前回、自我を取り戻し、シックスへの一撃を加えたX。
シックスの前に倒れるも、彼は復讐を果たしたのでしたー。

一方戦闘機で脱出しようとするシックスを追うネウロ。
最終戦の舞台は、空中ー!!
種族の命運を賭けた戦いが、今幕を開きます!!

感想です☆





それぞれの決戦~第196話 「泣【なかせる】」





※以下、ネタバレあり※










◎あらすじ◎

戦闘機の頭上で、音が響いた。
シックスは目を見張り、まさか・・とカメラを起動するように操縦者に命じる。

カメラには、ネウロの姿が映っていた。
撮影されていることを理解している彼は、シックスを挑発する。
出てこいシックス。我が輩が待ち望んだのは、この状態だ。

絶対に逃げ場のない高度3000m・・ここを貴様の墓場にしよう。
その言葉を受け、シックスは立ち上がるー。


その頃、弥子(やこ)は飛び立っていったネウロの無事を祈っていた。

彼は魔力電池を全て消費して行った。
だがそれを使っても、傷はほとんど治っていなかった・・。
ネウロはその様子を弥子に見せると、言ったのだ。
これは自分が地上で活動を継続させることそのものが、困難になったことを意味している・・と。

だがそれでも今ー奴に止めを刺さなければいけない。
ネウロは空に目を向けて、話した。
ここで奴に逃げられたら、打つ手はない・・。

彼は嫌というほど、理解してきていた。
シックスが存在するだけで、時間と共に人間の数が減り続けることを。
だから自分の食糧確保のためには、今断ち切らなければならないのだー。

ネウロは様子を見に来た吾代(ごだい)と弥子を見つめ、2人に告げる。
我が輩のためによく働いた、人間共。後は我が輩が、貴様らのシック(病気)を治してやるー。
そう言って、彼は飛び立っていったのだった・・。

ー弥子には、ただその姿を見守ることしかできなかった。
彼女には、ここから先は自分にできることは一切ないと分かっていた。
シックスとの戦いは、ネウロにしか届かない領域なのだ・・。

その歯がゆさに胸を痛めていると、足元でX(サイ)が呻いたのに弥子は気付いた。
彼は起き上がろうとするが、もうほとんど体を動かすことができなかった・・。
弥子と吾代は目を合わせ、目で会話した。
弥子がうなづき、Xに近づくー

するとXは、自嘲気味に笑った。
結局最後まで、ネウロを倒せなかった・・。
そう語る彼に、ネウロは化け物だから仕方ない―と弥子は応える。

それを聞いたXは大きく息をつくと、側にあった岩に身を預けた。
しかもあんたなんかに自分の正体を気付かされるなんて、世界中を恐れさせた怪盗Xも堕ちたもんだー。
その姿を見つめながら、弥子は思う・・。

私は何もしていない。
確かにXの正体を取り戻すのは、ネウロが自分に与えた最大の試練だった。
けれども自分はただXに、記憶を見せただけだ。それを拾い集めて自分の正体を選んだのは、X自身だったのだからー。

その時、弥子ははっとした。
Xの瞳に涙があふれ、頬を伝ったのだー。
違うな・・怪盗Xは、あの日シックスにアイを殺されたときに、死んでいたんだ・・。
彼はそう弥子に話した。

言葉無しでもネウロと話せたあんたなら分かるだろう?自分とアイも、互いがなくてはならない存在だった。
姿を失くした生物兵器と国を失くしたテロリストは、足りないものを補い合って2人で1人の犯罪者だったんだから・・。

そう言って泣くXに、弥子はどう言葉をかけるか迷う。
すると彼は泣き止み、泣かないのかーとがっかりしたように言うので、弥子は思わずずっこけた。

泣かそうとしていたのか・・。
彼女は苦笑しながら、ネウロと約束したからもうメソメソ泣かないと決めたのだ、とXに笑みを見せた。
それを聞いたXは、またネウロか!と機嫌を損ねてぷいと横を向く。

