今回から、19巻です!

前回、キンブリーを欺き、地下坑道を通ってブリッグズ要塞へと向かうことにしたスカー一行。
しかし要塞には中央軍の手が入り、オリヴィエは中央に呼び出しを受けてしまいます・・。

そのため、アルは危険を知らせるために、1人スカーたちの元へと向かいます。
エドたちの作戦は、無事に成就するのでしょうかー?

感想です☆




第74話~ 「フラスコの中の小人」





※以下、ネタバレあり※









◎あらすじ◎

ブリッグズ要塞ー
中央軍は、レイブン中将の行方不明の件について、ブリッグズ兵たちに聞いて回った。

だが誰に聞いても、彼の行方を知る者はいない。
要塞の中は複雑だから、どこかで迷って事故に遭ったのではないか。オリヴィエと最下層に降りていったのを見たのが最後だ。
主にその証言しか得られず、中央軍は困って顔を見合わせる・・。

同刻ー
オリヴィエは中央司令部に召喚されていた。
廊下を歩いていた彼女は、偶然にマスタングと出会う。

マスタングは再会を喜ぶが、オリヴィエは彼が中央勤務であることに舌打ちする。
不穏な空気を漂わせながらも、彼らは自分たちの現況を手短に話した。

オリヴィエが暫く北には帰れないかもしれないー
それを知ったマスタングは、近い内に花でも送りましょう・・と耳打ちする。
オリヴィエはうなづき、無造作に手を振るのだった。

そうしてー彼女はブラッドレイの元へとたどり着いた。
部屋に入ると、ブラッドレイは人払いをした。
それから早速、彼は本題に入る。

レイブン中将の行方不明の件について訊こう。何をしたー?

その瞳は鋭く、オリヴィエはこれは騙しきれないな・・と直感する。
そこで彼女は、正面から切り込むことにした。
閣下ともあろうお方が、あのような粗忽物を側に置いておられるのはどういう訳ですか?

そう問われたブラッドレイは、始末したのか?とオリヴィエを見つめる。
オリヴィエもその瞳を見返し、力強くうなづいた。
要らないでしょう、あれはー。

オリヴィエは、自分の独断でレイブンを葬った、とブラッドレイに明かした。
それからレイブンが彼女に言ったことー不死の軍団について、アメストリス国の成り立ちについて、ホムンクルスについて、そしてブラッドレイの正体についてーそれら全てを聞いたことも告白する。

ブラッドレイは息をつき、それを聞いた上で呼び出しに応じたのか?と尋ねた。
オリヴィエはそうだと答え、レイブンの座っていた席を自分に譲ってほしいーと切り出す。
それを聞いたブラッドレイはー笑い出した。

面白い!それでこそ、だ。
彼は立ち上がると、オリヴィエを見下ろした。
気に入った、したたかに足掻けよ、人間。
よろしい、君に席を与えよう。代わりにブリッグズ兵は自分の手の者が治めることになるがーいいな?

ブラッドレイはそう言って、オリヴィエを威圧した。
だがオリヴィエは動じず、どうぞご随意に、と軍を差し出す。
私が手塩にかけて育てた屈強な兵です。必ずや閣下のお気に召すでしょうー。

2人は再び見合った。
ブラッドレイはオリヴィエの強さを認め、早速上層部に紹介することにする。
ようこそ、オリヴィエ・ミラ・アームストロング少将。さあ、席へー。

オリヴィエは、レイブンの空いた席へと案内されるー

ーその頃ブリッグズ要塞では、バッカニアたちが中央軍の動きを観察していた。
オリヴィエは自ら虎穴に入っていった・・。
ブリッグズも、やがて中央の人間がトップとして異動してくるだろう。

そう話しながらも、彼らは決してそのことを悲観しはしなかった。
中央軍は、ブリッグズ兵が一枚岩だということを知らない。
真の王が不在でも動揺せず、1つの意思の元に動くことのできる巨大な一枚岩・・それがブリッグズ兵なのだ。

バッカニアもうなづき、拳をぐっと握りしめる。
ここからは、虎と熊の喰いあいだー!!
彼らはいつでも戦える準備を始めるのだった。


昼休みー
ホークアイは、食堂で昼食をとっていた。

そこに、偶然マスタングもやってくる。
彼はホークアイの正面に座ると、彼女の顔を眺めた。
・・なんだか元気がないな。何か嫌なことでもあったのか?

