前回、復讐に己を忘れ、エンヴィーにただ殺意を向けるマスタング。
ホークアイ、そしてエドたちは彼の表情に不安を覚え、マスタングの元へと走ります!

復讐の鬼と化したマスタングを、一行は止めることができるのでしょうかー?!

感想です☆




第95話~ 「烈火の先に」





※以下、ネタバレあり※










◎あらすじ◎

エドとマスタングは、睨み合ったー。
エドの手の中のエンヴィーは2人の顔を交互に眺め何とか逃れようとするが、エドの腕はオートメイルのため乗っ取ることはできなかった・・。
彼はただ、じっと状況がどう変化するのかを見守るー。

マスタングはキツい目つきを変えないまま、エドにエンヴィーの引き渡しを迫る。
だがエドはその度に、嫌だーと首を振る。
その問答に焦れたマスタングは、怒声をあげた。

そいつをよこせ、鋼の!さもないとその右手ごと焼くぞ!!
それに対し、エドも負けじと声を張り上げる。
上等だ!ガチで勝負してやるよ!!

エドはマスタングの顔を見つめ、そんな顔で国のトップに立つつもりか!と訴えた。
大佐の目指してるのは、そんなんじゃないだろうー?!
彼の懸命な言葉を、ホークアイたちは黙って見守るー。

それから、スカーが口を開いた。
・・激情に任せ、畜生の道に堕ちるか。それもいいだろう。こちら側に来るというのなら、止めはせん・・。

彼は真っすぐにマスタングの瞳を見据える。
他人の復讐を止める資格は俺にはない。ただ畜生の道に堕ちた者が、人の皮を被りどんな世を成すのか見ものだなーと思うだけだ。
スカーの言葉に、マスタングは眼を見開く。

するとホークアイも、それに続いた。
大佐には、エンヴィーを殺させません。だからといって、奴を生かしておくつもりもありません。
私が片付けます・・

だがその途中で、マスタングは叫んだ。
やっとだぞ?!やっと追い詰めたんだぞ?!
頭を抱える彼に、ホークアイもまた叫んだ。

分かっています!でも、今のあなたは国のためでも仲間を助けるためでもない!
憎しみを晴らすーただそれだけの行為に蝕まれている!!

彼女は震えながらも、持っている銃をマスタングの後頭部からずらさなかった。
お願いです、大佐・・。あなたはそちらに堕ちてはいけない・・!
そうして彼女は必死に懇願する。その思いを背中に受けーマスタングは、唇をぎゅっと噛みしめた。

・・撃ちたければ撃てばいい。
やがて彼はそう口にした。ホークアイは、はっと目を見開く。
だが私を撃ち殺したその後、君はどうするー?

マスタングは静かにそう問うた。
ホークアイは、その問いにうつむき答える。

私1人のうのうと生きていく気はありません。この戦いが終わったら、狂気を生み出す焔の錬金術をこの身体もろともこの世から消し去りますー。

それを聞いたマスタングは、拳を思いきり振り上げた。
彼は壁に向けて炎を1つ放ちぶつけると、力なくその腕を下げた・・。
それは困る。君を失う訳にはいかない・・。

彼は悲しそうに表情を歪め、息をついた。
何なんだろうな、この状況は。子供に怒られ、私を敵と思っていた男に諭され、部下にこんな真似をさせてしまった・・。

私は大馬鹿者だー。

それからマスタングは、ホークアイに銃を下ろさせた。
すまなかった・・。
そう言って座り込む彼を見て、一行はようやく安堵する。
ホークアイも緊張が解け、その場にへたり込んだ・・。

その時、一部始終を見ていたエンヴィーが声をあげた。
バッカじゃないの?

彼はマスタングたちを睨み、呆れたように息をついてみせる。
綺麗ごと並べて人情ごっこかい?虫唾が走る!
あんたら人間が、そんな御大層なものかよ?本能のままに、やりたいようにやっちゃえよ!

そう叫ぶと、彼は1人1人を唆した。
マスタング大佐、スカーはあんたの命を狙ってたんだぞ?
なぁ、おチビさん!あんたの幼馴染の両親を殺したのも、スカーだよなぁ?!

イーストシティのあの女の子を殺したのも、スカー。
それは全部、このエンヴィーが引き起こしたイシュヴァール戦によるもの!
ホークアイ中尉は、そこでいっぱい人を殺した!

だが誰も言葉を発しないので、エンヴィーは今度はスカーに照準を定めた。
スカー、目の前に同胞を大量虐殺した男女がいるんだから、こんなチャンスないだろ?!
憎んで泣いて、殺して殺されてのたうち回れよ!地を這いつくばれよ!

彼は叫びが空回りしているのを理解していても、叫ばずにはいられなかった。
仲良く手を繋いでーなんてできる訳がないだろ?!なんでだ・・なんでだ・・
ちくしょうーーーー!!!