彼はそれからー弥子をじっと見つめた。
・・悔しいな、このままただのガキに負けるっていうのは。それはネウロに負けるということだ・・。
そう考えた彼は、最後の攻撃を弥子に試みる。
悔しいから、何が何でも泣かせてやるよ・・。

そしてXは最後の力を振り絞って、細胞を変異させた。
Ⅺ(イレブン)のときに観察した弥子の脳内を思い出し、最後に変身する姿・・。
それは正真正銘の、こいつ自身だー
その姿に、吾代ははっと息を呑んだ。

一方弥子は・・その姿を見て、涙を流した。
ずるい、ずるいよ、こんなの。そのものじゃん・・。

ー彼女の前には、笹塚(ささづか)がいた。
彼は弥子の頬に手を伸ばすと、いつもの調子で名前を呼ぶ。

弥子ちゃん、悪かったな。俺のせいで辛い思いさせちまって。
でも・・俺自身は何も後悔していないよ。
会えて良かった。ありがとうー

その手は頭に伸び、弥子の髪を優しく撫でた。
弥子ちゃんの食いっぷりとか、見ていて飽きなかったよ。
俺が入院した時とか覚えてる?
思い出を口にする笹塚に、弥子は泣きながら何度もうなづく。

そしてー彼女は笹塚に抱き着いて泣いた。
大声で、今まで我慢していたものを全てぶつけるかのように・・。

ーその体を抱きながら、Xは変身を解いた。
ざまあみろ・・泣かせてやったぜ・・。
彼は血を吐き、目を閉じた。

最後の変身、最後の顔・・これが・・俺だ・・。

意識が遠のき、Xはそのまま動かなくなった。
後にはその体にすがりついて泣きじゃくる弥子と、その全てを見届けた吾代だけが残ったのだった・・。


一方戦闘機の上では、ネウロとシックスが対峙していた。
窓ガラスを破り姿を見せたシックスに、ネウロは告げる。
自分はある種の感動を覚えている・・と。

人間は悪意にせよ何にせよ、結果としてここまで進化できるということをシックスは自分に教えてくれた。
だがその進化は、間違っていたと言わざるを得ない・・。
ネウロはそう話すと、細胞を変異させて戦いに臨もうとするシックスを見つめる。

たった1人で生態系を大きく狂わすーそれは未来を作れない歪な進化だ。
だからここで、貴様の進化を止めてやるー。

その言葉に、シックスは怒りをむき出しにする。
ついに・・2人は最後の戦いを始めるー!!




















Xの正体。


今回はネウロがシックスに最後の戦いを挑む中、Xが自分の正体を知って死んでいった回でした。
長きに渡るX編の最後・・こんなに悲しく切ない結末が待っているとは、思ってもいませんでした。
ラスト、うるうるしながら読みました・・。X、好きだったなぁ。

彼の正体はネウロの究極の謎と同じくらいこの物語の根幹にあったと思います。
それがはっきりと今回明示され、幕を閉じた・・。
本当に素晴らしい回収でした!感動しかないですよ!!


でもその前に、まずはネウロとシックスから。

魔力電池を全て消費したネウロ。
高度3000mでの戦いといい、彼はもう弥子の元へ戻るつもりはないのでしょうね・・。
そんな覚悟が今回のネウロからは、見られました。

対するシックスも、もう逃げられないと覚悟を決めたようですね。
さすがに彼も、3000mから落ちたら死ぬだろうしなぁ・・。
両者が後どのくらい余力を残しているかに、戦いの結末は委ねられたようです・・。

個人的には、ネウロがシックスを倒した後に魔力が潰える・・という展開かな、と予想しています。
相討ちともいうのかな。種の生存を賭けた戦いで残るのは、人間のみーとなるのでは、と。

悲しいですが、魔力を消費しきった状態のネウロが、人間界で生きていくことは無理でしょう。
彼にもその覚悟があるようですし、これはもう受け入れるしかないのではないでしょうか・・。

