前回、3周目の自身と向き合うことで、決意を鈍らせていった由乃。
彼女の迷いは所有者たちの未来を変え、結果3周目の由乃を救うことになります。

そして1周目の由乃の終わりのときー
ムルムルと共に、球体から召喚された雪輝。

彼はその決意通り、今度こそ由乃を救うことができるのでしょうかー?!

最終回、感想です☆




Diary59~ 「Last Diary」




※以下、ネタバレあり※







◎日記所有者一覧◎
・1st 天野雪輝・・無差別日記
・2nd 我妻由乃・・雪輝日記
・3rd 火山高夫・・殺人日記、死亡
・4th 来須圭悟・・捜査日記、死亡
・5th豊穣礼佑・・はいぱーびじょんだいありー、死亡
・6th春日野椿・・千里眼日記、死亡
・7th戦場マルコ・美神愛・・交換日記、死亡
・8th上下かまど・・増殖日記、死亡
・9th雨流みねね・・逃亡日記、死亡、復活
・10th月島狩人・・飼育日記、死亡
・11thジョン・バックス・・The watcher、死亡
・12th平坂黄泉・・正義日記、死亡





◎あらすじ◎

雪輝(ゆきてる)の腕の中で、由乃(ゆの)は信じられない思いで彼を見つめた。
なんで・・?
そう問う彼女に、雪輝は優しく笑いかける。

君を救いに来たんだー。


ー球体の中。
雪輝は両親と共に、展望台へ向かおうとしていた。

だが彼はその道中、踏切の前で立ち止まる。
両親は不思議に思い、振り返る。
そんな2人に、雪輝は謝った。
ごめん、僕はやっぱり行けない・・。

その言葉に、九郎(くろう)と礼亜(れあ)は雪輝に問うた。
どうして?今日をあんなに楽しみにしていたのに・・と。

雪輝は考えながら、言葉を紡ぐ。彼にも自分がなぜそうしたいのか、明確に理解できていなかったのだ。
今の僕にはやるべきことがある。だから止めないで、父さん母さん・・。

そう答えると、九郎がじっと雪輝の顔を見つめた。
そしてー彼は尋ねた。
・・名を忘れた彼女のことかい?

九郎と礼亜は、雪輝に言った。
自分たちは雪輝の味方だ、と。
雪輝は自分たちの子どもなのだからーと。

だから思い出すんだ、と2人は雪輝に告げる。
もう思い出せるはずだ・・雪輝は失った夢より、大事なものを選んだのだから。

彼らの間に、踏切が降りてくる。
雪輝は両親の姿を見ながら、うつむき涙をこらえた。
そんな彼に、九郎と礼亜はエールを送る。

行け、雪君。行きなさい、自分の思った道を!!

2人の言葉、そしてその強い意志を含んだ表情に、雪輝の心は決まった。
彼は両親に別れを告げると、忘れかけていたその名前を大声で叫ぶ。
由乃ーーーーーー!!!!


ーその後、雪輝の強い意志により、彼は球体から脱出することができた。
その球体の中には、2周目のサバイバルゲームが始まる前に閉じ込められていた2周目のムルムルもいた。
彼女は枷を外すと、1周目のムルムルの前に立ちはだかる。

重複しているからと封印されていた彼女は、怒りを露わに1周目のムルムルに迫る。
その額には、2の数字が刻まれている。
彼女は1周目のムルムルが隠している1の数字を、絆創膏を剥ぎ取って衆目にさらした。

そんな中、由乃はまだ信じられずに雪輝の話を聞いていた。
彼が両親との夢より、自分を選んだなんて・・。
驚く彼女の耳元で、雪輝はそっと囁く。
由乃、このまま僕を刺すんだー。

