前回、リンの前についにウロボロスの瞳を見せたブラッドレイ。
彼らは互いに国を背負う者として、ぶつかり合います。

一方、スカーと戦うなかでウインリィの両親の件について触れたエド。
タイミング悪くその事実を知ってしまったウインリィは、スカーに復讐の目を向けますー。

やはり、復讐は復讐しか生まないのでしょうかー?!

感想です☆





第47話~ 「戦場の少女」




※以下、ネタバレあり※









◎あらすじ◎

中央のあるビルー
そこから、物凄い爆発音が響いた。

そしてその黒煙の中から、リンがランファンを抱えて飛び出してくる。
更にそれに続き、ブラッドレイとグラトニーが出てきた。

リンは閃光弾と発煙弾、そして手りゅう弾を総動員して敵の目をくらまし、逃走していた。
無茶をする子供だ・・。
ブラッドレイは呆れながら、路地裏に駆けていくリンを見つめる。

それから彼とグラトニーは、匂いを追いながら回り込んで捕らえる作戦に切り替えた。
眼帯を付け直し、ブラッドレイは息をつく。
やれやれ、スカーも片付けねばならんというのに・・。


中央の路地裏ー
ウインリィは震えながらスカーに銃を向け、固まった。

エドとアルは、銃を下ろすように彼女を説得する。
その様子を見ながら、スカーはウインリィに目をやった。
あの医者の娘か・・。
彼はウインリィに、お前には自分を撃つ権利がある、と言った。

その言葉に身体を震わすウインリィに、スカーは続ける。
ただし撃てば、その瞬間におれはお前を敵とみなすー!
彼の瞳は、射るように鋭いー。

瞬間、エドとアルはスカーを怒鳴った。
ウインリィに手を出したら、ぶっ殺す!!
そう叫ぶエドに、スカーもまた声を荒げる。

殺すか?!それもいいだろう!どちらかが滅ぶまで、復讐の連鎖は止められないからな。
だが忘れるな。あの内乱で先に引き金を引いたのは、アメストリス人だったということをー!!

彼の言葉に、ウインリィの体はがくがくと震える。
エドはスカーを牽制しながらも、ウインリィからも目を離さない。
頼むから撃つなよ・・。
彼はそう囁きながら、ウインリィに近づいていく。

アルもまた、ウインリィに優しく銃を下ろすように声をかける。
だがスカーは腕を鳴らし、ウインリィの方に向き直った。
撃てないのなら、戦場から出ていけ。

彼はその腕を、ウインリィに伸ばす。
邪魔だー

そこで、エドとアルも同時に動いた。
2人はスカーの攻撃をかわすと、エドはウインリィの元へ、アルはスカーの元へと駆けていく。

撃つなーーーーー!!!
エドが怒鳴り、その声にウインリィは背筋をびくっとさせる。
その隙に、エドはウインリィとスカーの間に立った。
そして伸びてくるスカーの腕に、自分を差し出すー。

彼の瞳は、真っすぐにスカーを睨み見据える。
それを目にしたスカーは、刹那、イシュヴァ―ルでのことを思い出す。

キンブリーが自分に向かって伸ばした腕。
その腕から自分の身を呈してかばおうとしてくれた兄。
その兄の姿がエドに重なり、彼は思わず目を背けるー。

その動揺の一瞬に、アルがスカーに蹴りを喰らわせた。
それから彼は素早く地面から障害物を錬成し、スカーを遠ざける。
攻撃から逃れようとしたスカーは、分解で壁に穴を開けてその場から逃れた。

彼が逃げたのを確認したアルは、エドを怒鳴りつける。
バカ兄!2人いっぺんに死ぬ気か!!

そう叫ぶと、彼はウインリィを安全な場所に連れていくようにエドに指示し、自分はスカーを追っていく。
エドはうなづくと、ウインリィの手から銃を放そうと彼女の手を掴んだ。
すると・・ウインリィは口を開いた。

撃てなかった・・。
彼女の瞳からは涙があふれ、その体は震える。
敵なのに・・。お父さんとお母さんを殺したのに、どうして・・。
エドとアルも殺されそうになったのに、どうして・・っ

そう言って涙するウインリィを、エドは見つめた。
彼はウインリィの腕を握ったまま、彼女に話す。

ウインリィ、お前はラッシュバレーで赤ん坊を取り上げて母子を救った。
自分に、立ち上がるための腕と足をくれた。
お前の手は人を殺す手じゃない。人を生かす手だー。

その言葉にウインリィは目を見開き、銃を落とした・・。
エドが安堵するなか、彼女は身体を大きく震わせて泣きじゃくった。
その声は路地裏にこだまするのだった。

その後ー駆け付けた憲兵に、エドはウインリィを引き渡した。
彼はアルの所へ行ってくるとウインリィに断り、戻ってきたら全部話すから・・とその手を放す。

ウインリィはそう言って走り去っていくエドの背中に、言葉をかけることができなかった。
ちいさくなっていく背中を見つめながら、彼女はもう1度泣く。

どうして、待つことしかできないの・・!!

