今回から、2巻です!

前回、中学校の文化祭を訪れたヒカル。
少しずつ囲碁の楽しみを覚えて行った彼は詰碁のブースに立ち寄りますが、そこで囲碁を忌み嫌う人物に出会います。

アキラを倒したこともあるというその少年は、なぜ囲碁を嫌うのでしょうかー?!

感想です☆





初陣~第8局 「負けようか?」





※以下、ネタバレあり※












◎あらすじ◎

突然現れた少年に、驚くヒカルと佐為(さい)。
特に佐為は、彼の棋力に注目していた。

少年は本の中でもっとも難しい問題を、あっさり解いてのけた。
この男、何者ー?!
佐為は眼を細め、少年を凝視する。

少年は皆に聞こえるような大きな声で、アキラの悪口を言い放った。
眼鏡の少年が碁石を片付けながら、ヒカルに囁く。
彼ー加賀(かが)は今は将棋部だが、幼い頃塔矢(とうや)アキラのいた囲碁教室に通っていたのだーと。

だが今のアキラを直接知っている人は少ない。彼はアマの大会には出ないから・・
そこまで言うと、眼鏡の少年はあっと声をあげる。
彼はようやく、ヒカルを子供囲碁大会で見かけたことを思い出したのだ。

けれどもヒカルにはそんなことより、アキラが負けたという事実の方が気になっていた。
アキラが負ける・・。そんなことがあるか?
疑問に感じるヒカルに、佐為は加賀と対局してみよう、と持ち掛ける。

その時、加賀が眼鏡の少年ー筒井(つつい)の方に向き直った。
彼は筒井に、囲碁部を作るって言ってたのはどうなったんだ?と意地の悪い笑みを浮かべる。

どうやら筒井は囲碁部を作りたいらしいが、メンバーが集まらないらしい。
そこで3人揃えて団体戦に参加できれば、部として認めてやるーと先生たちに言われているというのだ。

加賀は筒井の顔を覗き込み、自分が出てやってもいいんだぜ?とにやつく。
俺の囲碁の腕を知ってるだろ。お前の1000倍は強いぜー。
だが筒井はぷいと首を振り、碁盤に煙草を押し付けるような奴の助けなんかいらない!と突っぱねる。

そして彼は早く去ってくれ!と、詰碁を解いた景品として詰碁選の本を加賀に押し付けた。
それをぱらぱらとめくった加賀は、その監修者が塔矢名人だと知って、思いっきりその本を破り捨てる。
言っただろ?!俺は囲碁と塔矢アキラが大嫌いなんだ!!

その行為には、さすがのヒカルも黙っていられなかった。
彼は立ち上がり、どうしてアキラが嫌いなんだ?と加賀を睨む。
訳を言えよ!!

そう怒鳴ると、加賀は訳?と眉をひそめた。
調子に乗るんじゃねえよ。いいか、よく見てなー。
彼は碁石を1つ掴むと、両手を素早く動かした。そしてヒカルの前に、2つの拳を突き出す。

どっちだ?どっちに石が入っているか当てたら、何でも話してやる。
彼はヒカルの目を見据え、目をギラギラさせて笑う。
その代わり外したら、今度は碁盤じゃなくお前の手に煙草を押し付けてやる!!

筒井が慌てて2人の間に入るが、加賀は覚悟もなしに人を舐めたセリフを吐きやがって・・とヒカルを睨みつけたままだ。
ヒカルもまたその目に苛立ち、唇を噛んだ。

だが佐為は、加賀には勝負強さを感じるからここは退いたほうがいい、とヒカルを諭す。
その代わり対局を申し込めば、私が勝ってみせますからー。
ーけれどもヒカルは、自身が退くこともまた許せなかった。

佐為が勝つ保証なんかない。それに、加賀が勝負強いというなら、俺だってーーー!!
彼は勢いで、加賀の左手をはたく。
・・こっちだ!!

その怖気づかなかった姿勢に、加賀と筒井は一瞬呑まれた。
だが加賀が手を開くとーそこには碁石はなかった・・。

お前の度胸だけは認めてやるよー。
加賀はそう言うと、もう片方の手も開く。
するとそこにもまた、石はなかった。

つまり加賀は、インチキをしていたのだ。
ヒカルたちはそれを知り、今度こそ怒りに燃える。

お前なんて・・どうせ塔矢に勝ったって言ったって、インチキでもしたんだろ?!それか、塔矢が本気じゃなかったんだ!!
ヒカルは叫んだ。彼は筒井が止めるのもきかず、加賀の目を真っすぐ睨んだ。
お前なんか、どうせ囲碁から逃げて将棋に行ったんだろ!!