その叫びは、やがて絶叫になった。
それでも、誰1人その挑発に乗る者はいなかった。
ただ皆下を向くなか・・エドだけが、口を開いた。

エンヴィー・・お前、人間に嫉妬しているんだー。

彼の言葉に、エンヴィーは眼を見張る。
エドはそんなエンヴィーに説いた。

人間はホムンクルスより、ずっと弱い存在のはずだ。
なのに叩かれてもへこたれても道を外れても、倒れそうになっても綺麗ごとだと分かっていても、何度でも立ち向かう。周りが立ち上がらせてくれる。
そんな人間が、お前は羨ましいんだよ・・。

ーその瞬間、エンヴィーは隙をついてエドの手の中を抜け出した。
そして床に落ちると、必死に這いつくばって彼らから離れようとした。

往生際の悪い・・。
そう呟いてホークアイは銃を向けるが、それをスカーが制した。
待て、もう永くない・・。

彼が言う通り、エンヴィーはもはや息も絶え絶えだった。
それでもエンヴィーはもがき、やがて彼は屈辱だよ・・と乾いた笑い声をあげた。

こんなぼろ雑巾みたいになって、クソみたいな存在の人間にいいようにやられて、しかもよりによってその中でもクソみたいな・・こんなガキに理解されるなんて、屈辱の極みだよー!!

そう叫ぶ彼の眼から、涙が零れ落ちる。
エンヴィーはそのまま自分の口に手を突っ込み、賢者の石を取り出した。
そしてそれを自分の手でつぶすと、最後に笑った。

この先その綺麗ごとがどれだけ通じるか・・せいぜい頑張ることだね・・。
そう話す彼の姿が、次第に塵になっていく・・。
そうしてエンヴィーは自身の手で、その人生を終えたのだったー。


中央司令部。
スロウスは口と手で、柱を砕き割ろうとしていた。

それを見た中央軍は、危険を感じて身を引く・・。
と、そこへ増援の部隊が駆け付け、状況を尋ねた。
彼らはオリヴィエ銃殺命令を受けてやってきたので、現場の混乱が理解できなかったのだ。

それを見たオリヴィエは、ここからは自分が中央軍を取り仕切る、と声をあげる。
戸惑う増援部隊に、最初からいた中央軍も、今は手を貸してくれ!と頼み込む。

その間にも不死の軍団は人間を狙って蠢いていた。
ふとアームストロングがスロウスのつけていた足かせに気付き、手に取る。
オリヴィエも、全員頭を下げろーー!と吠えた。

瞬間、アームストロングは鎖を思いきり振り回した。
軍が無我夢中で頭を下げるなか、鎖に当たった不死の軍団が吹き飛んでいくー。

だが不死の軍団は、どんどん湧き出てくるようだった。
そこでオリヴィエは中央軍に、上あごをつぶすように命じる。
そうすれば、とりあえずは噛み殺されることはなくなるからだ。

2人1組で必ず1匹仕留めろ!中央兵の勇猛さを、私に見せてみろ!!
その一喝に、中央軍は一団となり不死の軍団に向かう。
その光景を、柱を砕ききったスロウスはぼうっと眺めた。

彼は自分が何をすべきだったのかを思い出そうとし、オリヴィエを見てようやく気付く。
そうだ・・女将軍殺す・・。
そこでスロウスは、起き上がろうとするー。

だがその時、彼は足かせを誰かが押さえているのに気づいた。
それは、アームストロングだった。
進ませまいと踏ん張る彼を、スロウスは思いきり殴りつける。

その攻撃に、アームストロングは身体を震わせた。
彼の腕の脱臼は、予想以上に彼の動きを制限していた。力が思うようにこめられず、アームストロングはただただスロウスの攻撃を受け続ける・・。

それを見た中央軍は、どうすればいいのだーと逡巡した。
脱臼を治せる者は、この場にはいない。このままでは、嬲り殺しにされてしまうー!
だが皆の焦りを見て取ったオリヴィエは叫ぶ。
捨て置け!我が弟は、あれしきでくたばるような鍛え方はしとらん!!

ーその言葉通りだった。
アームストロングは機を窺い、スロウスの拳の中に飛び込んでいった。
彼はわざと攻撃にぶつかり、肩の関節を入れなおすー。

血まみれになりながらも、肩が戻った・・と拳を突きあげるアームストロング。
オリヴィエはその勇姿を見、よし!とうなづく。
するとアームストロングは、そのままスロウスに飛び掛かった。

彼はメリケンサックを装着し、スロウスに拳を連打する。
スロウスの身体からは激しく血が噴き出すー
そこに、アームストロングは更に錬金術をもぶち込んだ。

見たか、芸術的筋肉と錬金術のコラボレーション!
すっかり復活したアームストロングは、その肉体を誇示する。
エクセレント&エレガント!!!


