前回、レイブンに鎌をかけ、不死の話を持ち掛けさせるのに成功したオリヴィエ。
彼女の巧妙な取引は続きます・・。

そんな中、穴の奥を調べにいった調査隊が行方不明に。
またエドたちがブリッグズにいることを知ったブラッドレイは、ウインリィに接触を謀りますー。

一触即発の状況!
エドたちはこの危機を乗り越えられるのでしょうかー?!

感想です☆





第69話~ 「ブリッグズの礎」





※以下、ネタバレあり※










◎あらすじ◎

オリヴィエに穴を封じるよう命じた後ー
レイブンは投獄されているエドたちの元に現れた。

彼は人払いをすると、ブラッドレイから話は聞いている・・と口にした。
そしてエドが不満そうな表情を浮かべるのを見て、ため息をついた。

人質まで取られて、不満じゃない方がおかしいだろう・・。
エドがそう漏らすと、彼は物事は大きな目で見ないとーと諭す。

自分たちがやろうとしていることは、この国の・・ひいては世界のためになることだ。
この計画に参加できることを誇りに思いたまえ!
レイブンは両手を広げ、2人に歩み寄る。

そりゃぁ今は君たちにとって不満な待遇ではあるだろうけど、将来きっと自分たちに感謝する時が来る!
今自分たちの言うことを聞いていれば、輝ける未来が待っているのだー!
その大層な御託を、エドとアルはしらっとした表情で聞き流す・・。

彼らは話を変え、今度はレイブンに質問をすることにした。
自分たちはいつ牢を出られるのか。地下の穴は、どうするのか・・。
するとレイブンは、2人を冷たい目で見据えた。

アームストロング少将は、例のホムンクルスをトンネルに戻して元通り穴を塞ぐそうだよ。少将は、こちら側の人間になったー。
その言葉に、2人は衝撃を受け目を見開く。

オリヴィエは、今穴を塞ぐ工事に取り掛かっている。後一週間もすれば、穴は綺麗に塞がるー

ーレイブンの言った通り、オリヴィエは今まさに地下で工事を始めようとしていた。
ヘンシェルは彼女を止めるが、オリヴィエは彼の言葉を聞こうとはせず遠ざける。

その様子を階上から見下ろしていたキンブリーは、護衛につくマイルズにおかしそうに話す。
力に従え・・。難攻不落の「ブリッグズの北壁」も、権力に屈しますか。
まぁ、それが賢いやり方です・・。

その時、地下にエレベーターが到着する音がした。
そこから軍人たちによって運び出されたのは、まだ寒さに固まって動けないホムンクルスの男だった。

だが彼は暖かい空気に、次第に意識を取り戻し身動きを始める。
そこにーレイブンが歩み寄った。

おはよう、スロウス。よく眠れたかね?
レイブンは彼をそう呼んだ。
スロウスはレイブンを見つめ、誰だ・・?と首を傾げる。
レイブンはまだ寝ていたかった・・と呟くスロウスに、彼の任務を思い出させる。

スロウス、君はプライドに言われているのだろう?君の仕事を成し遂げるようにーと。
そう言われたスロウスは、プライド・・と呟き、目的を思い出したようだった。
彼はそのまま立ち上がり、のそのそと地下の大穴の方へと足を進めると、穴の中に飛び降りた。
そして彼はまた、面倒そうに穴を掘り始める・・。

その異様な光景に、軍人たちは気を呑まれた。
レイブンは彼らにスロウスはドラクマのスパイではないと説明し、心配することはないと笑う。

彼はスロウスを、中央軍のために働くキメラとして通すつもりのようだ。
この国を更に強大にするために働いている。とはいえ、まだ極秘の作戦だー。
その詭弁に、オリヴィエたちは表情を厳しくするー。

そんな彼らに、レイブンは両手を差し出した。
さあ早くこの穴を塞いでくれ、ブリッグズの諸君よ。
君たちは秘密を分け合ったー同志だ!!


同刻ー
山の中の小屋では、マルコーが解読に行き詰っていた。

彼は途中まで書物を読み進めたが、その書物は肝心な部分は全て昔のイシュヴァ―ル語になっていた。
文字自体が読めなければ、暗号も解けない・・。
彼はため息をつき、スカーが来れば読めるかもしれないが・・と休憩することにする。

メイは外を眺め、スカーたちの到着が遅いことを心配した。
別れてから、既にもう一週間は経っている・・。
何かあったのだろうかー
2人は息をつき、顔を見合わせるのだった。

ーその様子を、白雪に隠れて覗く者がいた。
それはブリッグズの軍人たちだった。
彼らはエドが言っていた白黒猫が小屋の中にいるのを確認すると、踏み込もうとこっそり立ち上がる。

