前回、本城のメッセージに気付いた弥子。
彼女はアヤと共に、本城の家へと向かいます!!

一方葛西への攻撃を続ける警察。
負けを悟った葛西は幕引きを自ら行い、決着を謀りますー!!
戦いの結末はいかに?!

感想です☆




出会えて~第186話 「帰【かえる】」




※以下、ネタバレあり※










◎あらすじ◎

ビルの大規模な爆発で、刑事たちもまた怪我を負った。
笛吹(うすい)は直ちに全員に退避を命じ、怪我人を連れてビルを離れるように言い渡す。

だが葛西(かさい)の生死が確認できていない・・。
彼が逃げたことを知った筑紫(つくし)はそう進言するが、笛吹は当面の脅威は取り除かれたと見るべきだ、とそれを制する。

下手に探せば、ビルの崩壊に巻き込まれる。
作戦はこれで終わりではないのだから、今は刑事たちを無駄死にさせるわけにはいかないー!!
笛吹は断固とした口調で、そう言い放つのだった。


ーそんな中、ビルの中に逃げた葛西は痛む体を抑え、床に横になっていた。
彼は自分が死に近づいていることを悟りながらも、尚自身の美徳を捨てることができなかった。

人間の限界を超えないことー
それを美学にしてきた彼は、他の血族が強化細胞を移植したり新しい名を名乗ったりしても、決してそれには迎合しなかった。
彼は人間として、シックスより長く生きることに意義があるーそう信じてきたのだ。

悪いな・・お前らの望んだ理想郷作りは手伝ってやれそうにない・・。
彼は五本指の仲間たちの顔を思い浮かべ、そう自嘲する。
だが・・奴に会う前の俺と会った後の俺は、同じ人間でも別人だったよー

ー葛西は、若い頃から常に死に場所を探していた。
やりたいことをやった後は、あっさりと燃え尽きることのできる犯罪者の花道を、彼は模索していたのだ。

だが・・そんな彼の前に、あの男は現れた。
ー生きる喜びを教えてあげよう。

そう言って葛西が放った炎の中から現れた男は、彼の額に手を置いた。
その瞬間ー葛西の額は灼け、彼は味わったことのないような高揚感を味わった。

死にたくない・・。
彼は生まれて初めて、心から生きたいと感じたのだー。

プライド、トラウマ、そして恐怖。
シックスの悪魔の魅力は、心の隙間に巧みに入り込む。
そうやって彼は、何人もの人間を化け物レベルで変化させてきた。

葛西は思う。
シックスとネウロは、対局の存在だ、と。
だがどちらも、人間の進化を促す存在だーと。

ネウロは人間の進化を促し、シックスはⅪの進化を促した。
どっちが育てた人間が勝つかーそれはそのまま、2人の勝敗を決めるだろう・・。
彼は自分が見られないだろう未来を思い、苦笑した。

見届けたかったが、自分はここで退場だ。
最後に一服して死ぬか・・。
そう呟くと、彼は煙草を咥えマッチを探した。

だがマッチは落としたようで、見当たらなかった。
葛西は舌打ちをするが、その時ー彼は天井にひびが入ったことに気付く。
1つひびが入ると、炎で脆くなった壁は一気に崩れ落ちる・・。
その奥に火の手が上がっているのを見た彼は、笑った。

火火火、悪いなー
煙草の火を求めた彼の上に、炎で燃えたがれきが落下する・・。
ーそれが、葛西善二郎(かさいぜんじろう)の最期だったー。


本城(ほんじょう)が住んでいた川辺ー
そこに建てられた段ボールハウスの中で、弥子(やこ)とアヤは彼の手紙を見つけて読んだ。

―桂木弥子(かつらぎやこ)へ。
お前がこれを発見し読んでいるということは、既にお前が私の正体を見抜き、私は自ら命を絶っているということだろう・・。

彼の手紙には笹塚(ささづか)を罠にかけたことへの謝罪と、ネウロたちが求めている情報ー
すなわちシックスの不利となる情報が記されていた。

ー生きている間、私はあのお方への忠誠心を手放せない。あのお方のために、死なねばならん。
だが死んだ今・・やっと私は全てから解き放たれる。

だから最後に、私はお前にこの情報を残そうと思う。
素晴らしき友人であるお前にー

本城は、弥子との出会いに心から感謝していた。
呪われた人生の最期に、気の合う友人と出会い楽しい時間を過ごせたこと・・
それは彼にとって、あり得ないほどの奇跡だったのだ。