弥子も吾代も、恐らくその覚悟を理解しているのでしょう。
なんとも言えない苦しそうな表情が切ない・・。

確かに彼らにできることはもうありません。
後は種と種の生存を賭けた人間ならざる者同士の戦いです・・。
ただその結末を、見届けるだけとなるでしょう。

ネウロとシックス、どちらが勝つのか。
どんな戦いとなるのかー
最後まで、しっかりと見守りたいと思います。






さて、続いてはXについて。

彼は今回、最後の最後で自分の正体を知るに至りました。
涙ながらに語る姿は悲しかったですね・・。
求め続けた答えを手にしたけど、その答えはもう彼の元には2度と手に入らない・・。
Xの苦悩がひしひしと伝わってきました。

記憶をすぐに失い、細胞の変異によって見た目すら自分の正体が分からないX。
そんな彼の不安定さを常に支えてきたのは、Xの横に並ぶ i だったー。
アイと2人でいることーそれが自分のアイデンティティだったとXはようやく理解したのです。

でも理解したときには、既にアイはもういなかった・・。
この時点で、彼はもう生きる意味を失っていたのだと思います。
だから最後の力を振り絞って、弥子に彼の姿を見せたー。

もう、ここは鳥肌ものでしたよ!!
まさかここで笹塚の最期の記憶を読んだことがつながるとは!!
いやー、天才ってすごい・・。

ネウロと弥子に一矢報いるために、笹塚の姿に変身したX。
この時の彼は笹塚の記憶を全て読み取っていたので、もはや本物の笹塚と同等なのですよね。
だから彼の放った「会えて良かった。ありがとう」という言葉も、笹塚の本心からの言葉なのでしょう。

それを聞けただけで、本当に良かった・・。
弥子も出会わなければ良かったと思ったこともあったけど、今は絶対にこう感じているはずです。
出会えて良かった・・と。

葬式でも泣けなかった弥子が、今ここで初めて笹塚の死を思って泣けた・・。
そして互いに、出会えて良かったと思えていたことを知れた・・。

きっと弥子はこの言葉を胸に、これからも強く生きていけるのでしょう。
いやー、弥子を泣かすって言って、こんな手を使うXは本当にズルい!!
イタズラ好きな彼の、最後のイタズラ・・。

その相手が、弥子で本当に良かったな・・と思いました。


Xが最後に気付いた真実。自分の正体。
彼はその答えを求める過程で、何人もの人の命を奪ってきました。

それは決して許されることではなく、償わなければならないものです。
だから彼の死は妥当だと思います。死をもって償うのが、当然。

でも・・それでも、彼自身も愛する人を失う痛みや苦しみを味わったことは、私は良かったことだなと思うのです。
自身が味わわなければ、弥子の痛みすら分からなかったでしょうからね・・。
それを知って死んで行けたことで、少しは償いになったのではないでしょうかー。


うーん、人の命が奪われている以上、きれいごとはあまり言いたくないなと思います。
でもXもまた可哀想な存在だったから、どうしても肩入れもしてしまう・・。
表現が難しいなぁ。

X-
大犯罪者でしたが、私の中ではどうしても憎めない存在でした。
最後まで嫌いになれなかったなぁ。それくらい、敵なのに魅力的なキャラでした。

いよいよ血族側は、シックスを残すのみー。
次回からいよいよ最終巻で、決着ですね。

ここまで見せてくれた松井先生ー
どんなラストを見せてくれるのか、非常に楽しみです。

あまりに切なく、美しくまとまったXのラストに、期待が込み上げてきますね。
最後まで見届けたいと改めて強く思えた今回の話でした!












さて、次回はネウロとシックスの最終決戦ですね。

人間に救う病気を根絶するため、ネウロは自身の命を賭けてシックスに挑みます。
それに対抗するシックスー
その戦いは、どんな展開を見せてくれるのでしょうか。


人間ならざる者同士の、人間の生存を賭けた戦いー
次回も楽しみです☆