前回、オートメイルの聖地であるラッシュバレーに降り立ったエルリック兄弟とウインリィ。

興奮するウインリィに対し、エドは国家錬金術師の証である銀時計を盗まれて大ピンチに。
犯人の少女を捕まえるために奔走するエドたちに対し、並外れた体力と整備されたオートメイルで彼らを奔走する少女。

彼女との出会いは、2人に何かをもたらすのでしょうかー?

感想です☆





第18話~ 「誠意の価値」





※以下、ネタバレあり※










◎あらすじ◎

パニーニャを捕まえたウインリィ。
彼女は舐めるように彼女のオートメイルをチェックし、その技術の素晴らしさに感嘆する。

サスペンションも全体のバランスも高度に整えられていて、それでいてスリム化にも成功している・・。
余りに感動したウインリィは、パニーニャに彼女のオートメイルを整備した技師を紹介してほしい、と頼み込む。

その勢いに呑まれたパニーニャは、3人を案内してくれることになった。
その代わり、スリの件は見逃してくれーと彼女はエドの銀時計を人質に交渉する。
エドは不本意ながらも、一緒についていくことにするのだった。


パニーニャのオートメイルを整備した技師は、谷の奥の辺鄙な場所に住んでいた。
なんでも人嫌いで不愛想な人物らしい・・。
パニーニャはひょいひょいと谷を上がっていくが、3人はついていくのに必死だ。

そうしてようやくたどり着いた先には、工場を併設した家があった。
パニーニャが入っていくと、1人の男性が顔を上げる。

彼はリドルと名乗り、妻のサテラを紹介した。
サテラは妊娠中で、大きなお腹でにこにこしながら出てきた。

更にこの家にはもう1人、サテラの父親が住んでいて、その人物こそがパニーニャの整備士だという。
彼の名は、ドミニク。
ウインリィは早速挨拶をしに行くのだった。

ーその間、エドは興味深げにサテラのお腹を見やった。
後半月ほどで赤ん坊が生まれるというそのお腹を、エドは断って触らせてもらう。
するとサテラは、元気に生まれてくるように祈りながら触ってあげてねーとほほ笑んだ。

その優しい笑みに、エドとアルは自分たちもこうやってお腹の中にいたんだなーと笑い合う。
今はお腹の中にあるその命は、誰も教えないのにきっちり200日を過ごすと出てくる。
小さくても、赤ん坊はちゃんと意思を持った命なのだー
リドルとサテラの言葉に、2人はうなづくのだった。

その後、ウインリィに呼ばれたエドは、ドミニクにオートメイルを見せることになった。
ドミニクは彼の体を確認し、少し重いオートメイルだな、と呟く。

強度を上げながら、軽くしたいのだー。
ウインリィは熱心に相談し、ドミニクのアドバイスを聞く。
そして一通り聞き終えた彼女は、深くうなづいた。

決めたー!
そう叫ぶと、ウインリィはドミニクに頭を下げた。
そして弟子にしてほしい、と彼に頼みこむー

だがドミニクは、即座にその申し出を断った。
何度頼んでも、皆で頼んでも、彼は取りつく島もない・・。
幸い雨が降ってきたので追い返されはしなかったものの、ウインリィは落ち込むのだった。


雨は、段々激しくなっていった。
天気が悪いと、オートメイルの付け根が痛む・・。
パニーニャがそう言いながら足をさするのを見て、ウインリィは彼女にどうしてオートメイルになったのかと尋ねる。

するとパニーニャは、列車事故に巻き込まれたのだ、と明かした。
その事故で身寄りも失った彼女は、生きる希望を失っていた。
そんな時に出会ったのが、ドミニクだったのだという。

人生に絶望した瞳をした彼女を、ドミニクは睨んだ。
自分がこの世で一番不幸だって顔しやがってー。

そう言うと、彼は無理やりパニーニャを引きずって帰った。
そして彼女にオートメイルを施したのだ。

手術は痛かったし、リハビリも辛かった・・。
パニーニャはその頃のことを思い出して、苦笑する。
でも、また両足で立てたときは嬉しかった。この足は、生きる希望をくれた。

