前回、再戦を迎えることとなったヒカルとアキラ。
その闘志に打たれた佐為は、真剣勝負でアキラに臨むことにします。

五目半というアキラ側に厳しいハンデを抱えた戦い。
勝つのはどちらとなるのでしょうかー?!

感想です☆




棋聖降臨~第6局 「一刀両断」




※以下、ネタバレあり※










◎あらすじ◎

ヒカルとアキラの2度目の対局。
ヒカルの中に潜む佐為(さい)は、真剣にアキラに向き合った。
その結果・・

・・ありません。

対局の中盤、アキラはうつむいてそう口にした。
驚くヒカルに、佐為は中押しだーと説明する。
これ以上打っても勝てないと理解し、アキラはここで負けを認めたのだーと。

それを聞いたヒカルは、ますます驚く。
今回の盤面は、前回の対局のまだ半分しか打っていないようなものだ。
それなのに、もう負けたー?
彼には到底信じられなかったが、周りの空気もまたアキラの負けを認めていた。

うつむいて動かないアキラに、気まずそうに視線を逸らすギャラリー・・。
ヒカルには盤面の意味は理解できないが、どうやら佐為はこてんぱんにアキラをやっつけてしまったようだ。
少し気の毒になり、ヒカルはアキラを心配そうに見やった。

塔矢・・お前すげーよ!
彼はその場を取りなそうと、わざと大きな声で明るく振舞った。
お前の真剣さって、怖いくらいだ。一手ごとに気迫が自分にも伝わってくるのが分かるくらいだったよ・・

だがその言葉は、アキラには全く届いていなかった。
聞いちゃいない・・。
ヒカルはその時、気付く。
ああ、そうか。こいつは俺の言葉なんか聞いちゃいないんだー・・。

・・帰るよ。
ヒカルは立ち上がり、そう声をかけた。
それでもアキラは顔を上げない。

気まずい空気のまま、ヒカルは1人静かに碁会所を後にするのだった・・。

ーアキラは1人うつむきながら、まとまらない思いを抱えて苦悩していた。
お父さん・・彼は小さかった頃に、父親に尋ねたことを思い出す。

お父さん、僕、囲碁の才能あるかなぁ?
そう訊くと、父親は笑いながら答えた。
そうだなぁ、囲碁が強い才能がお前にあるかは分からんが、そんな才能がなくてもお前はもっとすごい才能を2つ持っているよ。

父親は、アキラの頭を撫でながら話してくれたのだ。
その1つは、誰よりも努力を惜しまない才能。もう1つは、限りなく囲碁を愛する才能だーと。

彼はその言葉を誇りに、今まで真っすぐ歩いてきた。
そんなアキラにとって、ヒカルの出現は今高い壁となって彼の前にそびえたった。
・・お父さん、何か見えない壁が僕の前にあるんだー!!
初めての障害に、アキラはもがき苦しむこととなるー。


翌日、ヒカルは学校にいる間も上の空だった。
彼は真剣に闘い、そして負けたアキラの姿がずっと頭から離れなかったのだ。

なんて勝ち方したんだよ・・。
ヒカルは思わず、佐為を責めてしまう。
だが佐為は、余裕などなかったのだ・・と打ち明けた。

彼にとっても、牙を剥いたアキラは脅威の存在だったのだ。
頭を撫でる余裕など、あの子は与えてくれなかったー・・。

それを知ったヒカルは、ますますアキラのことを考えるようになる。
彼はアカリの誘いも断り、ふらふらとまたあの碁会所へと足を向けてしまうのだった。

彼は建物を見上げながら、アキラを思う。
なぁ、塔矢(とうや)。お前のあの真剣さって何?囲碁って何だ?
お前も佐為のように・・神の一手を極めようとしているのかー?

一方ヒカルが碁会所へ出向いたのを見て、佐為は今日も囲碁を打てるのか?と胸を弾ませた。
けれどもヒカルはどうしてもそんな気にはなれず、元来た道を引き返そうとする。
が、その時彼は1人の男性に呼び止められた。

それは、子供囲碁大会にいた白いスーツに眼鏡の男だった。
彼はヒカルの姿を見ると、いきなり腕を掴んで引き留めてくる。
驚くヒカルに、男性は言った。
一緒に来てくれ!会わせたい人がいるんだーー!!

そう言って彼は、碁会所へヒカルを連れて行った。
誰だ?!塔矢か?!
戸惑いながらヒカルが中へ入ると、男性は部屋の奥に向かって声をかけた。
塔矢名人!!