だがその時ー彼らは背後から手刀で襲われ、気絶してしまった。
それはスカーによるもので、彼はすぐに山小屋へと駆ける。

そしてメイたちと合流した彼は、軍人がすぐそこまで迫っていることを伝えると、書物を持って逃げようと2人に声をかける。
メイたちは急いで山小屋を後にし、雪山の中を移動するのだった。


ー穴を塞ぐ工事が、始まった。
レイブンはその様子を眺め、これでいい・・と満足そうにうなづく。

我々選ばれた者が神に近しい身体を授かり、この世界を統べるのだ。
先遣隊については仕方がない。大きな事業を成すための犠牲だ。
我々がこの国を更なる高みへ登らせることで、彼らも報われるだろうー。
彼はオリヴィエの耳元で、そう囁く・・。

選ばれた者のために、下の者は犠牲になる・・と?
オリヴィエはレイブンに目をやり、そう尋ねる。
レイブンはうなづき、弱肉強食だ、と答える。
弱き者や愚かな者が国の礎になり、強き者がその上に繁栄するのだ。

その言葉に、オリヴィエは更に尋ねた。
では、イシュヴァ―ルも・・?
レイブンは、あの内乱も全て計画通りだーと下卑な笑みを浮かべるー。

その頃、キンブリーは中央軍に報告の電話を入れていた。
護衛のマイルズは彼の電話が終わると、随分こまめに連絡を取るのだな・・と皮肉をぶつける。

だが意に介さないキンブリーは、それよりもレイブン中将はどこに?と周囲を見回した。
そんな彼の前にマイルズは立ちはだかり、じろっとキンブリーを睨んだ。
それより・・瀕死の重傷だった貴様が全快でここに現れたのは、どんな魔法を使ったー?

その瞳を真向から見据えたキンブリーは、ふっと笑みを漏らした。
あなたには関係ないことです。
しかしマイルズは、それでも引かなかった。
それならもう1つ質問だ。上官殺しで刑務所にいたお前が、どうしていきなり出所できたー?

2人は視線を逸らすことなく、互いを瞳で圧し交わす・・。

ー一方地下では、着々と作業が進んでいた。
それを見ながら、オリヴィエとレイブンのやり取りはまだ続く。

彼女は、いつからこの計画は進んでいたのかを尋ねた。
この国が出来た時からと聞いている・・。
レイブンはそう言うと、そして今自分の代で完成させるのだーと身体を歓喜に震わせた。
だから、スロウスを休ませる暇はないー。

それを聞いたオリヴィエは、レイブンがなぜ焦っていたのかようやく分かった。
自分の代でどうしても計画を成就させるためか・・。
するとレイブンは、オリヴィエの肩に手を置き、撫でた。
上に掛け合って、君のイスを用意させようー

その撫でまわすような手を目の横に捉えながら、オリヴィエはふっと笑みを漏らした。
私のために、新たなイスを用意していただかなくても結構ー。
彼女はそう言うと、懐から剣を抜き取り、肩にあったその手を貫いた。

余りの速さに、レイブンは一瞬何が起きたのか分からなかった。
彼は腕を見て、そこから血が噴き出すのを確認し、絶叫する。
そんな彼を、オリヴィエは睨み据えた。

老いとは本当に恐ろしいものですね、レイブン中将。あなたも昔は本気でこの国を思う、若く気高き軍人だったでしょうに・・。

軍人たちは、オリヴィエの謀反にただただ呆気に取られる。
レイブンも信じられないと悲鳴をあげるが、オリヴィエは再び剣を彼に向けた。

言ったでしょう、新たなイスなど不要、と。
彼女は、レイブンを真正面から斬りつけた。
その腐りきった尻を乗せている貴様の席をとっとと空けろ!老害!!

レイブンの身体からは、血がほとばしった。
彼は絶命の時を迎えながらも、まだ信じられない・・とオリヴィエに問う。
貴様、不老不死を捨てるというのか・・?目の前にある・・のに・・。

その言葉に、ヘンシェルがはっと鼻を鳴らした。
その不老不死とやらは、仲間を捨て国民を裏切ってまで手に入れるものですかねー。
オリヴィエもまた、惨めな老人に最期の言葉を突きつける。

このブリッグズの地下で、文字通り礎となられるがよかろうー。

そのまま、レイブンは地下の穴へと落ちていった・・。
その姿を見届けたオリヴィエは剣についた血を拭うと、バッカニアにマイルズに連絡を入れてやるよう命じる。
そして軍人たちには、作業を続けるように、特にコンクリはよく均しておくようにーと言いつけるのだった。

