前回、イズミたちと共に、ついにスロウスを打ち倒したオリヴィエたち。
一方中央地下では、ホーエンハイムとお父様の睨み合いが続きました。

ホーエンハイムの力を奪うために、彼の賢者の石に手をかけるお父様。
けれどもホーエンハイムは、既に対策を打っていました・・。

彼は一体自身の身体に何を施したのでしょうか?!

感想です☆




第97話~ 「二人の賢者」




※以下、ネタバレあり※










◎あらすじ◎

遠い過去。
ホーエンハイムは砂漠をあてもなくさまよいながら、自分の中にある魂たちに話しかけた。
落ち着いて、俺は君と話がしたい。とにかく話を聞いてくれ。そして君も話してくれ・・。

その後、彼は疲労で砂漠の中に倒れた。
そこに旅人が行きがかり、ホーエンハイムを見つける。

金色の髪から、彼らはホーエンハイムが西から来たことに気付く。
埋葬だけでもしてやろう・・。
そう思い近づいた彼らに気付いたホーエンハイムは、うめき声をあげる。

生きていた!
旅人たちは驚き、慌ててホーエンハイムに水を与え肩を貸す。
彼らはシンの商隊だと名乗り、どこへ行く予定だったのか?と尋ねた。

ホーエンハイムは虚ろな眼で、それに答える。
帰るところがない。行くところもない。ただあそこにいるのが怖くて・・逃げた・・。

それから、彼は1人ぶつぶつと何かを話した。
すまない。俺が止められなかった。すまない。すまない・・。


ー中央地下。
ホーエンハイムは、自分の中にいた魂たちの名を呼んだ。

サージェンス、ドズル、カイヤ、サリ、タミィ、ギダルーシュ、アンダル、ズール・・
彼らはお父様の手が侵入した際に、逆に彼の中に入り込んでいた。
皆、お前を倒すというただ1つの目的のために、俺に協力してくれているー。
ホーエンハイムがそう言うと、お父様は眉をひそめた。

賢者の石が個々の意志を持ち、協力しているだと?ただのエネルギーが?
信じられないとでも言いたげな彼に、ホーエンハイムは彼が行ってきたことを明かす。

確かに荒ぶる魂たち1人1人を相手にするのは、気が狂いそうな作業だった。
だが彼には、対話する時間だけはたっぷりあった。

だから彼はー対話したのだ。
俺の中にいる53万6329人ー全員と対話を終えている!!
ホーエンハイムはお父様に、そう言い放った。

俺達の力で、その入れ物を壊させてもらうぞ!!
その言葉と同時に、お父様の身体に異変が起こった。
彼の身体の中で、魂たちが暴れ出したのだ。

魂たちはお父様の身体の中を駆け巡り、ドリルに姿を変えてその頭を突き破る。
お父様はそれを手で破るものの、今度は口からドリルが飛び出した。

ホーエンハイムはその光景を、じっと見つめた。
生まれたところへ帰るんだ。フラスコの中の小人よー。

ドリルと共に、お父様の口からは巨大な賢者の石が押し出された。
だが彼はそれを見やるとーそのまま身を委ねた。

お父様が抵抗しないことに、ホーエンハイムは違和感を感じる。
賢者の石はお父様の口から外に出ると、どんどん肥大していく。
そしてーその老いぼれた身体を捨て、賢者の石は1人の人間の姿に変わったー。

真っ黒で、ただ人間の形だけをした異様な見た目。
それはまるで、セリムの影が実体化したかのようだった。

彼はお父様から残りの賢者の石も吸い取ると、歯を見せて笑った。
その身体に沢山の眼が現れ、笑ったように歪む。

見下しているのはそちらの方ではないのか?ホーエンハイム。
彼は身体を引きずりながら、ホーエンハイムに迫る。
進歩しているのが、自分たちだけだと思っているのだ!!

部屋に、闇が広がるー。


同刻、バッカニア率いるブリッグズ軍は、不死の軍団の殲滅に向かっていた。
同時に、彼らはこのまま正門を占拠してしまおうと入口へと急ぐー。

一方、イズミとシグもまた、不死の軍団と戦っていた。
彼らがどんどん軍団を倒していくので、中央軍は出る幕なくただただ呆然とするだけだ・・。

そんな中、取り残された上層部の軍人が1人、助けを叫んでいた。
彼は不死の軍団に銃を向けながら、どうしてだー?!と情けない声をあげる。
お前らは我々の命令を聞くようにできているのではないのか?!あのお方は、我々に嘘をついていたのかー?!