ーこの情報はその奇跡への敬意である。これで許してくれとは思わない。
だが・・ありがとう。
手紙は、そう締めくくられていた。

弥子は何度も文面を読み返し、本城の託した思いを感じた。
アヤはその姿を見て、この人もちゃんと残していたわね・・とほほ笑む。
彼女は安心したーと息をつき、立ち上がる。

さて・・私も戻ろうかな。
それを聞いた弥子は、驚き問う。
まさか、このためだけに脱獄してきたのか・・?!と。
それにーどうして自分が悩んでいることを知っていたのだ?と。

するとーアヤは笑って答えた。
ネウロが自分の歌を聞きにきたのだ・・と。

彼は突然現れて、歌えとアヤに命じた。
不思議に思ったアヤが、自分の歌は人間の脳は揺らせてもネウロの脳は揺らせないだろうと注意しても、彼はただ歌うように彼女に言ったのだった。

そこでーアヤは歌った。
ネウロはそれを暫く聞き、目をつぶっていたが・・やがて首を振った。
もういい。やはり分からんな、人間は・・。

彼はそう一言だけ言うと、そのまま出ていってしまった。
だがアヤは、それだけで十分に理解したのだ。
弥子とネウロの間に、とても深い亀裂が生まれたことを・・。

そして、ネウロもまた弥子や人間のことを理解しようとしていたこともー。

その言葉に、弥子は目を見張る。
アヤは優しく、弥子にネウロの元に帰るように言った。

種族の違いは、時に理解の邪魔をするかもしれない。
でも2人は最高の相棒だと信じてるー
彼女はそう言い、それを伝えるために脱獄してきたのだ・・と明かした。

だがそれだけのために、アヤの刑期は伸びてしまうー!!
弥子は心配するが、アヤはなんてことない、と笑う。
大切な友達のためには、何かをしてあげる価値があるー
私もホームレスさんも同じよ。

そうほほ笑む彼女に、弥子の瞳からは涙があふれ出た。
後は帰るべきところに帰るだけ。それはあなたも同じよ、探偵さん。

弥子はアヤの胸に飛びついて、泣いた。
彼女は心の底から思った。
この人と出会えて、皆と出会えて本当に良かったーと。


その後タクシーで刑務所に戻るアヤを見送ると、弥子は気合を入れて顔を上げた。
事務所へ帰らなきゃ。やらなければいけないことが、山ほどある。

彼女はそう思いながら、恐ろしいほどの恐怖もまた感じていた。
だけど・・ここからが最大の試練かもしれないー・・。
弥子の胸には、怒りに満ちたネウロの顔が思い浮かぶ。

あそこまで怒らせてしまったネウロに、どうやって許しを乞おうかー!!
今、弥子の目の前には、最大の難関と思われる試練が口を開けて待っているのだった・・。

 


















人間の進化。


今回は葛西戦の終わりと、弥子が本城の情報を得てネウロの元へ帰ることを決意した回でした。
なんだか問題解決の回だったからか、いつもより心穏やかに見ることができました・・。
今巻は刺激が強すぎたよ・・w



まずは葛西戦の終幕から。

捨て身の攻撃を仕掛けた葛西でしたが、これは人命を減らすことを目的としていた・・というよりは、一人で死ぬために逃げようと考えたようですね。
確かに警察に捕まるより1人孤独に死を迎えるほうが、血族らしいし何より葛西らしいです。

彼のことは、松井先生きっと大好きなのでしょうね。
私も葛西好きですが、本当どんな所作においてもおじさんくさいのに粋な人物に描かれていてずるいw
これで好きにならない人、いないんじゃないかなぁ。