その背中を、ヘンシェルが追った。
彼は再度、穴を塞ぐのは中止してほしい、とオリヴィエに頼みこむ。
穴を封じてしまったら、先遣隊を助けに行くことができない・・

そこまで言うと、彼はオリヴィエに手招きされた。
脇の通路に案内された彼は、そこに地下への抜け穴が出来ているのに気づいて目を見張る。
こんなこともあろうかと、鋼のが抜け穴を作っておいてくれたのだ。
オリヴィエは、そう説明するのだった。


中央ー
マスタングはバーで働く女性と、密会していた。

彼の車の中で、女性はブリッグズにキンブリーが現れたという情報を伝えた。
キンブリーは大怪我で入院したのに、次の日にあっさり退院したという。
なんでもレイブンが見舞いに来て、すぐのことだったらしい・・。
それを聞いたマスタングは、レイブンとキンブリーの関係について考え込む。

彼は情報を得た対価を支払うと、女性と別れた。
すると1人になった途端に、彼に声をかけてくる者がいた。
それは花売りの女性で、花を買わないかー?と笑顔で近づいてきた。

マスタングは、それを断る。
だが女性は彼に近づくと、小声で耳打ちした。
オリヴィエ・ミラ・アームストロング少将から伝言があるよ、ロイ・マスタングー。

それを聞いたマスタングは、目を見開く。
彼は即座に笑みを浮かべると、花を全部買うよーと交渉に応じるのだった。


ブリッグズ要塞ー
マイルズとキンブリーの睨み合いは、続いていた。

自分に執拗に突っかかってくるマイルズを、キンブリーはイシュヴァ―ルの話を持ち出してからかう。
一触即発ー
2人の間には、ピリピリとした空気が張り詰める。
と、そこにオリヴィエからの伝言を持って軍人が1人やってきた。

彼はマイルズに歩み寄ると、キンブリーに聞こえないように耳打ちする。
作戦完了。時間稼ぎはもういいそうですー。
それを聞いたマイルズはふーっと大きく息をつくと、やっと会話をしなくて済む・・と肩の力を抜いたのだった。

彼はオリヴィエの作戦により、レイブンを始末するまでの間キンブリーを足止めしておくよう命じられていたのだ。
任務を済ませたマイルズは早速キンブリーの元へ行き、彼に問う。
レイブン中将の姿が見えないようだが、どこか行きそうなところを知らないかー?

その問いに、キンブリーは眉を上げる。
だが彼はすぐに、中将は放っておけばいい・・と笑った。

むしろ自分にとってはありがたい・・。
彼はブラッドレイに、もしレイブンに何かあった場合には個人の判断で自由に動いてもいい、という許可を得ていたのだ。
そう明かすとキンブリーは、早速自由行動に出よう、とマイルズに車を用意するよう言いつけるのだったー。

同刻ー
牢に閉じ込められたままのエドは、時間がかかっていることに苛立っていた。

いつになったら、ここを出られるんだ。メイと白黒猫はちゃんと探しているのか。
彼は見張りの医師にあれこれ尋ねては、せわしなく動き回る。

と、その時ー
キンブリーが姿を見せた。
彼は医師に、エドと面会をしたいーと申し出た。

今日はエルリック兄弟に、客人を連れてきたのだ。
キンブリーは笑顔で、2人にそう話す。
客・・?
エドたちが怪訝な表情を浮かべるなか、キンブリーはドアの外に手招きした。
さあ、どうぞこちらへー

そう誘われて入ってきたのは、なんとウインリィだった。
2人は驚愕し、何で来たのか!!と思わず彼女に怒鳴り散らした。

ウインリィによれば、エドが北にいるため北方用のオートメイルが必要だ、と中央軍から連絡があったらしい。
事情を呑み込めない3人はやり取りにも齟齬が生じ、パニックとなる。
そんな3人を見かねて、キンブリーがその間に入った。

彼は皆に落ち着くように言うと、エドたちにこれはブラッドレイの計らいだーと話す。
鋼の錬金術師が北方用のオートメイルに換装していないと聞いて心配した大総統は、自らロックベル嬢を手配されたのだー。
そう話す彼の手は、ウインリィの肩をぐっと掴む。

キンブリーの口調は穏やかだが、その目は全く笑っていなかった。
お2人とも、大総統閣下は大層心配していましたよー?
その言葉の意味を理解したエドとアルは、何も返せず唇を噛みしめるのだったー。




















腹を探り合う者たち。

今回はオリヴィエがレイブンに反目するなか、エドたちの元に人質であるウインリィがやってくる話でした。

いやー、オリヴィエかっこよすぎです!
レイブンをぶった斬ったところは、胸がすかっと来ました。

彼女の言う通り、レイブンだって若い時は夢と希望をもって仕事に励んでいたのでしょう。
それがどこで変わったのか、欲に溺れ自分のことしか考えられなくなったのは、実に哀れですね。
まさに老害・・
皆の冷たい目の中死に落ちていくのはさぞかし絶望だったろうと同情はしますが、仕方ないですね・・。

