前回、始まった新初段シリーズ。
アキラは着実に打ち、座間王者を追い詰めていきます。

塔矢名人の息子として、その名だけは知れ渡っていたアキラ。
この戦いで、実力共に認められる棋士となるのでしょうかー?

感想です☆




院生試験~第49局 「王座VS.アキラ②」





※以下、ネタバレあり※











◎あらすじ◎

アキラの強手に、座間(ざま)の手は止まった。
彼が考える姿を見て、記者の男は思わず唾を飲む。
黒のホウリ込みは、白に楽をさせない手だ。白の応手次第で展開が変わるぞ・・!

白が切れば、戦いは複雑になる。黒も危険だが、同時に白も危うくなるが、どう出るか・・。
彼がそう考える間も、座間は扇子を噛んで長考する。
そして歯ぎしりすると、白石を掴んだ。

彼が置いた手はー切るのではなく、取りだった。
白が怖がって妥協した!!
記者は目を見張り、次の流れを緊迫して見守る。

そして2人の打ち合いを暫く観察すると、彼は再び休憩室に戻った。
休憩室でも、アキラと座間の息つかぬ戦いを皆は真剣に見守っているところだった。

和谷(わや)と伊角(いすみ)は盤面を再現し、さっきの座間の手を考察している。
その横では真柴(ましば)が、座間は余裕だからこそ戦いを避けたのではないだろうかーと見立てを述べる。

だが他のメンバーは、その意見には否定的だった。
違う、座間はアキラを相手には、危ない橋は渡れないと思ったのだろうー。
彼らは改めてアキラの実力を思い、感嘆する。

プロ試験では、一緒に上がった新人2人もアキラには敵わなかった。
芦原(あしわら)もアキラに負けたことがあるという・・。
それを聞いた記者は、芦原と真柴はまるで互角だな、と笑った。

そのやり取りを横で聞いていた和谷は、真柴が芦原と同等と呼ばれて喜んでいるのを見て眉をしかめる。
だが伊角は、今や真柴と芦原はプロ同士だから同等だろうーと和谷を諫める。

伊角はプロ試験では、真柴ともう1人の新人にも勝利していた。
だが他の奴に負けたからこそ、自分は今ここに院生としている・・。
誰よりもそのことを痛感している伊角は、改めて和谷に告げる。
プロにならない限り、自分たち院生は1歩も前には進めないのだーと。

そう言われた和谷は、膨れながらも口を閉じる。
そして彼らは再び、テレビに目をやった。

どうやら座間はアキラに良いように動かれているのが気に入らないらしく、色んな手を試そうと動いているようだった。
反撃のチャンスは、やってくるだろうか・・?
皆、勝負の流れを固唾を飲んで見守るー。


同刻、アキラは座間の手を前に考えた。
まだだ、まだ守らない。まだ僕は前に行く。

彼の脳裏には、ヒカルの存在があった。
この対局は棋譜が残るので、きっとヒカルも見ることになるだろう。
アキラはその時のことを思い、自然石を置く指に力をこめる。

見せてやる、僕の一手一手をーー!!

その石の置き場に、テレビの前の一行は思わず声をあげた。
アキラはケイマに石を進めた。つまり、下辺を守ることをせず攻め込む意志を見せたのだ。

自陣に隙を見せても尚、攻め込み続ける・・。
彼らは驚きながらも、首を傾げた。
アキラは、そういうタイプの打ち手だったか・・?

当然座間だってこの好機を見逃さず、下辺を攻めるだろう。
ここからが盛り上がるところだー。
そう皆が考えたとき、ようやく反省を終えたヒカルが部屋に飛び込んでくる。

塔矢(とうや)はどうなった?!
大声で尋ねる少年を見て、真柴がまた院生かーと舌打ちする。

それにかっとした和谷は、ヒカルはアキラのライバルだ!!と言いのける。
場の空気が分からないヒカルは、和谷のいきなりのカミングアウトに戸惑うばかりだ。

和谷の言葉に、真柴はえ?と信じられないという顔で、ヒカルを見やる。
だが伊角も、本当のことなんだ、と和谷に加勢した。
それを聞いた記者たちもまた、ヒカルの顔をしげしげと見つめるー。

そこでヒカルは、この人たち誰?と無遠慮に和谷たちに尋ねた。
皆アキラの対局を見に来たの?
その無邪気すぎる質問に、その場にいた皆が思わずずっこける。

和谷が慌てて、ここにいるのは記者とプロ棋士、そして新初段2人だ!と囁いた。
これ以上余計なことを言われたら困る・・。
そう考えた彼は、初手から並べるから見ていろ、とヒカルを碁盤の前に誘う。

和谷が並べていく一手一手を、ヒカルと佐為(さい)は注意深く見つめた。
新初段シリーズでは新人にハンデがあり、先番の上に5目半のコミがもらえる。それにトッププロは新人相手にはさほど真剣にはならないーというのが、今までの新初段シリーズの定石だ。

だが今行われている対局は、座間が本気で戦っている。
その証拠にアキラが優勢で、座間は慎重な手ばかりを見せているのだ・・。
和谷たちの説明に、ヒカルは盤面の流れを理解し、思わず息を呑む。

座間は最後には何が何でも勝つつもりだ。だがアキラも決して引かず、攻めた。
その結果、今アキラの下辺は隙が出来ている・・。
ーその時、記者が声をあげた。
王座が打ち込んだぞ!!