そこに、イズミが入った。
彼女が不死の軍団を次々に投げ飛ばすと、軍人は感謝し、部下にならないかー?と彼女を誘う。

だがイズミは彼の腹をも殴ると、その耳に囁いた。
あのお方とやらの話・・ちょっと聞かせてもらってもいいかな・・?

もう一方ー
オリヴィエは、アームストロングと共に大総統執務室へと向かっていた。

大総統執務室も不死の軍団に荒らされたらしく、死体が転がり酷い様だった。
中央軍は恐る恐るオリヴィエに、ここで指揮を取られますか・・?と尋ねる。
だがオリヴィエはブラッドレイが座っていた席を一瞥すると、すぐに離れた。
こんな狙撃されやすそうな場所に座る奴の気が知れんわー。

その時、アームストロングがオリヴィエを呼んだ。
彼は隠し階段を見つけたのだった。

階段は長く、かなり下までつながっているらしい。
ここから不死の軍団が出てきたのだとしたら、この階段は地下につながっているのかもしれない・・。
2人が話し合っていると、無線で連絡を受けた兵士が彼らに声をかけた。

バッカニア隊が、正門前に到着したそうですー。
彼らは戦車隊も収容したらしい。
それに続くように、次々に連絡が入ってきた。

西門制圧、北門制圧、東門制圧、兵器庫を押さえましたー。
それらの連絡を聞いた統括係は、オリヴィエに伝える。
中央司令部の9割が、ブリッグズ軍の手に落ちましたー。

彼らは笑みを浮かべ、勝利に胸を沸き立たせる。
我々の勝ちだー!!

だがその時だった。
ーただいま、諸君。
突然無線に割り込んだその声に、一同は凍り付いた。

私が留守の間に、ずいぶん賑やかになっているではないか。
その力強い声は、すぐに中央軍に指示を出す。
それを聞いたオリヴィエは、唇を噛んだ。

キング・ブラッドレイ・・!!

各門に待機しているブリッグズ軍も、皆舌打ちした。
ブラッドレイだと?!くそ、生きてやがった!!
彼らは周囲を見回し、彼がどこからやってくるのか・・と息をひそめる。

その時、ファルマンは眼を見開いた。
・・え?!
彼は思わず叫び声をあげる。

なんとブラッドレイは、正面から堂々とやってきたのだ。
私の城に入るのに、裏口から入らねばならぬ理由があるのかね?
悠然と構える彼を見たバッカニアは、すぐさま飛び出した。

戦車隊下がれ!!
彼はそう叫んだが、戦車隊にその声は届かなかった。
彼らは正面突破で向かってくるブラッドレイに、銃を撃ち放った。

大総統はホムンクルスだー!!
バッカニアが顔をしかめると同時に、ブラッドレイが駆けだした。
彼は銃弾をすり抜け、真っすぐに戦車へと飛ぶ。
そこで戦車隊は、今度は大砲を打った。

その弾は、ブラッドレイに命中した。
当たった・・!
兵士たちは声をあげたがーその瞬間、彼らは戦車の窓から斬撃を受けた。

一瞬のうちにブラッドレイは周囲の兵士たちを斬り、戦車にも攻撃したのだー。
その早業に他の兵士たちは戸惑い、戦車の中の兵士はアクセルを踏み込んだ。

このまま踏みつぶしてやる・・!
戦車は動き出し、ブラッドレイの眼前に迫るー。

だがブラッドレイはその上に飛び乗ると、戦車に斬りつけた。
その斬撃で戦車のパーツが外れ、車体が斜めに傾く。

中にいる兵士は踏ん張り、ブラッドレイの姿を探した。
どこに・・。
そう思った瞬間、窓から爆弾が放り込まれたー。

戦車は爆発し、激しく炎を上げた。
その一瞬の出来事に、バッカニアたちは目を剥く。
馬鹿な、戦車をたった1人で・・!!

