前回、アキラと佐為の息を呑むような対局を目の前で見ていたヒカル。
彼は自分の力を試してみたい、と碁石を握りますー!

ヒカルの参戦に、盤上は荒れ模様となるのでしょうか?!
そして他の2試合の結末も、いかにー?!

感想です☆




神の幻影~第28局 「神の幻影」





※以下、ネタバレあり※











◎あらすじ◎

試したいー!
ヒカルは、11の八に石を置いた。

その一手に、一瞬アキラと佐為(さい)は目を見張る。
俺が打つー。
ヒカルは対局時計のボタンを押しながら、心の中で佐為に謝った。

佐為、ごめん!でも、自分で打たなきゃ見えないんだよー!!
彼は目の前のアキラを見つめる。
俺とこいつの差がーーー!!

ヒカルはそのまま、アキラの後に打ち続けた。
その打ち筋に、アキラは戸惑いを感じる。

11の八・・最初はドキッとしたが、これじゃあまりにも・・。
彼は違和感を感じながらも、その手に応え続ける。

そんな2人の対局を見ながら、佐為はその表情を輝かせていた。
これは・・面白い!!

ヒカルの力は、アキラには到底及ばないものだった。
しかし11の八は面白い手。ヒカルにその発想に続く手がないのが惜しいところだが、それでも彼の打ち手からはこう打ちたいという思いが伝わってくるー!!
佐為はそんなヒカルを見つめ、目を細めた。

ヒカル、今はただ私はあなたの成長を見守りましょうー。

ーだがその時、アキラが立ち上がった。
・・ふざけるな!!
その声にヒカルは驚き、会場はざわめく。

慌てて尹(ユン)が駆け付け、アキラをなだめた。
ヒカルも、ふざけてなんかいない!と真剣な声で返す。

佐為もまた、ヒカルの中でアキラに異議を唱えた。
ええ、ヒカルは決してふざけてなどいないー。

彼はアキラが、自分のことばかり追っていて、ヒカルのことが目に入っていないのがよく分かっていた。
だがヒカルだって、一歩一歩アキラに向かって進んでいる。この子にはそれが分からないのだ・・。

尹も、最後まで打つようにアキラを諫めた。
さもなくば中押負けにするかー?
彼はそう問いながら、アキラの耳元で囁く。
言っただろう、打ってみれば分かるーと。

その言葉に、アキラは仕方なく席についた。
くそ!!
彼は荒々しく碁石を掴むと、盤面にその怒りをぶつける。

ヒカルが置くと、間髪入れずにアキラが攻める。
そのせわしない音に、筒井(つつい)と三谷(みたに)は思わず2人の対局に気を取られた。

馬鹿かあいつ、進藤(しんどう)なんかに熱くなりやがって。かいかぶりすぎだ。
三谷は息をつくと、筒井の方を見やる。
筒井さんも駄目そうだ・・。となったら、海王に一矢報いることができるのは自分しかいない!!

三谷は力み、再び自分の盤面に向かった。
こちらの盤面は、まだ岸本が若干優勢という程度だ。
三谷は慎重に考えながら、石を置いていく・・。

ふとー彼は違和感に気付いた。
岸本(きしもと)が、さっきから1つの石を取り合ってぶつかってくるのだ。

何だ?こんな石1つに、なぜ意地になる?
三谷はその意味が理解できず、戸惑う。

つい自分も譲るまいと意地になっていたが、一体この石1つにどれほどの意味がある?
それなのに、なぜこいつはここまで意地を張ってくるんだー?

彼は頑なにこだわりを見せる岸本の考えが読めず、集中を乱されていく・・。
それをマズいと感じた三谷は、ついにその石を岸本に譲ることにした。

こんな一子、やっちまえばいいさ!
ーその瞬間、岸本が口を開いた。
・・引いたね。

彼はその口元に笑みを浮かべ、三谷を見据える。
見たところ、君は我流で強くなったタイプだ。だからこそ、ここは引いちゃいけなかった。

この石の取り合いに、さして意味はない。だが三谷のようなタイプは、こういう所で引くことで気持ちが崩れ、負けに向かっていく・・。
それは岸本の経験が裏付けた予測だった。
君はこの先崩れていくばかりさー。

その言葉にかっとなり、三谷は盤面に石をぶつけた。
動揺させようとしたって、そうは行かない!早く打てよ!!
彼はそう叫び、岸本を睨むー。


一方ヒカルとアキラの対局は、アキラがヒカルを追い詰めていくばかりだった。
その無慈悲で感情のない打ち筋に、ヒカルは為すすべなく汗を浮かべた。
そしてーあっというまに、終局の時が来た。

