫に笹塚の過去について引き続き聞いていた。

元々笹塚と笛吹(うすい)は筑紫の1つ上の大学の先輩で、2人共すごく優秀だったという。
性格には笹塚のほうが少し上だったが、筑紫にとっては2人共雲の上の人だった。

国家公務員採用Ⅰ種試験ー
警察キャリアへの試験を2人が受けると聞いたときも、合格は間違いないと思っていた。

だが・・試験の一週間前に、悲劇は起きた。
笹塚の身に起きた惨劇が、彼の人生を大きく捻じ曲げてしまったのだー。

一週間後、試験会場に笹塚の姿はなかった。
笛吹は怒り電話をかけたが、笹塚からは手ごたえのない返事しかなかった。

そんな彼に、笛吹は自分は警察の中で出世するのだから、お前にはそれを見届ける義務があるーと叫んだ。
それを家族が皆殺しにされたくらいでなんだ・・
そんな言い訳で勝負から逃げるなんて、絶対に俺は認めないぞー!!

笛吹は鼓舞する意味でもキツい言葉を放つが、それが笹塚に響くことはなかったのだった・・。

後日様子を見に行った筑紫も、事件の惨状をまざまざと感じた。
家にはまだ血の匂いが残り、そこに一人佇む笹塚・・。

彼は何か食べないと、と笹塚の体調を気遣ったが、その言葉もどこまで届いているのかは分からなかった・・。

・・その犯人が、X-?
弥子は話を聞き、尋ねた。
筑紫はその可能性がもっとも高い、と告げる。

当時のXは世間に名が知られ始めた頃で、その手口も今よりはるかに荒々しいものだった。
ただ今も昔も変わらないのは、全く手がかりを残さないことー。
いずれにせよ、当時の警察に出来ることは、何もなかったのだ。


その後ー笹塚は1年間、姿を消した。
彼がその間に何をしていたか、語ったことはない。

ただ彼は警察には無い力を欲したようだ、と筑紫は話す。
地下に通じ、怪しげな人脈を持っていると聞いたこともある、とも。

恐らくその力を警察の力と併用すれば、たとえ犯人がどんな世界にいるとしても見つけられると考えたのだろう・・。
筑紫の言葉に、弥子ははっとする。

あの時笹塚が事務所を訪ねてきたのは、Xのことを聞きに来てたのだ・・!!

すると筑紫は、笹塚の妹は弥子くらいの年で、雰囲気も少し似ているーと言った。
弥子を現場から遠ざけようとしたのも、余り危険なところにいさせたくなかったからだろう・・
そう言われ、弥子は笹塚の気持ちを思い、言葉をなくしたー


同じ頃、笛吹と笹塚は2人で話をしていた。
笹塚は事件を解決したのは自分ではなく、探偵の2人だーと笛吹に明かす。

2人がどんなやり方で事件を解くのかは分からない。でも適当に目をつぶって事件が解決するなら、それでもいいと思ったのだー
彼はそう語った。

だから彼らの素性を疑う気持ちも分かるが、手柄に免じて泳がせてやることはできないか?
そう言われ、笛吹は眉をひそめる。
なるほどな、安い手柄を差し出すことで、違法捜査を見逃せということか・・。

と、そこに弥子たちがやってくる。
筑紫に事情を聞いた彼女は、おずおずと口を開く・・
この前Xと会いました。知っている限りのあいつの情報を、後で話します・・。

それを見た笛吹は、背を向ける。
それがお前のやり方か・・。
汚れた手を使って、汚れたものを片付けるー
それが私との勝負を逃げてまで、お前が見つけたやり方か!!

そう叫ぶと、彼はヒステリアの手に手錠をかけた。
今回限りだ!!
千歩譲って、お前の汚い手柄を借りてやる。だがこれは借りという名の貸しだからな!!