けれども彼らには戸惑う余裕もなかった。
今度はブラッドレイが、バッカニアに突っ込んできたのだ。
バッカニアは右手の戦闘用オートメイル「クロコダイル」で彼の剣を受け止めるー。

だがその全てを受け切れず、バッカニアは攻撃を受けてしまう。
彼の顔から血しぶきが飛ぶなか、ブラッドレイは尚も攻め入ってくる。
そしてクロコダイルの間をかいくぐるとーブラッドレイの剣はバッカニアを切り裂いた。

クロコダイルは砕け飛び、バッカニアは地面に崩れ落ちるー。
それを見たファルマンたちは、すぐさま駆け寄ろうとした。
だがブラッドレイが足を踏み出したので、彼らはびくっと背を震わせる・・。

どうした?主が帰ったのだぞ。門を開けたまえー。
ブラッドレイはそう言いながら、どんどん近づいてくる。
その眼に射られたファルマンは、身体中をガクガクと震わせた。

開けたまえ。
ブラッドレイは、動かないファルマンを見て剣を抜く。
するとファルマンは、震えたまま涙をこぼした・・。

すみません、マスタング大佐・・。
彼は泣きながら、ブラッドレイに銃を向ける。
俺、ここで死ぬかも・・。

それを見たブラッドレイは、その眼を細めた。
その時、彼の背後で声がした。

おいおい、情けねぇツラで格好つけんじゃねぇ。
そう口にしながら、バッカニアは血だらけの身体で再び立ち上がる。
どうしたブラッドレイ、俺はまだまだ戦えるぞー!

そう笑うバッカニアを見て、ブラッドレイは呆れたように息をついた。
くだらん、人はそれを蛮勇と呼ぶのだよ・・。
すると、そこにもう1つの声が上から降ってきた。

本当にまったくその通り!

その声に、ブラッドレイは眉を動かす。
皆が見上げたその先にはーグリードがいた。

彼は激情に任せて吠えてもろくなことはない・・と言いながらも、笑みを浮かべる。
だけどなんでかねぇ・・、見捨てる気持ちにはなれねぇんだよな、そういうの!

そう言って、彼はブラッドレイを睨む。
ブラッドレイもまた、グリードを睨む。
2人の因縁の対決が、始まるー。




















ブラッドレイの帰還。


今回はお父様が新たな姿を見せるなか、ついにブラッドレイが中央に戻ってくる話でした。

いよいよ物語も佳境という感じですね!
ブラッドレイが現れたところは、背筋がぞくっとなりましたよ。

戻ってくるとは思ってたけど・・ここまで実力差があるのを目の当たりにするのはなかなかキツいものがありますね!
ブラッドレイもバッカニアも嫌いじゃないから、余計に辛い・・。

更にグリードも参戦して、一体この戦いはどうなってしまうのかー。
見ていきたいと思います!



まずはお父様とホーエンハイムから。
ホーエンハイムの奇策・・聞いてみてびっくりの内容でした!

まさか身体の中の魂1つ1つと対話してきたとは・・。
いくら時間があるとはいえ、53万人というのは途方もない数です。
でも逆に言えば、それができてしまうほど時間があったということでもあるんだなぁ・・。

恐らく賢者の石を身体に入れてからすぐ、対話を始めたのですよね。
トリシャと出会い子供たちを作ったのは、きっと対話が終わった後だったんだろうな。。
お父様が次の計画のために時間をかけてきたのと同じ時間、彼が何をしてきたかーようやく分かり、なんとも切ない気持ちになりました。

シンに行ったのも目的があった訳ではなく、ただ行き場を失い怖くなったからだったのですね。
そりゃそうです、自分以外生きている者がいなくなってしまったし、身体の中からは悲鳴が聞こえる・・。
そんな状態で、あの場に留まれる訳がないです。

それでも死ぬこともできない・・。
これって、想像もできないような苦痛ですよね。
逆にそれが平気だったお父様は、やっぱり人間ではないということだな。

でもきっとホーエンハイムは、シンに行ったことで救われたのでしょうね。
結果的には錬丹術を学び、代わりに錬金術を伝えることで錬丹術の進歩に一役買ったのですから。
そういう彼の姿を見て、賢者の石となった魂たちも、幾分かは救われたのでは・・
事情を知ってからだと、改めてそんな見方もできるなと思いました。