ホークアイは首を振り、何もない、とだけ答える。
それから2人は互いの近況を聞き、他愛無い雑談を交わした。
その中でオリヴィエが中央に出向いていると聞いたホークアイは、しばらく考える。
そして彼女はー持っていたカップを2回テーブルに打ち付けた。

北といえば、スカーとエルリック兄弟が今北にいるそうですよ。
ホークアイが話し始めたので、マスタングは彼女を見やった。
そしてペンを取り出し、彼もまたテーブルを2回叩いた。

それからー2人は北についてしばし話をした。
仲間の名前を挙げながら、彼らは時に笑い、時に懐かしみながら会話を楽しむ。
そしてしばらく話すとーホークアイはカップを1回テーブルに打ち付けた。

それに呼応するように、マスタングもペンでテーブルを1回叩く。
するとホークアイは仕事に戻ると言い、席を立った。
2人はまた会おうと手を振り合い、マスタングも食事を終えトイレへと向かった。

トイレの個室でーマスタングは、さっきの会話に出てきた人物たちの名前の頭文字を1つずつ書き出していった。
スカーにエルリック兄弟、ルーシー、アイザック、マイルズ、バッカニア・・
1つ1つをつなげていったマスタングの顔は、段々引きつっていくー。

そしてー全てを並べた彼は、その眼を見開く。
彼は急いでそのメモに火をつけ、証拠が残らないように燃やした。

ホークアイが伝えた暗号・・。
ーセリム・ブラッドレイはホムンクルス。
マスタングはその事実に、頭がついていかないのを感じた。

あり得ないだろう・・。
彼の身体は、思わず震える。
だが・・あり得ないなんてことはあり得ない。
それもまた、彼がよく知っている現実なのだったー。


ダブリスー
イズミとシグの店では、メイスンが1人店番をしていた。

そこに、軍服を着た男たちが数人訪ねてくる。
彼らはイズミの所在を尋ねるが、2人はちょうど旅行に行っていて留守だった。
メイスンはそう話すが、軍人たちは彼が隠しているのではないか・・と疑ってきた。

そこでむっとしたメイスンは、軍の人間が何の用だ、と男たちを睨む。
すると軍人たちは、自分たちはブラッドレイの遣いでやってきた、と明かした。
ブラッドレイ・・?
大総統がなぜ・・。メイスンは首を傾げるのだった。

ーそのやり取りを、たまたま聞いている者がいた。
彼は大総統という単語を聞きつけ、会話の方向を見やる。
そしてそこに軍の人間がいるのを見た男は、はっと息を呑んだ。

メイスンと話している軍人たち・・
彼らは以前、グリードたちを連れていった軍人たちだったのだ。
トカゲの見た目のような男ービドーはそのことに気付くと、急いで軍人たちの車に近づく。

そして彼は車の下に張り付いた。
その後軍人たちは連絡先だけ置き、その車でシグの店を後にするのだった・・。


ーそうして各地で次第に動きが大きくなっている頃、お父様は地下で眠っていた。
彼は生まれた頃の夢を見ていた・・。

クセルクセスー
まだその町が栄えていた頃、彼は生まれた。

彼は動くことができなかったため、近くにやってきた1人の青年に声をかけることにした。
部屋を掃除する青年ー
彼は呼びかけたが、青年は最初彼がどこにいるのか分からないようだった。

そこで彼は、自分はここにいるーと声で示す。
青年は周囲をきょろきょろし、ようやく声のする場所に気付いた。
そこには机があり、その上には実験器具のようなものが雑多に置かれていた。
そしてその中のフラスコの1つからー声は聞こえていたのだ。

フラスコの中には、真っ黒な丸い物体が入っていた。
その黒いものが、ずっと呼び掛けていたのだ・・。
青年は黒いものをじっと見つめると、興味なさそうに目をそらした。

その動じない姿を、彼は気に入った。
そこで彼は青年に、名前を尋ねる。

だが青年は、名前などない、と答えた。
青年は奴隷で、23号という番号しかなかったのだ・・。

それを知った彼は、なぜこんなものから自分が生まれたのだろう・・と訝った。
彼は、23号の血から生まれたものだったのだ。
事情を聞いた23号は、以前主人に実験に使うから、と大量の血を抜かれたことを思い出す。

君が血をくれたから、私はこの世に生まれ出た。ありがとうー。
彼はそう礼を言うと、その礼に自分が名前をやろう、と提案した。
立派なのがいいだろう・・。
彼はしばらく考え、ある名前を思いつく。

そうだ、ヴァン・ホーエンハイムというのはどうだ・・?