そもそも自分は探偵と関わるつもりなどない。
Xについても、自分で聞いて報告しろー
その言葉の意味に気付いた笹塚は、ありがとう・・と礼を言う。

そうして、笛吹は筑紫と共にヒステリアを連れ、現場を去って行くのだったー。


その後、Xの情報については後日・・ということで、笹塚とも別れることとなった。
これからもヤバすぎる事件には首を突っ込むなよー
そう注意され、弥子は元気よくうなづく。

ふと、彼女はエレベーターに乗っていた3人の女性に気付く。
あの裕福そうな女性は、なぜか自転車で帰ろうとしている・・
そのことを指摘すると、女性は誰がセレブ?と笑った。

彼女はセレブっぽく振る舞っただけで、実際は自転車操業の身なのだという。
そのまま黙っていたほうが変な疑いがかからないと思って、と笑うと、彼女は自転車で勢いよくその場を去っていくのだった。

また女子高生の方は、真面目な見た目から一転、ギャルっぽい姿に変わっていた。
なんでも学校が厳しいから優等生風を装っていたのだという。
彼女もクラブに行く、と服も着替えて歩いていくのだった。

そしてー殺された被害者の恋人だった女性は、スケジュール管理に忙しい、と慌てていた。
彼女の手帳には、びっしりと男性の名前が書きこまれている・・。

聞けば彼女には常に10人以上恋人がいて、被害者ともちょうど別れようと思っていたところだったのだという。
悲劇の女を気取っていたほうが都合が良かったから・・
そうあっけらかんと話すと、彼女はデートに向かっていくのだった・・。

最後にーヒステリアの旦那が、赤ん坊を引き取りに来ているのを弥子は見た。
彼は自分の妻が犯人だと聞いても顔色も変えず、面会に行くからいいよ、と話す。
自分は子供たちがいれば満足なんだー

そう笑う姿を見た弥子は、皆のほうがよっぽどヒステリアより上手くブッちゃけてるじゃん!!と思わず突っ込む。

だがそうかと思えば、笹塚のように自分のために人のために、決して本音を見せないように生きている人もいるー

難しいね、人間って・・。
彼女はそう呟くと、もっと人を知りたいなーと思うのだった。




















笹塚の過去。


今回は弥子たちが笹塚の過去を知り、ヒステリア事件が幕を閉じる回でした。


笹塚の事件は、家族皆が被害にあっていたのですね・・。
妹だけかと思っていたら、両親も・・。

彼は一夜にして、家族を皆失ったのですね。
そのことが彼の人生をゆがめてしまい、笛吹との確執も生んでしまったー
なんとも切ない回でした。


笛吹の気持ちも分かりますよ。
笹塚がどんな状況にいるかもわかる。落ち込むのだって十分理解できる。

でも、自分の道を閉ざしてしまったことが悔しくてならないのですよね。
それを犯人が分からない中では、犯人にぶつけることもできない・・。
だから怒りが、笹塚に向かってしまったのでしょう。

あわよくば笹塚が奮起してくれることも望んでいたのでしょうね。
でも笹塚の心の傷は、到底そんなことでは癒えるものではなかった・・

結局笹塚だけでなく、笛吹もまたXに運命を翻弄されてしまったということなのでしょうね。
X・・今回も少し出てきましたが、本当に恐ろしい人物です。

自分のためなら、誰が死のうがそんなことはどうでもいいーと本心で思っているのですからね。
彼に人生を壊された人の数を思うと、いくら可愛い見た目でも許してはいけないな、と感じます。

やっぱりXはネウロにとってのラスボスという立ち位置になるんでしょうかね。
新たに笹塚の件が加わって、より彼らの因縁も深くなったと思います。


再び交わるとき、どちらが先に謎に行きつくのかー
目が離せませんね!





さて、後は今回でヒステリア編が終わりでした。

面白かったのは、ヒステリア以外の人物のブッちゃけ。
きっちりオチがついていて、最高でした!!


でも・・ちょっと怖いですよね。実際に皆がああやってブッちゃけてたら。
旦那さんなんて、ちょっと狂気感じましたよw子供がいればいいなんて・・

結局タイミングが重要であって、抑え込むのは良くないってことなんでしょうねー・・。
ヒステリアもなかなかインパクトある犯人でしたが、一番人間としては共感できる主張を持っていたと思います。


オチまできっちりついて、本当に面白い事件でした!
Xを出した後もこれだけ盛り上げられるのは、まさに作者の力量があるからですね!!


この調子で、次の事件も楽しみにしたいと思います!!










というわけで、次回からは新たな謎を追う回ですね。

警察との絡みも一旦落ち着いたし、次回はあかねちゃんや吾代が絡んでくる感じですかね。

弥子も、人を知りたいという感情がどんどん強くなってきていて、頼もしいですね。
一体どんな謎が、2人を待ち受けているのでしょうかー。


次回も楽しみです☆