前回、子供囲碁大会を見学に行ったヒカルと佐為。
そこで彼は対戦試合の急所を口にしてしまい、大問題となります。

しかしその難しい局面の中から急所を見抜いた才能に、プロの緒方と塔矢はヒカルに一目置くようになりますー。

どんどん囲碁の世界に進んでいくヒカル。
彼の存在は、囲碁の世界を揺さぶることになるのでしょうか?

感想です☆




棋聖降臨~第4局 「許せない暴言」





※以下、ネタバレあり※









◎あらすじ◎

駅前の碁会所。
訪れた老人は、アキラに指導碁をお願いできるか?と受付の女性に尋ねた。

だが女性はアキラはいるが・・と表情を曇らせる。
彼はヒカルとの一件以来、ずっとあの対局を思い出しては棋譜を並べ、考え込んでいたのだ・・。

何度思い返しても、ヒカルがアキラに対して打った碁は、まるで指導碁だった。
これが本当に彼の実力だとしたら・・。
アキラは何度もそう思っては、その考えを打ち消す。

いや、そんなはずがない。そんな子供がいる訳がない。
彼には全く分からなかった。
ヒカルが何者なのかー・・。

そんな調子なので、アキラは指導碁も断っていた。
受付の女性は心配そうに、ヒカルを待っているのか・・?と尋ねる。
彼らはヒカルの名前しか知らなかった。だからここで待つ以外、ヒカルともう一度会う方法はなかったのだ・・。

その時、女性は子供囲碁大会のチラシを渡したことを思い出す。
その大会は、ちょうど今日棋院にて行われていた。
それを聞いたアキラは可能性に賭けることにし、急いで碁会所を出て行くー。

その必死な様子に、女性も老人もちょっと呆気にとられた。
何だか変わったわね・・。
そう呟く女性に、そりゃそうさ、と老人は答える。
彼には、今までライバルらしいライバルがいなかったのだからー。
 

その頃ヒカルは棋院を出て、家へ帰ろうとしているところだった。
せっかく囲碁大会を覗きに行ったのに、あっというまに追い出される羽目になってしまった。
佐為(さい)はまたも、さめざめと泣く・・。

ヒカルは苛立ち、佐為が余計なことを言うからだろ?!と怒鳴った。
彼は公衆の面前ということも忘れ、文句を口に出して佐為と喧嘩をするー。

その時、ヒカルの名を呼ぶ声がした。
振り返ると、そこにはアキラがいた。
彼は今駅から出てきたばかりで、ヒカルを見つけて走ってきたのだろう。肩で大きく息をしていた。

ヒカルもアキラに気付き、どうしたんだ?と笑みを見せる。
ずっと探していたというのも不気味がられるのでは、と気が引けて、アキラは口ごもる。
ふとヒカルは気になって、アキラは囲碁大会には出ないのか?と尋ねた。

だがアキラは大会には出ないらしい。
じゃあ何でこんなところにいるのだろう・・。
ヒカルは疑問に思い、首を傾げる。

けれども彼はあまり気にせず、それよりも・・とさっきの大会を思い出して語りだした。
あんなのは初めてだったよ。自分より小さい奴もいるのに、皆真剣だった。
ちょっと感動したよー。
ヒカルはそう言って、照れくさそうに笑う。

それを聞いたアキラは、違和感を感じた。
感動した・・?今まで囲碁で真剣になったことがないというのか?
彼はヒカルに、手のひらを見せてほしいーと頼む。

そこで差し出された手を、アキラはしげしげと見つめた。
ヒカルの手は爪がすり減っている訳でもなく、碁石に毎日触れているようには到底思えない手だった。
アキラは受付の女性が、ヒカルは今まで対局をしたことがないと話していたのを思い出す・・。

・・君はプロになるの?
彼は思わず尋ねた。するとヒカルはその突拍子もない「プロ」という単語に面食らい、吹き出してしまう。
俺がプロ?!そんなこと考えたこともないよ!塔矢、お前って案外面白い奴だなー!