彼女はそう言うと、だから自分はドミニクやオートメイルを作る人たちが好きなのだ、と笑った。
おまけにドミニクは、パニーニャから手術代もオートメイル代も取らなかったのだという。
そのため膨大な代金がかかったことを知っている彼女は、 少しずつ返済を続けていた・・。

そこまで聞いたウインリィは、パニーニャにぐっと迫る。
そんなに感謝しているなら、今すぐスリはやめなさい!
彼女はパニーニャに、誠意には誠意で返すべきだ、と話して聞かせる。

金額が高い安いの問題ではない。スリは犯罪なのだ。
ドミニクは死人のようだったパニーニャを救ってくれた人なのだ。一生かかっても、真面目にお金を返す価値のある人だー。

そこまで言うと、ウインリィはびっと指を伸ばした。
エドなら、きっとこう言う。「等価交換だ!」って!

ーその言葉と真剣な表情に、パニーニャは考え込み、そしてうなづいた。
そうだよね。コツコツ真面目に、か・・。

そう呟くと、彼女はにっと笑った。
分かった、スリはやめる。地道に働いて返すよ!
それを聞いたウインリィと側にいたリドルは、顔を見合わせてほほ笑むのだった。

その時、ふとパニーニャはエドの銀時計を預かったままであることを思い出した。
ウインリィはそれを受け取ると、改めて眺めた。
そういえば、ちゃんと見るのは初めてだったのだ。

蓋が開かないと聞いた彼女は、中に何があるのかーと気になってしまう。
そこで蓋の接着を、3人ははがしてみた。
いたずらのつもりーだが中を見たウインリィは、動きを止めた。

そこには、「忘れるな。11年10月3日」と記されていた。
パニーニャとリドルは首を傾げるが、ウインリィにはその意味が瞬時に分かった。
彼女は表情を曇らせ、そっと蓋を閉じるー。

それからパニーニャに時計を返すよう頼むと、彼女は立ち上がった。
その瞳に涙が浮かんだのを急いで拭うと、ウインリィはもう一度ドミニクに弟子入りをお願いしよう、と奮起する。

ーだがドミニクの元に向かった彼女は、すぐにリドルの元に引き返した。
なんとサテラが、産気づいていたのだ。
その知らせを聞いたリドルは、血相を変えてサテラの元へ駆ける。

騒ぎを聞きつけたドミニクとエドたちも、急いで駆け付けた。
外は大雨だ。サテラを町の病院まで運ぶ訳にはいかない・・。
ドミニクはすぐに準備をし、町へ医者を呼びに行こうと馬で出ていく。

リドルが横に付き添い、一行は医者の到着を待つことにした。
とりあえず落ち着こう・・。
だがそう話したのも束の間、なぜかドミニクがすぐに駆け戻ってきた。

橋が崩れていた・・。

彼は真っ白な顔で、皆にそう告げた。
どうやら落雷があったらしい。
現場に向かったエドたちは、橋が燃え尽き落ちているのを見て息を呑む・・。

すぐにエドが、橋を錬成しようと試みた。
向こうの谷までは距離があり、途中で橋は自重で崩れてしまう・・。
一方から橋を通すのは無理だ・・。
エドは頭を抱え、必死にどうにかならないかと考え込む。

だが、有効な方法はなかなか見つからなかった。
おまけに雷もまだ激しく鳴っている・・。
仕方なく、彼らは一旦家へと戻ることにするのだった。

その間にドミニクは、旧道から谷を越える道を試してみる、と再び馬で駆けて行った。
3人はサテラを励ましてやっててくれ・・。
そう言い残し去って行く背中を、エドたちはなす術もなく見やる・・。

何が国歌錬金術師だ。何が人間兵器だ。
ふと、エドが呟いた。その拳が、ぎゅっと握られる。
また肝心な時に、俺は無力だ・・!!


