前回、ニナを助けられなかったことによって、更に失意の底へと沈むエドとアル。
そんな2人の前に、錬金術師たちの命を狙う男ースカ―が現れます!!

彼の猛追の前に、オートメイルの腕を破壊されてしまうエド。
果たして彼はスカーの攻撃から逃れることができるのでしょうかー?!

感想です☆




7話~ 「雨の後」





※以下、ネタバレあり※











◎あらすじ◎

エドの右腕のオートメイルは、粉々に砕けた。
その光景に、アルは悲鳴をあげる。

ーそのまま、エドは力なく膝をついた。
片腕を封じられては、もう錬金術を繰り出すこともできない・・。
スカーがエドに、神に祈る間をやろうーと告げた。

だがその言葉を、エドは一笑する。
あいにくだけど、祈りたい神はいないんでね・・。

それから彼は、スカーに問うた。
あんたが狙っているのは自分だけか、それとも弟も殺す気かーと。

それに対し、スカーは今用があるのは鋼の錬金術師だけだ、と答える。
その言葉を聞いたエドは、それなら弟には手を出さないと約束しろ、とスカーに迫る。
スカーは彼の決意を受け取り、うなづくー。

だがそのやり取りを聞いていたアルは、身を起こして抵抗した。
何を言ってるんだ・・。
彼はエドに向かって、必死で叫ぶ。

兄さん、何してる。逃げろよ。
立って逃げるんだよ。やめろ・・やめてくれ・・
ーだがその叫びは、雨の中に空しく消えていく。

スカーの腕が、エドの頭に振り下ろされる。
アルの絶叫がこだましたー

その時ー銃声が空間を貫いた。
3人が顔を上げると、そこにはマスタングたちの姿があった。
そこまでだ。
彼は一喝すると、スカーへと歩み寄る。

その男は、一連の国家錬金術師殺しの容疑者だー。
タッカー邸の事件も、お前の仕業だな?

マスタングの言葉を聞いたエドは驚き、スカーを睨みつける。
するとスカーは拳を握りしめ、言った。

錬金術師とは、元来あるべき姿のものを異形のものへと変成する者。それすなわち、神への冒涜。
我は神の代行者として、裁きを下す者なり!

スカーの言い分を聞いたマスタングは、彼に問うた。
それが分からない。世の中には、錬金術師は数多いる。
国家錬金術師ばかり狙うというのは、どういうことだ?

だがースカーはそれには答えなかった。
彼はこれ以上邪魔をするなら、マスタングをも排除するーと戦う意志を見せる。

そこでマスタングも拳銃をしまって、グローブをはめた。
それを見たスカーは、彼が焔の錬金術師であることに気付き、笑みを浮かべた。

神の道に背きし者が、裁きを受けに自ら出向いてくるとは・・今日はなんと佳き日だ!!
2人はそのままぶつかり合おうと、互いに進み出るー

けれどもそのマスタングの足に、ホークアイが思いっきり回し蹴りをかけた。
不意打ちの攻撃にマスタングは大きくバランスを崩し、倒れる。
そこに殴りこんできたスカーに、ホークアイはためらいなく銃を撃った。

彼女の仕打ちに驚くマスタングに、ホークアイは今日は雨だ、と告げる。
雨の日は湿っていて火花を散らせないのだから、無能は下がっていてください!!
彼女のにべもない言葉に、マスタングはショックを受けながらも引き下がる・・。

それを聞いていたスカーは、更に好都合・・と笑った。
国家錬金術師、我が使命を邪魔する者!この場の全員、滅ぼす!!
彼は瞳を光らせ、再びマスタングに狙いを定めるー

だがその時、彼の背後に影が差した。
やってみるがいいー
その声と共に、スカーを強大な拳が襲う。

間一髪その攻撃をかわしたスカーは、新手か・・!と新しく出てきた男に目を向ける。
その人物は体が異様なほど大きく、そして自信に満ち満ちていた。
その圧倒的オーラに、周りにいる人間は皆彼の空気に呑まれてしまう・・。

ふーむ、我が輩の一撃をかわすとはやりおる。
国家に仇為す不届きものよ。この場の全員を滅ぼすと言ったな。
笑止!ならばまず、この我が輩を倒してみせよー・・

彼ーアームストロングは、筋骨隆々な体を見せつけながら、スカーの元へ歩み出た。
彼もまた国家錬金術師ー豪腕の錬金術師だったのだ。

その姿を確認したスカーは、次から次へと・・と息をつく。
こちらから出向く手間が省けるというものだ・・。これも神の加護か!
彼は戦う意志を緩めず、新たな敵に牙を剥く。

