前回、ネウロに続き、倒れた笹塚。
警察の到着までは、まだ時間がかかります・・。

Xの脅威を前に、弥子たちは突破口を見出すことができるのでしょうかー?!
そしてネウロの容態は果たして?!

感想です☆






細胞から愛をこめて~第57話 「X【しっぱい】」





※以下、ネタバレあり※










 






◎あらすじ◎

X(サイ)の凶行に、警察までもが現場から逃げ出した。
弥子(やこ)は倒れたネウロと笹塚(ささづか)を見て、体がすくみ上るのを感じる。

Xが次に狙うのはネウロだ。
彼はさっき、ネウロは死んだと言っていた。
でもネウロが死ぬなんてありえない!!
今までどんな攻撃を受けても、ネウロは無傷だったのだから・・

その時ーネウロの体が動く。
彼は作品にもたれかかったまま、深く息をついた。
その体は、血だらけだ・・
弥子は思わず青ざめた。

それに気づいたXは、やっぱり殺せなかったか・・と笑う。
彼はネウロが一茂(かずしげ)を投げ飛ばし、ガラクタの破片を飛ばしたのに気づいていた。
だが、ネウロがそのガラクタを使って自分の攻撃に備えたことまでは気づかなかったのだ。

ネウロにできる隙は一瞬ー
Xが誰に化けているか分からなくても攻撃が来る方向は大体分かっていた彼は、その攻撃に合わせて自分の急所に障害物を配置した・・。
そうすれば最悪の型での、攻撃の直撃は免れるからだー

現に、流れ弾を喰らった一茂(かずしげ)は死亡していた。
弥子はその説明を聞きながらも、信じられない思いでいた。
今まで、こんなにも傷ついたネウロを見たことはなかったのだ・・。

この後、Xはネウロを殺しに行くだろう。
傷ついたネウロに、その攻撃を防ぐことはできるのだろうかー?!

ーそこで、弥子はXに声をかけた。
怖いけど、自分が何とかすべきだ・・彼女は拳を握りしめ、冷静を装ってXに対峙する。
警察が来るまで、時間を稼がないと!!

ちょっと質問してもいいー?

そう問うと、Xは冷たい表情で弥子を見た。
何?俺、今忙しいんだけどな・・。

だが彼は弥子の姿を一度借りたことを思い出し、その時の礼ということで答えてあげるか・・と息をつく。
そこで弥子は像を指さし、訊いた。

どうしてこの最後の自分像を盗もうと思ったのかー?
この像のどこに、価値を見出したのだ?

するとXは、簡単なことだよ・・とほほ笑んだ。
彼は塔湖(とうご)の作品には、憎悪がこめられていることを話した。

美術品の価値を決める大きな要素の1つに、製作者の感情の強さがある。
その感情に共鳴する人間が多いほど、大きな感情が生み出されるのだ・・。

そしてその感情は、Xの正体を探すヒントにもなる。
自分が誰の感情に共鳴するか・・それで自分という性質が分かるのだ。

Xが塔湖に共鳴したのは、憎悪の感情だった。
彼の全盛期の作品には、他人を一切信じない男の世界に対する憎悪が満ちていて、それは素晴らしかった・・と彼は語る。

そんな塔湖と共鳴するということは、自分の正体の多くは憎しみで占められている。
それが分かるだけでも、自分は少し安心できたんだ・・。
像を撫でながら、Xは言った。

だが結婚を境に、塔湖の作品はどんどん評価を失っていった。
Xはそれを最初、塔湖の感情が単に鈍ったのかと思っていた。
次々と不要な家族が増えるなかで、憎悪は行き場を無くしてしまったのかと・・。

でも・・違ったー?
不意に、弥子が口を開いた。
彼女は思わず、自分の思いを口にしてしまう。

もっと強い感情が、塔湖には満ちていた・・?

その言葉に、Xは目を見開く。
彼は分かってるじゃん・・!と感心し、その通りだ、とうなづいた。

最後の自分像には、流れがある。
その流れは表面の荒れたボロボロの片方の一体から、小綺麗な一体に生命力を移している。
そしてその流れは最終的に、美しく整えられた球体へと収束しているのだー

Xはそれを見て、塔湖の考えが手に取るように分かる、と言った。
表面上は気遣うふりをして、塔湖の才能の産物である金だけを吸い取っていく家族。
そんな家族を憎みながらも、彼の中では1つの感情が育っていく・・

弥子ははっとして、由香(ゆか)を見やった。
彼女はXへの恐怖に、震えたままだ・・。

Xは、像が未完成だと言われるのは粘土細工の工程で止まっているからだ、と話した。
だがこの像はどう考えても、もう完成している・・。
つまり、塔湖はわざと粘土の段階で作業を終えたんだー

なぜか分かるか?彼は訊いた。
粘土のままにすれば、必然的に強度は弱くなる。
特に、作者の感情を一番感じる球体部分なんて芯も繊維も入っていないから、いずれは壊れてしまうだろう・・

実は、Xは以前闇に出回っていた商品を欲しかった時期があった。
だがその品は塔湖に売られ、その後行方が分からなくなってしまったのだ・・。
さっき言ったこととこのことを照らし合わせれば、自ずと答えは出るー

Xは、勢いよく球体部分を殴った。
最後の自分像は音を立てて、崩れてゆく・・。

塔湖の作品が世間から評価されなくなったのは、感情が弱くなったからではない。
大多数に向けられていた感情のベクトルが、たった1人に向けられるようになったからだ・・。
Xはそう言いながら、壊れた像の中からあるものを探り当てるー