その言葉に、加賀の顔色がさっと変わる。
彼は筒井を荒々しく押しのけると、碁盤の前に座った。
そして碁石を掴むと、ヒカルに向かいに座るよう命じる。
そこまで言うなら小僧!俺の実力見せてやる!!

彼もまた怒りに燃え、ヒカルを睨みつけた。
ほら打てよ!俺が負けたなら、土下座でも何でもしてやる!!その代わりお前が負けたら、冬のプールに飛び込めよ!!

2人は睨み合い、ヒカルも椅子に座った。
佐為はそんなこと関係なしに、囲碁が打てることに喜ぶ。
先手はヒカルからでいいということで、彼は早速佐為の指示通り碁石を置いた。

その慣れない手つきを見た加賀は、打ち方も知らないんじゃないか、と内心呆れる。
こんな奴に、俺の気持ちが分かってたまるか・・!!
彼はさっきのヒカルの言葉を思い出し、忌まわしい過去をもまたよみがえらせるー

幼い頃、加賀は将棋が習いたかった。だが父親は無理やり彼を囲碁教室に通わせた。
そしてその囲碁教室には、アキラも通っていた。

そのため加賀は、いつも教室でNO.2だった。
父親はそんな彼をいつも責め、どうにかして勝つように言うばかりだった。

そんなある日、いつものように叱られていた姿を、加賀は偶然通りかかったアキラに見られてしまった。
その後2人は、対局することになる。
加賀は内心面白くないながらも、気持ちを切り替えようーと準備をした。

アキラは強い。確かに1人だけ、レベルの違う碁を打つ。だからNO.1なのもしょうがない。
でもいつかは、必ず追い抜いてやるー。
そう自分を鼓舞し、碁盤に向かおうとしたその時だった。
アキラはー加賀を心配そうに見やり、言ったのだ。

僕・・負けようか?

その言葉に、加賀はショックを受け目を見開いた。
それは、アキラが自分のことなどライバルだとも何とも思っていないという証拠だった。

ふざけやがって・・!
思い返しても噴き出してくる怒りに、加賀は唇を噛みしめた。
俺は奴をライバルだと思っていたのに!あいつは俺に勝とうが負けようが、どうでも良かったんだー!!

結局その時の対局は、コミを入れて一目半差で、加賀の勝ちだった。
恐らくアキラが手を抜いたのだろう・・。
加賀はその時の屈辱を思い出し、怒りに震える。

結局その後も加賀は実力ではアキラに勝つことはできず、父親にもやがて見放された。
どいつもこいつも自分の気持ちなんて分かっていない!!
彼は憤懣を胸に秘め、碁盤に向かうー。

と、そこで彼は気が付いた。
集中できていなかった間に、勝負は加賀がやや押される形となっていたことに・・。

ー佐為は、加賀との対局を心から楽しんでいた。
彼の手はアキラには及ばないものの、佐為の打つ手に対して面白い手を打って返してくる。
佐為はもっと加賀との対局を楽しみたい・・!と、あえて勝負を長引かせようとしていた。

その思惑に、腕のある加賀は気が付いていた。
彼は自分が振り回されていることに、戸惑いと焦りを感じ始める・・。

が、その時ヒカルはあかりの声を聞いた気がして、振り返った。
するとそこには、約束したはずなのになぜか友達と文化祭を楽しんでいるあかりの姿があった。
あいつ・・!
そっちに気を取られたヒカルは、碁石を置く指に集中していなかった・・。

ーヒカル!そこじゃない!
佐為が叫び、ヒカルははっとして盤面を見た。
彼は石を打つ場所を、間違えてしまったのだー。

それをチャンスとばかりに、加賀は次の一手を即座に打ち込む。
ヒカルは慌てたが、置いてしまった石を動かすことはもうできない。
加賀はミスを笑い、一気に形勢逆転だーと攻め込んだ。

こうなったら仕方がない。
佐為は別の道筋を考え、ヒカルに指示する。
だが彼が打った途端に加賀が石を置き、ヒカルの陣地は大きく刈り取られることとなってしまった。

もはや、形勢は完全にひっくり返ってしまった。
ここから取り戻せるはずがない・・。
加賀は勝利を確信し、ヒカルに投了を迫るのだったー。




















加賀とアキラの確執。

今回はヒカルと加賀が、対局を行う回でした。
前回突然現れたときは、どんなヤバい奴かと思いましたが、加賀は意外とまともでしたね。
内に秘めたものが熱いので、本当いい勝負師になるのでは・・と感じました。

実力もかなりあるようなので、彼もまたヒカルの手ごわいライバルとなるのかも。
若き囲碁界、輝く原石が多くてワクワクしますね!


