前回、自分の実力不足を痛感し、佐為と共に戦ったヒカル。
彼らはどうにか決勝戦まで勝ち残ります。

一方中学の囲碁部を見学するよう言われたアキラは、そこで開かれていた大会に参加するヒカルの姿を見付け、驚きます。

再び出会った2人。この再会は、何を意味するのでしょうかー?

感想です☆




初陣~第12局 「萌芽」




※以下、ネタバレあり※










◎あらすじ◎

囲碁大会の中に、ヒカルの姿を見付けたアキラ。
なぜ中学生の大会にー?!
訳が分からないまま、彼はヒカルの対局を見るため、部屋の中へと進んでいく。

アキラがヒカルのその一手一手に注目するなか、佐為(さい)もまたヒカルに、自分の一手一手に注目するように告げた。
ヒカル、いいですか。ただ人形のように打つのではなく、私の一手一手に流れを感じなさい。

私はこれから、ヒカルに見せるための一局を打ちましょうー。
そう言うと、佐為は再び碁盤に向かう。

この一局の石の流れを、そのまま見つめなさい。ヒカルにはもうできるはず。
それがはじめの一歩です、ヒカル。
あなたは目覚めたー!!

佐為の言葉の通りに、ヒカルは佐為に言われて打つ石を1つ1つ見つめる。
その流れは、時に呼吸の音が聞こえるかのように、ヒカルに石たちの息吹を感じさせる。
彼はただひたすら、その音を胸に刻んでいくー

その頃、大将戦は決着の時を迎えていた。
・・ありません。
加賀(かが)がそう呟くと、海王の大将は一礼をして素早く石を片付ける。
その整然としたたたずまいに、加賀は苦い思いを噛みしめる。

囲碁は海王、と噂には聞いていたが・・塔矢(とうや)アキラもどきがゴロゴロいるってわけか・・。
彼は初めてぶつかった海王のレベルの高さに、ただただ気圧されるだけだった。

これでは筒井(つつい)は到底歯が立たないだろう。後はヒカルだ・・。
彼はそう思い、ヒカルの方に目をやる。
と、そこで彼はアキラの姿を見付けて目を見張る。

だが加賀はすぐに、アキラが一心にヒカルの対局を見つめていることに気が付いた。
何がそんなに気になるんだ・・?
不思議に思いヒカルの後ろに回った加賀は、彼の盤面を見て驚くー。

一方筒井の方も、終局を迎えていた。
駄目だ、ここまで粘ったけど投了のしどきかもしれない・・。
彼はため息をつき、自身の負けを認めようとした。
だがその時、思わぬ番狂わせが起きる。

相手の副将が置いた碁石が、新たな手を生んだのだー。
筒井はそれを見逃さず、即座に石を打つ。

その手を見た相手も、自身が犯したミスに気が付き顔色を変えた。
石の数が増えたことで、盤面の状況が変わる。ダメヅマリで手が生じたことを見抜けなかった彼は、そのまま追い込まれていくー。

幸い加賀に助言され、今回の筒井は定石本を手にしていなかった。
そのため序盤に大きく離されなかったので、このままいけば筒井が8目ほどの差で勝つことができるのだ。

特にここからのヨセは、筒井の得意分野だ。
相手も前回の対局を見ていたので、筒井がそこでミスをしないのは分かっていた。
彼の顔色はどんどん悪くなっていき、そのままー彼は悔しそうに口を開く。
・・負けました。

その言葉に、筒井は身体の力が抜けていくような思いと同時に、自身の中に血が沸き上がってくるのを感じた。
加賀、勝ったよ!!
そう叫ぼうとした彼は、ようやく横の席に加賀がいないことに気付く。

見回してみると、加賀はヒカルの対局を見ていた。
彼の表情が固まっているのに気づいた筒井は、すぐにヒカルに視線を向ける。
そこで彼は、ヒカルの対局もまた終わったことを知る。

その対局を見ていた者たちは、皆言葉を発せずにいた・・。
勝負は、ヒカルの勝ちだったー。

佐為は盤面を見つめ、自分の囲碁についてきた相手方の三将に賞賛の言葉を贈る。
この者も、よくここまでついてこられました。そなたの力があって初めて、この棋譜は出来たのです。
誇りなさいー。

その三将は、悔しさに肩を震わせていた。
その肩に、顧問が優しく手を添える。
よく打ちました。

顧問の笑顔に、三将の少年はこらえきれず涙をこぼす。
ここにもまたドラマがあった。
こうしてー囲碁大会団体戦は、幕を下ろす。

優勝した葉瀬中の元に、監督官が歩み寄った。
優勝候補の海王中が負けたことに、会場は俄かに騒がしくなる。
と、その時向かいの家の少年がーヒカルの姿に気付いてしまう。