ヒカルは笑いながら、じゃあアキラはプロになるつもりなのか?と訊いた。
それは彼にとっては、ふざけたつもりだった。
だがアキラは真面目な様子で、なるよーと一言答える。

その真剣さに戸惑ったヒカルは、囲碁のプロって儲かるのか?と話を少し逸らそうとした。
アキラはうなづき、タイトル戦なら名人戦で2800万、棋聖戦は3300万の賞金が出る、と説明する。
更にタイトル戦は全部で八冠。その賞金総額は1億2000万ほどだー
そう聞いたヒカルは、驚きに目を白黒させる。

それから彼はーにやりと笑った。
もしかしたら佐為がいれば、名人戦くらいならちょろい・・?
彼が心の中で尋ねると、佐為はヒカルの企みに気付いて顔をしかめる。

まさかお金のためだけに、碁を打つつもりなのですかー?!
彼は皮算用で鼻の下を伸ばすヒカルを、最低だ!と怒る。

だが調子に乗ったヒカルは、アキラにもその考えを口にしてしまう。
それならちょっとだけプロになって、タイトルの1つや2つ取るのも悪くないな!
彼はほんの冗談のつもりでそう言ったが、それを聞いた途端にアキラの顔色がさっと変わった。

・・ちょっとプロになって、ちょこちょこっとタイトルの1つや2つを取る・・?
彼はヒカルの眼前に迫ると、その言葉はプロの人全てを侮辱す言葉だぞ!と叫んだ。

ヒカルが戸惑うなか、アキラは胸の内に怒りが沸きあがってくるのを押さえられずにいた。
彼は碁打ちのはずがない。碁を打ってきた者が、そんな暴言を吐くはずがない・・。

君は棋士の高みを知っているのか?!忍耐・努力・辛酸・苦渋・・果ては絶望まで乗り越えて尚、その高みにさえ届かなかった人もいるのだぞ?!

彼は父親の傍らで、そういう人たちを何人も見てきた。だからこそ、ヒカルの言葉を許すことはできなかった。
そしてその怒りは、そんなヒカルに負けた自分自身にも向かった。

なぜ僕はこんな奴に負けたんだろう。悔しい。悔しい。
そうだ、あの時負けたのは油断していたせいだー。

自分はずっと覚悟を承知の上で、小さいころから何時間も碁を打って苦しい勉強にも耐えてきた。
きっと負けたのは、ヒカルを初心者だと思った心の侮りがあったからだ。だから自分は焦って自滅したんだ。
彼はキッとヒカルを睨むと、今から一局打たないかー?と提案した。

ヒカルは戸惑うが、アキラの眼は彼を逃がさなかった。
僕はいずれプロになる。君が苦もなくプロになりあっさりタイトルを取ると言うなら、こんなところで負けていては話にならない。
逃げるなよ!今から打とうーーー!!

そう言って、アキラは手を差し出す。
ヒカルは困り、佐為にどうするか・・?と尋ねた。
佐為は、静かにうなづく。その表情もまた、真剣そのものだった。
いいでしょう・・。

ーこうして、再戦が決まった。
そうとなったら・・アキラはヒカルの意志に構わず、彼を碁会所へと引っ張っていく。

僕とて神の一手を極めようという志に生きるのならば、こんなところで負けるわけにはいかない。
彼は足を急がせながらも、前回のヒカルの打ち手に思考を巡らせた。

ヒカルの碁は、確かに初心者のものではなかった。決して侮ってはいけない。
だが、秀策のコスミのように妙に古い手を打つ癖があった。

あの手は現代とはルールが違い、先に打つ方につけるハンデであるコミのない時代だからこそ、好手とされた。
そこにこそー彼の隙がある!!

