今回から、23巻です!

前回、中央地下で不死の軍団と戦った一行。
そんな中、ついにホーエンハイムはお父様と対峙しますー。

オリヴィエはスロウスと、アルはセリム・キンブリーと。
各々の地で、ホムンクルスとの戦いも始まっています。

いよいよ激化する戦争ー
勝ち残るのは、一体誰なのでしょうかー?!

感想です☆




第92話~ 「皆の力」




※以下、ネタバレあり※









◎あらすじ◎

ー少し前。
アルはハインケルから、賢者の石を渡された。

彼はそれを使うように言われるが、賢者の石は人の命でできているから・・と受け取るかためらう。
だがそんな彼に、ハインケルは自分の思いを伝えた。

エドとアルが元の身体にこの石を使いたくないと思っているのは知っている。
だったらお前たちのためではなく、世界を守るために使ってやれ。

こんな石になっているのに、まだ人の命として認めているお前らだから頼むんだ・・。
どんな外見になったって、大事なものを守るために戦いたいんだよ。
こいつらにも、戦わせてやってくれ・・!!

ーその言葉に、アルはうなづく。
彼はハインケルから、石を受け取った。
分かった、一緒に戦おうー。

そうして、アルは今セリムとキンブリーの前に立った。
彼が賢者の石を持っているのに気づいた2人は、目を見張る。
だがその間にも、アルは再び砂煙を巻き起こした。

彼はそれを目くらましにし、キンブリーの背後に回る。
だがキンブリーはその攻撃を、自身も地面を砕くことでかわした。
アルは飛んでくる石の破片から身を守るため、壁を錬成する。

すると今度はセリムが、影でその壁を砕いた。
そして彼はアルの腕や足を奪い、拘束しようとする。

アルは剣を錬成し、その攻撃から逃れた。
彼は影を打ち返しながら、セリムの方へとその切っ先を伸ばす。

その隙に、キンブリーがアルの足元を爆破した。
アルは地面を錬成して攻撃をよけ、逆にキンブリーに同じ攻撃を返すー。

彼はキンブリーが攻撃に当たるのを確認すると、セリムに向かって腕を伸ばした。
瞬間、セリムを包むように壁が錬成されていく。

それはホーエンハイムの業と同じだった。
2度も食うものか!
セリムは閉じ込められる前に、影で壁を打ち砕く。

そこに、アルが駆け寄った。
彼は影の動きを止めようと、左手を伸ばす。
その時、セリムはアルの右手に閃光弾が握られているのに気づいた。

させるか・・!
セリムは右手を狙って、影を伸ばす。
するとアルは囮だよ、と笑うと、閃光弾を地面へと落としたー

その瞬間、一帯が眩い閃光に包まれる。
影が消えていくのを感じながら、セリムは目を覆った。
さすがは賢者の石だ。次から次へ業を繰り出してくる・・。

そこへ、彼の身体に石の壁が巻き付いた。
今度は動きを封じられ、セリムには打つ手がなかった。
彼はそのまま身体を絡めとられ、壁の中に閉じ込められてしまう・・。

作戦が成功し、アルは一息ついた。
だがそんな彼の前に、キンブリーが起き上がってきた。
彼はさすがは賢者の石だ・・とその威力を褒めながら、だからこそ分からないーとアルを見つめる。
なぜその石の力を、自分の身体を戻すために使わないのですか?

石があれば、自分たちから逃げることができる。そして逃げ切ったら、石を使い2人で元の身体に戻るー
それであなたたちの旅は終わりではないんですか?
キンブリーは純粋に不思議に思い、アルに尋ねた。

それに対しアルは、それだと皆を救えないんだ・・と答える。
キンブリーは息をつき、何かを得るためには何かを切り捨てなければならないものだ、と語る。
だがアルは、それを否定した。

そもそも、何で二択なの?
彼の言葉に、キンブリーはきょとんとする。そんなキンブリーに、アルは自分の考えを話した。

元の身体に戻って皆を救えないのと、元の身体は諦めて皆を救うー選択肢はその2つだけではないはずだ。
どうして、元の身体を取り戻して且つ皆も救うという選択肢がないんだー?

そこでキンブリーは、等価交換の法則を持ち出す。
だがアルは、それすらも否定してみせた。
原則に縛られずに可能性を求めるのも、人類の進歩には必要だと思うよ?