 
その頃ー
マスタングは通信装置で、エドとスカーの戦いの報告を聞いていた。

ウインリィが憲兵に引き渡されたのを確認すると、彼はホークアイに援護に行くように指示をする。
郊外に使える空家があるので、何かあったらここで落ち合おうー。
マスタングのメモを受け取り、ホークアイは変装しながら外に出るのだった。

一方リンは、路地裏を必死に逃げ回っていた。
だがグラトニーの追跡はしつこく、彼はどんどん袋小路の方に追い詰められていく。
人気も少なくなっていることに気付いたリンは、ハメられた・・!と歯噛みした。

そんな彼を追いながら、ブラッドレイはグラトニーにスカーの方へ向かうように命じる。
ここは自分が片付けるー。
2人は別れ、ブラッドレイは真っすぐにリンたちの後を追う。

リンはランファンを抱え、どこか道はないか、と駆けた。
ふと背中のランファンが口を開き、左腕がもう使い物にならない・・と呟く。

だから何だ。
リンが問うとランファンは、もう闘うことのできない自分ごときに構っていては、共倒れになってしまう・・と語った。

民なくして、王はありえない。だが王がなくては、民は行き場をなくしてしまう。
一族のためにも、リンには生きて帰ってもらわなくてはならない・・。
彼女はそう話すと、唇に微かに笑みを浮かべた。

大義のために捨てられるものなど、いくらでもあるでしょう・・。
そう言うと、彼女はクナイを取り出す。
その気配に気づいたリンは、声を荒げた。

何を考えている・・?馬鹿なことを考えるな!!
けれどもランファンは覚悟を決め、クナイを自分に向けて振り上げるー
やめろーーーーー!!!


同刻ー
スカーを追いかけたアルは、彼と闘いながら路地の奥の方へと移動していた。

アルの身体を見て、スカーはその身体も錬金術によるものか?と尋ねる。
アルがうなづくと、彼は顔をしかめた。
哀れな。そのような不幸な身体になって、尚錬金術を信じるのか?!

その言葉に、アルは怒りを感じた。
確かにこの身体だと、不自由なことはたくさんある。
だけど不自由であることと不幸であることは、イコールではない。哀れに思われるいわれはないよ!!

彼はスカーに、この身体はエドがこの世に繋ぎとめてくれた命の証だ、と訴える。
それを否定するのは、兄を否定することになる。
自分は錬金術の可能性を信じたいんだ!!

その時、追いついたエドがスカーに蹴りを入れた。
彼はアルを助けると、ウインリィを憲兵が保護してくれたことを伝える。

また泣かせちまった・・。
そう表情を歪めるエドに、アルもまたうなづく。
血なまぐさいところも見られちゃったね・・。

それから、2人は改めてスカーに向き直った。
決着をつけようー
彼らがそう構えた瞬間、頭上で聞いたことのある声が聞こえた。

見つけたーーーー!
そう言って、グラトニーが降りてくる。
彼はスカーを見て、舌なめずりした。

お前は・・!
スカーは目を見開くと、すぐにグラトニーとぶつかり合った。

グラトニーが噛みつこうとするのを避けると、スカーは彼の身体を分解した。
グラトニーは血を吐くが、すぐに振り返るとスカーに体当たりを喰らわせる。
その圧に、スカーの顔が苦痛に歪む・・。

それを見たエドたちは、急いで戦いに加わろうとした。
どうやらリンは作戦に失敗したようだ。
エドは舌打ちし、グラトニーに向かっていくー。

と、その時、足元のマンホールの蓋が飛んだ。
そしてそこからリンが姿を現わし、空を舞った。

皆が驚くなか、彼は手りゅう弾のピンを抜き、それをグラトニーの口の中に突っ込む。
グラトニーはその勢いに、思わず手りゅう弾を飲み込んでしまう。
リンはすぐに皆に、伏せるように叫んだ。

瞬間、グラトニーの上半身が爆発して粉々になる。
歯や肉片が辺りに飛び散り、彼の体からは血が噴き出した・・。

だがその身体は、すぐに再生しようと細胞が動き出す。
それを見たリンはエドに、頑丈なワイヤーを錬成するように言った。
そしてワイヤーを受け取ると、グラトニーの身体をぎっちりと締め上げた。

グラトニーが再生しようとすると、キツク絞まったワイヤーが身体を締め付ける。
彼は再生能力のせいで、自分の肉に締め付けられる結果となってしまったのだ・・。

苦しむグラトニーを押さえつけながら、リンは目をかっ開く。
捕ったぞ、ホムンクルスー!!