ーその名前は、妙に青年にはしっくりきた。
23号がその名を気に入ったのを見た彼は、文字の読み書きなども教えてやろうーと申し出た。
23号ーホーエンハイムはそれを必要ないと断るが、彼はそれではいつまで経ってもそのままだよ、とたしなめた。

自由と権利が欲しくないか?ホーエンハイム。
人間としての権利を手にしないまま、奴隷で一生を終わる気か?他人の所有物として自由を奪われ、広い世界を知らぬまま檻の中で朽ち果てる気か?

彼の言葉に、ホーエンハイムは次第に魅入られていく。
彼はそのまま、ホーエンハイムに可能性を提示し続けた。

それでは息苦しいフラスコの中にいるのと同じだ。
知識は何よりも、宝になる。生きていくための力だ。君を奴隷の身から救ってくれる手段になるだろう。
・・知識を与えてやる、ヴァン・ホーエンハイム。

そう誘われたホーエンハイムは、ごくりと唾を呑んだ。
お前は何だ?何と呼べばいい・・?
そう言って近づいてくるホーエンハイムを見た彼は、フラスコの中でにっと笑みを浮かべた。

真っ黒の身体に、目と口が浮かぶー。
その目と口を笑みに歪ませながら、彼は答えた。
フラスコの中の小人ーとでも、呼んでもらおうかー・・。




















全ての始まりー。


今回はオリヴィエが中央に組み込まれていくなか、ついにホムンクルスの起源について触れた回でした。

ここで過去編に突入!
物語もラストに向けて進みだしたので、その前に全てを明らかにしようというものでしょうか。
若き日のホーエンハイムがエドにそっくりで、ゾクゾクしました!!

あのフラスコの中のホムンクルスが、恐らくお父様ですよね・・?
彼は、一体誰が作ろうと考えたのだろう。
きっと不老不死という欲に目のくらんだ人間の仕業だとは思いますが、こうやって今起きていることの元凶が生まれたのかと思うと複雑ですね・・。

いつの時代も、人が望むものは変わらないんだなぁ。
アメストリスもシンも、トップというのはどうしても死にたくないと思ってしまうものなのでしょうか・・。
私にはよく分かりませんが。。

そしてまだ序盤なので推測でしかありませんが、ホーエンハイムはその計画にいいように使われてしまうのかな・・。
ホムンクルスは、非常に言葉巧みですね。
奴隷である身の人間なら誰でも、目の前に可能性を提示されたらそれに縋りたくなるものでしょう。
ホーエンハイムが興味を持つのも、無理はありません。

でもそうなると、ホーエンハイムは全くの被害者ということになってしまいますね・・。
それでずっと生き続ける身を得るというのは、あまりに理不尽で可哀想です。
彼の、家族と生きて死にたいという思いも、そう考えると切なすぎますよ・・。

次回、ホーエンハイムとホムンクルスの関係がますますはっきりとしてきますね。
そしてあの日、クセルクセスで何が起きたのかー
真実が明らかになるのでしょう。しっかりと見ていきたいと思います。




さて、本編の方は、どんどん状況が緊迫していきますね。
特にブリッグズがやっぱり心配・・。
いよいよブリッグズにも血の紋が刻まれる時が近づいているようです。

恐らく中央の人間がブリッグズに異動してきて、新たなトップがやって来る時が、ブリッグズ開戦の合図でしょう。
相手は恐らく・・ドラクマになるのかな。

イシュヴァールの内乱のときも、隣国に武器を流させたりしていましたもんね。
今回も言葉巧みに誘導するのではないでしょうか。それこそブリッグズ軍が地下にトンネルを作って侵入しようとしてたーとか、いくらでも理由はつけられるでしょうから。

でも救いとなるのは、ブリッグズ軍たちが皆その状況を理解していることかな。
たとえオリヴィエが不在でも、自分たちは一枚岩だから大丈夫ー
そう言いきれるところは、本当にこの軍のすごいところです。

バッカニアの言葉が、また痺れますよね。
ここからは虎と熊の喰いあいだー
こんなの、中央軍が勝てる見込みないじゃないですか!