一方その頃ー
中央司令部の正門は、ブリッグズ軍が持つ戦車による攻撃を受けていた。

中央軍は作戦本部に連絡を取り、上層部の軍人に指揮を頼む。
すると軍人は、中からも撃ち返すように部下に命じる。

それを聞いた部下たちは、住民の避難がまだ済んでいない、とその司令に異議を唱える。
だが軍人は構わないと一蹴し、正門に砲撃隊を準備しブリッグズ軍を真正面から迎え撃つようにと指示を続けるー

と、そこへ何かが飛び込んできた。
扉が破壊され、軍人たちは何事かと目を見張る。
そこに、巨大なワニの歯のようなのこぎりが現れた。

そののこぎりは、軍人の首を捕らえ、動けなくしてしまう。
埃が立ち込めるなか、次第にブリッグズ軍を率いるバッカニアの姿が見える。
彼は軍人に迫り、眼光鋭く尋ねた。
市街地に向けて発砲するって?それもラジオで流してもらうか?

彼の後ろには、ファルマンを含むブリッグズ軍の精鋭が控えていた。
どうやってここに・・。
そう驚く軍人に、彼らはファルマンの記憶力を頼りに来たのだーと笑みを見せる。

更に彼らは動きに気付かれないように、市街地から地下道を掘って進んできたのだ、と明かした。
そんな真似ができる奴がいるものか!!
軍人は荒唐無稽な話に目を剥くが、そこに1人の女性が踏み込んだ。
誰だー?!そう問われた彼女は、軍人の前にぐいぐいと進み出た。

誰だと訊かれりゃ、主婦と名乗る。それが私の作法だが・・今日ばかりはあえてこっちを名乗らせてもらおうか!
彼女ーイズミは、迫力たっぷりに名乗りをあげる。
錬金術師だ!!!




















人間に嫉妬する者。


今回はエドたちがマスタングの復讐を止めるなか、エンヴィーが最期を迎える話でした。
ついにエンヴィーが退場・・。
色々複雑な思いはありますが、とりあえずはマスタングが闇堕ちしないで済んでほっとしました。

しかしかつての敵であるスカーに諭されたのは、堪えたでしょうね。
おまけにホークアイに引き金を引かせようとし、彼女の命をも巻き添えにしようとしてしまった・・。
これは、後になっても相当マスタングの心に残りそうだな・・と感じました。

でも彼にはこの失敗を乗り越えて、そして糧にして、国のトップに上っていってほしいですね。
激情に駆られてしまうのも、若いからこそです。色々な失敗をしてもいいと私は思います。
気付けるか、そして修正できるかーというのが大事なのですから。

エドだって、今回のマスタングやエンヴィーとのやりとりには成長を感じました。
色々なことを経験したからこそ、出てくる言葉でしたよね。それもまた、様々な失敗や成功を通じて彼が学んできたからだと思うのです。

自分の過ちに気付き、ヒューズの仇にケリをつけられたのだから、今回の騒動は必要なものだったのでしょう。
エドやホークアイとの絆もより深まったでしょうし、スカーのことを見直すきっかけにもなったでしょうしね。

とにもかくにも、マスタングがあのまま畜生とならなくて本当に良かったです!
ヒューズだってそんなこと絶対に望んでいないですからね。
マスタングの前途が、ここで終わらなくて良かった・・。
心底ほっとしました。



一方のエンヴィー。
こちらは何とも切ない終わりでした・・。
やっと自分の嫉妬の元に気付けたと思ったら、何と自死とは・・。

彼もまた、早く自分の内なる気持ちに気付けていたら結末は違ったのではないでしょうか。
人間に憧れる気持ちーこれを認められていたら、もしかしたら人間と共生していく道もあったのでは・・と残念な気持ちでもあります。

そう思うと、ホムンクルス皆そうなんですよね。
お父様とスロウス以外は、皆大なり小なり人間と関わって今まで生きてきました。
その中で、色々と感じるところはあっただろうと思われます。

その最たるのがグリードだし、ブラッドレイにセリム・・ラストもそうかな。
皆それぞれ、人間に対する思いは抱えていたと思います。

その中でグリードは、人間と協力することを覚え、ホムンクルスとして新たな道を開こうとしています。
対するブラッドレイは、あくまでホムンクルスとして人間の皮を被り、自身の役目を果たそうとしています。

そうやって自身で考えることも、ホムンクルスには必要だったのではないか・・とエンヴィーの自死を見て感じました。
それができていれば、こんな悲しい最期を迎えることもなかったのではないかーそう思えてならないのです。

元々お父様自体が、誰よりも家族や仲間を欲しているように私には見えます。
そんなお父様から生まれたホムンクルスたちだから、人間との関りを求めていてもおかしくはないのですよね。