その声に、皆一斉に画面に目をやる。
座間が守りの薄いところに打ち込んでくるのは、誰にでも分かることだ。アキラはそれに対し、どう戦うつもりなのかー!!
その場にいる全員が真剣な眼差しで、勝負の行方を見つめる。
その姿を目の当たりにしたヒカルは、すごい・・と武者震いした。

塔矢、お前やっぱりすげえ!!

他の皆には、なぜアキラがそこまでして攻めるのか理由が分からないようだった。
だがヒカルには、理解できた。
アキラは、自分にここまで来い、と言っているんだー!!
彼は拳を握りしめる。

俺には分かる。だから塔矢ー俺はお前を目指してまっすぐ進む!
待ってろ、絶対に追いついてやるからー!!

その時、外で雪が降り始めたのが、窓から見えた。
白く柔らかい雪・・
その光景を見つめながら、佐為は時を経ても変わらないものの存在を感じ、思いを馳せる。

千年の時を経ても、何ら変わることなくこの世にある雪。そして、盤上の熱い戦い。
一手一手は語る。石を打ち据える者の、心の内を・・。

それから彼は先刻見た、幽玄の間の厳かな空気を思った。
今、その石音はあのピリピリと痛い空気の中に響いているのだろうかー・・。





 














アキラが込める思い。

今回はアキラが座間と戦う一手一手に、ヒカルへの思いをこめた回でした。

うわー、熱い!アキラからのヒカルへの思いと、それを受け止めるヒカルの思い。
2人はまさしくライバルですね!

離れたことで、余計にお互いへの思いが強まっているのを感じます。
そしてそれが一方通行じゃないのが、いい!!
この2人の関係、これからも見逃せないですね!

アキラは目の前の王座より、ヒカルのことが気になるんだなぁ。。
本人は分かっていませんが、突き放そうとするのもまた、ヒカルのことが気になるから。
本当に興味がないっていうのは、ヒカルのことを全く気にかけないことですもんね。
常にヒカルを意識してしまっているアキラ。やっぱり2人は紛れもなくライバルだと思いますよ(^^)

そして、その思いを言われずとも受け止めるヒカル。
皆には理解できないアキラらしくない攻め方の理由も、ヒカルには伝わるーというのが、本当熱い!!

こうやって離れていても、互いの姿はいつも近くにあって、互いを高めていく刺激となるの、なんか良いですよね。
きっとこの先も2人はこうやって常に互いの存在を意識し合い、同じ高みを目指していくんだろうなぁ。

そしていつかは同じ高さで対局できるようになるんでしょう・・。
そこまで、見届けたいですね!2人がどんな大人になるのか、楽しみになってきました!

さあ、ここからが勝負どころ!
アキラはどんな戦いをヒカルに提示してくれるのかー期待して見守ろうと思います!


ただ、相手の座間もここからが攻め時ですよね。
何たってアキラの攻めによって、彼の守りは手薄くなっています。そこを攻め込む手を、王座が見逃すはずはないでしょう。

アキラが座間に興味がないというのも、ちょっと心配なところ。
そんな考えで臨んで楽々勝てるほど、相手は弱くないと思います。足元をすくわれないといいのですが・・。

ここから座間の逆転劇となるのか、それともアキラの闘志がそれを打ち破るのかー?
こちらも注目です!!




最後に、感じたことを。
今回休憩室には様々な立場の人間が集まった訳ですが、なかなか囲碁界も面倒そうな人間関係が敷かれているなぁと思いました。

院生の立場が低いのはもちろん理解できますが、一歩進んでプロになるとあんなに扱いが違うものなんだなぁ。
真柴は言ってもまだプロデビューはしてないし、院生だった頃から半年も経ってない訳で。
それなのに記者や芦原の対応は雲泥の差。
本当に実力社会なのだなぁ・・と呑まれてしまいましたよ。

でもこういう扱いされることも闘志を燃やすきっかけになるだろうし、何より誰も間違った対応はしていないんですよね。
勝ち上がった者だけが、脚光を浴びれる世界。
シンプルだけど、それが現実な世界というだけのことです。

伊角は和谷より長く院生でいる分、そのことが骨身に染みているのでしょう。
今年で院生も最後という彼、何とかプロになってほしいなーと思ってしまいました。

理想はヒカル、和谷、伊角の3人で勝ち上がれることですが、さすがにそんなに甘くはないだろうなぁ(^^;)
でも期待だけはしていきたいですよね。

ヒカルだけでなく、和谷や伊角にとってもこの対局は何か感じうるものがあるはず。
この戦いが終わった後の、3人の心境が描かれるといいなと思います。

そして頑張れ、院生たち!!







さて、次回はそろそろアキラと座間の戦いに決着がつく頃でしょうか。

ヒカルへの思いから、攻め一手に回るアキラ。
対する座間は、その戦い方をどう受け止めていくのでしょうか。

ここまで座間が押されているからこそ、彼が牙を剥くのでは・・と冷や冷やします。
さて、この戦いどこへ決着するのかー

次回も楽しみです☆