ーその後、3人は家へ戻った。
すると中から、パニックになったパニーニャが飛び出てくる。
どうやらサテラは、破水したらしい・・。

いよいよ生まれる段階に入ってしまったー。
焦るエドたちとパニーニャとの間で、ウインリィは考え込む。
そしてー彼女は皆の首根っこを掴むと、信じられないような計画を口にしたー

それは、ウインリィが赤ん坊を取り上げる、というものだった。
早速お産の準備を始めるウインリィに、驚くリドル。
だが言い出したら、彼女はもう止まらない・・。
ウインリィの性格を知り尽くしているエドたちは、肚をくくることにする。

もちろんウインリィに、、赤ん坊を取り上げた経験などない。
だが医者がすぐには来ない以上、現状出来ることはそれしかない。

エド、アル、パニーニャ、リドルー彼らはウインリィを中心に、サテラの周りに集まった。
肚・・くくってくださいね。
ウインリィはひきつった笑みを浮かべながら、皆にそう告げるのだったー。




















向き合うということ。


今回はパニーニャのオートメイル整備士であるドミニクの元に向かったエドたちが、思いがけずサテラのお産に立ち会うことになる回でした。
まさに急転直下。こんな展開になるとは、誰が思ったでしょうかw

エドたちが向かった先にいたオートメイル技師のドミニク一家。
皆良い人たちで、技術の腕も高い・・。

ウインリィは弟子入りを志願していましたが、どうなるのでしょうね。
物語的にはここに残るのかな、と予想しますが、そうなるとピナコは1人になっちゃうからなぁ・・。
でもピナコなら、笑顔で送り出すのかな(^^)

ウインリィにとっては、エドが一番の客なのでしょうね。
だからこそ彼の思いに最大限応えたいし、彼の能力を引き出してあげたいと思っている。
ドミニクたちとの出会いが、彼女のそんな思いを叶えてくれるといいですね。

それにこれが叶ったら、エドの強化イベントもあるかもしれないですね!
今後彼らの周りでは、更に戦いが激化することでしょう。
黒づくめの集団しかり、スカーしかり・・。

そんな未来に備えて、エドは心身ともに鍛錬すべき時期に来ていると感じます。
アルはちょっと難しいかもだけど・・このパワーアップには期待したいですね。



さて、そんなウインリィですが、今回も彼女の性格の良さが余すことなく現れた回でした。
パニーニャにきちんと悪いことは悪いと伝え、どうすべきか道を提示してあげる。
サテラが産気づくというピンチに、誰よりも早く動き、お産を手伝おうとする。
どれも、彼女の中に一本芯が通っていないとできないことだと思います。

なんでしょうね・・すごくしっかりしているんですよね。
そこがエドと同様素直になれない部分なのかもしれないですが、でも個人的にはこういう真っすぐ前を向いて進める女の子ってすごく憧れます。

自分の中に芯があって、その芯が正しいと理解できているからこそ、ウインリィはぱっと判断ができる。
そして自身の家族のことやエドたちの辛い境遇を見てきたことから、他者に対する優しさも、彼女の中にはしっかりと根付いている。
本当に素敵な子ですよ。だからパニーニャの心にも、すんなりと響いたのでしょう。

誠意ー確かにドミニクは、パニーニャの今の姿を喜んではいないでしょうね。
自分への恩のために、頑張ってくれる少女。
でもドミニクが本当に望んだのは、辛い境遇を乗り越えて、彼女がもう一度人生を楽しんでくれることだったのだと思います。

今はまだはっきりと善悪の区別がついていないかもしれない。
でも彼女だっていずれは、こんな生活をしている自分を悔やむことだってあるでしょう。

それを、ドミニクは望んでいません。
人生に絶望した少女を救ったのは、彼が彼女に生きて幸せになってほしいと願ったからです。

お金を取らなかったのだって、彼女のことを思ってこそでしょう。
だったらパニーニャは、やっぱり真面目に生きる道を選び、その姿をドミニクに見せるべきなのです。

ウインリィの言葉は非常に分かりやすく、それでいて決して押しつけがましくなくて好感が持てました。
お金を返したいというパニーニャの気持ちを汲み取りつつ、でも今の行いは間違っていると伝えるー
ウインリィの度量の深さが現れていますよね。

うーん、本当エドにはもったいないくらいよく出来た子だw
これからますます女性らしくなって、もっと素敵な女性に成長するのでしょうね。
改めてウインリィを好きになった、今回のエピソードでした。




さて、後はエドについて。

今回彼の銀時計の秘密が明らかになりましたが、中に刻まれていた言葉は恐らく、母親の人体錬成をした日ーということですよね?