その声に、中にいた人たちが皆顔を上げる。
ヒカルはその中心に、ただ1人動じずに指導碁を打ち続ける男性がいるのに気づいた。

塔矢名人・・?
彼はアキラと奥の男性が同じ名前だと気づき、親子だと悟る。
それと同時に、この前の子供囲碁大会で名人とぶつかったことにもようやく気付くのだった。

確か、神の一手に一番近いおじさん・・。
呆気に取られていると、塔矢は未だ顔を上げないながらも、その口を開いた。
その子か、アキラに勝ったというのは。

2度もあのアキラに・・。
彼はようやく目を動かすと、ヒカルをじっと見つめた。
そして一言告げた。
君の実力が知りたい。座りたまえー。

そう言って、塔矢は奥の座席を示す。
その剣幕に気圧されたヒカルは断ろうとするが、佐為がそれを止めた。
ヒカル、彼と打たせてくださいー!!

佐為は、塔矢の瞳の奥に感じる気迫に興奮していた。
それは彼が本因坊秀策と共にいた時代にも、あまたのライバルたちの中に見てきた気迫だった。
それと同じものを感じるー!!
佐為は、何としてでも塔矢と打ちたいという欲望を押さえられなかった。

ーそこで仕方なく、ヒカルは塔矢の前に座る。
すると塔矢は、まず石を3つ置くようヒカルに指示した。
彼はいつもアキラと打つときも、そうしているのだという・・。

それはつまり、アキラは自分に石3つで対応できるのだーという父親としての誇りでもあった。
その時、ようやく間近で見えた塔矢の瞳に、アキラと同じ闘志が燃えていることにヒカルは気付く。

そしてそれを見て取った彼は・・ある種の疎外感に襲われた。
この人もアキラも佐為も真剣だ。俺だけ仲間外れ・・。

ヒカルは小さくため息をついた。
俺が打ちたいな・・。

だが彼の気持ちは宙に浮いたまま、対局は始まってしまった。
ヒカルの起き石3つに対して、塔矢が白の一手を打つ。
それを見た佐為は、ヒカルに次の石の置き場所を示した。
ヒカルは言われるままに、石を置いていく・・。

すると間髪入れずに、塔矢は次の手を打った。
その石の置き方、崩れない姿勢ーその全てが荘厳に輝き、ヒカルは思わず見とれてしまう。
かっこいい・・。

ふと、そんなヒカルの視線を感じてか、塔矢が口を開いた。
・・アキラには、2歳から碁を教えた。私とは毎朝一局囲碁を打っている。既に腕は、プロ並みだ。

彼はアキラはアマの大会には出さないのだ、と話した。
子供の大会に出ていては、まだ伸びる子の芽を摘むことになる。アキラは別格なのだー。
そう口にしながら、塔矢はヒカルを見据える。

だからそのアキラに勝った子供がいるなど、私には信じられんー。

ーヒカルはその言葉を、半ば上の空で聞いていた。
彼はそんなことよりも、塔矢の一挙手一投足に瞳を奪われていたのだ。

塔矢の碁を打つ姿は、神々しかった。
指が石をはさみ、その指がしなる。そして指が盤上で石を放つ。
その指先が、手が輝く・・。

ヒカルは思わず息を呑んだ。
俺も・・あんな風に打てたら・・!!

彼は内に沸き上がるその高鳴りを、抑えられないのだったー。




















アキラと塔矢名人。


今回は再びアキラが佐為に敗れ、その噂を聞きつけた塔矢がヒカルに対局を申し込む回でした。

いやー、急展開でしたね!
まさかこんなに早く塔矢名人と打つことになるとは!!
てっきり最終回近くにならないと、打つ機会はないものと思っていました。

でも父親の感情としては、当然かな。
自分の息子がまったく素人のような子供に2回も負けたなんて知ったら、どんな相手かと気になりますよね。
それこそプロ棋士たちだって皆気にするような話ですよ。こうなるのも、時間の問題だったのでしょう。

ヒカルの思惑に関係なく、もはやどんどん囲碁の世界に呑み込まれていってしまってますね。
ヒカルの気持ちを思うと複雑ですが、だからこそ彼の心境にも変化が出てきました!