その頃ー
ブラッドレイは血の跡を追い、リンたちの後をつけていた。
だが路地裏にたどり着いた時ー彼は自分が罠にハメられたことを知る。

そこには、ランファンの腕を括りつけられた犬が囮として残されているのみで、2人の姿はなかった。
ランファンは自分の腕を犠牲に、ブラッドレイの目を欺いたのだー。

彼はそれに気づくと、息をつく。
・・見事なり!
彼は敵に感嘆し、敬意を表するのだった。

同刻ー
ランファンは下水道の中を移動していた。

水に紛れれば、血の跡も匂いも消せる・・。
彼女はそうやってブラッドレイを欺き、逃走に成功したのだった。

無くなった左腕の付け根からは、相変わらず血が流れ続けている。
痛む身体を抑えながら、それでも彼女は勝利にほほ笑む。
どうだ、出し抜いてやったぞ、化け物め・・!




















少女たちの戦い。

今回はウインリィが復讐のために、スカーに銃を向けた回でした。
まずは撃たなくて本当に良かったです。思いとどまってくれて、本当に良かった・・!

エドの言葉、すごく素敵な言葉でしたね。
「お前の手は人を殺す手じゃない。人を生かす手だ。」
まさにこれに尽きますよね。
ウインリィもウインリィの両親も、人を生かすために生きる人です。復讐でその手を汚してはいけないのです。

確かにスカーを憎まないことなんてできないでしょうし、憎んで当然です。
でも復讐は駄目です。
そこからは何も生まれない。また新たな復讐の芽を生むだけ・・。
ウインリィの手は、そんなことのためにあるのではないのです。

エドたちはまだ血に手を染めてはいないですが、軍にいる以上時間の問題ですもんね・・。
自戒もこめて、彼はそう言ったのでしょう。
せめてウインリィだけは、手を汚さないでくれ・・と。

彼らにとって、ウインリィはそういう存在なのだということがよく分かります。
いつだって、2人の心の支えなんですよね。彼女が信じて待っていてくれるから、頑張れる・・。

ウインリィに、エドたちの気持ちが伝わって良かったです。
彼女は銃を撃てなかったことを後悔していましたが、撃ったらスカーに襲われて死んでいた可能性が大きいし、何よりずっと人を傷つけたことを後悔することになったでしょうから。

まだ気持ちは収まらないだろうし、エドたちに真相を全て聞いたらひどく落ち込むことになるでしょう。
彼女の両親の死はあまりに理不尽で、到底受け入れられるものではありませんから・・。

でもイシュヴァ―ル人たちが皆今の状況に耐え頑張っているように、彼女もいずれは前を向いて進まなければいけないでしょう。
彼女には仕事もあるし、リゼンブールには故郷があるし、エドとアルもいる。
それを支えに、立ち直ってくれるといいですね。


それにしても、今回のエドはめっちゃかっこよかったですね!
自分の危険を顧みず、ウインリィを守る姿・・こんな背中見たら、好きになっちゃうんじゃないの?!って感じでした。

やっぱりそこはアルじゃないんだよなぁ。エドとウインリィは年が一緒だからなのか、2人の関係はアルとウインリィのものとはちょっと違うんですよね。

なんかいつもはチビとか散々からかわれているキャラなのに、今回のエドはゾクゾクするくらいかっこよくて見惚れてしまいました。
やっぱり誰かのために命を賭ける人はかっこいいですね!
2人の関係に進展あるかな・・?ちょっと期待したいですw





さて、続いてはスカー。
結局彼の発言を見ると、ウインリィの両親を殺したのは彼で間違いないようですね。
どんな理由があったのかは語られませんでしたが、その辺はいつか明らかになるのでしょう・・。

彼はとても冷静ですね。
ウインリィの前で両親殺しを認め、自分を殺す権利がある、と認める。
でも自分を撃ったら、その時は敵だー。
清々しいほど、彼は感情ではなく理性で語っていました。

そんな頭の良い彼なのに、復讐に呑まれてしまっているのはすごく悲しいことですよね。
それほどまでに兄を慕っていたのでしょうが、なんとか彼をこの呪縛から救い出せないか・・と悩むばかりです。
絶対に話せば分かり合える人だと思うのですよね。でもそれができない。。