あの日のことを、決して忘れるな。
余りに重たい言葉ですよね。
エドたちがどれだけ苦しんで生きてきたのかを象徴していて、読んでいるこっちも胸がぎゅっとしました。

この言葉は、きっと彼が国家錬金術師になるにあたり、戒めのために刻んだのでしょうね。
人体錬成という禁忌を犯し、弟を失いそうになった。
弟は助かったけど、その体を代償にしてしまった・・。
エドの中には、いつもこの思いが彼を縛り付けているのでしょう。。

恐らく、アルもこの言葉が刻まれていることは知らないんじゃないかなぁ。
前巻の2人の諍いを思い出しても、エドが一方的にアルに対しての申し訳なさをずっと抱えているようだったので・・。

この辺、兄弟間でも思いが違うので、複雑なところですよね。
アルは当事者だから、当然体のことで葛藤がありつつも、受け入れている部分もエドよりは大きいのだと思います。

でもエドは、アルを鎧の体にしてしまったのは自分だーと、ずっと自分を責め続けていますもんね。
そこはもう、埋めようがないでしょう・・。
逆の立場になったら、きっとアルだって自分を責めるでしょうからね。

でも、幼い時からずっとそんな思いで生きてきたのかと改めて突きつけられると、周囲の人間の心は痛みますよね。
どうにかして助けてやりたい・・。
ウインリィも、きっとそう思ったはずです。

誰が悪かった訳でもなかったんですけどね・・。禁忌を犯したから、その代償が大きかったというだけで・・、そこに悪意などは存在しなかったのに・・。
それなのに、ここまでエドたちが苦しまなければならないことを思うと、本当に歯がゆい思いです。

今は、ラストには必ず2人の体が元に戻っていると信じて、読んでいくしかないですね。
彼らが道を誤らないよう、そしてこれ以上傷つかないよう、祈るばかりです。。


今回も、エドは錬金術で人を救えないことに落ち込んでいましたが、そんなことないですよね。
救われた人たちだって、たくさんいます。

恐らく彼の心の中には、ニーナを救えなかったという思いがくすぶっているのだとは理解できます。
でもあれは不幸な事故であり、決して気付けなかったから救えなかった、と彼が気にすることはないのです。

でも、エドが気にしちゃうのも分かる・・。
だから複雑なんですよね。
気にするなっていっても、一度関わってしまったのだから気にするに決まってる。
結局、後は本人が乗り越えるしかない問題なのだと思います。。

今のエドには、側にアルとウインリィがいてくれることが救いかな。
2人共他人の気持ちをよく理解できる子だから、エドの傷ついた心を癒してくれると信じています。

そしてエドにも、前を向く強さを持ってもらえるといいな。
大人になって、全てを処理できる心を持て、とは思いません。
でも、自分を責めすぎない強さは必要だと思うのです。

サテラのお腹を触っているときのエドたちは、一瞬子どもに戻ったような表情で、ほっとしました。
彼ら、まだまだ子どもなのですよね。2人はまだ、成長過程なのです。

だからゆっくりでいいので、心の傷を癒して、進んでいってほしいです。
命の大切さに触れて、優しい心をもった錬金術師に成長してほしいですね。

サテラの出産に立ち会うことが、2人にどんな心境の変化をもたらすのかが、楽しみです(^^)









さて、次回はサテラのお産ですね。

ウインリィ、赤ちゃんを取り上げるって言ってるけど、お産を見たりした経験はあるのかな?
彼女の両親は医者なので、もしかしたら出産を手伝ったこともあるのかも?
さすがに知識はあるからやると言ってるのだとは思いますが・・やっぱり心配ですよ(^^;)

まぁ他にも人手はいるので、難産でなければどうにかなるのかもしれません。
遅れるとはいえ、医者だって呼びに行ってるのですしね。


とにかくサテラの出産が無事に行き、赤ん坊の姿が見られることを祈るしかないですね。
彼女の出産と命の誕生が、エドたちやパニーニャにどんな影響を与えるのか・・。

次回も楽しみです☆