アキラ、佐為、そして塔矢名人・・それに囲碁大会の子供たちもですね。
色んな人たちが囲碁に真剣に向き合ってる姿を目の当たりにし、彼は少しずつ囲碁に興味を持ち始めました。
そして今回、現代でもっとも神の一手に近い者と対峙したことにより、その思いは覚醒したように見えました。

これはちょっと予想外の展開でしたが、本当にすごい人物に出会うと私たちも圧倒され、刺激をうけますよね。
ヒカルに起きたのも、そういうショックだったのではないかと思います。

この人のようになってみたいという憧れというか・・。
特にヒカルはまだ子供ですからね。相当な衝撃となったのでしょう。

でもそこで驚いたのが、ヒカルが自分だけ仲間外れだ、自分もその真剣勝負の中に加わって碁を打ってみたいーと考えたことです。

あんまり、仲間外れだ・・って感想、出てこなくないですか?
何というか、ヒカルの中に大物感を感じました。
目の前の相手に臆するのではなく、そこに近づきたい、仲間になりたいと考えるの、なかなかできないと思うのです。

それが佐為に出会ったからなのか、元々ヒカルの中にあったものなのかは分かりませんが、そうやって思えること自体がまず才能なのではないかな、と私は感じました。
うん、今回初めてヒカルの中に囲碁の才能を見たような気がします。

これを機に、彼はどんどん囲碁の世界へのめり込んでいくのでしょうね。
佐為という素晴らしい先生がついているので、きっと瞬く間に才能を開花させていくのではないかと思います。

でもその才能を目覚めさせるきっかけとなったのは佐為ではなく、同じ時代を生きているアキラや塔矢だということが面白いですよね。
他にも秀策の時代のように、たくさんのライバルが2人に挑んでくるようになるのでしょう。
どんな出会いがあるのかーそれもまた楽しみです。


今回塔矢との対局の結果がどうなるかは分かりませんが、佐為の実力を考えればかなり拮抗した勝負となるでしょう。
となれば、それを見ている緒方もまた、ヒカルに目をつけるはずです。

そうやって色んな人たちがヒカルに注目することで、ヒカルは一時分不相応な注目の集め方をしてしまうかもしれません。
それは一時的には、ヒカルにプレッシャーを与え足かせのようになるかもしれません。

でもきっと囲碁に真摯に取り組む人たちと触れることは、ヒカルにとって必ずプラスとなることでしょう。
彼の囲碁への可能性はまだ開けたばかりー
期待して、成長を見守りたいと思います。





さて、後はアキラについて。
今回完敗を喫した彼。その落ち込み方は半端ではなく、可哀想になるほどでした・・。

でも佐為に言わせれば、彼に油断させる隙を与えなかったのだというからすごい。
塔矢も息子である彼を、臆面もなくプロレベルだと言い放つ。
それくらいアキラの実力は素晴らしいものなのでしょう。

だから彼にはここでめげずに、また前を向いて進んでほしいですね。
塔矢もアキラの実力を信じ、ヒカルの実力の方を疑っています。
それはアキラが今まで真摯に取り組んできた歴史があるからでしょう。努力は裏切ることはないのです。


で・・今後アキラは、ヒカルに対してどう出てくるでしょうね。
一旦離れるか、自分の前にそびえたつ壁として彼に執着し、彼を倒すことを目標に囲碁に向かうのかー
どちらを選ぶのか気になるところです。

個人的には、アキラはショックを乗り越えて必ずまたヒカルの前に現れると信じています。
今は負けたショックの方が大きいですが、初めて現れた壁に、彼の胸がまた高鳴らないわけがないとも思うのですよね。

それでないと、勝負の世界なんて生き残れるはずがありません。
だからアキラは必ず立ち上がるー
そう信じています。

ただ、当分次の戦いはお預けとなるかもしれませんね。
ヒカルは恐らくこれから腕を伸ばし、子供囲碁大会のような大会で成績を伸ばし、プロへの道を模索していくのではないかと予想されます。

それに対し、アキラは塔矢が、アマの大会には出さないと明言しています。
となると次に彼と戦うのは、プロになってからーということになるのではないでしょうか。
さすがに、もう碁会所で戦うことはないと思うので・・。

となると、ヒカルとアキラは互いにずっと意識し合うライバルという関係になりそうですね。
うーん、これはこれで燃える展開ですね!

佐為にとっても今回は幸運に恵まれただけで、恐らく次に塔矢と対局に臨む機会はヒカルがプロになってからとなるでしょう。
となると、こちらも次に戦う機会は遥か先・・。
でもだからこそ、燃えますよね!

その頃にはヒカルの実力もかなり上がるでしょうし、どんな対局が見られるようになるのか楽しみです。
ここから一気に物語が加速しそうですね。
ますます目が離せない展開ーワクワクしながら次回を待ちたいと思います!








さて、次回は塔矢との対局の結果ですね。
この戦いは、正直どちらが勝つのか見えない・・。どちらが勝ってもおかしくない勝負だと思います。
だからこそ、今後の展開にも大きな影響を及ぼしそうでドキドキしますね。

また、ついに囲碁に興味を持ち始めたヒカル。
彼は2人の真剣勝負に、何を思うのでしょうかー!


次回も楽しみです☆