彼の言葉に、キンブリーはふむ・・と考え込んだ。
なるほど、それが実現すれば新たな理としてこの世に認められるという訳か・・。
やがてそう納得すると、彼はにやりと笑う。
だったら、あなた方は元には戻れず皆も救えないという選択肢も用意しなさいー。

その瞬間、キンブリーは錬金術を発動した。
気付いたアルもまた、キンブリーに業をぶつける。
両者の間には火花が散り、力と力はぶつかり合って激しい爆発を起こすのだった。


中央司令部ー
オリヴィエは、スロウスと戦っていた。

スロウスは腕の鎖を振り回しながら、オリヴィエを追う。
当てるの・・めんどくせぇ・・。

その攻撃をかわしながら、オリヴィエは試しに銃弾をスロウスに撃ち込んでみる。
だがスロウスの身体は、弾が当たっても全く響かない・・。
オリヴィエは息をつくと、銃を床に捨てた。

その時、中央軍が司令部に攻め入ってくる。
彼らはオリヴィエに銃を向け、反逆罪で銃殺命令が出されたことを告げる。

けれどもオリヴィエは、そんなことに構っていられる暇はなかった。
中央軍もそれに気づき、目を見張る。
オリヴィエを狙うスロウスの鎖が、今にも自分たちにも当たろうとしたからだー。

彼らの何人かはその攻撃を受け、気絶してしまう。
この状況で兵を固めておくな、馬鹿者!
オリヴィエは舌打ちしながら、爆弾のピンを抜きそれをスロウスに向けて投げ込んだ。

爆弾は勢いよく弾け、周辺のものを吹き飛ばす。
オリヴィエは柱の陰に身を潜めて爆風をやり過ごしながら、少しはダメージを喰らってくれよ・・と様子を窺った。

その時ー彼女は柱ごと、スロウスに掴まれた。
捕まえた・・。
スロウスはそう呟きながら、彼女の身体をへし折ろうと力をこめる。
オリヴィエは腕から抜けることができず、顔をしかめたー

と、そこへ駆け寄る者があった。
その男はスロウスの顔面に拳を打ち込むー。
スロウスはその衝撃に、後ろに吹き飛んだ。

姉上、ご無事でしたかー?!
それは、アームストロングだった。
弟の顔を見たオリヴィエは、誰にものを言っている・・と笑った。

彼女はアームストロングに、スロウスがホムンクルスであることを告げる。
鉄砲玉ではびくともしない奴だー。
そう話すと、アームストロングは眼を光らせた。
それなら、吾輩の得意分野ではありませんか!!

そう叫ぶと、彼は瓦礫を1つ手に取る。
そしてそれを槍に錬成すると、渾身の力でスロウスに向かって投げつけた。

彼は次々に瓦礫を槍に変え、スロウスにぶつける。
頑強なスロウスの身体もこの連続攻撃には敵わず、彼の頭から血が噴き出た。
そこに、オリヴィエは剣を突き立てる。

皮膚の下は行ける!
彼女は感触を得て、戦い方を心得る。

一方スロウスは頭を押さえ、痛ぇ・・と呻いた。
死ぬのもめんどくせー。本気出すのも・・超めんどくせー・・。
彼はふらつきながら、そう呟く。そしてーその眼を光らせた。

その異変に、オリヴィエたちは眉をひそめる。
と、そこへ他の中央軍も駆けてきた。
彼らはオリヴィエを見つけやってくるが、次の瞬間何かにぶつかって吹き飛んだ。

その攻撃は、オリヴィエにもアームストロングにも見えなかった。
2人は唖然とし、中央軍がいた方を見やる。
そこには突進したらしいスロウスの姿と、ぐしゃぐしゃに潰された軍人たちの姿があった・・。

一瞬で移動したのか・・?
オリヴィエたちは尚も何が起きたか分からず、姉弟で顔を見合わせる。
そこへスロウスは、更なる攻撃を仕掛けてくる。

オリヴィエは殺気を感じ、わずかに身をそらした。
それが奏し、彼女はスロウスの体当たりをギリギリよけることとなった。

まるで閃光のように、自分の横を通り抜けていったスロウスー
オリヴィエはようやく理解し、息を呑んだ。
何というスピード・・!こいつ、今まで怠けていたのか!!

彼女は少しスロウスにぶつかったことで、腕を怪我していた。
アームストロングが心配するなか、2人は改めてスロウスに警戒を向ける。

肉眼ではわずかしか捉えられない。まさかこの巨体でこんなに速く動けるとは・・。
彼らが構えるのを見て、スロウスはうなづいた。
そう、俺、最速のホムンクルスー・・

彼はそう言うと、今度はアームストロングの方へ突っ込んだ。
アームストロングもよけるが、わずかに顔をかすってしまう。
だがその動きを見て、オリヴィエは新たな事実に気付く。

こいつ、速すぎて自分でもコントロールできていない・・?!
だがそう考えたのも束の間、気づけばスロウスはオリヴィエの目の前にいた。
目を見張る間もなく、スロウスは彼女に拳をぶち込むー