佐為が表情を曇らせるなか、ヒカルはうつむき頭を下げた。
・・負けました・・。

その瞬間、アキラは立ち上がった。
挨拶をしないことを尹が咎め、彼は仕方なくヒカルに一礼する。
その表情は怒りに満ち、もはやヒカルの目を見ようともしなかった。

片付けが終わると、彼は一言だけ言って立ち去っていった。
以前の君に、神の一手を垣間見たとさえ思ったのに・・。
ヒカルは言葉もなく、ただうつむくだけだったー。

同刻、筒井も中押で負けを喫していた。
彼もうつむくなか、残りは大将戦のみだ。
三谷は何とか勝とうと挑むが、勝負は一気に岸本の優勢へと様変わりしていた。

ヒカル、筒井、そしてあかりが見守るなか、三谷は苦渋の表情に汗を滲ませていく。
すると岸本が口を開いた。
正直君がこんなに打てるとは思っていなかった。楽しかったよ。

まだ勝負はついた訳じゃないー!
三谷はそう言い返そうとしたが、結果は明らかだった。
もはや最後まで打つまでもない・・。
三谷は盤面を睨みつけ、やがて頭を下げる。

負けました・・。

ありがとうございました。
岸本はそう言うと、さっと片付けを始める。
その手際の良さに、筒井の中に負けたという事実が急速に実感となってのしかかっていく。

彼はその瞳に涙を浮かべ、やがてそれは嗚咽へと変わった。
溢れる涙を隠そうともせず声をあげて泣く筒井の横で、三谷はただ黙って片付けをするー。

こうして、第2回戦。葉瀬中と海王中の対局は、0-3で海王の圧勝となるのだった・・。




















それぞれの海王戦。


今回はヒカルたちが海王中の前になす術なく、敗れる話でした。

やっぱり海王の壁は厳しかったですね。
前回は筒井の勝ちと、佐為の勝ちによるところが大きかった・・と改めて実感させられる結末でした。

でも筒井の涙には、じーんと来ました。
こうやって悔しい思いをして、それを糧に頑張っていくことも、また青春ですよね。
葉瀬中、本当に良いメンバーになってきたと思います。全員で体験したこの悔しさを、彼らならきっとバネにして次の大会へと向かうことができるでしょう。

また同じメンバーと戦えることはありませんが、ヒカルたちの囲碁部はまだ始まったばかり。これからも、海王と対局する機会はあるはずです。
いつかは彼らを倒し、本当の優勝を勝ち取るー
それを目標に、もう一度始めるところからいければ・・そう願っています。

これが始まりです!頑張れ、葉瀬中!!






さて、そして今回はヒカルとアキラの関係にも変化の兆しがありました。

ヒカルを神の一手に近い者とし、自身の壁でありライバルであるとずっと目指してきたアキラ。
しかしヒカルの本当の実力を目の前に、彼は激しく失望しました・・。

まぁ気持ちは分かります。でも、あの態度はちょっと酷い・・。
結構アキラ、取り乱すところがありますよね。かっとすると、周りが見えなくなるというか。
今後プロを目指すのだとしたら、ちょっと直すべきとこかな、と本筋とは関係ないけど感じました。

で、そんな風に物事を直情的に見てしまうが故に、彼は佐為の指摘のように、ヒカルについても見落としをしました。
それは、ヒカルもまた成長しているということ。

しかもヒカルの成長スピード、相当速いですよね。だってまだ、囲碁を始めて1年も経っていないですよ。
そんな風に急成長を遂げる少年が目の前にいるのに、アキラは佐為を追うばかりに、その成長の芽に気付けないー
これは、今後彼を脅かすようになるかもしれないですね。

今回の件で、アキラはヒカルを見限るでしょう。いやむしろ、軽蔑すらしかねません。
でもそうやってヒカルを見ないようにしていたら、いつのまにか追いつかれていたーなんて展開だってあり得るかもしれません。

ヒカルの前に佐為が現れたのは恐らく偶然ではなく、ヒカルの中に今は眠る囲碁の才能があるからでしょう。
それは事あるごとに、彼の中で光を見せています。
だからヒカルはきっと、この先さらに腕を磨いて、いずれは自分の実力でアキラの前に立ちはだかることになるのではないでしょうかー。

今回アキラが見落としたものが、今後どれほどの影響を及ぼすことになるのか・・。
今は成長半ばのヒカルですが、この先が楽しみですね。いつか絶対に自力でアキラにたどり着くことを信じています!!





さて、次回からは新展開でしょうか。
団体戦も終わり、アキラは囲碁部を去ります。
ヒカルという目標も失った彼は、この先どんな道を進むのでしょうか。

また今回は2回戦で敗退したヒカルたち。
彼らは囲碁部で、更なる腕を磨いていくことになるのでしょうかー?


まだまだ前途の明るい彼ら。
どんどん囲碁の腕を上げていくことに期待しましょう!

次回も楽しみです☆