そんな加賀は、本当は将棋が好きな少年でした。
でも幼い頃から父親に無理やり囲碁を習わされていたそうです。

そしてそこにいたのが、まだ小さいアキラ。
この頃から、彼は周囲とは一線を画していたのですね。
これもまた、物心ついた時からずっと囲碁を学んできたからなのでしょう。

ただ才能があり囲碁にかけてきた時間の長さもあり、アキラの周りにはいつのまにか彼に並ぶことのできる同年代がいなくなっていました。
加賀はあくまで追う立場だから、アキラをライバル視できるのですよね。追われる側にとっても、それがライバルであるとは限らないのが勝負の世界の厳しい現実だと思います。

だからアキラと加賀の間には、今回のような確執が生まれてしまったのでしょう・・。
後は、アキラがアマの大会などに出ないことも影響しているのかな、とも感じました。
恐らく同年代との関りがあまりないまま育ってきてしまったのではないでしょうか。だからちょっと1人よがりで、相手の感情を慮れないところがあるのかな・・と。

ヒカルへの対応を見ても、そういう部分は少し見えますよね。
最初の対局も完全にヒカルを下に見ていたし、ヒカルに再戦を申し込むときもヒカルの気持ちを思いやる節は感じられなかったので。

その辺は、今後彼の弱みとなるのかもしれないなぁと今回のエピソードを見ていて思いました。
なんていうか・・彼の子供らしさのない部分が、同年代と戦うときには不利になるのではないか、と。

プロ棋士たちはね、名人の息子ということで大切にしてくれますよ。だから彼が囲碁の世界からはじき出されるということはありえないでしょう。
でもアキラはまだ若い。プロ試験で戦う相手は、それこそ同年代が多いはずです。

そんな若い棋士たちは、同じ道を志す者たちと切磋琢磨しながら囲碁の道を登ってくるでしょう。
ではそこにアキラが混じれるか・・というと、それは無理なような気がするのです。

筒井の言葉からも分かるように、もはや彼らにとってはアキラは同世代であるのに「別格」なんですよね。
その見えないけれど確実にあるアキラと他の若い棋士たちとの壁が、今後アキラをますます孤高の存在にし、彼を孤独な棋士にしていってしまうのではないか・・と、そんな予感がしてならないのです。


だからこそ、アキラにとってヒカルはライバルであり続けてほしいですね。
今のヒカルの実力では無理ですが、彼だってこれから成長していきます。
それまでは佐為の力を借りながら、アキラと戦っていけばいいのではないでしょうか。

孤高の存在となってしまうと、目指すものがなくなり、成長が潰えてしまう可能性もあります。
せっかく恵まれた才能と、努力をできる向上心を兼ね備えるアキラです。環境のせいで潰れてしまうのは、もったいなさ過ぎる!!

ということで、今回アキラはほとんど出ていないのに、アキラの今後について色々考えてしまいましたw
まぁそれも、ヒカルに囲碁仲間ができるような予感を感じたからなのですけどね。

今回ヒカルは筒井と加賀と出会い、対局の機会に恵まれました(恵まれたっていうのもおかしい状況だけど)。
前回も思ったけど、これってやっぱりヒカルが中学で囲碁部に入る展開へとつながるのではないでしょうか。

まだこの中学に囲碁部はないそうですが、部員が3人でいいというのなら、筒井、加賀、ヒカルで部は成立しますよね!
それで来年の団体戦に出れば、正式に部として活動できることになります。

そうなったらヒカルは同年代の仲間を得て、囲碁の腕を伸ばすと同時に囲碁の楽しさも覚えていくこととなります。
団体戦なんて、まさにその最たるものですよね。1人が勝つだけではダメなのですから、仲間との協力が必須です。
そういう青春が、ヒカルにはこの後待っているのかなーと思うと、ワクワクしますね。

でもだからこそ、今回はヒカルとアキラの置かれた境遇の違いが余計に自分の中では強調されてしまいました。
やっぱり本来は生きる世界が違うんだなぁ・・と改めて思い知らされた感じというか。

このままプロになるまでは、2人の道は交わらずに行ってしまうのでしょうか。それとも何か別の展開となるのかー
ヒカル側に新たな展開が見えたので、アキラの方の動向も気にしていきたいな、と思います。







さて、次回は加賀との対局の結果ですね。
石を置く場所を間違えるという、痛恨のミスを犯してしまったヒカル。
一気に形勢をひっくり返されてしまいましたが、ここからの逆転の目はあるのでしょうかー?!

佐為の実力が発揮されるときですね!
どんな決着となるのか、ドキドキです!!


次回も楽しみです☆