オリヴィエの後ろの壁が、粉々に砕けた。
やっと当たった・・。
スロウスはそう呟くが、やがて自分を押さえる者の存在に気付く。

それは、アームストロングだった。
彼は攻撃の直前にオリヴィエの前に割り込み、スロウスの攻撃を全身で受け止めていたのだ・・。

彼は錬金術を発動し、スロウスを力で押し返す。
スロウスは攻撃をまともに受け、入口の方まで吹き飛んで地面にめり込んだ。

その間に、オリヴィエとアームストロングは互いの無事を確認する。
2人共怪我はしているが、まだ動けた・・。
だがそこに、スロウスが戻ってくる。
彼は地面の中から拳を突き出すと、瓦礫ごとオリヴィエたちを吹き飛ばした。

その力は凄まじく、彼らは上の階まで押し上げられてしまう。
瓦礫が身体にぶつかり、オリヴィエは意識を失った。
アームストロングは何とか起き上がるが、彼の前にはスロウスが待ち構えていた。

スロウスの拳が、アームストロングに向けられるー。
絶体絶命の中、更に大きな音が中央司令部に響き渡るー


一方、スラム横の森の中。
激しい爆発の混乱に乗じ、セリムは崩れた壁の中から這い出てきた。

彼の前には、戦いの興奮に酔いしれるキンブリーの姿があった。
んー、良い音だ。強い意思のぶつかり合いとは、かくも美しき音を奏でるものか・・!
キンブリーはそう呟きながら、恍惚の表情を浮かべる。

爆風で見えないものの、アルが近くにいる気配をセリムは感じていた。
キンブリーもうなづき、小石を銃弾に変えて辺りに撃ち込む。
そうして彼はアルの居場所を割り出すと、爆発攻撃を仕掛けた。

アルはそれをよけながら、再び砂煙を巻き起こす。
毎回同じ業とは芸がない・・。
セリムは舌打ちし、背後から殴りかかってくるアルの身体を影で掴む。

無駄ですよ・・。
影はアルの身体を絡めとり、地面に縛り付けてしまう。
チェックメイトです。
その姿を見て、セリムは言い放った。

だが・・その瞬間、アルは笑みを見せた。
・・どうかな?ここからが人間のしぶといところさ。

その言葉に苛立ったセリムは、アルの腕を締め上げる。
賢者の石があると言ったって、たった1人で自分たちに勝てる訳がないだろうー?!
彼がそう叫ぶと、アルも叫び返した。
1人じゃない!!

ーふと、セリムは締め上げた腕の中に賢者の石が無いことに気付いた。
・・?石はどこに・・?
その時、彼は第三者の匂いを嗅ぎつけ、ドームの方を振り返る。
まさか・・?!

アルが砂煙を起こしたのは、目くらましのためだけではなかった。
彼は砂煙で風向きを知り、セリムの嗅覚がきかない風下に仲間を呼び寄せていたのだ。
砂煙が途切れる一瞬、そこにマルコーの姿があるのをセリムは見るー。

マルコーの手には、アルが持っていたはずの賢者の石があった。
彼らが何を企んでいるのか理解したセリムは、キンブリーに向かって叫ぶ。
キンブリー、風下から!!

だがーセリムは気付くのが、数秒遅かった。
彼が叫ぶなか、砂煙の中からはハインケルが飛び出してきていた。
ハインケルはキンブリーの背後で跳ぶと、その首根っこに思いきり牙を立てるのだったー。




















仲間との戦い。

今回はアルがセリム・キンブリーと、オリヴィエとアームストロングがスロウスと戦う話でした!
まさに戦いだけの1話!
緊迫感が半端なく、一気に読み進めてしまいました。

特にアームストロング家の姉弟の共闘には興奮しましたね!
こう来るか・・!と。

アームストロングも、相手がホムンクルスなら悩むことなしに思いきり戦えます!
彼もまたイシュヴァール戦によって人生を狂わされた者・・。
ここで今までの人生にケリをつけ、先に進む時なのでしょう。

一方のオリヴィエも、怯える様子も全く見せず、銃殺命令が出ても意に介しない・・。
相変わらず豪胆すぎます!w
なんかこの2人なら、ホムンクルスに打ち勝てそう・・と思えちゃうのがすごいです。

けれども、ここでなんとスロウスが開眼。真の力を発揮してきました。
彼もめんどくさいだけで、やる気がない訳じゃなかったんだな・・。

スロウスの真の能力は、ホムンクルス最速を誇ること。
あのアームストロング姉弟をもってして、反応さえさせない速さとか・・恐ろしすぎます。

ただオリヴィエに言わせれば、彼はその速さ故に自分を制御できていないということ・・。
そこが弱点となりそうですが、どうやって戦えばそもそもあのスピードを抑えることができるのか・・。

もしかして手枷がつけられているのも、スピードが出すぎると危険だからなのかな?
恐らくホムンクルス・・お父様かプライドがつけたものですよね?あれ。

そしてそれは、それほどに危険であるという証拠でもあります。
アームストロングは健闘していますが、オリヴィエがかなり衰弱しているのも心配・・。
この戦い、一体どうなってしまうのでしょうか・・。





さて、後はアルとセリム・キンブリーの戦いも圧巻でしたね!
ラストの畳みかけるような総力戦・・めちゃくちゃテンション上がりました!