でもホーエンハイムの根底には、ずっと優しさがあるのだと今回知れて本当に良かったです。
きっとその血が流れているから、エドたちも優しいのでしょう。
ホーエンハイムは父親としてまともなことはできなかったと言っていましたが、それでも繋がれ継がれたものはあった・・。
そう思うと、胸が熱くなりますね(><)

早くエドとも理解し合えるといいな。
ホーエンハイムとよく話せば、きっと彼がどんな人なのかエドも理解できるはずですよね。
その時が来るのを、心待ちにしたいと思います。



さてー一方のお父様。
予想に反し、その入れ物はここで使い捨てとなりました。

結局セリムの影のようなあの見た目が、ホムンクルスの原型ということなのでしょうね・・。
人間の見ためでは飽き足らず、その先を望む彼にとっては、あんな老いぼれた身体はもう用がないということなのでしょう。

やっぱり神を目指すつもりなのかな・・。
ブラッドレイも戻ってきたし、セリムも秒読みでしょう。
となると、いよいよ計画実行となりそうですね。

影が太陽を隠すその時、何が起きるのかー。
人柱も揃ってきていますし、恐らく計画は実行されてしまうのでしょう。
そんな中で、人間たちはこの危機に立ち向かうことができるのかー

いよいよ本当の最終決戦!
まずは何が起きるのかーしっかり見守りたいと思います。






続いては、ブラッドレイの帰還について。

いや、彼の帰還のタイミングは本当ずるかった・・!
あんなかっこいい登場されちゃったら、ブリッグズ軍の立場ないですよね。
正面突破も言葉も、いちいち全てがかっこよすぎる!!

オリヴィエたちもせっかく上層部の鼻を明かしたというのに、また一矢報いられ・・。
なかなか戦いが終わりを迎えることはありませんね。

しかも皆戦いでだいぶ疲弊しているっていうのに、ここから最強の敵と戦わなきゃいけないわけです・・。
どれだけの苦戦を強いられるのかと思うと、本当今までの明るさが嘘のようです。。

すでにバッカニアがあれだけやられていますからね・・。
戦車も壊しちゃうし、まさにブラッドレイ無双状態。
これ、誰が止められるというのでしょうかー。

頼みの綱はグリードですが、今までの戦いを見ると、正直グリード1人の力では勝てる見込みはないと思っています。
ただ彼には仲間がいる。
恐らくフーとランファンが加勢に入り、3人で戦うこととなるでしょう。

でもそれだけいても、今のブラッドレイに勝てるかというと正直微妙な気がしてしまうのが辛い・・。
それだけブラッドレイは強いんですよね。
ある意味プライドよりも、最強ともいえるかも・・。

ただエドたちは地下にいるし、オリヴィエやイズミたちは不死の軍団と戦っている。
となると、グリードたちとブリッグズ軍でどうにかするしかないのですよね。
人間たちとホムンクルスーその全ての力を結集して、1人の敵に対峙するより他ないのでしょう。

うーん、この厳しい戦い、一体どんな展開となるのか。
何だか死者が出そうな予感がして、読み進めるのが怖いです。

後は個人的には、ブラッドレイがどんな気持ちで人間たちと戦うのかも気になる・・。
人間たちにまつり上げられ、大総統として生きてきた彼の最後の戦い。
他のホムンクルスたちのように、何か感じ取るものはきっとあると思います。
そこをうまく読み取って理解できるといいな・・。

次回、死闘の予感!
勝つのは人間かホムンクルスかー
しっかり見届けようと思います!









さて、次回はグリードたちとブラッドレイの戦いですね。
大総統として、そしてホムンクルスとして中央を取り戻そうとするブラッドレイ。
対する彼から中央を奪還しようとする者たちと、因縁を持つ者ー。
勝利はどちらのものとなるのでしょうか。

また、ホムンクルスの動きも気になりますね。
進化してきたという彼の真の実力・・
ホーエンハイムはそれに打ち勝つことができるのでしょうか。

どちらも息をつかせぬ戦い・・。
死者がこれ以上増えないことだけを、祈りたいと思います・・。


次回も楽しみです☆