彼はそうして、由乃が2周目の神になるように話した。
もう分かっただろうー?
彼は由乃をしっかりと見つめ、告げる。
由乃の居場所はここじゃない。

だから・・僕が死んで、君の居場所を作るー。

彼の言葉に、由乃ははっと目を見開いた。
その瞳からぽろぽろと涙がこぼれ、彼女の頬を濡らす。
由乃は携帯を取り出し、日記を確認した。

ーユッキーが自分を刺せと言ってきたよ!私はユッキーを・・
・・分かったわ、ユッキー。それがユッキーの望みなら。
彼女は日記の内容を知ると、ナイフを雪輝の背中にかざした。

1周目のムルムルは驚くが、これでいいーと笑みを浮かべる。
雪輝さえ殺してしまえば、後はどうにでもなる・・。
まだ諦めていない彼女は、2周目のムルムルに取り押さえられながらもほくそ笑んだ・・。

一方雪輝は、自分の死を受け入れ、由乃との最後の抱擁を噛みしめていた。
これでいい。大勢殺した僕は、殺されても仕方がない。
それにこれで由乃だけは、2周目の世界で生きていけるー。

彼は覚悟を決め、目を閉じる。
その耳に、由乃の声が響いた。
馬鹿ね、ユッキーは・・。

その声に、雪輝ははっと目を開いた。
その目に、由乃の笑顔が映る。
私はここに残るわ、さよなら!!

彼女はそう言うと、ナイフを一直線に振り下ろした。
その場に血しぶきが舞い、静寂が訪れる・・。


日記が書き換わるノイズを聞きながら、雪輝は驚愕に体を震わせた。
何で・・。
彼はそう口にしながら、由乃を見やる。

由乃の体には・・彼女が自分で刺したナイフが貫通していた。
笑顔のまま崩れていく彼女を、雪輝は必死に支えた。
そんな彼に、由乃は刺せないよ・・と口にする。

私は刺さない。そういう未来だものー・・。

その言葉の通り、由乃の日記にはこう記されていた。
ーユッキーが自分を刺せと言ってきたよ!
私は私を刺したよ。ー

その文面を見た雪輝は、彼女の真意を知り震える。
段々力の抜けていく由乃の体を抱きながら涙する彼に、由乃は囁いた。
ねえ、キスして。ユッキー・・。

ここが私の居場所だからー。

彼女の最期の願いに、雪輝は応えた。
彼は由乃の唇にそっとキスをする。
その瞬間、雪輝の日記に最後の文面が刻まれた。

ー我妻由乃(がさいゆの)は自殺する。DEAD ENDー

唇を放すと、由乃はふふっと笑った。
キスが上手になったね、ユッキー・・。

そう言って、彼女は息を引き取った。
雪輝は動かなくなった由乃の体を抱え、絶望に絶叫する。
由乃ーーーーー!!!!

ーその瞬間、2周目のムルムルが雪輝の勝利宣言を行った。
彼女は即座に雪輝を抱え、3周目の世界を飛び立つ。
その世界に、由乃と1周目のムルムルを残して・・。

雪輝は由乃に別れも言えず、ただ叫び続けながら2周目の世界に引き戻されていくのだったー。




ー1万年後。2周目の世界。虚空。
雪輝の日記はー由乃が死んだところで、止まったままだ。

ムルムルは退屈で、あくびをした。
彼女は雪輝に、神の力で何か作り始めてほしいと頼む。
だが雪輝は寝転がり、ただずっと携帯の画面だけを見続けていた。

由乃を失ったあの日から、雪輝の時計は止まった。
彼は長い時間をずっと由乃のことを思って過ごし、それ以外のことには何も興味を示さなかった。
由乃がいないなら、どんな世界を作ってっも意味がない・・。
彼は厭世的な気持ちで、ずっと無為な時を過ごしていた。