現にグリードは自ら仲間を求めてきたし、ブラッドレイは軍を率い家族を持ってきました。セリムも同じですね。
ラストも人間との関りはあったし(ハボックとか)、何より彼女とグラトニーには他のホムンクルスより強い絆がありました。

でもエンヴィーには、そういうものはないのですよね。
だからこそ彼の中にはグリードのように空虚があり、それが彼の攻撃性を高めていたのでは・・そんな可能性が今回の話で見えたなーと個人的には感じました。

死の間際まで気付くことができなかった。だからたくさんの人を殺し、それを反省することもできなかった。
それがエンヴィーの生きざまだったと言ったらそれまでですが・・それって何とも切ない話ですよね。

永く生きてきて色々と経験してきたはずなのに、自分の奥底の気持ちに最期まで気付くことができなかった・・。
彼の言うように、一番経験の浅そうな子供にそれを指摘されたー
とても悔しく、空しかったことだろうと想像できます。

何かが違えば、人間と生きる道もあったのかもしれないのに・・というのは、ホムンクルス皆に言えることです。
でもエンヴィーが、それを一番感じさせてくれたな・・と今回の話を読んで思いました。

その意味でも、エンヴィーらしい最期でしたね。
許すつもりはないですが、うるっと来るラストでした・・。






さて、後はスロウス戦について。
今回も、アームストロング姉弟の絆が熱かったです!
本当にこの共闘は、見ていて熱が入ってしまいますね。

特に今回は、オリヴィエがアームストロングの手腕をしっかりと信じているのが伝わってきて興奮しました!
彼女もまた姉弟として、弟が悩みながらも心身を鍛えて今まで戦い抜いてきたことを誰よりも理解しているのですよね。
だからこそ全幅の信頼を置いて、アームストロングを応援できるー
それが伝わってきて、こっちまで嬉しくなっちゃいました(^^)

アームストロングも相手がホムンクルスだからか、全力で戦っているのが伝わってきて気持ちいいです。
イシュヴァール戦の彼を見てきたから、こうやって諦めず逃げずに戦っている姿が見れるだけで嬉しいんですよね。

恐らくスロウスも相当死んだと思うので、命は少なくなってきているはずです。
でもまだまだ勝負はつかなそうですね・・。
もう少し再生が遅くなってくれば、終わりは見えるのですが・・しぶといな。

ただ中央軍の士気も高まってきているし、不死の軍団への対応も見えてきたので、少しずつ戦況は人間側の有利に傾いてきていると思われます。
この調子で、スロウスを打倒してほしいですね!

といっても、まだまだブラッドレイやセリムが戻ってくるだろうから、中央司令部は予断を許さない状況なんですけどね・・(^^;)
だからこそ、1人でも敵は減らしておきたいものです。。





最後に、イズミについて。
ついに中央司令部にもぐりこんだブリッグズ軍。
まさかの地下道を掘ってやってきたとは・・ホムンクルスの手を逆手に取った感じですね。

しかもその通路を掘る役目を果たしたのがイズミだとは・・どんだけ強いの、この人w
恐らくシグも手伝ったとは思われますが・・それにしたって、人間業じゃないですよねw

彼女が来たことで、人柱が揃ってしまうのでは・・という懸念はありますが、これほど頼もしい助っ人もまたいないですよね。
ブラッドレイたちは彼女には手出ししないだろうから、そうなるとイズミはスロウス戦に助太刀に行くのかな?
彼女なら、不死の軍団を一掃してくれるかもしれません。


とにかく、これで全メンバーが出そろったかな?
後はアルたちが中央に着けば完璧ですが・・そうなると人柱が揃ってしまうのが不安材料。
いよいよ次巻では、お父様の計画が発動されてしまうかもしれませんね。。

それでもこれだけ頼もしいメンバーが揃えば、何とかなるかもしれない・・。
そんな気持ちも段々生まれてきました。
人間たちの心が1つになっていっているからこそ、そう思えるのでしょうね。

戦いの最中にあっても、明るい見通しが見えるというのは心強いものです。
どうかこのまま誰も死なずに、戦いを終えることができますように・・。
改めてそう願いながら、展開を見守っていきたいと思います。









さて、次回はイズミが中央司令部を落とす話でしょうか。
彼女とブリッグズ軍の前には、上層部の軍人もお手上げでしょう。そもそも、もう人数も残っていないような気がします・・。
いよいよ陥落ということになれば、クーデターは成功ですね!

ただそうなると、そろそろブラッドレイが戻ってくるのでは・・という不安も出てきます。
城が落とされるーそのタイミングで現れるのが王というものですよね。何かそんな気がしてなりません。

その前に、スロウスだけは倒しておきたいところ。
アームストロングのもうひと踏ん張りにも期待したいと思います!


次回も楽しみです☆