前回も少し触れましたが、血族なのに人間臭さも持ち合わせているんですよね。
今回、名前の件や強化細胞の件にも触れていましたが、なるほど、彼には美学があるのかー・・。

人間としての知恵と工夫で生き抜いて、シックスよりも長生きして世界の結末を見たいー。
・・いや、でもそれって血族らしくないですよね。
この矜持の持ち主で、本当よくシックスの横にいたよ・・とある意味感心しました。

残念ながらその願いは叶いませんでしたが、それでも人間でい続けた彼は、ヴァイジャヤよりはよっぽど幸せな最期だったんではないかなぁ。
自分を捨てずに、死に場所をちゃんと見付けられたのだからー。

シックスに憧れる気持ちは皆と同じでしたが、どこか他の血族とは決定的に違った葛西・・。
最期の幕引きも彼らしく、見事だったと思います。
笛吹たちも本当にお疲れ様でした!!




それにしても、今回の葛西の言葉にはなるほど・・と思わせられるものが幾つかありました。
シックスがどうやって人の心に取り入るかー
これは本城が魅入られた説明にもなっていて、非常に興味深かったです。
やっぱり悪のオーラであっても、あまりに強いオーラには人は惹かれ、抗えないものなんですね。。

後はシックスとネウロの対比も面白かったです。
というより、これってやっぱり弥子とⅪが戦う伏線となってますよね?!

以前からネウロVS.シックスであるなら、弥子VS.Ⅺになるのではないか・・と予想してきましたが、いよいよこの予想が現実味を帯びてきました。

人の脳から情報を全て読み取ってしまうⅪと、人の気持ちを推し量ることで人をより深く知ろうとする弥子・・。
その性質を見れば、Ⅺが戦うべき相手がネウロではないのははっきりしていますもんね。

葛西によれば、どっちが育てた人間が勝つかーそれによって、ネウロとシックスの勝敗も決まってくるだろう、とのこと。
これは昂ぶる展開ですね。個人的には弥子を推すし、実際弥子とネウロの絆の方が強いから、Ⅺを抑えてくれるのではないかと思っています。

Xに反発する心があったのかは分かりませんが、彼は一度シックスの元を離れ、自我を探しています。
それを連れ戻されて再教育を受けたので、今はシックスの手駒のようになっていますが・・正直それがいつまで持つかは分かりませんよね。
2人の関係は、支配関係でしか成り立っていない脆いものだと感じられます。

対する弥子とネウロの絆は、何度も苦境を乗り越え今回のように喧嘩をすることで、どんどん深まってきています。
警察がネウロの姿に学び血族を打ち破ったように、弥子にだって血族を打ち破る力は備わってきていると見ていいでしょう。

そうやって両者の成長具合を見ると、弥子に勝機があるのではーと思わせられるんですよね!
おまけに彼女にはXと関わった過去もあります。
アイのことを知る彼女と対峙したとき、Ⅺは何を思うのでしょうね・・。

五本指戦が終わったので、いよいよ次はシックスとⅪとの最終決戦が待っています。
弥子がⅪと戦う日も、近いでしょう。
それまでにネウロと仲直りし、対策を講じられるといいなと思います。

きっと弥子なら、Ⅺに勝てるー!!
そんな希望を感じさせられた展開でした。






さて、後は弥子とアヤについて。

本城邸で見つかった手紙は、やっぱりシックスに関する情報が載っていましたね。
恐らく彼の居場所か・・と思うのですが、もしかして弱点が記述されている?
でもシックスに弱点なんてないかな・・(^^;)

本城はずっと葛藤を続けてきたのですね。
シックスへの抗えない尊敬と崇拝の気持ち、でも娘を奪われたことによる絶望と怒りの気持ちー
そんなものを抱えて1人生きてきた日々は、彼にとってどんなものだったのでしょうね。