2周目と3周目の世界も、分断されてしまった。
あれから3周目の由乃はどうしたのだろう・・。
時々雪輝は考える。
彼女は幸せになれたのだろうか・・。

全ては遠い遠い昔のこと。
彼に残されたのは、由乃が死んだという事実を示す日記のみ。

由乃・・。
雪輝は携帯を抱えて、今日も涙に暮れるのだった。


ー3周目の世界。
事件から2年経ち、由乃は友人たちと楽しく日々を過ごしていた。

色々あったが、両親の仲は上手くいっている。
母親の病気も良くなっており、由乃にも本来の明るさが戻ってきていた。
この前も3人でプラネタリウムを見に行ったし・・。
彼女は家族の日記をつけ、その写真を満足げに眺める。

だがそんな中ー由乃の中には、埋められないような空白もまたあった。
何かを忘れているような気がする・・。
彼女は時々そう考えては、答えの出ないモヤモヤの正体に悩む。

大切な何かを、忘れている気がする・・。








ー現実第1話 「ここより先は未来」


2周目の世界ー
雪輝とムルムルがいつものように虚無に時を過ごしていると、突然天井にひびが入った。
驚いた2人は急いで飛び起き、何が起きたのかと目を見張る。

すると、ひび割れた天井から金づちが見えた。
どうやら金づちで天井を破壊しようとしているらしい・・。
何が起きてるんだ・・?
雪輝は戸惑ったが、その時ー彼の中に、閃光が瞬いた。

それはいつかの、由乃との思い出だった。
雪輝の家に侵入を試みた由乃が、窓ガラスを金づちで割って入ろうとしたのだ。

注意された由乃は、雪輝の母親に会いたかったから・・と屈託のない表情で言ったものだった。
だから雪輝はその時、注意したのだ。
そういうところが、強引すぎるのだーと。

・・まさか。
雪輝は息を呑んだ。
彼の日記が書き換わるのより早く、天井は打ち砕かれる。

その隙間から、由乃の笑顔が覗いたー。

ユッキー!!
日記は、由乃が時空の壁を壊して会いに来た。と記された。
信じられない思いで、雪輝もまた叫ぶ。
由乃・・!!!


ー3周目世界。
2周目のみねねは、テレビを見ていた。

ニュースでは、3周目のみねねがテロリストとして暗躍し、桜見市内に潜んでいるらしいという情報が流れている。
その逃亡ぶりを知った彼女は、さすがは3周目の私だなーと笑みを浮かべる。

するとそれを聞いた西島(にしじま)が、笑いごとじゃない、と息をついた。
必ず捕まえないと・・。
そう呟く彼に、みねねはそうしてやってくれ、とうなづく。

その頬に、西島はキスをした。
仕事に行く彼を見送りながら、みねねは2人の子どもたちを抱きかかえて窓の外を見やる。
ふと、そこに見えた姿に、みねねは驚いた。

それからー彼女は笑った。
珍しい客が来たな・・。

ー桜見市内の空を、雪輝と由乃は飛んでいた。
2周目の雪輝を迎えに来たのは、3周目の由乃だった。

彼女は1周目の記憶を、ムルムルによって引き継いでいた。
だが記憶が混乱して、今まで思い出せていなかったのだという・・。
それで会いに来るのが遅れてしまったー

彼女の事情を聞いた雪輝は、由乃に尋ねる。
君はどっちの由乃なの・・?

すると由乃は、元気よく答えた。
私は私、我妻由乃だよ!!

彼女は雪輝に、将来の夢は何?と訊いた。
雪輝は考え、やりたいことはたくさんあるーと答えた。
でもそうだな・・。
彼はほほ笑む。

会いたい人もたくさんいる。だからまずは・・
星を見に行こうー
2人は手をつなぎ、3周目の世界を駆けだすのだった。

雪輝が 由乃が 新しい未来を創る。
HAPPY ENDー




















HAPPY END。


今回は2周目の決着がつき、雪輝と由乃が3周目の世界で生きていくことになる話でした。
こう来たか・・!という感想がまず出ました。
ある意味HAPPY ENDなのか。。2周目の世界は救われなかったけど、結果的には雪輝と由乃が結ばれたので良かったのかな、とも思います。

ただ2周目で死んだ人たちのことを思うと、やりきれないような気もする・・。
でもそれは1周目も同じことか。
人は何度でもやり直せるーということなのかもしれませんね。
何にせよ、雪輝と由乃の幸せそうな表情で終わったので、安心しました。


ちょっと分かりにくいというか、解釈が分かれるようなラストだったと思うのですが、結局3周目の世界では雪輝とみねねは2人存在するということになる訳ですよね?