なので戦争が起きるのは不安ですが、ブリッグズ軍に関してはきっと大丈夫だろうという変な確信があります。
むしろこれを機に、一気にホムンクルスたちの計画をぶち壊してほしいくらいです。
人間相手なら、彼らはきっと善戦間違いなしですからね。

ただ・・心配なのは、ホムンクルスの介入です。
スロウスも復活したし、何より恐ろしいのはセリムの存在・・。
彼の力量はまだ全貌が見えていませんが、始まりのホムンクルスだけあって相当強そうです。
彼らが出張ってくると、さすがのブリッグズ軍も苦戦しますよね。

どうか誰1人犠牲になりませんように。
そして皆元気なまま、オリヴィエと再会できますように・・。


さて、そのオリヴィエですが、彼女もまた今回の暗躍には感嘆させられました。
あのブラッドレイに怯まず、自分を売り込むとはーさすがの胆力!
やっぱり北を統べてきただけの実力はありますね!!

今後は自由に動くことはできなくなってしまいますが、敵の懐に入り込むことで得られるものも必ずあるはずー!
欲の上にあぐらをかいている上層部の人間たちを、あっと言わせてほしいものです。

彼女の方もブラッドレイ以下ホムンクルスたちの手が伸びてくるのが心配ですが、中央にはマスタングやアームストロングがいるのが救いでしょうか。
皆がギリギリの場所で踏ん張っている・・。
その事実があるから、頑張れることもあるでしょう。

オリヴィエが今後どういう動きを見せてくれるのかは、純粋に楽しみです。
マスタングとの共闘も、是非見てみたいですね!彼女はお断り・・でしょうがw





最後に、マスタングとホークアイについて。

今回の2人の暗号を通したやり取りー何ですか、あれ!かっこよすぎますよね!!
2人の信頼関係も、ばっちりですよね。とりあえずは、ホークアイが気落ちしていなくて良かったです。
彼女の異変にすぐ気づくマスタングも、尊い・・。

ああいう秘密裡のやり取りって、何かドキドキしますよね。
っていうか2人共頭が良すぎる・・。やっぱりこういう人たちに、トップに立ってほしいですよ。

セリム・ブラッドレイはホムンクルスー
この事実を前に、マスタングは今後どう動くのでしょうか。
まずはホークアイの身を心配するでしょうが・・現状打つ手はないですよね。

まさか正体を糾弾する訳にもいかないですし・・。したとしても、揉み消されて終わりでしょう。
となると、周囲の味方にそのことを伝えるくらいしか、できることはないように思われます。

彼に関しては約束の日が来るまでは・・手出しはできそうにないですね。
となると、彼との決戦も、その時ということになるのか・・。
うーん、敵がまだ多く残りすぎていて不安が大きいです。

それなら逆に、エンヴィーやグラトニーを今のうちに倒しておく方が得策かもしれませんね。
まぁ彼らも表に出てこなければ戦う機会はないのですが、そこはマスタングたちが逆に騒ぎを起こせば出てくるかもしれません。

マスタングは人柱候補ですからね。彼らも目を光らせていることでしょうから、案外罠にかかる可能性はあると思います。
そこから倒せるかどうかは、また別の問題なのでしょうが・・。


うーん、良い案が出てこないのが辛いところです。
何か状況をぱっと変えるような奇策が出てくるといいんですけどね。

この緊迫した状況が、早く打破されることを願っています!
皆頑張れ、今は耐えて乗り越えてくれーーー!!






さて、次回はホーエンハイムとホムンクルスの物語の続きですね。
ホーエンハイムに目をつけ、何やらよからぬ計画を企てているホムンクルス・・
クセルクセスで、彼は一体何を行ったのでしょうかー。

クセルクセスが一夜で滅んだ理由も、ここで明らかとなるのでしょう。
そしてホーエンハイムとお父様の真の正体も、はっきりしそうですね。


全ての始まりとなる過去編ー
どんな展開が待ち受けているのか・・

次回も楽しみです☆