その意志を受け取ったアームストロングは、石の塊を1つ手に取った。
彼はその石を錬成し槍に変えると、豪腕でスカーに向けて殴り飛ばした。

更に、道をも武器に変えて、アームストロングは連続攻撃を仕掛ける。
彼の手段を選ばない攻撃に、軍の人間たちはあまり街を破壊しないでくれ、と慌てて叫ぶ。

だがアームストロングは聞く耳持たず、その筋肉を誇りながら皆に言う。
破壊の裏に、創造あり。創造の裏に、破壊あり。
破壊と創造は表裏一体。
壊して創る!これすなわち、大宇宙の法則なりー!!

・・そのためらいなき言説に、スカーを含むその場の全員が黙りこくった。
するとアームストロングは、同じ錬金術師なら無茶とは思わないはずだ・・とスカーを見やる。
スカーも錬金術師?!
マスタングは驚き、エドはやっぱりな・・と納得する。

アームストロングはうなづき、錬金術の錬成過程について説明した。
その過程は大きく3つに大別される。
すなわち、理解、分解、再構築だ。

スカーの場合は、この3つの段階の内の分解で錬成を止めているのだー。
それを聞いたハボックは、スカー自身も神の道に背いているじゃないか、と驚く。
マスタングも、それでいて国家錬金術師ばかり狙うのはどういう訳か・・と首をひねる。

その間も、スカーとアームストロングの戦いは続いていた。
スカーはアームストロングのパワーを手ごわいと思いながらも、彼のここぞというところで大ぶりになる攻撃を見破る。
そのままスカーは間合いを計り、アームストロングの体に突っ込んでいくー

だがその瞬間、アームストロングは思い切り身を引いた。
面食らったスカーは、はっと横を見やる。
そこではーホークアイが銃を構えて照準を定めていた。

彼女の放つ弾が、スカーの体を撃ち抜く。
けれどもホークアイは息をつき、一発かすっただけだ・・とマスタングたちに報告した。

その弾はスカーの額をかすり、サングラスを割り落としていた。
血がにじむその顔を見た一行は、その瞳の色を見て息を呑む。

ー彼の瞳は、真っ赤だった。
褐色の肌に、真っ赤な瞳・・!!
マスタングたちはようやく彼が何者であり、その目的が何なのかに思い到るー。

・・イシュヴァ―ルの民か!!

その場に、重い空気が立ち込める・・。
するとスカーが息をつき、この人数を相手では分が悪いと呟いた。
彼が逃げると感じたマスタングは、すぐに兵士たちに囲ませようと指示を出した。

だがスカーはその隙をつき、地面を破壊した。
そしてその穴に飛び込むと、彼は地下水道に逃げ込んだ。
破壊の衝撃に身動きのできなかった一行は、彼の逃亡を許してしまう・・。

けれどもマスタングは、危険故それ以上スカーを追うことはしなかった。
アームストロングも疲労に、思わずため息をついてしまう・・。

そこに、隠れていたヒューズがやってきた。
彼は戦いの終わりを確認すると、早速人相書きの手配などを部下に言いつける。
その時ー彼らはエドの悲鳴を聞きつけ、顔を上げた。

ーエドは、身動きしないアルの元に駆け寄っていた。
アルの体は破壊され、ボロボロだ・・。
だがアルは壊れていない腕で、エドを思いっきり殴った。

このバカ兄!!
彼はそう叫ぶと、わっと噴き出た思いを口にする。

何で僕が逃げろと言ったときに、逃げなかったんだ。
生き延びる可能性があるのにあえて死ぬ方を選ぶなんて、馬鹿のすることだ。
彼はそれでも収まらず、エドの首根っこを掴む。

何度でも言ってやるさ。生きて生きて生き延びてもっと錬金術を研究すれば、自分たちが元の体に戻る方法も、ニーナのような不幸な娘を救うこともできるかもしれないのに!!
それなのにその可能性を投げ捨てて死ぬ方を選ぶなんて、そんな真似は絶対に許さない!!