彼はヒカルが小学生だ、と驚いたあまり、皆の前で叫んだ。
それを聞いた監督官は、3人に怪訝な表情を向ける。
言い逃れはできない・・。
せっかく優勝を手にしたものの、加賀と筒井は諦めて、今回の計画を白状する・・。

結果、葉瀬中は失格となり、繰り上がって海王中の優勝となった。
ヒカルは囲碁部が創設できないのでは・・とオロオロするが、加賀はそれも嘘だった、と打ち明ける。
そこでほっとした彼は、ようやく会場にいるアキラの姿に気付くー。

アキラはヒカルの視線に気づくと、美しい一局だった、と笑みを見せた。
悔しいよ、どうして対局者が僕じゃないんだろうー。

彼はそう言うと、真剣な表情でヒカルに向き合った。
警戒するヒカルに、アキラは告げる。
君を越えなきゃ、神の一手に届かないことがよく分かった。だから僕はもう、君から逃げたりしないー。

それはアキラからの、宣戦布告だった。
2人の話を聞いていた佐為はヒカルに、今回の対局で何か感じたことはあったか?と問いかける。
ヒカルは考え・・うんーと素直にうなづく。

ー彼には、佐為のすごさがようやく本当に理解できるようになっていた。
佐為はすごい。アキラの視線も、真っすぐに佐為に向いている。

そんなヒカルの中には、新たな闘志が沸き上がってきていた。
アキラは全力で佐為を追いかけるだろう。そしていつか、追いつくかもしれない。
それに比べて、俺はまだ遥か後方にいる。でも・・

彼は決意する。
自分もまた、一歩を踏み出してみせるーと・・。
 



















闘いを終えて。

今回はヒカルたちが海王中に勝ち、その勝負を見ていたアキラがヒカルにライバル宣言をした回でした。

色々な気付きのあった団体戦。ヒカルにとっても、ここからが新たな一歩の始まりとなったようで、何よりです。
そしてそれはアキラにとってもー。
新章の始まりの予感ですね。

ヒカルにとっては苦い思いを味わうことにもなった今回の団体戦。
でもその一方で、彼は仲間と戦う楽しさや、囲碁に向き合う人たちの熱意を感じ取ったことと思われます。

そして彼はその中でも圧倒的な力をもつ佐為の実力を知り、彼を目指したいと決意します。
アキラと共に、同じ方向を向いて切磋琢磨することを決めたのです。

それはもちろん、アキラに感化されたからでもあります。
彼の真剣に囲碁に向き合う姿、そして真っすぐに佐為を目指して進む姿に、ヒカルは心を動かされ続けてきました。
そして今回のアキラのライバル宣言が引き金に、ヒカルの中にも闘志という炎がつきました。

これからは3人の構造が変化し、ヒカルもまた追う者となります。
恐らくヒカルは、自分の実力でアキラと戦い、勝ってみたいと感じたのでしょうね。

彼がアキラに真に届くようになるまでは、何年かかるでしょうか。
それこそ他の同年代の子供たちが感じているように、ヒカルにとってもアキラは遠い存在です。
けれどもヒカルの側には、佐為がいてくれる。
今回のように佐為の一手一手を見て行くことで、ヒカルには常に勉強する機会が恵まれているのです。

これを生かさない手はありませんね。最短でアキラにたどり着くには、ヒカルもまた並々ならぬ努力をするよりないのですから。

昼は囲碁部で、夜は佐為と共にー。
これからのヒカルは、囲碁三昧の生活となっていくのでしょうね。
彼の成長していく姿をどんどん見て行けるのかと思うと、楽しみです。

次にアキラと対局するまでに、ヒカルがどれだけ力をつけてくるのかー期待して見守ろうと思います(^^)





さて、対するアキラ。
前回、彼も囲碁部入りを目指すのかと予想しましたが、違いましたね。
ただアキラは自身の中のモヤモヤを吹っ切り、真剣にヒカルに向かうことを決意しました。
ようやくヒカルへの敗北感から脱却できたようで、良かったです。

彼を動かしたのは、三将戦でした。
ヒカルと戦い、素晴らしい対局を見せた海王中の三将。
アキラはそれを目にし、あの相手が自分だったらどんなに良かったかーと思います。

つまりヒカルは脅威ではあるけど、同時にアキラの心をもっとも高ぶらせる存在だということに、アキラ自身が気付いたのですよね。
ヒカルは壁ではなく、共に成長し、そしていつかは倒すべきライバルだったのです。

そのことに気付いたアキラは、今後どう動くのでしょうか。
ヒカルが出てくるようなアマの大会を狙うかな?それともやっぱり囲碁部に入る?