みねねが西島と結ばれた姿を見れたのは嬉しかったけど、なんか3周目のみねねが浮かばれない気もする・・。
でもこれでいいのかな?
サバイバルゲームがなくなったので、3周目のみねねの運命も変わったということですよね。

3周目のみねねにはまた別の出会いがあり、幸せに生きるかもしれないですもんね。
色んなパターンの幸せの形はあります。
所有者たちが3周目の世界で皆幸せになっているように、彼女もまた幸せになるのだと思います。

どんな生き方をするのかは分からないけど、彼女なら力強く運命をもぎ取っていくことでしょう。
2周目も3周目のみねねも幸せになれる未来、楽しみですね!




そして雪輝もまた、3周目では別の道を歩いていくようです。
隣に並んでいたのは、萌絵かな?
2人、無事に付き合うことになったようですね。

両親も仲がいいままのようだし、雪輝にとってはこの3周目は本当に幸せな方向に進んでいるようで何より。
その分由乃や或、日向たちとの出会いはなくなったのでしょうが、そこはまぁ仕方ないのかな・・。
でもどのキャラも自分らしく楽しく生きているようなので、良かったです。


で、由乃ですが・・彼女もまた、幸せを手に入れることができました。
両親の仲も戻り、母親の病気も良くなり、3周目の雪輝と結ばれることはなかったけど、2周目の雪輝と再び出会うことはできたー

本当に、良かったと思います。
彼女がどれだけ苦しんできたか知っているから、この結末は本当に良かったと素直に思います。

2周目はBAD ENDに終わったようなものですが、深く考えなければ大団円・・ということになるのではないでしょうか。
色々謎も残ってますからね、3周目のデウスの寿命はどうなったんだ・・とか。
でも気にしたら負けな気がしますw
この終わりは、これでいいんだと思う・・。

最後まで予想外な展開でしたが、だからこそこの物語は面白くて引き込まれるのでしょう。
だから終わり方もごちゃごちゃ考えず、純粋にHAPPY ENDだと感じればいいのです!w
事実、すっきりと終わって私は面白かったと思いましたから(^^)

前回まで、BAD ENDの可能性を拭いきれなかったので、最後に皆の笑顔を見れて終われたことは本当に幸せでしたね。
うん、この難しい話をよくまとめたと思います!
素直に最後まで面白い作品として、推せる作品だなーと全編を読んで感じました。


雪輝もきっと2周目の世界で1万年もの間、後悔と戦いながら生きてきたのでしょう。
それを越えてきたからこそ、今の幸せがあるー。
そう思うと、彼もまた十分に反省したと言ってもいいのではないでしょうか。

2人だけの選択ではなく、皆が選んだ未来。
その結果、それぞれの世界の未来もラストも変わったー
この物語は、選択次第で未来はいかようにも変えられるものだということを教えてくれたと思います。

登場人物も皆個性的だったし、読んでいて飽きさせない面白さがずっとありました。
このテンションを貫けたのは、ただただスゴいとしか言いようがないです、本当。

なかなか好みが分かれる作品な気はしますが、私は大好きでした。
特にキャラクターの個性が強いからこそ、のめりこめたし彼らの幸せを願って読み続けることもできました。

そんな気持ちに応えてくれた形の最終回ー
ほんっとうに大満足のラストでした。

皆様も今までお付き合い、ありがとうございました!!



次回更新からは、新しい作品の感想に入りたいと思います。
引き続きマイペース更新になるとは思いますが、これからもよろしくお願いいたします。

ではでは~☆