キンブリーは賢者の石を持つものの今は身体に取り込んでいなかったので、さすがにここで退場でしょうか。
首の骨が折れたような音もしているし、恐らく終わりでしょうね・・。

あっけないような気もしますが(スカーと戦うと思っていたので)なんだか不思議ですが、ここであっさり消えるのもまた彼らしいような気もします。
人間ともホムンクルスとも違う、独自の矜持を持つ人でしたからね・・。

本人は戦いの結末を見届けたかったでしょうが、仕方ないでしょう。
けれども彼がしてきたことは、決して許されることではありません。生きたいと願い殺されていった人たちのように、彼もまた無念を抱えながらも死ぬ時が来たということなのだと思います。

いざ自分が死ぬ番となって、キンブリーは何を思うのでしょうね。
反省することはなさそうだし、醜くあがいて死ぬのも彼のプライドが許さないでしょう。
となると、大人しく死を受け入れるのかな・・。
何だかそれも違う気がしますけど・・。

その辺りは、最後描かれるかな。少し興味がある部分ですね。
自分なりの美学を持つキンブリー、どんな死にざまを見せてくれるのでしょうかー。



で、一方のセリム。
彼はしぶとい・・。なかなかやられてくれませんね。

ただ戦闘力に関しては、やっぱりそこまで高くない印象。
影がなければ、ほとんど相手にならないレベルなのではないでしょうか。
幾度かの戦いを経て、その確信が強まってきたように思います。

一方のアルは、賢者の石を持っているとはいえ強い!
攻撃に対して対抗策をすぐに実行でき、更に相手の弱みを狙えるー今まで戦ってきた分の経験値が着実に積み重ねられているのだと感じました。

それにエドに埋もれちゃうけど、アルだって立派な錬金術師なんですよね。
今回の戦いを見て、改めてその能力の高さを思い知らされました。
これはひょっとしたら、セリム打倒も夢ではないのでは・・?

ただこの状況だと、今はセリムとは戦わずに逃げた方が得策だとは思います。
まずハインケルが重傷だし、マルコーもいる。彼らを守りながら戦うのは、さすがのアルでも厳しいでしょう。
であれば、ここはセリムがキンブリーの死に気を取られている間に逃げるべきかと。

セリムは影さえ封じてしまえば、どうにかなりますからね。
また閃光弾などを使って目くらましするのもアリです。そうしたらどうにか逃げるくらいはできるのではないでしょうか。

そうすればハインケルはマルコーがいるので、助かる見込みも出てきます。
1人でも多くの命を救うため、アルには最良の選択をしてほしいところですね。


後は、アルが賢者の石を使って戦ったシーン・・あれもぐっと来ましたね。
ハインケルの言うように、石になっても尚人間の魂だと認識するエドとアルだからこそ、一緒に戦えたのだと思います。

石になった魂たちも、これなら浮かばれたことでしょう。
ただホムンクルスたちに利用されるより、自分たちを1人の人間の命として扱ってくれる相手のために使われるー
苦しむ人たちだって、これなら納得するのではないでしょうか。

本当は生きたかった。でもそれは叶わず、かといって死ぬこともできずずっと苦しんできた。
でも最後にホムンクルスに一矢報いてその生を終えることができた。人間と共に戦えて死ねた。
それは、ある意味では良い死に方ができたとも言えるのかもしれません。

そうやって少しでも多くの魂が救われることになるといいですね。
エドとアル、そしてホーエンハイムならきっとできると思います。
そうしてこの戦いの中で、クセルクセスの人たちを皆解放してあげてほしいですね・・。

大切な気付きを得た今回の戦い。アルはまた成長を遂げたことでしょう。
このままその思いを忘れず、最終決戦に臨んでほしいと願います。。









さて、次回はキンブリーの死とその後・・ですね。
ついに1人倒したアルたち。しかしそこには、まだセリムがいます。
戦うのか一旦退くのか・・彼らの選択が気になります。

またスロウス戦の行方からも目が離せませんね!
オリヴィエが大分弱ってきているのが心配・・。アームストロングに対抗する術はあるのでしょうか?!


二転三転と状況が入れ替わる激しい戦いー
次回も楽しみです☆