その剣幕に圧されながらも、エドはアルの気持ちを痛いほど理解した。
彼は自分の思慮の足りなさに苦笑し、思わずアルの前に座り込む・・。
2人はそのまま見つめ合い、どちらからともなく笑った。

ボロボロだな、俺たち。カッコ悪いったら、ありゃしねぇ。
そう呟くエドに、アルがほほ笑みかける。
でも生きてる・・。

その言葉に、エドもうなづいた。
いつのまにか空は明るくなり、雨は止み始めていた・・。
うん、生きてるー。


その後本部に戻ったエドたちは、マスタングたちからイシュヴァ―ルの民について話を聞いた。
イシュヴァ―ルの民とは、イシュヴァラを絶対唯一の創造神とする東部の一部族だった。

彼らは宗教的な価値観の違いから、国とは度々衝突を繰り返していた。
それがある時、軍の将校が誤ってイシュヴァ―ルの子どもを射殺してしまったことで、戦いは大規模な内乱へと変化してしまったのだ。

暴動は暴動を呼び、次第に内乱の火は東部全域へと広がった。
そしてその攻防は7年にも及び、ついに軍上層部はある決断を下すー。

それは、国家錬金術師をも投入しての、イシュヴァ―ル殲滅作戦だった。
その戦線には多くの錬金術師が人間兵器として駆り出された・・。

そこまで説明したマスタングは、自分もその戦場に出向いたよーと過去を振り返る。
だからイシュヴァ―ルの生き残りであるあの男の復讐には、正当性がある・・。
そう彼が呟くのを聞いたエドは、鼻を鳴らした。

くだらない。関係ない人間も巻き込む復讐に、正当性もくそもあるかよ。
醜い復讐心を「神の代行人」と名乗って、崇高ぶってるだけだー。
彼は鋭い瞳で、そう自論を唱える。

ヒューズもそれに同意するが、それと同時に、なりふり構わない人間が一番厄介だ・・と頭を抱える。
だがそれは自分たちも同じだー
マスタングはそう話すと、次に会ったときは問答無用でつぶす、と睨みをきかせる。
彼のその言葉の強さに、皆もまた真剣にうなづくー。

それで話はまとまった。
ヒューズが立ち上がり、エドたちにこれからどうするのか、と尋ねる。

エドは頭を掻きながら、アルを治してやりたいが自分の壊れた腕では無理だ・・と悩んだ。
アルの魂と鎧の定着方法を知っているのは、エドだけなのだ。
だからまずは自分の腕を直さないといけない・・。
彼はそう決めると、立ち上がった。

しょうがない、うちの整備士のところへ行ってくるかー・・。
彼は気乗りしないながらも、ここを旅立つことにするのだった。




















スカーの正体。


今回はスカーと錬金術師たちが戦うことで、スカーの正体が判明する話でした。
国の情勢も分かったりと、なかなかヘビーながらも興味深い回でした。

スカーとは、どうやら長い付き合いとなりそうですね。
彼の抱えているものは根深く、国家錬金術師の存在をも揺るがすのではないかと思われます。
今後物語がどういいう方向へ進むのか、気になりますね・・。



さて、まずはスカーの能力から。

やっぱり彼の使っている業は、錬金術でしたね。
しかもあれだけ国家錬金術師を翻弄するのだから、腕前はかなりのもののようです。

アルと一緒で、国家錬金術師にはならなかったけど、かなり鍛錬は積んだタイプかな?
もしかしたら内乱さえなければ、国家錬金術師を目指していたのかもしれませんね。
だからこそ、余計に彼らを許せないという線・・ありそうです。

錬金術は、3つのステップからなっているというのも、今回初めて知りました。
理解っていうのは、まず物質そのものの特性を知れってことかな?
そして分解、再構築はその名の通りですよね。
一度壊して、その物質から新たなものを作り上げるー
改めてメカニズムを知ると、面白いものです。

その途中の、分解の段階で錬成を止めたりもできるんですねー。
これは高等技術なのかな?それとも他の錬金術師も使えるような業なのでしょうか。

スカーの背景、ますます気になりますね。
彼の錬金術の謎もその内明かされるだろうから、楽しみにしていたいと思います。



さて、そんなスカーですが、イシュヴァ―ルの民の生き残りであることが今回分かりました。
イシュヴァ―ルの民・・その説明は余りにも悲しく、スカーのことを思うと切なくなりました。

宗教上の対立って、本当によく聞く話ですよね。
それがきっかけで戦いが続き、最終的には国に消された民族・・。

戦いのきっかけがイシュヴァ―ル側ではなく国側の過失だった、というのも辛いです。
イシュヴァ―ルの民が悪くないとは言わないけど、それでも避けられた戦いだったかもしれないのに。。