地獄のような中を生きてきたのかと思うと、やりきれないものがあります。。


そんな中、弥子という友人と出会えたー
この辺の文章は、涙ぐんでしまいました。
本城の本心が詰まっていて、彼が最期の瞬間まで幸せだったことが伺えたからです。

笹塚同様、彼もまた弥子に刹那の面影を見て、束の間の家族の幸せな記憶に浸れたのではないかなーと思います。
辛い人生の最期に、そんな時間があって良かった・・。
彼のしたことは許せませんが、彼もまたシックスの犠牲者であったことを思うと、素直にそう感じました。

そしてー弥子が皆に愛されていることを確認したアヤは、刑務所へと戻りました。
ここの一連の会話も、泣けました・・。
今回は本当に良い話だった!!キャラたちの魅力があふれていて・・本当に名作ですよ、ネウロは!!

大切な人のためには、何かをしてあげる価値があるー。
アヤの言葉は、この作品の根幹を流れていると思います。

皆が苦境に身を投じながらも、それでも大事な人のためには全てを投げ出してでも助けに行く・・。
血族編に入ってからは、ずっとそういう姿を私たちは見てきました。
その流れは笹塚や本城が亡くなった後でも脈々と受け継がれ、次の世代の人間の力となるのでしょうー。

笹塚も本城もアヤも、そしてネウロも・・皆が弥子のことを大事に思っているのが伝わってきましたね。
それは弥子が皆を大事にしてきたからに他ならなくて、弥子がそれを知っている人物だからこそ皆は彼女に委ねてきたのですよね。

出会わなければ良かったーそんな言葉、弥子はもう2度と使わないでしょう。
だって出会ったからこそ、今の彼女がいるのですから。

皆と知り合う前とは確実に違う弥子の姿ー
本人は気付いていないかもしれませんが、弥子は確実に成長しています。
それは様々な人と出会い、その出会いを大事にしてきたからにほかなりません。

最終決戦の前にこういう時間があって良かった。
今となっては、本当にそう感じます。
弥子の心が救われ、新たに前を向けるようになるには必要な道筋だったでしょう。

次回、ちゃんと仲直りできると信じています!
確かにネウロのお仕置きは怖いけど・・弥子なら耐えられるはず!!
いつもの2人の姿が見られることを、期待しています!!




さて、後少し・・。
個人的には、今回ネウロがアヤを訪ねていたシーンにもぐっと来ました。

彼もまた魔人なりに、人間を理解しようとしているのですよね。
でも理解できない・・そんなもどかしさを感じ、ますますネウロが好きになってしまいましたよ!!

きっと彼にとっても、弥子との訣別は重かったしショックだったのだろうなー・・と思います。
新しい奴隷を探すとか強がっていたけど、内心どれだけ落ち込んでいたのかと思うと・・ああ、愛おしいw

そこでアヤのところに行くというのも、弥子のことをよく理解している証拠ですよね。
彼女が落ち込んだときにいつもアヤの元へ出向いていることを知っているから、彼女の気持ちに寄り添ってみようとしたのでしょう・・。

なんだかネウロも本当変わったなぁ。いい方向に成長したのだと思います。

この2人なら、この先も何があってももう大丈夫でしょう。
いつのまにか強固になっていた絆・・
きっとその絆は、ネウロが究極の謎を見つけた後でも続くのだと今は確信できます。

次回、ネウロも意地を張らずに弥子を許してくれるだろうと信じています。
っていうかどっちが悪いとかいう問題じゃないんだから、円満仲直りでお願いします!!w

2人で笑い合う姿、きっと見られると楽しみにしています!!









さて、次回は弥子とネウロの仲直りの回ですね。

大切な人たちの死・・というショッキングな出来事を乗り越えて、再び前に進もうと決意した弥子。
そして人間の気持ちを知ろうと努力していたネウロ。
2人はやっぱり一緒にいなければいけません!!

いよいよ最終決戦も目前。
葛西の死を受けて、シックスも動き出すことでしょう。
その前に今一度、魔人と人間が互いの手を取り合えること、信じています!!


次回も楽しみです☆