彼はまた必ずヒカルと戦いたいと願うでしょう。
ヒカルを追いかけまわす日々・・また復活しそうですねw

中学に上がる前に、互いの道を見出した2人。
その道がどこで交差し、ぶつかり合うことになるのかー
これからも彼らの関係性には、引き続き注目ですね!




さて、最後に決勝戦についても触れておきましょう。
正体がバレて失格となったものの、対局では海王中に勝利したヒカル。
海王中の実力の高さも分かったし、なかなか面白い戦いでした。

大将は、やっぱり強いですね!
そりゃあ全国でトップレベルの囲碁部ですもんね。そこの大将を務めるということは、それこそプロを目指すレベルくらいなのではないでしょうか。

そうなると、今は将棋に転向している加賀ではさすがにキツかったのも当然です。
思いも、囲碁にかける時間も違うでしょう。むしろ加賀が勝ったら失礼に当たるくらいなので、この結果で良かったのだと思います。

もしアキラが囲碁部に入るとしたら、この大将とポジション争いとなるのでしょうか・・。
そうなると海王中囲碁部には激震が走るでしょうね。レベルの底上げにはなりますが、恐らく団体戦に出してもらえるのは2年生以上・・
1年でぽっと入ってきてポジションをかっさらわれるとなると、色々と軋轢が生まれそうですね。。

うーん、この辺はどうなるのか結構気になりますね。
アキラにも同年代との付き合いの中から、囲碁を皆で楽しむという経験を積んでほしいとは思いましたが・・実際入ったときのことを考えるとそう簡単にはいかないような気もします。

それだけ厳しい世界であるということでもありますが、プロレベルの実力の持ち手が、アマの世界に入るということはかき乱す可能性もあるということで・・。
アキラの中学生活、一体どうなるのでしょうか。
こちらも気にしていきたいですね!


で、副将戦。
こちらはまさに予想外!筒井が海王中囲碁部相手に、勝利を掴みました!

彼は実力はそこまででもないですが、粘り強く、周りを気にしないマイペースさが武器となっていますね。
後は計算に慎重なので、ミスも少ない・・。
なかなか良い打ち手なのでは・・と今回の団体戦を通して感じました。

光って目立つものはないですが、こういう実直な碁もまたヒカルには刺激になると思います。
打ち方なんて人それぞれ。そのそれぞれを、常に考え進化させていくのが、囲碁上達への道なのでしょう。

筒井はそういう囲碁への基本的な姿勢を、きっとヒカルに教えてくれると思います。
偶然だったのに、素敵な出会いに恵まれて、ヒカル本当に良かったですね(^^)

早くヒカルが中学に上がって、囲碁部を創設する展開が見たいものです。
きっと楽しい中学校生活を送れるはずー
楽しみにしていますよ!


そして最後に、三将戦。
こちらは相手の三将の悔し涙に、胸を打たれました。

真剣に挑んだからこそ、流せる涙。
それを認め、賞賛する佐為の言葉も優しいし、顧問の先生の言葉も優しかった。
いい試合をすると、たとえ負けても誰かは見ていてくれるものですよね。彼の頑張りが、しっかり認められて本当に良かったと思います。

ヒカルも、そういう囲碁を打てるようになるといいですね。
彼も間近で対局を見ていた1人・・きっと感じたことは色々とあったはずです。

その全てを糧に、どちらもこれからも成長していけるといいな、と思います。
さすが決勝戦だけあって、短い描写なのにそれぞれのドラマが凝縮されていました!

なんだか囲碁を打ってみたくなっちゃいましたよ。
そう思わせてくれる作品に出会えて、改めて幸せだなぁと感じた回でした。









さて、次回はヒカルが本格的に囲碁に向き合っていく話でしょうか。

ついに目指す道が見えたヒカル。これまでとは違い、真剣に囲碁を学ぶ気持ちをもった彼の成長ぶりが期待されますね!

一方のアキラも、ヒカルをライバルと認めたことで、新たな成長を見せてくれそうです。
若き才能たちが、どう開花していくのかーそれを一緒に体感できると思うと、ワクワクしますね!

中学に上がるまでに、ある程度ヒカルは囲碁を打てるようになるのでしょうかー。

次回も楽しみです☆