1巻で出てきた東部の街も皆不安定な雰囲気を感じる街でしたが、あれは内乱があったからかもしれないですね。
東部の人たちの国家錬金術師に対する反感も、=国への反感ということなのでしょう。
1つの部族を消滅させるなんて、いくら国とはいえやりすぎでしかないですもんね。

どうもこの国の体質には、問題があると言わざるを得ないように感じます。
だからこそそこに仕える国家錬金術師もやり玉にあがるのでしょうが、彼らの心情も実際はどうなのか・・。
その辺、今後も気にしながら見ていきたいと思います。


それにしても、1つの部族を殲滅するというのは残酷な話ですね。
スカーはどうやって生きながらえたのでしょう。他に生き残りとかいるのかな。

彼が今やっていることは、彼が単独で行っていることなのか。それとも仲間と共に行動しているのか。
その辺も気になります。
後はどうして国そのものではなく、国家錬金術師を目の敵にするのか・・。

これは予想するに、恐らく大事な人を国家錬金術師の手で殺されたのかな、と感じました。
あの顔の大きな傷も恐らく殲滅作戦時についたものでしょうし、彼もまた命からがら助かったという感じかもしれないですね。

そして見た感じの年齢的には、家族がいてもおかしくなさそう。
それこそ最初に殺された子供が、スカーの子供だったと言われても驚かないですよ。


エドが言ったように彼のやっていることは犯罪ですし、明らかに復讐のやり方を間違っています。
でもそれは彼が戦いを経験していないからであって、マスタングのように戦争に参加した者から見れば、彼の復讐は正当だと思わせるくらいに酷い戦いだったのでしょう。

スカーは戦いで何を失い、どんな怒りのもとこんな殺人を繰り返しているのかー。
これは今後もこの物語に大きくのしかかる問題になるのだと思います。

錬金術は便利ではあるが、その反面人を殺す兵器にも簡単になってしまうーというのは、錬金術の根源の問題となりそうですね。
この問題に、まだ戦いを知らないエドたちはどんな答えを出すのか・・。
この先の展開、要注目ですね。

そして恐らく戦争に関わったであろうマスタングやアームストロング。
彼らこそが、スカーの真の敵であるといえます。

戦争に加担したことで、彼らはスカーとどう向き合うのでしょう。
自分たちのしたことが、彼のような怪物を生んだこと・・彼らはどう感じたのでしょう。

彼らがどういう思いで戦争に参加したのかがまだ定かではないのではっきりしたことは言えませんが、そこには彼らなりの思いも必ずあるはず。

いや、本当に重いテーマですね。でもちゃんと考えなくてはいけない問題でもあります。
両者の思いは、解決に向かって交わることはあるのかー
しっかり見守りたいと思います。




さて、後はエドとアルの絆について。

今回はアルのほうがまるでお兄さんでしたね。
いや、わりといつもそうかも?w
エドが頭に血が昇りやすい分、弟のアルはそれを見て冷静に育った感じがしますw

後は、彼の体に起因するものかもな・・と少し感じました。
アルは幼いときに、自身の体を失っています。
そのショックは大きく、受け入れるまでに時間がかかったことでしょう。

もちろん命を救ってくれたエドには、感謝していると思います。
でもそれと自分の気持ちに折り合いをつけるのは、また別ですよね。
見た目は完全に化け物です。一朝一夕で受け入れられるものではなかったと思います。

だからこそ、彼の精神は大人びたのかな・・と今回考えました。
そう考えると少し切ないですが、それでも彼はやっぱり生きていて良かったし、兄弟で支え合ってこれて良かったです。
2人のほっと一息ついた感じ、すごくいいなーとほっこりしました。

この2人なら、これからもきっと困難を乗り越えていけると思います。
死線を潜り抜けたことは、必ず2人の糧になっているはずです。
これからも兄弟で支え合っていけることを、願っていきたいですねー。






さて、次回はエドたちが整備士の元へ向かう話ですね。
一難去ったところですが、なんだかラストのエドの表情が浮かなかったようなのが気になりますね。

まぁあれだけ派手にオートメイルを壊したとあったら、そりゃ憂鬱にもなるか・・w
怒られそうだし、料金もめちゃくちゃかかりそうですもんね(^^;)

再び旅が始まりますが、今度はどんな物語になるのかワクワクしますね。

次回も楽しみです☆