それは、1億円相当の虹珊瑚のネックレスだった。
彼は、これは塔湖が由香に宛てたものだーと彼女に近づく。
その気配を感じた由香は、びくっと身を震わせた。

そんな由香に、Xは言って聞かせる。
塔湖が他の家族を警戒して、由香にこれを遺したことを。
そしてそんな感情のこもったものは、自分はいらないーと彼は由香にネックレスを差し出す。

これにこもった感情は、あんた達親子だけに共鳴する感情だから・・。
彼はそう言うと、ネックレスを大切にするように由香に告げる。
もし由香が親のことを忘れたら、それは由香が自分と同じになったということだ・・。

その時は遠慮しない。あんたを殺して、こいつをもらいにいくよー
そう語るXの目が、怪しく光る。
由香は震えながら、なんで・・と呟いた。

その問いに、面倒そうにXは息をつく・・。
その時、ようやく到着した警察が、一気に屋敷へと流れ込んできた。

それを見たXは、肝心なことができなかった、と膨れる。
それから彼は、ネウロに声をかけた。

今から延長戦をしよう。こんな別れ方じゃ、互いに消化不良でしょー

彼はそう言うと、窓から身を投げ出す。
最後に弥子に、由香の分かっていないことを説明してあげて・・と言いながら。


その後、警察をいとも簡単に撒いて、Xは屋敷を後にした。
弥子はその一部始終を見ながら、改めて自分はXのことを何一つ捕えることができなかった・・と感じる。

そして、弥子は気づいた。
ネウロがーいなくなっているのだ。

恐らくXを追いかけたのだろう・・。
弥子は彼の怪我を思い、不安に包まれるのだったー。




















親子を繋ぐ感情。

今回は弥子がXに質問を投げ、Xが最後の自分像にこめられた思いを明かす回でした。


弥子グッジョブ!!
やっぱり彼女なら、やってくれると思ってましたよ!!

Xに質問を投げ、足止めすることに成功した弥子。
いや、途中からは彼女もXの解説に夢中になっていたのかもしれませんね。


何にせよ、あの質問を繰り出しXを感心させられたのは、弥子の鋭い洞察力があったから!!
見事ネウロの期待に応えたと思いますよ!!

本当、弥子はすごい!!



そして、Xの観察力にも今回は唸らされました。

さすが常日頃から人の正体を観察しているだけあって、芸術家の心も彼にはお見通しなのですね。
塔湖の気持ちをあそこまで第三者が語れるのは、まさに才能のなすべき力だと思いました。


塔湖の作品に変化が生じた過程は、アヤに通じるものがありましたね。
やっぱり芸術を崇高なものにするには、自身を孤独に追いやる必要があるものなのでしょうか・・。

アヤも塔湖も、そういう意味では芸術に翻弄された人たちですね。
本当の愛を知れたことは良かったのだろうけど、結末が切なすぎるなぁ・・。

アヤは愛する人を殺してしまったけど、塔湖は由香に思いを遺していきました・・。
その思いを、次回は弥子が由香に伝えるのでしょうね。

自身の口で告げることは叶わなかったけど、きっとその思いは由香に届くでしょう・・。
塔湖、見た目は不気味だったけど切なくて素敵な人物だったなぁと思います。

家族の冥福を、祈ります・・。




で、Xですが、なかなか人間らしいところもあるなぁと今回を見て感じました。
由香にネックレスを渡したり、律儀に塔湖の思いを代弁したり・・

やっぱりそこは、興味をもって人と接するからなのでしょうね。
ネウロとは少し異なる部分だと思いました。

ネウロも人に少しずつ興味を示してはいるけど、Xには到底及びませんね。
そこが今後、彼のウィークポイントとして目立つことになりそう。

そのために弥子がいるのでしょうが、そうなるとXの真の敵は弥子なのでは?とも思ったり・・。
心理的な面では、Xも今回のことで弥子に一目置きそうですしね。


なんだか今回の話で、少し風向きが変わったように感じます。

Xのネウロへの興味はもちろん薄れないでしょうが、弥子への興味も持ち始めそうじゃないですか?
怖いなー・・化け物に目をつけられるほど、怖いことないですよね。

まずはネウロとの戦いですが、いずれは2人でXと対峙することになりそうな予感。
その時、Xの正体も明らかとなるのかもしれないですね。

いよいよ弥子も巻き込まれていってしまうのでしょうか・・。
Xとの関係、まだまだ見逃せないですね。





最後に、ネウロについて。

やっぱりかなり傷ついていたネウロ。
Xの攻撃をよける手段も、なんだか魔人らしくなくて心配になりました。

もしかして、魔力を使えないくらい弱っている・・?


こんな状態で、Xとの延長戦なんて果たして大丈夫なのでしょうか。
恐らくアイも控えているでしょうし、ネウロには分が悪すぎますよね。

まぁ易々と負けはしないとは思いますが、それでも勝つイメージも今回はできない・・。

2人の戦い、一体どうなるのかー・・
次回を待ちたいと思います。。










というわけで、次回はいよいよネウロとXの一騎打ちですね!

今回の物語もいよいよ佳境!
ネウロとXの戦いの決着は、どのような形となるのでしょうかー。

次回も楽しみです☆