今回もこの後は恐らくホークアイが到着して更なる混戦となり、スカーと話す機会は持たれないでしょう。
本当は彼にもホムンクルスのことを知ってほしいのですけどね。軍もホムンクルスに利用されていて、兵士たちもまた被害者なのだと。
そうすれば、彼と協力してホムンクルスと戦う道だってあるかもしれないのに・・。

ただ彼の回想を見ると、軍への憎しみはまだまだ晴れそうにありませんね。
今回兄を殺した人物がはっきりしましたが・・やっぱりキンブリーでしたね。
彼は現在投獄中なので、直接手を下すことはできず・・もどかしい思いでしょうね。
だからといって、他の国家錬金術師を殺していいことにはなりませんが。

スカーとの問題は本当に難しく、先が見えないのが苦しいです。
この先も彼とはぶつかり続けることになるのでしょうが、その先にどんな結末が待つのか・・。

個人的にはスカーも救われてほしいと思っていますが、この状況が続くといずれは彼との最終決戦までもつれこみ、どちらかが死ぬーという結末もあり得ますよね。
それを思うと、誰も救われなくて気が重くなります。。

唯一期待したいのは、メイと合流したことで、彼が変わらないかなーというもの。
彼女の目的や姿勢を見て、何か感じるところがあるといいのですが・・。

スカーに関しては、私どうしても嫌いになれないんですよね。
やっていることは間違っていますが、芯から悪い人物ではないので・・。
それならマルコーたちと同様、救われてほしいと思うのです。

そんな未来が来ることを祈りたいですね。
ウインリィとの出会いもまた、彼の考えを変えるきっかけになるといいのですが・・。






続いては、リンとランファン。
今回はランファンの決断に、感嘆させられました・・!
この作品の女性は、本当に強いです。

自分の腕を切り、敵を欺くー
相当の覚悟がないと、できることではありません。

きっとそうやってフーに鍛えられて育ったのでしょうが、偉すぎるよ・・。
でもフーもショックを受けるだろうな。孫娘ですもんね。
リン、ランファン、フー・・それぞれも心の傷が心配です。

ただ腕の神経が残っていれば、オートメイルをつけることは可能なのかな?
ウインリィと共にラッシュバレーに行く可能性もありますよね。なんとか腕を持つことができるといいな。
それでもリハビリはキツいでしょうが・・。


リンも、今後は動き方を考えるでしょうね。
彼の王への信念も素晴らしいと思うし、戦闘力も高いと思います。
でもそれでも、こうやって部下を失う危険はいつでもつきまといます・・。

今回は命に関わる怪我ではなかったようですが、今後はどうなるか分かりません。
その時、どう判断を下すのかー
彼には王として、そこを真剣に考える義務があることが今回はっきりとしました。

今回は見捨てられず、結果ランファン自ら決断をさせてしまった。
これは、彼にとって悔恨として残る結果でしょう。
自身に自身の腕を切らせるなんて、本当はさせたくなかったですよね・・。

でもリンにはその判断はできなかった。
これが、今後の彼の大きな課題となるでしょう。

ただそんな中でも、グラトニーを捕えたのはさすがでしたね!
ここからどんな情報を得ることができるのかー
これはエドたちにとっても軍にとっても、貴重な情報となるはずです。

でもブラッドレイが報告するでしょうから、ホムンクルスたちはきっとグラトニーを奪還しに来るだろうし・・まだまだ戦いは終わりそうもないですね。
そもそもグラトニーからまともな情報が得られるのかも疑問ですし(^^;)

またリンたちはブラッドレイの正体を知ってしまったので、早晩口封じにも来るでしょう。
引き続き戦いは続きそうですね。

でもまずは、ランファンの無事を祈りたいと思います。
怪我をした状態で下水道を歩くなんて、いくら血の痕跡を消すためとは言え、危険すぎますよ。
細菌感染とかの心配もあるし、早く手当しないと命に関わるし・・。

それに1人だと、心細いのもありますよね。
ああ、本当ランファン強くて尊敬するけど、心配すぎる(泣)
どうか助かりますようにー。

いつのまにかメインキャラに昇格した彼らが、これからも活躍できることを祈って終わりにします。








さて、次回はスカー戦の決着でしょうか。

ホムンクルス戦は、恐らくこれで終わりでしょう。
憲兵やホークアイも動き出しているので、これ以上ブラッドレイも危ない橋を渡らないでしょう。
一旦はグラトニーを渡し、後日取り返しに行くのかな、と予想されます。

なので残るは、スカー戦。
エドたちはウインリィと彼女の両親の仇を討つことができるのでしょうか。

これ以上無益な殺生が繰り返されないよう、なんとしてもここでスカーを止めたいですね。
頑張れ、エド、アル!!


次回も楽しみです☆