アキラは戦い方を決め、とにかく碁会所へと急いだ。
ヒカルはそれに戸惑いながらも、引っ張られていく。
しかしその内では、佐為もまたアキラに対して戦いの意志を燃やしていたのだった・・。




















真剣なる者の思い。

今回は再会したヒカルに対して、アキラが再戦を申し込む回でした。
真剣に取り組んできた者だからこその怒り・・。
今回は、完全にヒカルが悪かったと思います。

まぁ数日前まで囲碁のことなど何も知らないヒカルですからね。小学生男子としては当然の考え方だとは思う訳です。
でも、相手は老人ばかりの中で1人碁会所に通っているような子・・。
彼がどれくらい囲碁に真剣なのかも分からないのに、振る話題ではなかったですね(^^;)

アキラも負けたことへのショックもありましたが、それ以上に初めて出会ったライバルに対する期待が膨れ上がりすぎていたように感じます。
ただこれも、仕方のないことですけどね・・。

ヒカルの力量って、あの対局だけでは到底計れないものです。
特に外面上はまったく囲碁のことなど知らなそうなのに、一度打ってみるとめちゃくちゃ強いなんて、訳が分かりませんよ。
そりゃあアキラが戸惑うのも無理はないです。
まさか平安時代の棋士がヒカルの中にいるなんて、予想もできるはずないですしねぇ・・。

なのでこのすれ違いはいずれは起きていたものかなとも思いますが、ただ2人ってあまりに今まで住む世界が違いますからね。
こうやってその違いが浮き彫りに出てしまうと、一気にそれが対立に発展しそうな危うさがあるのが気がかりです。

この一件で互いを切磋琢磨し合うライバル関係ではなく、憎み合うような関係になってしまったら残念ですよね。
まだ子供なのだから、ここはぱっと喧嘩してすぐ仲直りくらいがいいのですが・・ヒカルはともかくアキラはちょっと融通きかなそうで心配かも。
彼、同年代の付き合いも少なそうに見えるしなぁ。。

なので次回の対局は、ちょっと不安がありますね。
佐為も真剣な様子なので、きっと容赦はしないでしょう。
次こそは指導碁などではなく、完膚なきまでにアキラを叩きのめしてしまうのではないでしょうか・・。

そうなったらアキラの受けるショックは前回の比ではないでしょうし、ヒカルへの執着も強くなるでしょう。
でも彼が見ているのは実はヒカルではなく、彼の中にいる佐為・・。
それだとヒカルが成長していくにあたっても、弊害が出るような気もするのですよね・・。

価値観は違うけれど互いに同じ時代を生き、これからの囲碁の世界を支えることになるかもしれない子供たち。
その図式がいいのに、そこで佐為の存在があまりに強く出てしまうと、ヒカルがかすんでしまう恐れがあります。
それってヒカルの成長に絶対良くないし、彼が囲碁に親しむことへの障害にもなると思います。

佐為が囲碁を打ちたい気持ちは十分に理解できます。
でもだからこそ、彼はまずヒカルをその世界に引き上げることが先ですよね。
なのでここでアキラに火をつけすぎるのは、後々良くないような気がするのです・・。


うーん、でもアキラにとっては目指すべき壁ができることは良いことであるのもまた事実だし、なかなか難しい問題ですよね。
本当はヒカルと共に成長していくのが理想ですが、ヒカルとアキラではその能力に現状差がありすぎます。ヒカルが追いつくには、相応の時間もかかるでしょう。

となるとアキラにとっては、佐為の存在が励みになる訳で・・。
なんだか無限ループになっちゃいますね(^^;)複雑な三角関係のような・・w

・・やっぱり、まずはヒカルが囲碁への興味を持ち、勉強を始めるところからですね!
今のままだと、彼は永遠に蚊帳の外ですから。

子供囲碁大会で少し見方が変わったように見えるので、次回のアキラの真剣な取り組みに更に影響を受けるといいですね。
早くヒカルが囲碁を打てるようになる姿が見たいですよ。

再戦の結果は一体どうなるか・・。
楽しみです!







というわけで、次回はアキラと佐為の対局再び、ですね。

ヒカルへのライバル心を強くしつつも、彼の囲碁への姿勢に疑問を感じ始めたアキラ。
そんなアキラに対して、佐為はどのような囲碁を打つのでしょうか。

アキラの対策は、佐為を苦しめることになるのか?!
見ごたえのある試合が見られそうですね!


そして真剣な2人の勝負を見たヒカルに、果たして変化は訪れるのでしょうかー?

次回も楽しみです☆