国民はおろか、部下1人のことも思いやれない彼は、もはや手遅れです。
ホムンクルス同等の価値感しか持てないレイブンには、ご退場願いましょう。
オリヴィエとの息詰まるやり取り、見事でした。

ただここからは、オリヴィエは苦境に立たされること間違いないでしょうね。
彼女もそんなことは織り込み済みでしょうが、どうやってブラッドレイの追及から逃れるのか・・
ここからが、本当に彼女の力量が問われる番ですね。

オリヴィエなら、きっと部下を守り、自分が矢面に立つでしょう。
ブラッドレイとは違う意味で人の上に立つ資質を持つ彼女ー
どんなやり取りを繰り広げるのか、興味ありますね。

ブラッドレイたちはこれをチャンスと、どんな理由をつけてでもブリッグズに乗り込んできて、戦乱を引き起こそうとするでしょう。
となるとスカーたちも北にいる今、ブリッグズが最後の戦いの場となる可能性もあるのかも?

何にしても、今回のオリヴィエの軍への裏切りが大きな波紋を引き起こすことは間違いないでしょう。
ブリッグズ軍には今こそ一枚岩となって、乗り越えてほしいですね。
エドたちも、力になってあげてくれ・・!

オリヴィエの勇気ある行動に、今回はただただ感服しました。
これからもブリッグズに繁栄があるよう、祈っています!





続いては、マスタング。
中央で諜報活動にいそしんでいた彼。
そんな彼の元に届いたのは、オリヴィエからの報せでした。

これでマスタングにも、今ブリッグズで何が起きているかが分かるようになりましたね。
彼は仕事柄中央を離れることはできないでしょうが、オリヴィエやエドたちが気付いた事実を知れることで、大分今後の動きも定まってくるので良い傾向です。

ブリッグズか中央が最後の戦いの場となるのは間違いないので、それまでにどれだけ準備をし、地場を固められるか・・
ここからが、マスタングの本領発揮といったところでしょうか。

ブラッドレイの目がブリッグズに向いている内に、どれだけ動けるか・・。
彼の活躍に期待しています!





さて、後は気になることを幾つか。

まずはウインリィのことから。
やっぱり彼女、ブリッグズに派遣されてきましたね。
前回予想した通り・・エドたちに人質の件をちらつかせ、下手な動きをさせないようけん制するつもりのようです。

また彼女のお目付け役がキンブリーというのが、たちが悪い。
彼が上官をためらいなく殺したことからも分かるように、キンブリーは何をしでかすか分からない怖さがあります。

もし邪魔となったら・・彼は躊躇なくウインリィにすら手を下そうとするでしょう。
そういう人物に大事な人の命が握られていると思うと、エドたちは生きた心地がしないでしょう。
キンブリーの動向・・常にチェックしないとなりませんね。

またキンブリーが、ウインリィをロックベル夫妻の子だと知っているのかも、地味に気になります。
夫妻の仕事への姿勢に美しさを見出していたキンブリー。
彼女が夫妻の子だと知ったら、興味を持ちそうでそれも怖い・・。

何にしても、エドたちにも新たな試練ですね。
ブラッドレイ・・こうなるのを全て読んで動いているのだから、本当に恐ろしい。
ウインリィが来たことで、状況はどう変わるのかー
注視したいと思います。




後は、スロウスのことも。
今回レイブンの言葉で、スロウスだと確定しましたね。まぁ、他に選択肢なかったですけどw

彼に任務を命じているのが、プライドだということも明らかとなりました。
やっぱりプライドがホムンクルスのリーダーと見て、間違いなさそうです。
一体どんな人物なんだろう・・。

というより、プライドって実体はあるのでしょうか?
なんか常に隠れていて姿を現わさないし、先遣隊の前に現れたのがプライドだとしたら、もしかして影みたいな存在なのでは・・と思ったんですよね。

ここまで引き延ばすからには、衝撃の姿が隠されているのだろうなぁ。
彼の正体、早く知りたいなーと改めて思いました。








さて、次回はウインリィを人質に取って、キンブリーによるエドたちへのけん制が始まる回でしょうか。
レイブンの行方不明の件も早々に中央軍に知らされるでしょうから、オリヴィエの身も心配ですね。

また、メイたちと合流したスカー。
軍人たちに居場所が知れてしまったので、再びキンブリーとの戦いが迫っていることでしょう。
彼らの動きにも、注意していきたいですね。


緊張感漂うブリッグズでの攻防は、まだまだ続きます。
次回も楽しみです☆